Clinical snapshot

ハルシオン0.125mg錠

トリアゾラム

添付文書改訂 2026年03月01日

【警告】

本剤の服用後に、もうろう状態、睡眠随伴症状(夢遊症状等)があらわれることがある。また、入眠までの、あるいは中途覚醒時の出来事を記憶していないことがあるので注意すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2急性閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]

  3. 2.3重症筋無力症の患者[筋弛緩作用により、症状を悪化させるおそれがある。]

  4. **2.4次の薬剤を投与中の患者:イトラコナゾール、ポサコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、HIVプロテアーゼ阻害剤(アタザナビル硫酸塩、ダルナビル エタノール付加物、ホスアンプレナビルカルシウム水和物、リトナビル、ロピナビル・リトナビル)、ニルマトレルビル・リトナビル、エンシトレルビル フマル酸、コビシスタット含有製剤、エファビレンツ、セリチニブ

  5. 2.5本剤により睡眠随伴症状(夢遊症状等)として異常行動を発現したことがある患者[重篤な自傷・他傷行為、事故等に至る睡眠随伴症状を発現するおそれがある。]

効能・効果

  • 不眠症

  • 麻酔前投薬

用法・用量

  • 〈不眠症〉

通常成人には1回トリアゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する。高度な不眠症には0.5mgを投与することができる。なお、年齢・症状・疾患などを考慮して適宜増減するが、高齢者には1回0.125mg~0.25mgまでとする。

  • 〈麻酔前投薬〉

手術前夜:通常成人には1回トリアゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する。なお、年齢・症状・疾患などを考慮し、必要に応じ0.5mgを投与することができる。

使用上の注意

  1. 8.1連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避けること。本剤の投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討すること。

  2. 8.2本剤の影響が翌朝以後に及び、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期等で呼吸機能が高度に低下している患者

呼吸抑制により炭酸ガスナルコーシスを起こしやすいので投与しないこと。やむを得ず投与が必要な場合には、少量より投与を開始し、呼吸の状態を見ながら投与量を慎重に調節すること。

  1. 9.1.2心障害のある患者

  2. 9.1.3脳に器質的障害のある患者

作用が強くあらわれるおそれがある。

  1. 9.1.4衰弱患者

副作用があらわれやすい。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎機能障害患者

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝障害又はその既往歴のある患者

肝障害が悪化又は再発することがある。また、肝臓で代謝されるため、クリアランスが低下するおそれがある。

9.5 妊婦

  • 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
  1. 9.5.1妊娠中に他のベンゾジアゼピン系化合物の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。

  2. 9.5.2ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されている。なお、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系化合物で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。

  3. 9.5.3分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系化合物で報告されている。

9.6 授乳婦

授乳を避けさせること。 ヒト母乳中へ移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)で報告されており、また黄疸を増強する可能性がある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

