Clinical snapshot

ナルフラフィン塩酸塩ODフィルム2.5μg「ニプロ」

ナルフラフィン塩酸塩口腔内崩壊フィルム

添付文書改訂 2023年10月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

次の患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)

  • 透析患者

  • *慢性肝疾患患者

用法・用量

  • 通常、成人には、ナルフラフィン塩酸塩として1日1回2.5μgを夕食後又は就寝前に経口投与する。なお、症状に応じて増量することができるが、1日1回5μgを限度とする。

使用上の注意

  1. 8.1重度(Child-Pugh分類グレードC)の肝障害のある患者に対する本剤の投与にあたっては、リスク・ベネフィットを勘案し、投与中は患者の状態を十分に観察すること。

  2. 8.2眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること。

  3. 8.3本剤の使用により効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。

  4. 8.4本剤の投与により、プロラクチン値上昇等の内分泌機能異常があらわれることがあるので、適宜検査を実施することが望ましい。

9.2 腎機能障害患者

  • 〈慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善の場合〉

*血中濃度が上昇するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  • 〈効能共通〉
  1. 9.3.1*重度(Child-Pugh分類グレードC)の肝障害のある患者

重度(Child-Pugh分類グレードC)の肝障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。

  • 〈透析患者におけるそう痒症の改善の場合〉
  1. 9.3.2*中等度(Child-Pugh分類グレードB)の肝障害のある患者

血中濃度が上昇するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、胎盤通過、生存胎児数の減少、出産率の低下及び出生児体重の減少が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において、乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

相互作用

  • 本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4によって代謝される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• CYP3A4阻害作用のある薬剤等• アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール等)、ミデカマイシン、リトナビル、シクロスポリン、ニフェジピン、シメチジン、グレープフルーツジュース等 本剤の血漿中濃度が上昇する可能性があるため、併用の開始、用量の変更並びに中止時には、患者の状態を十分に観察するなど注意すること。 CYP3A4阻害作用のある薬剤等との併用により本剤の代謝が阻害され、血漿中濃度が上昇する可能性がある。
睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬、抗てんかん薬 本剤との併用により、不眠、幻覚、眠気、浮動性めまい、振戦、せん妄等が認められる可能性があるので、併用の開始、用量の変更並びに中止時には、副作用の発現に注意すること。 本剤による中枢性の副作用が増強される可能性がある。
オピオイド系薬剤 本剤の作用が増強あるいは減弱されるおそれがある。 両剤の薬理学的な相互作用(増強又は拮抗)が考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1%未満
ALT上昇 1%未満
AST上昇 1%未満
LDH上昇 頻度不明
γ-GTP上昇 1%未満
いらいら感 1%未満
しびれ 1%未満
せん妄 頻度不明
そう痒の悪化 1〜5%未満
テストステロン低下 1〜5%未満
ビリルビン上昇 1%未満
プロラクチン上昇 5%以上
ほてり 1%未満
レストレスレッグス症候群 1%未満
下痢 1〜5%未満
不眠注1) 5%以上
不穏 頻度不明
丘疹 1%未満
便秘注1) 5%以上
倦怠感 1〜5%未満
動悸 1%未満
口内炎 1%未満
口渇 1〜5%未満
嘔吐 1%未満
回転性めまい 1%未満
多尿注3) 1〜5%未満
女性化乳房 1%未満
好酸球増多 1%未満
尿中蛋白陽性注3) 1〜5%未満
尿中血陽性注3) 1〜5%未満
幻覚 1%未満
悪心 1〜5%未満
抗利尿ホルモン上昇 1〜5%未満
振戦 1%未満
易怒性 頻度不明
構語障害 1%未満
注2) 5%以上
注2) 1〜5%未満
注2) 5%以上
注3) 5%以上
浮動性めまい 1〜5%未満
浮腫 1%未満
湿疹 1〜5%未満
甲状腺刺激ホルモン上昇 1〜5%未満
甲状腺刺激ホルモン低下 1〜5%未満
異常感 1%未満
発疹 1〜5%未満
眠気注1) 1〜5%未満
紅斑 1%未満
総胆汁酸上昇 1〜5%未満
胃炎 1%未満
胸部不快感 1%未満
脱力感 1%未満
腹部不快感 1%未満
色素沈着 頻度不明
蕁麻疹 1%未満
血中リン低下 1%未満
血圧上昇 1%未満
貧血 1%未満
頭痛 1〜5%未満
頻尿・夜間頻尿注2) 5%以上
食欲不振 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ヒトオピオイド受容体発現細胞を用いたin vitroの受容体結合試験及び受容体作動性試験の結果から、選択的なオピオイドκ受容体作動薬であることが示されている26)。

