歯科領域における浸潤麻酔又は伝達麻酔
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
- 2.1本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
浸潤麻酔又は伝達麻酔には、通常成人0.3~1.8mL(リドカイン塩酸塩として6~36mg、アドレナリンとして0.00375~0.0225mg)を使用する。口腔外科領域の麻酔には、3~5mL(リドカイン塩酸塩として60~100mg、アドレナリンとして0.0375mg~0.0625mg)を使用する。 なお、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減するが、増量する場合には注意すること。
使用上の注意
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8.1まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておくこと。
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8.2本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、以下の点に留意すること。
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8.2.1患者の全身状態の観察を十分に行うこと。
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8.2.2できるだけ必要最少量にとどめること。
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8.2.3血管の多い部位(顔面等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少量を投与すること。
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8.2.4注射針が、血管に入っていないことを確かめること。
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8.2.5注射の速度はできるだけ遅くすること。
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8.2.6前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、これらの薬剤を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい。なお、高齢者、小児、全身状態が不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと。
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8.3注射針が適切に位置していないなどにより、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。
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8.4本剤の投与により、誤嚥・口腔内咬傷の危険性を増加させるおそれがあるので注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
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9.1.1次の患者には治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。これらの症状が悪化するおそれがある。
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(1)高血圧のある患者
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(2)動脈硬化のある患者
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(3)心不全のある患者
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(4)甲状腺機能亢進のある患者
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(5)糖尿病のある患者
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(6)血管攣縮の既往のある患者
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9.1.2心刺激伝導障害のある患者
症状を悪化させることがある。
- 9.1.3全身状態が不良な患者
生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1重症の腎機能障害のある患者
中毒症状が発現しやすくなる。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重症の肝機能障害のある患者
中毒症状が発現しやすくなる。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の全身状態を観察しながら慎重に投与すること。生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある。また、本剤に含まれているアドレナリンの作用に対する感受性が高いことがある。
相互作用
- 本剤は、主として肝代謝酵素CYP1A2及びCYP3A4で代謝される。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • ハロゲン含有吸入麻酔薬• ハロタン等 | 頻脈、不整脈、場合によっては心停止を起こすことがある。 | これらの薬剤は、心筋のアドレナリン受容体の感受性を亢進させる。 |
| • 三環系抗うつ薬• イミプラミン等 • MAO阻害薬 |
血圧上昇を起こすことがある。 | これらの薬剤は、アドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを阻害し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させ、アドレナリン作動性神経刺激作用を増強させる。 |
| • 非選択性β遮断薬• プロプラノロール等 | 血管収縮、血圧上昇、徐脈を起こすことがある。 | これらの薬剤のβ受容体遮断作用により、アドレナリンのα受容体刺激作用が優位になり、血管抵抗性を上昇させる。 |
| • 抗精神病薬(ブチロフェノン系、フェノチアジン系等)• ハロペリドール • クロルプロマジン等 • α遮断薬 |
過度の血圧低下を起こすことがある。 | これらの薬剤のα受容体遮断作用により、アドレナリンのβ受容体刺激作用が優位になり、血圧低下があらわれる。 |
| • 分娩促進薬• オキシトシン等 • 麦角アルカロイド類• エルゴメトリン等 |
血圧上昇を起こすことがある。 | 併用により血管収縮作用が増強される。 |
| • クラスIII抗不整脈薬• アミオダロン等 | 心機能抑制作用が増強するおそれがある。 | 作用が増強することが考えられる。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| 不安 | 頻度不明 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 壊死等 | 頻度不明 |
| 悪心・嘔吐等 | 頻度不明 |
| 浮腫等 | 頻度不明 |
| 潰瘍 | 頻度不明 |
| 眠気 | 頻度不明 |
| 眩暈 | 頻度不明 |
| 興奮 | 頻度不明 |
| 蕁麻疹等の皮膚症状 | 頻度不明 |
| 血圧上昇等 | 頻度不明 |
| 霧視 | 頻度不明 |
| 頭痛等 | 頻度不明 |
| 頻脈 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
リドカイン塩酸塩は、神経膜のナトリウムチャネルをブロックし、神経における活動電位の伝導を可逆的に抑制し、知覚神経及び運動神経を遮断する局所麻酔薬である。
18.2 麻酔効果・作用時間
リドカイン塩酸塩の表面・浸潤・伝達麻酔作用は、プロカイン塩酸塩よりも強く、作用持続時間はプロカイン塩酸塩よりも長い。また、アドレナリン添加により、その作用は増強される6),7),8),9),10),11) 。
薬物動態
16.1 血中濃度
健康人に2%リドカイン液2mL又は4mL(リドカイン塩酸塩40mg又は80mg)を単独あるいはアドレナリンを添加(1:80,000)して下顎孔伝達麻酔・頬側浸潤麻酔に用いたとき、アドレナリン添加時の血漿中濃度は、単独投与時に比べ最高濃度の有意な低下、最高濃度到達時間の有意な延長が認められた1) 。
| 投与群/パラメータ | Cmax (μg/mL) |
Tmax (μg/mL) |
|---|---|---|
| アドレナリン非添加 | 0.93±0.10 | 11.4±1.4 |
| アドレナリン添加 | 0.56±0.05 | 18.9±2.2 |
高齢者にリドカイン塩酸塩50mgを静脈内投与後の終末相半減期は140分を示し、若齢者の81分に比べて延長した2) 。
16.3 分布
リドカイン2μg/mLの血漿蛋白結合率は約65%で、α1-酸性糖蛋白及びアルブミンと結合する。血液/血漿中濃度比は約0.8であることから、血球への分布は少ないと考えられる。妊婦にリドカイン塩酸塩を硬膜外投与したとき、臍帯静脈血液中濃度と母体血漿中濃度の比は0.5~0.7で、胎盤を通過する3) 。
16.4 代謝
リドカインは、主として肝臓でN-脱エチル体monoethyl glycinexylidide(MEGX)に代謝された後、glycinexylidide(GX)、2,6-xylidineに代謝され、約70%が4-hydroxy-2,6-xylidineとして尿中に排泄される4) 。
16.5 排泄
3H標識リドカイン250mgを外国人健康人に経口投与したとき、24時間の尿中放射能排泄率は投与量の83.8%、未変化体は投与量の2.8%であった4) 。
16.6 特定の背景を有する患者
外国人心不全患者及び腎不全患者にリドカイン塩酸塩50mgを静脈内投与後の消失半減期は、健康人に比べ有意な変動はないが、肝機能低下患者では約3倍に延長した5) 。