少量から投与を開始すること。運動失調等の副作用が発現しやすい。

相互作用

  • 本剤は主として薬物代謝酵素CYP3A4で代謝される。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
イトラコナゾール
(イトリゾール)
ポサコナゾール
(ノクサフィル)
フルコナゾール
(ジフルカン)
ホスフルコナゾール
(プロジフ)
ボリコナゾール
(ブイフェンド)
ミコナゾール
(フロリード)
本剤の血中濃度が上昇し、作用の増強及び作用時間の延長が起こるおそれがある。 本剤とこれらの薬剤の代謝酵素が同じ(CYP3A4)であるため、本剤の代謝が阻害される。
HIVプロテアーゼ阻害剤
• アタザナビル硫酸塩
(レイアタッツ)
• ダルナビル エタノール付加物
(プリジスタ)
• ホスアンプレナビルカルシウム水和物
(レクシヴァ)
• リトナビル
(ノービア)
• ロピナビル・リトナビル
(カレトラ)
本剤の血中濃度が上昇し、作用の増強及び作用時間の延長が起こるおそれがある。 本剤とこれらの薬剤の代謝酵素が同じ(CYP3A4)であるため、本剤の代謝が阻害される。
ニルマトレルビル・リトナビル
(パキロビッド)
本剤の血中濃度が上昇し、作用の増強及び作用時間の延長が起こるおそれがある。 本剤とこれらの薬剤の代謝酵素が同じ(CYP3A4)であるため、本剤の代謝が阻害される。
エンシトレルビル フマル酸
(ゾコーバ)
本剤の血中濃度が上昇し、作用の増強及び作用時間の延長が起こるおそれがある。 本剤とこれらの薬剤の代謝酵素が同じ(CYP3A4)であるため、本剤の代謝が阻害される。
コビシスタット含有製剤
(ゲンボイヤ、シムツーザ、プレジコビックス)
本剤の血中濃度が上昇し、作用の増強及び作用時間の延長が起こるおそれがある。 本剤とこれらの薬剤の代謝酵素が同じ(CYP3A4)であるため、本剤の代謝が阻害される。
エファビレンツ
(ストックリン)
本剤の血中濃度が上昇し、作用の増強及び作用時間の延長が起こるおそれがある。 本剤とこれらの薬剤の代謝酵素が同じ(CYP3A4)であるため、本剤の代謝が阻害される。
**セリチニブ
(ジカディア)
本剤の血中濃度が上昇し、作用の増強及び作用時間の延長が起こるおそれがある。 本剤とこれらの薬剤の代謝酵素が同じ(CYP3A4)であるため、本剤の代謝が阻害される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アルコール
中枢神経抑制剤
• フェノチアジン誘導体
• バルビツール酸誘導体等
精神神経系等の副作用があらわれるおそれがある。
なお、できるだけ飲酒は避けさせること。
中枢神経抑制作用が増強される。
エリスロマイシン
クラリスロマイシン
ジョサマイシン
シメチジン
ジルチアゼム
イマチニブメシル酸塩
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 本剤とこれらの薬剤の代謝酵素が同じ(CYP3A4)であるため、本剤の代謝が阻害される。
キヌプリスチン
ダルホプリスチン
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 これらの薬剤が代謝酵素(CYP3A4)を阻害することにより、本剤の代謝が阻害される。
強いCYP3A誘導剤
• カルバマゼピン、フェノバルビタール、リファンピシン等
本剤の作用が低下するおそれがある。 本剤の代謝が促進される。
グレープフルーツジュース 本剤の作用が増強するおそれがある。 本剤のバイオアベイラビリティが増加する。
モノアミン酸化酵素阻害剤 多汗、起立性低血圧等の副作用があらわれるおそれがある。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-Pの上昇 頻度不明
ALT 頻度不明
AST 頻度不明
CK上昇 頻度不明
γ-GTP 頻度不明
そう痒 1%未満
ふらつき(9.0%) 頻度不明
めまい(2.9%) 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 頻度不明
不快感 頻度不明
不眠 頻度不明
便失禁 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感(11.1%) 頻度不明
動悸 1%未満
協調運動失調(1.1%) 頻度不明
口渇 1%未満
味覚変化 1%未満
多夢 頻度不明
多幸症 頻度不明
尿失禁 頻度不明
尿閉 頻度不明
心窩部不快感 1%未満
悪心・嘔吐 1%未満
意識混濁 頻度不明
焦燥感 1%未満
発疹 1%未満
皮下出血 頻度不明
眠気(14.3%) 頻度不明
眼精疲労) 頻度不明
知覚減退 頻度不明
羞明 頻度不明
耳鳴 1%未満
胸部圧迫感 1%未満
脱力感等の筋緊張低下症状 頻度不明
腹痛 1%未満
舌のもつれ 1%未満
血圧上昇 頻度不明
血圧降下 頻度不明
見当識障害 頻度不明
視覚異常(散瞳 頻度不明
言語障害 頻度不明
転倒 頻度不明
鎮静 頻度不明
霧視 1%未満
頭痛(4.2%) 頻度不明
頭重(5.1%) 頻度不明
食欲不振 1%未満
魔夢 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

既存のベンゾジアゼピン系化合物と同様、大脳辺縁系及び視床下部における情動機構の抑制、並びに大脳辺縁系賦活機構の抑制によると考えられている。

18.2 睡眠増強作用

ジアゼパム、ニトラゼパム等既存のベンゾジアゼピン系化合物と類似した作用スペクトラムを有し、作用の強さはマウス、ラット、ウサギにおいて概してジアゼパムの4~5倍であるが、特に睡眠増強作用及び抗不安作用は強く、各々ジアゼパムの約45倍(マウス)及び約10倍(ラット)である8),9),10),11)。健康成人の睡眠ポリグラフィ実験では睡眠潜時を短縮し、睡眠率を増加させる12)。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人男子(32例)に対し、トリアゾラム0.5mgを単回経口投与した場合の吸収は速やかであり、投与後平均1.2時間で最高血漿中濃度に達する。また、排泄も速やかであり、血漿中濃度消失半減期は平均2.9時間である1)。

16.2 吸収

経口投与時の吸収率は少なくとも85%である2)(外国人データ)。

16.3 分布

ラットの経口投与において、投与後5分でほとんどの器官及び組織に分布し、15分~1時間で最高濃度に達した。中枢神経系では投与15分で最高濃度に達し、その後は血中よりも速やかに減少し消失した。なお、血液脳関門及び胎盤関門を通過し、また乳汁中への移行が認められた3),4)。

16.4 代謝

代謝物は主としてα-hydroxytriazolamと4-hydroxytriazolamである。前者は未変化体より弱い活性を有するが血漿中濃度は低く、後者は活性がない5)。

16.5 排泄

14C-トリアゾラム0.88mgを単回経口投与したときの総排泄率は尿中82%、糞便中8%である。尿中排泄率は未変化体として2%、α-hydroxytriazolamと4-hydroxytriazolamとしてそれぞれ70%及び10%であった2)(外国人データ)。