Clinical snapshot

デフェラシロクス顆粒分包360mg「サワイ」

デフェラシロクス

添付文書改訂 2023年11月01日

【警告】

  1. 1.1デフェラシロクス製剤の投与により、重篤な肝障害、腎障害、胃腸出血を発現し死亡に至った例も報告されていることから、投与開始前、投与中は定期的に血清トランスアミナーゼや血清クレアチニン等の血液検査を行うこと。これらの副作用は、特に高齢者、高リスク骨髄異形成症候群の患者、肝障害又は腎障害のある患者、血小板数50,000/mm3未満の患者で認められる。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2高度の腎機能障害のある患者

  3. 2.3全身状態の悪い高リスク骨髄異形成症候群の患者

  4. 2.4全身状態の悪い進行した悪性腫瘍の患者

効能・効果

輸血による慢性鉄過剰症(注射用鉄キレート剤治療が不適当な場合)

用法・用量

通常、デフェラシロクスとして12mg/kgを1日1回、経口投与する。 なお、患者の状態により適宜増減するが、1日量は18mg/kgを超えないこと。

使用上の注意

  1. 8.1本剤は難治性貧血の治療について十分な知識・経験を持つ医師が使用すること。また、本剤の投与にあたっては、最新の情報1)を参考にし、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤を投与すること。

  2. 8.2尿蛋白を4週毎に測定し、尿蛋白/クレアチニン比が1.0mg/mgを超えた場合は休薬すること。

  3. 8.3下痢又は嘔吐を発現した場合は、腎機能が悪化するおそれがあるので、十分な水分補給を行うこと。

  4. 8.4デフェラシロクス製剤の投与により難聴及び水晶体混濁、視神経炎が報告されているので、投与開始前及び投与後は定期的(6ヵ月毎)に聴力検査及び眼科的検査(眼底検査を含む)を行うこと。

  5. 8.5本剤と他の鉄キレート剤療法との併用は、安全性が確立されていないため、推奨されない。

  6. 8.6本剤投与中にめまい、視覚・聴力障害があらわれることがあるので、患者に注意喚起し、本剤投与中は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に注意させること。

  7. 8.7血清フェリチンが1,000又は2,500ng/mLを超えた場合には、臓器障害や生存期間に影響することが示唆されている2),3),4)。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1血小板数50,000/mm3未満の患者

重篤な胃腸出血が発現するおそれがある。

  1. 9.1.2高リスク骨髄異形成症候群の患者

重篤な副作用が発現するおそれがある。

  1. 9.1.3進行した悪性腫瘍の患者

重篤な副作用が発現するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1高度腎機能障害のある患者

投与しないこと。腎機能が悪化するおそれがある。

  1. 9.2.2腎機能障害のある患者及び腎機能を低下させる薬剤を投与中の患者

腎機能が悪化するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1高度(Child-Pugh分類クラスC)の肝機能障害のある患者

投与を避けることが望ましい。また、血中濃度の上昇が報告されている。

  1. 9.3.2軽度(Child-Pugh分類クラスA)及び中等度(Child-Pugh分類クラスB)の肝機能障害のある患者

肝機能障害が悪化するおそれがある。また、血中濃度の上昇が報告されている。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットにおいて、高用量で胎児の骨格変異の発現頻度(100mg/kg/日)及び死産児数(90mg/kg/日)が増加したとの報告がある。動物実験において、胎児へ移行したとの報告がある(ラット・30mg/kg投与・母体の15%量の移行、ウサギ・40mg/kg投与・母体の1.2%量の移行)。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。ラットで母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

  1. 9.7.1デフェラシロクス懸濁用錠の海外臨床試験において、小児患者に投与した場合、小児患者の曝露量の方が成人の曝露量に比べて約20~30%低かったとの報告がある。

  2. 9.7.2小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

  3. 9.7.3小児の投与量については、体重の変化を考慮すること。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。重篤な副作用が発現するおそれがある。なお、海外において、デフェラシロクス製剤の投与によって、消化器症状(特に下痢)が高齢者で多くあらわれることが報告されている。

