Clinical snapshot

ホリゾン注射液10mg

ジアゼパム注射液

添付文書改訂 2023年08月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1急性閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]

  2. 2.2重症筋無力症のある患者[本剤の筋弛緩作用により症状が悪化するおそれがある。]

  3. 2.3ショック、昏睡、バイタルサインの悪い急性アルコール中毒の患者[ときに頻脈、徐脈、血圧低下、循環性ショックがあらわれることがある。]

  4. 2.4リトナビル(HIVプロテアーゼ阻害剤)、ニルマトレルビル・リトナビルを投与中の患者

効能・効果

  • 神経症における不安・緊張・抑うつ

  • 下記疾患及び状態における不安・興奮・抑うつの軽減 麻酔前、麻酔導入時、麻酔中、術後、アルコール依存症の禁断(離脱)症状、分娩時

  • 下記状態における痙攣の抑制 てんかん様重積状態、有機リン中毒、カーバメート中毒

用法・用量

  • 本剤は、疾患の種類、症状の程度、年齢及び体重等を考慮して用いる。一般に成人には、初回2mL(ジアゼパムとして10mg)を筋肉内又は静脈内にできるだけ緩徐に注射する。以後、必要に応じて3~4時間ごとに注射する。なお、静脈内に注射する場合には、なるべく太い静脈を選んで、できるだけ緩徐に(2分間以上をかけて)注射する。

使用上の注意

  1. 8.1眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。

  2. 8.2連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避けること。本剤の投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心障害のある患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.2脳に器質的障害のある患者

作用が強くあらわれる。

  1. 9.1.3衰弱患者

作用が強くあらわれる。

  1. 9.1.4高度重症患者、呼吸予備力の制限されている患者

静脈内投与時、無呼吸、心停止が起こりやすい。

9.2 腎機能障害患者

排泄が遅延するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

排泄が遅延するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  1. 9.5.1妊娠中に本剤の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。

  2. 9.5.2ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。また、分娩時に静脈内注射した例にsleeping babyが報告されている。

  3. 9.5.3分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系薬剤で報告されている。

9.6 授乳婦

授乳を避けさせること。ヒト母乳中ヘ移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことがあり、また、黄疸を増強する可能性がある。

9.7 小児等

  1. 9.7.1乳児、幼児において、作用が強くあらわれる。

  2. 9.7.2低出生体重児、新生児に使用する場合には十分注意すること。外国において、ベンジルアルコールの静脈内大量投与(99~234mg/kg)により、中毒症状(あえぎ呼吸、アシドーシス、痙攣等)が低出生体重児に発現したとの報告がある。本剤は添加剤としてベンジルアルコールを含有している。