試験項目 κ μ δ κ:μ:δ比
結合試験
Ki値(nmol/L)
0.244±0.0256 2.21±0.214 484±59.6 1:9:1984
作動性試験
EC50(nmol/L)
0.00816±0.00138 1.66±0.09 21.3±1.0 1:203:2610

(平均値±標準誤差)

また、in vitro試験において、ヒスタミン受容体を含むオピオイド受容体以外の種々の受容体、トランスポーター及びイオンチャネルに結合せず、肥満細胞からの脱顆粒反応に対しても抑制作用を示さなかった26),27)。さらにサブスタンスP皮内投与誘発マウス引っ掻き行動抑制作用は、オピオイドκ受容体拮抗薬であるノルビナルトルフィミン(nor-BNI)の脳室内投与により完全に拮抗された28)。

18.2 そう痒に対する作用

既存の止痒薬である抗ヒスタミン薬が有効なヒスタミン皮内投与誘発マウス引っ掻き行動及び抗ヒスタミン薬が効き難いサブスタンスP皮内投与誘発マウス引っ掻き行動を抑制した29)。また、抗ヒスタミン薬が無効な中枢性のかゆみモデルであるモルヒネ大槽内投与誘発マウス引っ掻き行動も抑制した28)。

18.3 依存性

ラット退薬症候観察10)においてモルヒネで認められた退薬症候をほとんど示さなかったことから、本薬の身体依存性は弱く、サル自己投与試験10)において強化効果が認められなかったことから、精神依存性はないと考えられている。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

  2. (1)血液透析患者(16例)にナルフラフィン塩酸塩(カプセル)2.5又は5μgを経口単回投与した時、未変化体の薬物動態パラメータは以下の通りであった1)。

投与群
(μg)
例数 Cmax
(pg/mL)
Tmax
(hr)
AUC0-∞
(pg・hr/mL)
t1/2
(hr)
2.5 8 3.15±0.82 4.25±1.58 66.26±15.54注4) 14.21±4.93注4)
5 8 6.51±2.76 3.00±0.93 120.59±71.90 14.03±7.44

(平均値±標準偏差)

注4)n=2

  1. (2)*腹膜透析患者(16例)にナルフラフィン塩酸塩(カプセル)2.5又は5μgを経口単回投与した時、未変化体の薬物動態パラメータは以下の通りであった。腹膜透析の方法(連続携行式腹膜透析(CAPD)、持続的周期的腹膜透析(CCPD))、自動腹膜潅流装置(APD)の有無及び透析液の種類により、未変化体の薬物動態パラメータに明らかな差異は認められなかった。なお、ナルフラフィン塩酸塩(カプセル)5μg投与群において、ナルフラフィン塩酸塩(カプセル)投与から初回の透析液交換までの時間が3時間と規定された5例のうち1例で、未変化体のCmax及びAUC0-∞がそれぞれ5.37pg/mL及び156.54pg・h/mLと低下する傾向が認められた2)。
投与群
(μg)
例数 Cmax
(pg/mL)
Tmax注5)
(hr)
AUC0-∞
(pg・hr/mL)
t1/2
(hr)
2.5 5 3.81±0.88 1.00 92.67±23.47 20.99±4.22
5 11 8.28±3.00 2.00 193.74±57.52 24.77±3.23

(平均値±標準偏差)

注5)中央値

  1. (3)*軽度(Child-Pugh分類グレードA)の代償性肝硬変患者(12例)にナルフラフィン塩酸塩(カプセル)2.5又は5μgを経口単回投与した時、未変化体の薬物動態パラメータは以下の通りであった。健康成人男子と比較してCmaxやAUCが上昇する傾向は認められなかった3)。
投与群
(μg)
例数 Cmax
(pg/mL)
Tmax
(hr)
AUC0-∞
(pg・hr/mL)
t1/2
(hr)
2.5 6 3.63±1.26 2.33±1.03 34.58±13.55注6) 5.37±2.11注6)
5 6 6.76±2.03 1.50±0.55 58.06±26.28 6.61±2.46

