〇全身麻酔、全身麻酔における鎮痛
〇局所麻酔における鎮痛の補助
〇激しい疼痛(術後疼痛、癌性疼痛など)に対する鎮痛
フェンタニルクエン酸塩
本剤の硬膜外及びくも膜下投与は、これらの投与法に習熟した医師のみにより、本剤の投与が適切と判断される患者についてのみ実施すること。
2.1筋弛緩剤の使用が禁忌の患者
2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.3頭部外傷、脳腫瘍等による昏睡状態のような呼吸抑制を起こしやすい患者[フェンタニル投与により重篤な呼吸抑制が起こることがある。]
2.4痙攣発作の既往歴のある患者[麻酔導入中に痙攣が起こることがある。]
2.5喘息患者[気管支収縮が起こることがある。]
2.6ナルメフェン塩酸塩水和物を投与中又は投与中止後1週間以内の患者
2.7注射部位又はその周辺に炎症のある患者[硬膜外投与及びくも膜下投与により化膿性髄膜炎症状を起こすことがある。]
2.8敗血症の患者[硬膜外投与及びくも膜下投与により敗血症性の髄膜炎を生じるおそれがある。]
2.9中枢神経系疾患(髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄癆等)の患者
2.10脊髄・脊椎に結核、脊椎炎及び転移性腫瘍等の活動性疾患のある患者
〇全身麻酔、全身麻酔における鎮痛
〇局所麻酔における鎮痛の補助
〇激しい疼痛(術後疼痛、癌性疼痛など)に対する鎮痛
| 効能又は効果 | 用法及び用量 | |
|---|---|---|
| 全身麻酔、全身麻酔における鎮痛 | 通常、成人には、右記用量を用いる。なお、患者の年齢、全身状態に応じて適宜増減する。 | 〔バランス麻酔に用いる場合〕 麻酔導入時:フェンタニル注射液として0.03~0.16mL/kg(フェンタニルとして1.5~8μg/kg)を緩徐に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。 麻酔維持:ブドウ糖液などに希釈して、下記(1)又は(2)により投与する。 (1)間欠投与:フェンタニル注射液として0.5~1mL(フェンタニルとして25~50μg)ずつ静注する。 (2)持続投与:フェンタニル注射液として0.01~0.1mL/kg/h(フェンタニルとして0.5~5μg/kg/h)の速さで点滴静注する。 |
| 〔大量フェンタニル麻酔に用いる場合〕 麻酔導入時:フェンタニル注射液として0.4~3mL/kg(フェンタニルとして20~150μg/kg)を緩徐に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。 麻酔維持:必要に応じて、ブドウ糖液などに希釈して、フェンタニル注射液として0.4~0.8mL/kg/h(フェンタニルとして20~40μg/kg/h)の速さで点滴静注する。 |
||
| 通常、小児には、右記用量を用いる。なお、患者の年齢、全身状態に応じて適宜増減する。 | 〔バランス麻酔又は大量フェンタニル麻酔に用いる場合〕 麻酔導入時:フェンタニル注射液として0.02~0.1mL/kg(フェンタニルとして1~5μg/kg)を緩徐に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。大量フェンタニル麻酔に用いる場合は、通常、フェンタニル注射液として2mL/kg(フェンタニルとして100μg/kg)まで投与できる。 麻酔維持:フェンタニル注射液として0.02~0.1mL/kg(フェンタニルとして1~5μg/kg)ずつ間欠的に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。 |
|
| 局所麻酔における鎮痛の補助 | 通常、成人には、フェンタニル注射液として0.02~0.06mL/kg(フェンタニルとして1~3μg/kg)を静注する。なお、患者の年齢、全身状態、疼痛の程度に応じて適宜増減する。 | |
| 激しい疼痛(術後疼痛、癌性疼痛など)に対する鎮痛 | 通常、成人には、右記用量を用いる。なお、患者の年齢、症状に応じて適宜増減する。 | 〔静脈内投与の場合〕 術後疼痛に用いる場合は、フェンタニル注射液として0.02~0.04mL/kg(フェンタニルとして1~2μg/kg)を緩徐に静注後、フェンタニル注射液として0.02~0.04mL/kg/h(フェンタニルとして1~2μg/kg/h)の速さで点滴静注する。 癌性疼痛に対して点滴静注する場合は、フェンタニル注射液として1日2~6mL(フェンタニルとして0.1~0.3mg)から開始し、患者の症状に応じて適宜増量する。 |