9.8 高齢者

少量から投与を開始するなど慎重に投与すること。運動失調等の副作用が発現しやすい。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• HIVプロテアーゼ阻害剤• リトナビル(ノービア) 過度の鎮静や呼吸抑制を起こすおそれがある。 チトクロームP450に対する競合的阻害作用による。
• ニルマトレルビル・リトナビル(パキロビッド) 過度の鎮静や呼吸抑制を起こすおそれがある。 チトクロームP450に対する競合的阻害作用による。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 中枢神経抑制剤• フェノチアジン誘導体
バルビツール酸誘導体等
• モノアミン酸化酵素阻害剤
• オピオイド鎮痛剤
アルコール(飲酒)
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が増強することがある。 相互に中枢神経抑制作用が増強することが考えられている。
• シメチジン
• オメプラゾール
• エソメプラゾール
ランソプラゾール
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が増強することがある。 本剤のクリアランスがシメチジンとの併用により27~51%、オメプラゾールとの併用により27~55%減少することが報告されている。
本剤の代謝、排泄を遷延させるおそれがある。
• シプロフロキサシン 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が増強することがある。 本剤のクリアランスがシプロフロキサシンとの併用により低下することが報告されている。
• フルボキサミンマレイン酸塩 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が増強することがある。 本剤の代謝が阻害されることにより本剤のクリアランスが低下することが報告されている。
• 強いCYP3Aを阻害する薬剤• コビシスタットを含有する製剤
ボリコナゾール等
本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 これら薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害されるため。
• CYP3A4で代謝される薬剤• アゼルニジピン
ホスアンプレナビル等
本剤又はこれらの薬剤の作用が増強されるおそれがある。 本剤とこれらの薬剤がCYP3A4を競合的に阻害することにより、相互のクリアランスが低下すると考えられる。
• エトラビリン 本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 エトラビリンのCYP2C9、CYP2C19阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
• マプロチリン塩酸塩 (1)眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が増強することがある。
(2)併用中の本剤を急速に減量又は中止すると痙攣発作が起こる可能性がある。
(1)相互に中枢神経抑制作用が増強することが考えられている。
(2)本剤の抗痙攣作用により抑制されたマプロチリン塩酸塩の痙攣作用が本剤の減量・中止によりあらわれることがある。
• ミルタザピン 鎮静作用が増強されるおそれがある。
また、ミルタザピンとの併用により精神運動機能及び学習獲得能力が減退するとの報告がある。
相加的な鎮静作用を示すことが考えられる。
• バルプロ酸ナトリウム 本剤の作用が増強することがある。 本剤の非結合型の血中濃度を上昇させる。
• ダントロレンナトリウム水和物
• ボツリヌス毒素製剤
筋弛緩作用を増強する可能性がある。 相互に筋弛緩作用が増強することが考えられている。
• リファンピシン 本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。 リファンピシンのCYP3A4誘導作用により、本剤の代謝が誘導され、血中濃度が低下する可能性がある。
• アパルタミド 本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。 アパルタミドのCYP2C19誘導作用により、本剤の代謝が誘導され、血中濃度が低下する可能性がある。
• シナカルセト
• エボカルセト
これら薬剤の血中濃度に影響を与えるおそれがある。 血漿蛋白結合率が高いことによる。
• 無水カフェイン 本剤の血中濃度が減少することがある。 不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ふらつき 1〜5%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
口渇 1〜5%未満
嘔吐 1〜5%未満
多幸症 頻度不明
失神 頻度不明
失禁 頻度不明
徐脈 頻度不明
悪心 1〜5%未満
振戦 頻度不明
歩行失調 頻度不明
浮腫 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球減少 頻度不明
眠気 5%以上
眩暈 1〜5%未満
眼振 頻度不明
脱力感 1〜5%未満
血圧低下 1〜5%未満
複視 頻度不明
言語障害 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 1〜5%未満
頻脈 頻度不明
顆粒球減少 頻度不明
食欲不振 頻度不明
黄疸 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ジアゼパムは、ベンゾジアゼピン受容体に高い親和性を有する。ベンゾジアゼピン受容体は、GABAA受容体と複合体を形成しており機能的にも共役していることから、本薬がベンゾジアゼピン受容体に結合すると、ベンゾジアゼピン受容体とGABAA受容体との相互作用により、GABAのGABAA受容体への親和性が増加し、間接的にGABAの作用が増強すると考えられている。GABAは脳内抑制性神経伝達物質の一つであり、GABAA受容体を活性化させることにより、クロルイオンチャネルを介してクロルイオンを細胞内に流入させ、神経細胞の興奮を抑制する10),11),12),13),14) 。ムスカリン受容体作動薬により誘発された痙攣における本薬の抗痙攣作用の機序の一つとして、本薬が上記のように間接的にGABAの作用を増強させる結果、神経細胞の興奮を抑制し、脳内グルタミン酸等興奮性伝達物質遊離を抑制することが考えられる15) 。

18.2 薬理作用

ジアゼパムは、各種動物において他のベンゾジアゼピン系薬剤と同様に鎮静作用、抗不安作用、抗痙攣作用及び筋弛緩作用を示すことが認められている。

  1. 18.2.1鎮静作用

マウス、ラット及びサル16) において自発運動減少作用を示す。また、イヌ17) 及びサル18) において自発脳波の抑制作用を示す。

  1. 18.2.2抗不安作用

マウスの明暗箱試験19) 、ラットの高架式十字迷路試験20) 及びラットのコンフリクト試験21) において抗不安作用を示す。

  1. 18.2.3抗痙攣作用

マウスのペンテトラゾール誘発痙攣及び電撃誘発痙攣22) 並びにラットのペンテトラゾール誘発キンドリング23),24) 及び扁桃体キンドリング25),26) に対して抗痙攣作用を示す。また、モルモットの有機リン誘発痙攣27) に対して抗痙攣作用を示す。

  1. 18.2.4筋弛緩作用

マウス及びラットにおいて筋弛緩作用を示す22) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人にジアゼパムを静脈内投与したとき、血漿中未変化体濃度は2~3相性を示して推移し、分布相の半減期は20.4~60分、消失相の半減期は9~96時間、分布容積は約0.32~2.0L/kg、クリアランスは0.3~0.8mL/min/kgであった1),2),3),4),5) 。筋肉内投与したときの吸収率のばらつきは大きく4) 、バイオアベイラビリティは103%以下であった4),6) 。

16.5 排泄

3Hで標識したジアゼパム10mgをヒトに経口投与したとき、尿中総排泄率は71%であった。また、経口投与時の尿中未変化体排泄率は1~2%であり、尿中には未変化体以外に代謝物として、テマゼパム、デスメチルジアゼパム及びオキサゼパムが排泄された4),5),7),8),9) 。