相互作用

  • 本剤は主にUGT1A1及びUGT1A3により代謝されるので、本剤の血中濃度はUGTに影響を及ぼす薬剤により影響を受ける可能性がある。 本剤はCYP3A4の弱い誘導作用を有することから、CYP3A4で代謝される薬剤の血中濃度を低下させる可能性がある。また、本剤はCYP1A2及びCYP2C8の阻害作用を有することから、CYP1A2又はCYP2C8で代謝される薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アルミニウム含有制酸剤 両剤の作用が減弱する可能性がある。 本剤とキレートを形成する。
CYP3A4で代謝される薬剤
• シクロスポリン
シンバスタチン
ミダゾラム
経口避妊薬等
これらの薬剤の作用が減弱するおそれがある。
健康成人にデフェラシロクス懸濁用錠とミダゾラム(経口投与、国内未承認の用法)を併用投与した場合、ミダゾラムのAUCが17%低下したとの報告がある。
本剤の弱いCYP3A4誘導作用により、これらの薬剤の代謝が促進されると考えられる。
レパグリニド
トレプロスチニル
これらの薬剤のAUC及びCmaxが上昇し、これらの薬剤の副作用が発現するおそれがある。健康成人にデフェラシロクス懸濁用錠を反復投与後にレパグリニドを併用投与した場合、レパグリニドのAUCが131%、Cmaxが62%増加したとの報告がある。 本剤のCYP2C8阻害作用により、これらの薬剤の代謝が抑制されると考えられる。
テオフィリン 健康成人にデフェラシロクス懸濁用錠とテオフィリンを併用投与した場合、テオフィリンのAUCが84%上昇したとの報告がある。テオフィリンの作用を増強させる可能性があるので、併用する場合にはテオフィリンの血中濃度を測定し、テオフィリンの用量を調節すること。 本剤のCYP1A2阻害作用により、テオフィリンの代謝が阻害されると考えられる。
UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)を強力に誘導する薬剤
• リファンピシン
フェニトイン
フェノバルビタール
リトナビル等
健康成人にリファンピシンを反復投与後にデフェラシロクス懸濁用錠を併用投与した場合、デフェラシロクスのAUCが44%低下したとの報告がある。 これらの薬剤のUGT誘導作用により、本剤の代謝が促進されると考えられる。
消化管潰瘍を誘発する可能性のある薬剤
• 非ステロイド性消炎鎮痛剤
副腎皮質ステロイド剤
経口ビスホスホネート等
デフェラシロクス懸濁用錠投与中に消化管穿孔、胃潰瘍(多発性潰瘍)、十二指腸潰瘍、胃腸出血があらわれたとの報告がある。 胃腸刺激のリスクが高まる可能性がある。
抗凝血剤 胃腸出血があった場合、併用により出血が助長されたとの報告がある。 抗凝血剤の作用による。
コレスチラミン 健康成人においてデフェラシロクス懸濁用錠投与4時間及び10時間後にコレスチラミンを投与した場合、デフェラシロクスのAUCが45%低下したとの報告がある。 コレスチラミンの吸着作用により本剤の吸収が阻害されるおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP 頻度不明
ALT 頻度不明
LDH 頻度不明
γ-GTP 頻度不明
そう痒症 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 1%未満
便秘 頻度不明
咽喉頭痛 1%未満
嘔吐 頻度不明
急性膵炎 1%未満
悪心 頻度不明
浮動性めまい 1%未満
浮腫 1%未満
消化不良 頻度不明
疲労 1%未満
発熱 1%未満
発疹注) 頻度不明
白血球破砕性血管炎 頻度不明
睡眠障害 1%未満
胃炎 1%未満
胆石症 1%未満
脱毛症 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
臨床検査値異常(AST 頻度不明
色素沈着障害 1%未満
蕁麻疹 頻度不明
蛋白尿 頻度不明
血中クレアチニン増加 頻度不明
血中ビリルビンの増加) 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲不振 頻度不明
食道炎 1%未満
黄斑症 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

デフェラシロクスは3価の鉄に高い選択性を示す3座キレート剤であり、3価の鉄と2:1 で結合し、肝臓・心臓・細網内皮系細胞などに存在する過剰な鉄とキレートを形成し、主に胆汁を介し糞中に鉄を排泄させる19),20)。

18.2 肝臓鉄への影響

デフェラシロクスは、ラット及びマーモセットへの経口投与により、主要な鉄貯蔵臓器である肝臓の鉄濃度を低下させる21),22)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1輸血による鉄過剰症

輸血による鉄過剰症患者(26例)にデフェラシロクス懸濁用錠5~30mg/kgを単回及び1日1回7日間反復経口投与したとき、血漿中デフェラシロクスの薬物動態パラメータは以下のとおりであった5)。反復投与時には投与開始4日でほぼ定常状態に到達し、AUC0-24の比から求めた累積率は1.2~2.3であった。