(平均値±標準偏差)

注6)n=4

  1. (4)*中等度(Child-Pugh分類グレードB)の慢性肝疾患患者(延べ30例)にナルフラフィン塩酸塩(カプセル)2.5又は5μgを経口単回投与した時、未変化体の薬物動態パラメータは以下の通りであった。軽度(Child-Pugh分類グレードA)の肝障害患者と比較してCmaxとAUCは上昇する傾向が認められた4)。
投与群
(μg)
例数 Cmax
(pg/mL)
Tmax
(hr)
AUC0-∞
(pg・hr/mL)
t1/2
(hr)
2.5 16 6.36±2.62 1.81±1.52 117.4±51.4 17.52±10.69
5 14 11.71±4.45 1.50±1.02 197.7±97.0 14.59±5.27

(平均値±標準偏差)

  1. (5)*重度(Child-Pugh分類グレードC)の肝障害患者における薬物動態は検討されていない5)。

  2. 16.1.2反復投与

血液透析患者(14~16例)にナルフラフィン塩酸塩(カプセル)2.5又は5μgを経口反復投与した時、未変化体の薬物動態パラメータは以下の通りであった1)。

投与群
(μg)
例数 Cmax
(pg/mL)
Tmax
(hr)
AUC0-∞
(pg・hr/mL)
t1/2
(hr)
2.5 7 5.70±3.85 4.14±1.35 210.25±144.28注7) 25.33±10.52注7)
5 7 10.25±1.74 3.86±1.21 358.86±179.24 28.34±8.55

(平均値±標準偏差)

注7)n=6

また、透析時では非透析時と比較しt1/2が短縮しており、透析時及び非透析時のt1/2はそれぞれ、5.11~11.17 (hr)、13.55~64.37 (hr)であった。

  1. 16.1.3生物学的同等性試験

ナルフラフィン塩酸塩ODフィルム2.5μg「ニプロ」とレミッチカプセル2.5μgのそれぞれ1枚又は1カプセル(ナルフラフィン塩酸塩として2.5μg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中ナルフラフィン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC0→48hr、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された6),7)。

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0→48hr
(pg・hr/mL)
Cmax
(pg/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
ナルフラフィン塩酸塩ODフィルム2.5μg「ニプロ」 28.904 ± 5.634 2.2638 ± 0.4896 2.68 ± 0.75 9.35 ± 1.41
レミッチカプセル2.5μg 28.060 ± 5.070 2.3160 ± 0.4942 2.53 ± 0.70 8.95 ± 1.73

(Mean±S.D., n=19)

血漿中ナルフラフィン濃度推移(水あり投与)

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0→48hr
(pg・hr/mL)
Cmax
(pg/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
ナルフラフィン塩酸塩ODフィルム2.5μg「ニプロ」 28.520 ± 5.315 2.1440 ± 0.4159 2.83 ± 0.86 9.35 ± 1.98
レミッチカプセル2.5μg注8) 29.475 ± 6.168 2.4655 ± 0.5025 2.28 ± 1.02 9.38 ± 1.85

注8)水と共に服用

(Mean±S.D., n=18)

血漿中ナルフラフィン濃度推移(水なし投与)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人男子(12例)を対象に、ナルフラフィン塩酸塩(カプセル)10μgを食後に経口単回投与した時のAUC0-48hr及びCmaxは空腹時投与の場合とほぼ同等であり、食事の影響は認められなかった8)。

(注1)通常1回投与量は2.5μgである。 (注2)開発段階の製剤での試験成績であるが、当該製剤はレミッチカプセルと溶出挙動の類似性から同等であると考えられている9)。

投与方法 Cmax
(pg/mL)
Tmax
(hr)
AUC0-48hr
(pg・hr/mL)
t1/2
(hr)
空腹時投与 12.67±3.95 3.1±1.1 114.46±34.26 5.99±1.35
食後投与 13.68±3.65 3.2±1.3 126.03±38.10 5.90±1.10

