Clinical snapshot

ドロキシドパカプセル100mg「アメル」

ドロキシドパ

添付文書改訂 2025年02月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤に対し過敏症の患者

  2. 2.2閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させる。]

  3. 2.3本剤を投与中の患者には、ハロタン等のハロゲン含有吸入麻酔剤を投与しないこと

  4. 2.4イソプレナリン等のカテコールアミン製剤を投与中の患者

  5. 2.5妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  6. 2.6重篤な末梢血管病変(糖尿病性壊疽等)のある血液透析患者[症状が悪化するおそれがある。]

効能・効果

  • パーキンソン病(Yahr重症度ステージⅢ)におけるすくみ足、たちくらみの改善

  • 下記疾患における起立性低血圧、失神、たちくらみの改善

  • シャイドレーガー症候群、家族性アミロイドポリニューロパチー

  • 起立性低血圧を伴う血液透析患者における下記症状の改善

  • めまい・ふらつき・たちくらみ、倦怠感、脱力感

用法・用量

  • 〈パーキンソン病の場合〉

通常成人に対し、ドロキシドパとして1日量100mg、1日1回の経口投与より始め、隔日に100mgずつ増量、最適投与量を定め維持量とする(標準維持量は1日600mg、1日3回分割投与)。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日900mgを超えないこととする。

  • 〈シャイドレーガー症候群、家族性アミロイドポリニューロパチーの場合〉

通常成人に対し、ドロキシドパとして1日量200~300mgを2~3回に分けて経口投与より始め、数日から1週間毎に1日量100mgずつ増量、最適投与量を定め維持量とする(標準維持量は1日300~600mg、1日3回分割投与)。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日900mgを超えないこととする。

  • 〈血液透析患者の場合〉

通常成人に対し、ドロキシドパとして1回量200~400mgを透析開始30分から1時間前に経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜減量する。1回量は400mgを超えないこととする。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1本剤の投与は、少量から開始し観察を十分に行い慎重に維持量まで増量すること。ただし、その他の抗パーキンソン剤、昇圧剤の投与を中止する必要はない。

  2. 8.2過度の昇圧反応を起こすことがあるので、過量投与にならないように注意すること。

  • 〈パーキンソン病の場合〉
  1. 8.3効果が認められない場合には、漫然と投与しないよう注意すること。
  • 〈血液透析患者の場合〉
  1. 8.4用法(透析開始30分から1時間前に経口投与)及び用量を遵守し、透析後の追加など過剰投与(過度の昇圧反応が見られることがある)にならないように十分注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1コカイン中毒の患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。コカインは神経終末においてカテコールアミンの再取り込みを阻害するため、本剤の作用が増強するおそれがある。

  1. 9.1.2心室性頻拍のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.3高血圧の患者

高血圧を悪化させることがある。

  1. 9.1.4動脈硬化症の患者

過度の昇圧反応が起こるおそれがある。

  1. 9.1.5甲状腺機能亢進症の患者

頻脈等の症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.6心疾患のある患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.7重篤な肺疾患、気管支喘息又は内分泌系疾患のある患者

これらの症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.8慢性開放隅角緑内障の患者

眼圧が上昇するおそれがある。

  1. 9.1.9糖尿病を合併した血液透析患者

糖尿病の程度(末梢循環、血圧、血糖管理などの状態や、血管合併症の程度など)に十分留意すること。重度の糖尿病を合併した血液透析患者では末梢循環障害を生じるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎障害のある患者

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝障害のある患者

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で胎児の波状肋骨の増加が、また、他剤(dl-ノルアドレナリン)で子宮血管の収縮により胎児が仮死状態となることが報告されている。

  1. 9.5.1器官形成期投与試験

SD系ラットに60、200、600mg/kg/日連続経口投与した実験で、200mg/kg以上で胎児の体重低値及び波状肋骨の発現頻度の増加が認められたが、生後に修復する程度のものであった1)。