投与量
(mg/kg)
Tmax
(h)
Cmax
(μmol/L)
AUC0-24
(μmol・h/L)
t1/2
(h)
単回投与 5(n=6)
10(n=7)
20(n=6)
30(n=7)
2.0[0.9~3.0]
3.0[1.0~4.0]
4.0[1.0~10.0]
3.0[2.0~4.0]
20.4±6.1
53.3±18.7
112±29
119±40
190±91
535±137
1,270±370
1,450±420
8.5±3.4
17.1±4.7
20.5±4.9
18.9±9.8※
反復投与 5(n=6)
10(n=7)
20(n=6)
30(n=7)
1.5[1.0~4.0]
3.0[1.1~10.0]
3.4[1.0~4.2]
4.0[1.0~10.0]
27.4±10.7
67.3±22.2
119±14
224±100
345±236
848±442
1,510±190
3,620±2,760
17.5±7.2
20.5±7.5
21.4±7.2
19.5±4.9

Tmaxは中央値[最小値~最大値]を、それ以外は平均値±標準偏差を示す。 ※n=6

  1. 16.1.2健康成人

健康成人(96例)にデフェラシロクス懸濁用錠1,500mg及びデフェラシロクス顆粒900mgを空腹時単回経口投与したときの薬物動態をクロスオーバー法により比較した。懸濁用錠1,500mgに対する顆粒900mgのCmax及びAUClastの対数値の平均値の差の90%信頼区間は、いずれもlog(0.80)~log(1.25)の範囲内であり生物学的に同等であった6)。 デフェラシロクス顆粒はデフェラシロクスのバイオアベイラビリティが高められた製剤であり、デフェラシロクス顆粒の12mg/kgはデフェラシロクス懸濁用錠の20mg/kgに相当することが生物学的同等性試験により確認されている。

Cmax
(μmol/L)
AUClast
(μmol・h/L)
デフェラシロクス懸濁用錠1,500mg(n=96) 97.1±24.8 1,810±561
デフェラシロクス顆粒900mg(n=95) 116±31.4 1,720±452

平均値±標準偏差

  1. 16.1.3生物学的同等性試験

デフェラシロクス顆粒分包360mg「サワイ」とジャドニュ顆粒分包360mgを健康成人男性にそれぞれ1包(デフェラシロクスとして360mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中デフェラシロクス濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された7)。 なお、デフェラシロクス顆粒分包90mg「サワイ」は、ジャドニュ顆粒分包360mgと同等性が確認されたデフェラシロクス顆粒分包360mg「サワイ」と容れ目違いであり、生物学的に同等であると判断された。

Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC0-48hr
(μg・hr/mL)
デフェラシロクス顆粒分包360mg「サワイ」 19.7±4.3 3.3±1.1 12.8±3.0 203.4±39.6
ジャドニュ顆粒分包360mg 18.0±3.6 3.1±1.0 13.1±3.2 191.7±35.0

(Mean±S.D., n=28)

血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人(24例)にデフェラシロクス顆粒1,200mgを低脂肪食もしくは高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、空腹時に対するCmaxの幾何平均比はそれぞれ0.89及び0.96、AUClastの幾何平均比はそれぞれ0.91及び1.19であった8)。また、健康成人(24例)にデフェラシロクス顆粒1,200mgをアップルソースもしくはヨーグルトに混和して単回経口投与したとき、空腹時に水で投与した時に対するCmaxの幾何平均比はそれぞれ0.97及び0.98、AUClastの幾何平均比はそれぞれ1.01及び1.00であった8)(外国人のデータ)。(本剤の承認された用法及び用量は、デフェラシロクスとして12mg/kgを1日1回である。)

  1. 16.2.2バイオアベイラビリティ

健康成人(17例)にデフェラシロクス懸濁用錠375mg(約5mg/kg)を単回経口投与したときの絶対バイオアベイラビリティは73.5%であった9)(外国人のデータ)。

16.3 分布

デフェラシロクスの血漿蛋白結合率は約99%であり、主な結合蛋白は血清アルブミンである10),11)(in vitro)。 健康成人(17例)にデフェラシロクス130mgを静脈内投与したときの分布容積は14Lであった9)(外国人のデータ)。

16.4 代謝

デフェラシロクスは主にUGT1A1及びUGT1A3によりグルクロン酸抱合を受け、また一部CYP1A2及びCYP2D6により酸化代謝を受ける12),13)(in vitro)。 βサラセミア患者(5例)に[14C]デフェラシロクス懸濁用錠1,000mg(約15mg/kg)を経口投与したとき、血漿中放射能の大部分は未変化体(総放射能のAUCの約90%)であり、血漿中に認められた主代謝物はデフェラシロクスのアシルグルクロン酸抱合体(総放射能のAUCの約3%)であった14)。糞中に排泄された放射能の多くは未変化体であり、酸化代謝物はわずかであった(投与量の約8%)(外国人のデータ)。

16.5 排泄

βサラセミア患者(5例)に[14C]デフェラシロクス懸濁用錠1,000mg(約15mg/kg)を経口投与したとき、投与後168時間までに投与量の約84%が糞中に排泄され、約8%が尿中に排泄された14)(外国人のデータ)。