(平均値±標準偏差)

16.3 分布

  1. 16.3.1ヒト血漿タンパク結合率は、73.3~76.3%であり、性差は認められなかった10)(in vitro)。

  2. 16.3.2ラットに経口単回投与した後の全身オートラジオグラム及び組織中放射能濃度測定結果から、投与後15分に食道、肝臓、消化管及びその内容物に高い放射能の分布が認められた。また、投与後168時間では肝臓、腎臓、甲状腺及び腸内容物に放射能が認められた10)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1in vitro試験、代謝

in vitro代謝評価系による検討から、主代謝酵素はCYP3A4であった11)。

16.5 排泄

  1. 16.5.1健康成人男子(6例)を対象に、トリチウムで標識したナルフラフィン塩酸塩を静脈内単回投与した時の薬物動態を検討したところ、投与後14日間での糞中排泄率は56.0%、尿中の排泄率は36.2%で、累積排泄率は92.2%となった。尿中では主に未変化体として、糞中では主に脱シクロプロピルメチル体として排泄された 12)。主代謝物は脱シクロプロピルメチル体であり、その他にグルクロン酸抱合体が認められた(外国人データ)。

  2. 16.5.24種の透析膜を用いて透析による除去について検討したところ、未変化体の透析膜面積1.5m2換算クリアランスは44.6~61.8mL/minと算出され、健康成人男子における未変化体の腎クリアランス170~210mL/minと比較すると小さいものの、未変化体は膜種に関係なく透析により除去されるものと考えられた。また、代謝物(脱シクロプロピルメチル体及びグルクロン酸抱合体)についても膜種に関係なく除去されるものと考えられた10)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)との併用

健康成人男子(22例)を対象に、ナルフラフィン塩酸塩(液剤)10μgを単独で経口単回投与した時とケトコナゾールを反復投与で併用した時、AUC0-∞はケトコナゾールを併用することにより160.5%となり、ケトコナゾールはナルフラフィン塩酸塩の薬物動態に影響した13)(外国人データ)。

(注)通常1回投与量は2.5μgである。

  1. 16.7.2in vitro試験、代謝

ナルフラフィン塩酸塩のAUCに及ぼす影響についてin vitro代謝評価系を用いて検討したところ、そのAUCはケトコナゾール併用時に最大5.5倍、ミデカマイシン併用時に最大2.5倍、シクロスポリン併用時に最大2.3倍となる可能性が示された14)。

  1. 16.7.3ヒトP糖タンパク(MDR1)発現LLC-PK1細胞を用いたin vitro試験

ナルフラフィン塩酸塩はP糖タンパクの基質であるが、P糖タンパクを介したジゴキシンの輸送に影響を及ぼさないことが示された10)。一方、ナルフラフィン塩酸塩のP糖タンパクを介した輸送はケトコナゾール、ベラパミル塩酸塩、シクロスポリン、タクロリムス、セチリジン塩酸塩により阻害されることが示された15)。

  1. 16.7.4非吸収性薬剤とのin vitro吸着試験

ナルフラフィン塩酸塩の高リン血症治療剤であるセベラマー塩酸塩(陰イオン交換樹脂系薬剤)に対する吸着率は11.9~14.7%16)、高カリウム血症治療剤であるポリスチレンスルホン酸ナトリウム(陽イオン交換樹脂系薬剤)に対する吸着率は62.4~72.7%16)、ポリスチレンスルホン酸カルシウム(陽イオン交換樹脂系薬剤)に対する吸着率は98.8~98.9%17)であった。

16.8 その他

  1. 16.8.1血液透析の影響

ナルフラフィン塩酸塩(カプセル)投与時の血漿中濃度に対する透析回数(週1, 2, 3回)、透析時間(2, 4, 6時間)、透析の実施時期(午前、午後、夜間)、投与から透析までの間隔(4, 8, 12時間)の影響をシミュレーションにより検討した結果、投与から透析までの間隔が4時間以内の血液透析では血漿中濃度が低下する可能性があるが、8時間以上の血液透析では影響はないと考えられた。その他の項目については血漿中濃度に影響はないと考えられた18)。