Clinical snapshot

メサペイン錠10mg

メサドン塩酸塩錠

添付文書改訂 2024年03月01日

【警告】

  1. 1.1本剤の投与は、がん疼痛の治療に精通し、本剤のリスク等について十分な知識を持つ医師のもとで、適切と判断される症例についてのみ行うこと。

  2. 1.2QT延長や心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、呼吸抑制等があらわれ、死亡に至る例が報告されている。重篤な副作用により、致命的な経過をたどることがあるので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  3. 1.3本剤投与開始時及び増量時には、特に患者の状態を十分に観察し、副作用の発現に注意すること。本剤の薬物動態は個人差が大きく、さらに呼吸抑制は鎮痛効果よりも遅れて発現することがある。また、他のオピオイド鎮痛剤に対する耐性を有する患者では、本剤に対する交差耐性が不完全であるため、過量投与となることがある。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な呼吸抑制のある患者、重篤な慢性閉塞性肺疾患の患者[呼吸抑制を増強する。]

  2. 2.2気管支喘息発作中の患者[呼吸を抑制し、気道分泌を妨げる。]

  3. 2.3麻痺性イレウスの患者[消化管運動を抑制する。]

  4. 2.4急性アルコール中毒の患者[呼吸抑制を増強する。]

  5. 2.5本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  6. 2.6出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢のある患者では、症状の悪化、治療期間の延長を来すおそれがある。]

  7. 2.7ナルメフェン塩酸塩水和物を投与中又は投与中止後1週間以内の患者

効能・効果

  • 他の強オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛

  • 中等度から高度の疼痛を伴う各種癌

用法・用量

本剤は、他の強オピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する。 通常、成人に対し初回投与量は本剤投与前に使用していた強オピオイド鎮痛剤の用法・用量を勘案して、メサドン塩酸塩として1回5~15mgを1日3回経口投与する。 その後の投与量は患者の症状や状態により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与開始にあたっては、主な副作用、相互作用、投与時の注意点等を患者等に対して十分に説明し、理解を得た上で投与を開始すること。特に不整脈、呼吸抑制等の症状が認められた場合には、速やかに主治医に連絡するよう指導すること。

  2. 8.2高用量の強オピオイド鎮痛剤からの切り替え、呼吸抑制を起こしやすい患者等では、入院又はそれに準じる管理の下で本剤の投与開始及び用量調節を行うなど、重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。

  3. 8.3QT延長があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に心電図検査及び電解質検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。特に、本剤1日投与量が100mgを超える前及びその1週間後、QT延長を起こしやすい患者では、本剤の投与量が安定した時点で心電図検査を行うことが望ましい。異常が認められた場合には、必要に応じて休薬、減量又は中止し、適切な処置を行うこと。

  4. 8.4重篤な呼吸抑制が認められた場合には、投与を中止し、呼吸管理を行うこと。呼吸抑制に対しては麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が有効であるが、麻薬拮抗剤の作用持続時間は本剤より短いので、観察を十分に行い麻薬拮抗剤の繰り返し投与を考慮すること。

  5. 8.5本剤を投与する場合には、便秘に対する対策として緩下剤、嘔気・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を、また、鎮痛効果が得られている患者で通常とは異なる強い眠気がある場合には、過量投与の可能性を念頭において本剤の減量を考慮するなど、本剤投与時の副作用に十分注意すること。

  6. 8.6連用により薬物依存を生じることがあるので、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。

  7. 8.7重篤な副作用が発現した患者については、本剤の血中動態を考慮し、投与中止時から少なくとも48時間後まで観察を継続すること。

  8. 8.8眠気、めまいが起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。

  9. 8.9本剤は種々の薬剤との相互作用が報告されていることから、併用薬剤に十分注意して投与すること。

  10. 8.10本剤の医療目的外使用を防止するため、適切な処方を行い、保管に留意するとともに、患者等に対して適切な指導を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1細菌性下痢のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。治療期間の延長を来すおそれがある。