  1. 9.5.2周産期・授乳期投与試験

SD系ラットに60、200、600mg/kg/日連続経口投与した実験で、600mg/kgで妊娠期間の短縮が認められた1)。

  1. 9.5.3胎児への移行

妊娠20日目のラットに14C-ドロキシドパを10mg/kg1回経口投与した場合、投与後1時間目の胎児の脳、肝臓、腎臓及び血清中の14C放射活性は母体と同じか少し低いレベルであった2)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験で乳汁中への移行が、また、母獣への授乳期投与において児の発育抑制が報告されている。

  1. 9.6.1周産期・授乳期投与試験

SD系ラットに60、200、600mg/kg/日連続経口投与した実験で、60mg/kg以上で出生児の生後発育の抑制が認められた1)。

  1. 9.6.2乳汁中への移行

授乳中の母ラットに14C-ドロキシドパを10mg/kg1回経口投与した場合、乳汁中に14Cの移行が認められた2)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

過量投与にならないように注意すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ハロタン等のハロゲン含有吸入麻酔剤 頻脈、心室細動の危険が増大する。 ハロゲン含有吸入麻酔剤は、心筋のノルアドレナリンに対する感受性を高める。
イソプレナリン等のカテコールアミン製剤
• イソメニール
プロタノール 等
不整脈、場合により心停止を起こすおそれがある。 相加的に作用(心臓刺激作用)を増加させる。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
モノアミン酸化酵素阻害剤 本剤の作用が増強され、血圧の異常上昇をきたすことがある。 ノルアドレナリンの代謝が抑制され、ノルアドレナリンの濃度が増加する。
三環系抗うつ剤
• イミプラミン
アミトリプチリン 等
本剤の作用が増強され、血圧の異常上昇をきたすことがある。 神経終末でのノルアドレナリンの再吸収が阻害され、ノルアドレナリンの濃度が増加する。
分娩促進剤
• オキシトシンエルゴタミン
抗ヒスタミン剤
• クロルフェニラミン等
本剤の作用が増強され、血圧の異常上昇をきたすことがある。 相加的に作用(末梢血管収縮作用)を増強させる。
α1-受容体遮断作用のある薬剤
• タムスロシン
ドキサゾシン
イフェンプロジル 等
本剤の作用が減弱される可能性がある。 これらの薬剤はα1受容体遮断作用を有する。
アメジニウム 本剤の作用が増強され、血圧の異常上昇をきたすことがある。 神経終末でのノルアドレナリンの再吸収・代謝が阻害され、ノルアドレナリンの濃度が増加する。
レセルピン誘導体
• レセルピン等
本剤の作用が減弱される可能性がある。 レセルピンは脳内ノルアドレナリン、ドパミンを減少させる。
レボドパ
アマンタジン 等
これらの医薬品の作用を増強することがある。 動物実験でレボドパ、アマンタジンの作用を増強することが認められている。
フェノチアジン系薬剤、ブチロフェノン系薬剤 本剤の作用が減弱することがある。 これらの薬剤は抗ドパミン作用のほかに末梢のα受容体遮断作用を有する。
鉄剤 本剤の作用が減弱される可能性がある。 動物実験でキレートを形成し、本剤の吸収が減少するとの報告がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP 頻度不明
ALTの上昇 1%未満
AST 1%未満
CK上昇 頻度不明
LDHの上昇 頻度不明
すくみ 頻度不明
そう痒 頻度不明
チアノーゼ 頻度不明
のぼせ 頻度不明
パーキンソン症状の増悪 頻度不明
ほてり(顔面潮紅等) 1%未満
めまい 頻度不明
下痢 1%未満
不安 1%未満
不整脈 頻度不明
不眠 1%未満
不随意運動 1%未満
両手の痛み 頻度不明
便秘 1%未満
倦怠感 1%未満
健忘 頻度不明
動悸 頻度不明
口渇 1%未満
嘔吐 1%未満
四肢冷感 頻度不明
固縮 頻度不明
夜間せん妄 頻度不明
妄想 1%未満
尿失禁 頻度不明
尿閉 頻度不明
幻覚 頻度不明
悪夢 頻度不明
悪心 頻度不明
感情失禁 頻度不明
抑うつ 1%未満
振戦 頻度不明
流涎 1%未満
浮腫 頻度不明
消化不良(胸やけ等) 1%未満
焦燥感 1%未満
狭心症 頻度不明
発汗 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 1%未満
眠気 頻度不明
眼瞼浮腫 頻度不明
知覚異常 頻度不明
神経過敏(いらいら感 1%未満
精神症状の増悪 頻度不明
羞明 頻度不明
肩こり 頻度不明
胃痛(胃部不快感等) 頻度不明
胸痛(胸部不快感 1%未満
胸部絞扼感等) 1%未満
脱力感 頻度不明
腹痛 1%未満
腹部膨満感 頻度不明
興奮等) 1%未満
舌のあれ 頻度不明
血圧上昇(2.2%) 頻度不明
言語障害の悪化 頻度不明
頭がぼーっとする 1%未満
頭痛・頭重感(3.4%) 頻度不明
頻尿 頻度不明
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ドロキシドパは生体内に広く存在する芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素により直接l-ノルアドレナリンに変換され、薬理作用を示す16)。

