-
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療
-
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病勢進展の抑制
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1重篤な肝機能障害のある患者
-
2.2本剤又は本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.3妊婦又は妊娠している可能性のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人には本剤を1回1錠、1日2回(朝及び夕食前)、リルゾールとして1日量100mg(本剤2錠)を経口投与する。
使用上の注意
- 8.1本剤を投与する場合は本剤の有効性及び安全性にかかる以下の事項について、患者又は患者に十分な同意の能力がない場合は代諾者に説明し、本剤投与にあたっての同意を得ること。
-
国内第3相二重盲検試験における安全性は18ヵ月の期間で確認された。
-
国内第3相二重盲検試験において、プライマリ・エンドポイントである「一定の病勢進展」又は「死亡」までの期間について、プラセボに対する本剤の有効性は検証されなかった。また、観察期間18ヵ月の使用成績調査における生存率は、国内第3相二重盲検試験と同程度であった。
-
8.2本剤は肝疾患の既往歴のない患者でも血清トランスアミナーゼ等(AST、ALT、γ-GTP、ビリルビン等)を上昇させることがあるので、本剤の投与に際しては、適応患者の選択を適切に行うこと。なお、本剤投与前及び投与中はALTを含むトランスアミナーゼを定期的に測定することが望ましく、また、ALTの上昇がみられた場合には、より頻回にALTを測定し、必要ならば、投与中止を検討すること。 海外でのALS患者約800例を対象とした試験より、ALTについては約8%に正常値上限の3倍以上、約2%に正常値上限の5倍以上の上昇がみられた。
-
8.3赤血球数の減少がみられることがあるので、本剤投与前及び投与中は赤血球数を測定することが望ましい。
-
8.4増量しても効果の増強は期待できず、また副作用の頻度及び程度が増大するおそれがあるので、定められた用量を守ること。
-
8.5本剤の投与中に、めまい又は眠気が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないように注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1発熱を有し、感染症が疑われる患者
好中球減少があらわれることがある。
9.2 腎機能障害患者
腎機能が低下している患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重篤な肝機能障害のある患者
投与しないこと。
- 9.3.2肝機能異常の既往歴のある患者又は肝機能障害のある患者(重篤な肝機能障害のある患者を除く)
肝機能を悪化させるおそれがある。本剤は主として肝で代謝される。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラット妊娠前及び妊娠初期投与試験において、高用量投与時(15mg/kg/日)に胎児の骨化遅延が、また、ラット及びウサギの器官形成期投与試験において、胎児に軽度の外表及び内臓異常が用量非依存的に認められたとの報告がある。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
副作用の発現に注意すること。一般に生理機能(肝機能等)が低下していることが多い。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • CYP1A2阻害剤• テオフィリン、カフェイン、クロミプラミン、アミトリプチリン、イミプラミン、ジクロフェナク、ニューキノロン系薬剤のエノキサシン水和物等 | 慎重に投与 | ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験においてチトクロームP-450の分子種であるCYP1A2はリルゾールの酸化的代謝を伴う主要な酵素であることが示唆されており、これらの薬剤は、本剤の排泄を遅延させる可能性がある1)。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| Al-P上昇 | 1〜5%未満 |
| ALT上昇 | 5%以上 |
| AST上昇 | 5%以上 |
| BUN上昇 | 1%未満 |
| γ-GTP上昇 | 1〜5%未満 |
| アミラーゼ上昇 | 1%未満 |
| うつ | 1%未満 |
| そう痒 | 1%未満 |
| ヘマトクリット値減少 | 1〜5%未満 |
| ヘモグロビン減少 | 1〜5%未満 |
| めまい | 1〜5%未満 |
| 下痢 | 1〜5%未満 |
| 不安 | 1%未満 |
| 不眠症 | 1%未満 |
| 体重減少 | 頻度不明 |