  1. 9.1.2心機能障害又は低血圧のある患者

循環不全を増強するおそれがある。

  1. 9.1.3QT延長のある患者

QT間隔を過度に延長させるおそれがある。

  1. 9.1.4QT延長を起こしやすい患者

QT延長が起こるおそれがある。

  1. (1)QT延長の既往歴のある患者

  2. (2)低カリウム血症、低マグネシウム血症又は低カルシウム血症のある患者

  3. (3)心疾患(不整脈、虚血性心疾患等)のある患者

  4. (4)QT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者

  5. 9.1.5呼吸機能障害のある患者

呼吸抑制を増強するおそれがある。

  1. 9.1.6脳に器質的障害のある患者

呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を起こすおそれがある。

  1. 9.1.7ショック状態にある患者

循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。

  1. 9.1.8代謝性アシドーシスのある患者

呼吸抑制を起こすおそれがある。

  1. 9.1.9てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者

痙攣を起こすおそれがある。

  1. 9.1.10甲状腺機能低下症(粘液水腫等)、副腎皮質機能低下症(アジソン病等)又は衰弱者

呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。

  1. 9.1.11薬物依存の既往歴のある患者

依存性を生じやすい。

  1. 9.1.12前立腺肥大による排尿障害、尿道狭窄、尿路手術術後の患者

排尿障害を増悪することがある。

  1. 9.1.13器質的幽門狭窄、重篤な炎症性腸疾患又は最近消化管手術を行った患者

消化管運動を抑制する。

  1. 9.1.14胆嚢障害、胆石症又は膵炎の患者

オッジ筋を収縮させ症状が増悪することがある。

9.2 腎機能障害患者

排泄が遅延し副作用があらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

代謝が遅延し副作用があらわれるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット、マウス、ハムスター)で、母動物の死亡、死産、胎児の体重減少、催奇形作用(骨化異常、外脳、頭蓋裂、脊髄のねじれ等)が報告されている1),2),3),4) 。 分娩前に投与した場合、出産後新生児に退薬症候(多動、神経過敏、不眠、振戦等)があらわれることがある5) 。 分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制があらわれることがある。

9.6 授乳婦

授乳を避けさせること。ヒト母乳中へ移行し、母親の経口投与量が10~80mg/日のとき、メサドンの乳汁中濃度は0.05~0.57μg/mLになることが報告されている6) 。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、特に呼吸抑制の感受性が高い。

相互作用

  • 本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4、CYP2B6及び、一部CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6で代謝される。また本剤は、CYP3A4及びCYP2B6の誘導作用を有し、P糖蛋白の基質である7) 。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ナルメフェン塩酸塩水和物
(セリンクロ)
ナルメフェン塩酸塩水和物により本剤の鎮痛作用を減弱させるため、効果を得るために必要な用量が通常用量より多くなるおそれがある。
また、退薬症候を起こすおそれがある。
ナルメフェン塩酸塩水和物はμ受容体のアンタゴニストであり、μ受容体のアゴニストである本剤に対して、競合的に阻害する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• QT延長を起こすことが知られている薬剤• スニチニブ、ダサチニブ、マプロチリン等
• 抗不整脈剤• ジソピラミド、プロカインアミド、アミオダロン、ソタロール等
• 抗精神病剤
不整脈を誘発するおそれがある。 相加的にQT延長作用を増強させる。
• 低カリウム血症を起こす薬剤• 利尿剤
• 副腎皮質ステロイド剤等
低カリウム血症による不整脈を誘発するおそれがある。 カリウム値の低下により心臓の不応期が延長され、さらに本剤の投与により新たな不整脈を誘発することによる。
• 三環系抗うつ剤• イミプラミン、アミトリプチリン等 不整脈を誘発するおそれがある。 相加的にQT延長作用を増強させる。
• 三環系抗うつ剤• イミプラミン、アミトリプチリン等 呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こるおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 相加的に中枢神経抑制作用を増強させる。
• 中枢神経抑制剤• ベンゾジアゼピン誘導体、フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等
• アルコール
• 吸入麻酔剤
• MAO阻害剤
• オピオイド鎮痛剤
呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こるおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 相加的に中枢神経抑制作用を増強させる。
• 選択的セロトニン再取り込み阻害剤• セルトラリン塩酸塩、フルボキサミンマレイン酸塩等 本剤の血中濃度が増加したとの報告がある8) 。 機序不明
• 尿アルカリ化を起こす薬剤• 炭酸水素ナトリウム等 本剤の血中濃度が増加したとの報告がある9) 。 尿のアルカリ化により本剤の尿中排泄率が低下するため。
• 抗真菌剤• ケトコナゾール注1) 、ボリコナゾール等
• マクロライド系抗菌剤• エリスロマイシン等
本剤の血中濃度が増加するおそれがある。 これらの薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A4)を阻害することによる。
• 肝代謝酵素誘導作用を有する薬剤• リファンピシン、フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン 本剤の血中濃度が低下したとの報告がある10) 。 これらの薬剤が本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A4等)を誘導することによる。
• セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 本剤の血中濃度が低下するおそれがある。 セイヨウオトギリソウが本剤の肝薬物代謝酵素(CYP3A4)を誘導することによる。
• アバカビル硫酸塩、エファビレンツ、ネビラピン、リルピビリン塩酸塩、ロピナビル・リトナビル配合剤 本剤の血中濃度が低下したとの報告がある11) 。 機序不明
• ジドブジン
(アジドチミジン)
ジドブジンの血中濃度が増加したとの報告がある12) 。 機序不明
• 抗コリン作用を有する薬剤 麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こるおそれがある。 相加的に抗コリン作用を増強させる。
• ブプレノルフィン、ペンタゾシン 本剤の鎮痛作用を減弱させることがある。また、退薬症候を起こすおそれがある。 これらの薬剤は本剤の作用するμ受容体の部分アゴニストである。