| 〔硬膜外投与の場合〕 単回投与法:フェンタニル注射液として1回0.5~2mL(フェンタニルとして1回25~100μg)を硬膜外腔に注入する。 持続注入法:フェンタニル注射液として0.5~2mL/h(フェンタニルとして25~100μg/h)の速さで硬膜外腔に持続注入する。 |
||
| 〔くも膜下投与の場合〕 単回投与法:フェンタニル注射液として1回0.1~0.5mL(フェンタニルとして1回5~25μg)をくも膜下腔に注入する。 |
8.1本剤の使用に際しては、一般の全身麻酔剤と同様、必ず気道確保、呼吸管理等の蘇生設備の完備された場所で、厳重な管理の下に使用すること。 特に全身麻酔時は麻酔医の管理の下に使用すること。
8.2まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合には直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておくこと。なお、事前の静脈路確保が望ましい。
8.3バイタルサイン(血圧、心拍数、呼吸、意識レベル)及び麻酔高に注意し、患者の全身状態の観察を十分に行い、必要に応じて適切な処置を行うこと。
8.4麻酔の深度は手術、検査に必要な最低の深さにとどめること。
8.5本剤の影響が完全に消失するまでは、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。
血圧低下や病状の悪化が起こりやすい。
呼吸抑制を増強するおそれがある。
徐脈を起こすことがある。
適宜減量すること。作用が強くあらわれることがある。
依存性を生じやすい。
硬膜外投与により病状が悪化するおそれがある。なお、くも膜下投与により病状が悪化するおそれがあるため投与しないこと。
硬膜外投与により病状が悪化するおそれがある。なお、くも膜下投与により病状が悪化するおそれがあるため投与しないこと。
出血しやすく、血腫形成や脊髄への障害を起こすことがある。
脊髄や神経根の損傷のおそれがある。
実体重に基づき投与した場合、過量投与となり呼吸抑制が発現するおそれがある。
血中濃度が高くなるため、副作用発現の危険性が増加する。
血中濃度が高くなるため、副作用発現の危険性が増加する。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(マウス、ラット)で生児平均体重の低下が報告されている。 本剤は胎盤を通過するため、分娩時の投与により新生児に呼吸抑制があらわれることがある。また、分娩時を含む妊娠中の投与により胎児に徐脈があらわれることがある。
本剤投与中は授乳を避けさせること。ヒトで母乳中への移行が報告されている。
低出生体重児、新生児及び乳児に自発呼吸下で投与する場合は、低用量から開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。低出生体重児、新生児及び乳児では呼吸抑制を起こしやすい。
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| ナルメフェン塩酸塩水和物 • セリンクロ |
本剤の離脱症状があらわれるおそれがある。また、本剤の効果が減弱するおそれがある。緊急の手術等によりやむを得ず本剤を投与する場合、患者毎に用量を漸増し、呼吸抑制等の中枢神経抑制症状を注意深く観察すること。また、手術等において本剤を投与することが事前にわかる場合には、少なくとも1週間前にナルメフェン塩酸塩水和物の投与を中断すること。 | μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 中枢神経系抑制剤 • フェノチアジン系薬剤、ベンゾジアゼピン系薬剤、バルビツール酸系薬剤等全身麻酔剤 モノアミン酸化酵素阻害剤 三環系抗うつ剤 骨格筋弛緩剤 鎮静抗ヒスタミン剤 アルコール オピオイド剤 |
中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、減量投与など注意すること。 | 相加的に中枢神経抑制作用が増強される。 |
| セロトニン作用薬 • 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、モノアミン酸化酵素阻害剤等 |
セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクローヌス等)があらわれるおそれがある。 | 相加的にセロトニン作用が増強するおそれがある。 |
| CYP3A4阻害作用を有する薬剤 • リトナビル、フルコナゾール、ボリコナゾール等 |