18.2 パーキンソン病におけるすくみ足、たちくらみの改善に関連する中枢作用

  1. 18.2.1ドロキシドパは血液脳関門を通過して脳内に移行することが認められている16),17)。 脳内ノルアドレナリン枯渇動物において、低下した脳内ノルアドレナリン量を回復させ、またノルアドレナリン作動性神経の機能低下に伴う諸症状を回復させる18),19),20),21),22)(マウス、ラット、ネコ)。

  2. 18.2.2モルモット前脳部ホモジネート又はヒト大脳皮質シナプトゾームを用いた実験(in vitro)で、ドロキシドパは神経終末部へ取り込まれることが認められている23)。 また、脳切片(in vitro)及び生体標本を用いた実験で、神経終末部からのノルアドレナリンの遊離を促進させる24)(モルモット)。

18.3 シャイドレーガー症候群及び家族性アミロイドポリニューロパチーにおける起立性低血圧等の改善に関連する末梢作用

  1. 18.3.16-ハイドロキシドパミンにより交感神経終末を破壊した動物において血圧を上昇させる25)(ラット)。

  2. 18.3.2DSP-4によりノルアドレナリン作動性神経終末を選択的に破壊した動物及びヘキサメトニウムにより自律神経節を遮断した動物において、体位変換に伴う起立性低血圧を抑制する26)(ラット)。

  3. 18.3.3シャイドレーガー症候群患者を対象とし微小神経電図法により検討した試験で、体位変換時の筋支配交感神経活動(発射頻度)増加作用が認められている27)。

18.4 起立性低血圧を伴う血液透析患者におけるめまい・ふらつき・たちくらみ、倦怠感、脱力感の改善に関連する作用

  1. 18.4.1脱血(全血液量の約1/5量)により血圧を下降させた動物において、血圧を上昇させる28)(ラット)。

  2. 18.4.2脱血による脳血流量低下を示す動物及び麻酔動物で脳血流量を増加させる28)(ラット)。

  3. 18.4.3脱血による自発運動量の低下を示した動物において、運動抑制を改善させる28)(ラット)。

  4. 18.4.4レセルピンによりノルアドレナリン作動性神経を障害した動物において、体位変換による血圧下降を抑制し、悪化した血圧の回復過程を改善させる29)(ウサギ)。また、DSP-4によりノルアドレナリン作動性神経終末を選択的に破壊した動物及びヘキサメトニウムにより自律神経節を遮断した動物において、体位変換に伴う起立性低血圧を抑制する26)(ラット)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与
  • 〈健康成人〉