| 便秘 | 1〜5%未満 |
| 倦怠感 | 1%未満 |
| 傾眠 | 1%未満 |
| 口内・舌のしびれ感 | 1%未満 |
| 口周囲感覚異常 | 1%未満 |
| 味覚障害 | 1%未満 |
| 尿蛋白上昇 | 1%未満 |
| 悪心・嘔吐 | 1〜5%未満 |
| 浮腫 | 1%未満 |
| 無力感 | 1〜5%未満 |
| 疼痛 | 1%未満 |
| 発熱 | 1%未満 |
| 発疹 | 1〜5%未満 |
| 筋痙攣 | 1%未満 |
| 筋緊張亢進 | 1%未満 |
| 総ビリルビン上昇 | 1〜5%未満 |
| 背部痛 | 1%未満 |
| 腹痛 | 1〜5%未満 |
| 膵炎注2) | 1%未満 |
| 赤血球減少 | 1〜5%未満 |
| 関節炎 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 1%未満 |
| 頭重 | 1%未満 |
| 頻脈 | 1%未満 |
| 食欲不振 | 1〜5%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
本剤の作用機序は完全には解明されていないが、各種in vitro、in vivoの試験において、グルタミン酸遊離阻害、興奮性アミノ酸受容体との非競合的な阻害、電位依存性Na+チャネルの阻害等の作用を有しており、これらが単独あるいは複合して神経細胞保護作用を発現するものと考えられる11)。
18.2 薬理作用
-
18.2.1ALS病態に関連した試験
-
(1)培養ラット大脳皮質ニューロンを用いたin vitro試験において、リルゾールはALS患者の脳脊髄液への曝露による神経細胞死を抑制することが示された12)。
-
(2)家族性ALSの原因遺伝子の1つとして、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)の突然変異が同定されている。リルゾールは変異ヒトSOD1遺伝子を過剰発現させたトランスジェニックマウスの生存期間を延長した13)。
-
18.2.2神経細胞保護作用
-
(1)培養ラット脊髄運動ニューロンを用いたin vitro試験において、リルゾールはグルタミン酸及びグルタミン酸取り込み阻害剤による神経細胞死を抑制した14),15)。
-
(2)ラット脳海馬スライスを用いたin vitro試験において、リルゾールは興奮性アミノ酸受容体アゴニストのNMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)又は電位依存性Na+チャネルアゴニストのベラトリジンによる神経細胞死を抑制した16)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
日本人健康成人男子8例にリルゾール50mg注3)を空腹時単回経口投与した時の最高血漿中濃度(Cmax)などは下表のとおりであった2)。
| Cmax(ng/mL) | tmax(hr) | t1/2(hr) | AUC(ng・hr/mL) |
|---|---|---|---|
| 149.46±63.37 | 0.81±0.26 | 5.64±2.23 | 613.12±263.52 |
- 16.1.2生物学的同等性試験
リルゾール錠50mg「ニプロ」とリルテック錠50のそれぞれ1錠(リルゾールとして50mg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中リルゾール濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC0→24hr、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された3)。
| 判定パラメータ | 参考パラメータ | |||
|---|---|---|---|---|
| AUC0→24hr (ng・hr/mL) |
Cmax (ng/mL) |
Tmax (hr) |
t1/2 (hr) |
|
| リルゾール錠50mg「ニプロ」 | 1035±461 | 334±204 | 0.8±0.5 | 7.52±1.23 |
| リルテック錠50 | 1098±464 | 342±180 | 0.9±0.6 | 7.81±1.71 |
(Mean±S.D., n=33)
血漿中リルゾール濃度推移
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.5 排泄
日本人健康成人男子9例にリルゾール50mg注3)を1日2回13日間反復経口投与(1日及び13日目は1日1回、3~12日目は1日2回、2日目は休薬、合計22回投与)した時の尿中排泄率は、未変化体として1~2%、未変化体及びそのグルクロン酸抱合体として16~25%(最終投与後48時間)であった4)。 また、海外健康成人男子16例を対象にリルゾール100mgを単回経口投与した時の絶対生物学的利用率は60~64%であった5)。
注3)本剤の筋萎縮性側索硬化症に対し承認されている用法・用量は100mg/日、1日2回である。