本剤のAUCが上昇し、呼吸抑制等の副作用が発現するおそれがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。 | 肝代謝酵素CYP3A4に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。 |
| CYP3A4誘導作用を有する薬剤 • リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン等 |
本剤の血中濃度が低下し、治療効果が減弱するおそれがある。必要に応じて本剤の用量調整を行うこと。 | 肝代謝酵素CYP3A4に対する誘導作用により、本剤の代謝が促進される。 |
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| アロディニア | 頻度不明 |
| うわ言 | 頻度不明 |
| しびれ | 頻度不明 |
| せん妄 | 頻度不明 |
| そう痒症 | 1%未満 |
| ふるえ | 頻度不明 |
| めまい | 1%未満 |
| 不眠 | 1%未満 |
| 体温低下・悪寒 | 1%未満 |
| 傾眠 | 頻度不明 |
| 口渇 | 頻度不明 |
| 吃逆 | 1%未満 |
| 咳嗽 | 頻度不明 |
| 咽頭痛 | 1〜5%未満 |
| 喀痰排出困難 | 1〜5%未満 |
| 喀痰排出増加 | 1〜5%未満 |
| 喘鳴 | 1%未満 |
| 嗄声 | 1%未満 |
| 四肢冷感 | 1%未満 |
| 四肢振戦 | 頻度不明 |
| 多幸症 | 頻度不明 |
| 尿閉 | 頻度不明 |
| 後睡眠 | 1%未満 |
| 徐脈 | 1%未満 |
| 悪心・嘔吐 | 5%以上 |
| 気分の動揺 | 1%未満 |
| 痛覚過敏注2) | 頻度不明 |
| 発汗 | 1〜5%未満 |
| 発熱 | 頻度不明 |
| 発疹 | 1%未満 |
| 精神症状 | 1%未満 |
| 紅斑 | 1%未満 |
| 蕁麻疹 | 1%未満 |
| 血圧上昇 | 頻度不明 |
| 視力障害 | 頻度不明 |
| 起立性低血圧注1) | 頻度不明 |
| 錐体外路症状 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 1%未満 |
| 頻脈 | 頻度不明 |
| 食道運動障害 | 頻度不明 |
オピオイド受容体は末梢神経や脳脊髄の神経細胞体および神経終末に広く分布しており、フェンタニルはオピオイド受容体のうちμ受容体に作用する6)。
フェンタニルはきわめて強力な鎮痛薬であり、非経口的に投与されると一般的に非常に短い作用持続時間を示す。全身投与後では、フェンタニルはモルヒネの約100倍強力である7)。
ラットに本剤又はフェンタニル注射液0.1mg「第一三共」を0.1mg硬膜外投与し、Tailflick法により侵害刺激に対する反応潜時を測定する生物学的同等性試験を実施した。その結果、両剤の反応潜時の延長効果に差は認められず、生物学的同等性が確認された8)(OPCマーク青のデータ)。
硬膜外投与後の反応潜時推移(平均値±S.D.)
健康男子5例に3H-フェンタニル6.4μg/kgを静注投与した場合、フェンタニルの血漿中濃度は投与後60分以内に急速に低下し、投与量の約98%が消失した。その後は徐々に低下した。また、AUC(0-8)は平均約511ng/mL・minを示し、半減期は平均約3.6時間であった2)(外国人のデータ)。
3H-フェンタニル6.4μg/kg静注投与時の血漿中濃度
フェンタニルは主に肝臓で代謝され、主代謝物はノルフェンタニルである。また、ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro代謝試験において、フェンタニルはCYP3A4によりノルフェンタニルに代謝されるとの報告がある3)。
健康男子5例に3H-フェンタニル6.4μg/kgを静注投与した場合、72時間以内に投与量の約85%が代謝物として尿糞中に排泄され、未変化体は8%未満であった2)(外国人のデータ)。
新生児及び6歳以下の小児103例(N群;受胎後週数45週未満:7例、I群;受胎後週数45週以上2歳以下:48例、C群;3歳以上6歳以下:48例)に初回投与量としてフェンタニルクエン酸塩注射液2~15μg/kg(必要に応じて投与される麻酔導入時の投与1~5μg/kgを含む)を投与し、血中濃度が測定可能であった30例(I群:11例及びC群:19例)で検討された。初回投与量(最小値~最大値)はI群2.00~4.63μg/kg及びC群1.88~4.89μg/kgであった。初回投与後の血中フェンタニル濃度(最小値~最大値)はI群(10例)で0.2~0.7ng/mL及びC群(18例)で0.2~0.9ng/mLと両群の間で違いは認められなかった。採血時間は23/30例で初回投与後1時間±5分であった4)。