ドロキシドパカプセル100mg又は300mgを1回経口投与した場合、未変化体の血漿中濃度は投与2時間後に最高値(それぞれ0.8μg/mL、2.2μg/mL)に達し、その後比較的速やかに減少し、12時間後にはほとんど消失した。

投 与 量
(mg)
例数 Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
100 4 0.8 2
300 5 2.2 2

また、血漿中ノルアドレナリン濃度は未変化体の最高値到達時間より遅れ、投与4時間後に最高値(投与前値のそれぞれ約2倍、約3倍)に達した3)。

  • 〈パーキンソン病及び家族性アミロイドポリニューロパチー患者〉

ドロキシドパカプセル300mgを1回経口投与した場合、未変化体の最高値到達時間は投与4~5時間で健康成人に比べ遅れる傾向にあったが、最高血漿中濃度はほぼ同じ値を示した4),5)。

投 与 量
(mg)
対象 例数 Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
300 パーキンソン病 9 2.5 5
300 家族性アミロイドポリニューロパチー 7 1.14 5
  • 〈血液透析患者〉

血液透析患者5例にドロキシドパカプセル1回300mgを透析開始1時間前に経口投与した場合、未変化体の血漿中濃度は投与6時間後に最高値(1.43μg/mL)を示し、投与36時間後に定量限界以下(0.05μg/mL)となった。また、血漿中ノルアドレナリン濃度は投与3時間以降、投与前値に対し有意な高値を認め、以後投与6~36時間まで持続した6),7)。

  1. 16.1.2反復投与

健康成人4例にドロキシドパカプセル1回300mg、1日2回、5日間反復経口投与した場合、投与開始後1、3及び5日目の投与4時間後の血漿中未変化体濃度はいずれも約1μg/mLであった。また、それぞれの投与前及び5日目の24時間後には血漿中からほとんど消失しており、反復投与による影響は認められなかった3)。

  1. 16.1.3生物学的同等性試験

ドロキシドパカプセル100mg「アメル」及びドロキシドパカプセル200mg「アメル」と各標準製剤について、下記のとおりクロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された8)。

標準製剤 試験投与量
ドロキシドパカプセル100mg「アメル」 ドプスカプセル100mg それぞれ1カプセル(ドロキシドパとして100mg)
ドロキシドパカプセル200mg「アメル」 ドプスカプセル200mg それぞれ1カプセル(ドロキシドパとして200mg)
判定パラメータ 参考パラメータ
AUC(0→24)
(μg・hr/mL)
Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
ドロキシドパカプセル100mg「アメル」 4.03±0.77 1.11±0.27 2.16±0.71 1.77±0.30
ドプスカプセル100mg 4.04±1.40 1.12±0.38 1.84±0.71 1.77±0.27

(Mean±S.D.,n=22)

血漿中未変化体濃度(生物学的同等性)

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC(0→24)
(μg・hr/mL)
Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
ドロキシドパカプセル200mg「アメル」 7.42±2.02 1.74±0.52 2.48±0.78 2.05±0.33
ドプスカプセル200mg 8.00±2.23 1.83±0.50 2.47±0.84 2.07±0.27

(Mean±S.D.,n=30)

血漿中未変化体濃度(生物学的同等性)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.3 分布

マウス、ラット、イヌ及びアカゲザルに14C-ドロキシドパを10mg/kg1回経口投与した場合、投与後1時間目(マウスでは0.5時間目)の組織中14C放射活性は腎臓、肝臓で高く、脳、脊髄への移行も認められた。なおマウス及びラットでは膵臓でも高かった9)。

16.5 排泄

  1. 16.5.1健康成人にドロキシドパカプセル100mg又は300mgを1回経口投与した場合、24時間までに、投与量の約15%が未変化体として、また約6%が3-メトキシ体として尿中に回収された3)。

  2. 16.5.2血液透析患者にドロキシドパカプセル300mgを1回経口投与した場合、血液回路の動静脈側濃度差から算出した未変化体及びノルアドレナリンのダイアリザンスはクレアチニンとほぼ同程度であった6)。