注1)国内では外用剤のみ

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
T波逆転 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ふらふら感 頻度不明
ミオクローヌス 頻度不明
めまい 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 頻度不明
不整脈 頻度不明
不眠 頻度不明
二段脈 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低マグネシウム血症 頻度不明
体重増加 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
健忘 頻度不明
動悸 頻度不明
口渇 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
嘔吐 頻度不明
多幸感 頻度不明
失神 頻度不明
失見当識 頻度不明
尿閉 頻度不明
幻覚 頻度不明
徐脈 頻度不明
心筋症 頻度不明
性欲減退 頻度不明
性能力減退 頻度不明
悪心 頻度不明
感覚異常 頻度不明
振戦 頻度不明
排尿障害 頻度不明
気分不快 頻度不明
浮腫 頻度不明
潮紅 頻度不明
激越 頻度不明
無力症 頻度不明
無月経 頻度不明
熱感) 頻度不明
痙攣発作 頻度不明
発汗 頻度不明
発疹 頻度不明
眠気・傾眠 頻度不明
胆管痙攣 頻度不明
脱力 頻度不明
腹痛 頻度不明
舌炎 頻度不明
血圧変動 頻度不明
血小板減少症 頻度不明
血管拡張(顔面潮紅 頻度不明
複視等) 頻度不明
視覚障害(霧視 頻度不明
鎮静 頻度不明
静脈炎 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

モルヒネと同様にμオピオイド受容体を介して鎮痛作用を示すものと考えられており、メサドンはμオピオイド受容体に対して高い親和性が認められた27) 。

18.2 鎮痛作用

ラットを用い熱刺激法(温湯法)により鎮痛効果を検討した結果、その効果はモルヒネよりやや強くオキシコドンと同程度であった27) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

メサドン塩酸塩錠5mg、10mgを健康成人男性(外国在住日本人、6例)に単回経口投与したとき、最高血漿中濃度(Cmax)及び血漿中濃度曲線下面積(AUC0-144hr)は用量に比例して増加した。なお、メサドン塩酸塩錠5mg又は10mgを単回投与したときのメサドン及び主代謝物2-ethylidene-1,5-dimethyl-3,3-diphenylpyrrolidine(EDDP)の薬物動態パラメータは表1のとおりであった18) 。

n AUC0-144hr
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
tmax
(hr)
t1/2
(hr)
メサドン塩酸塩錠5mg メサドン 6 572.0±161.0 15.6±4.1 4.9±2.1 37.2±4.6
主代謝物(EDDP) 51.4±14.0 1.5±0.5 5.9±3.6 40.3±12.3
メサドン塩酸塩錠10mg メサドン 6 1026.5±239.3 30.8±4.6 3.3±2.4 38.3±4.9
主代謝物(EDDP) 94.2±16.0 3.4±0.6 2.2±0.6 28.3±9.7

(Mean±S.D.)

  1. 16.1.2反復投与時

メサドン塩酸塩錠5mgを健康成人男性(外国在住日本人、5例)に1日3回7日間、反復経口投与したときの血漿中濃度の推移は図のとおりであり、投与1日目及び7日目のCmaxはそれぞれ18.4、94.6ng/mL、tmaxはそれぞれ3.4、2.8時間であった。投与終了後、血漿中のメサドン濃度は単回投与時と同様に7日間で緩やかに減少した18) 。

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

平衡透析法で測定した血漿蛋白質との結合率は、89.4%であり、主にα1-酸性糖蛋白に結合する19) (健康成人)(外国人データ)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1メサドン塩酸塩を麻薬中毒患者に経口投与したとき、メサドンはN-脱メチル化、環化により主に肝臓で代謝される。主な代謝物は不活性な2-ethylidene-1,5-dimethyl-3,3-diphenylpyrrolidine(EDDP)である20) (外国人データ)。

  2. 16.4.2ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験の結果、メサドンは薬物代謝酵素CYP3A4、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19及びCYP2D6により代謝されることが確認された21),22) 。

16.5 排泄

14C標識体メサドンを麻薬中毒患者(男性)に経口投与したとき、放射能の尿中及び糞中排泄率はそれぞれ24~79%及び18~42%であった23) (外国人データ)。