Clinical snapshot

ディナゲスト錠1mg

ジエノゲスト

添付文書改訂 2025年10月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1診断のつかない異常性器出血のある患者[類似疾患(悪性腫瘍等)のおそれがある。]

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  3. 2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  4. 2.4高度の子宮腫大又は重度の貧血のある患者[不正子宮出血が増悪し、大量出血を起こすおそれがある。]

効能・効果

  • 子宮内膜症

  • 子宮腺筋症に伴う疼痛の改善

用法・用量

通常、成人にはジエノゲストとして1日2mgを2回に分け、月経周期2~5日目より経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与に際しては、類似疾患(悪性腫瘍等)との鑑別に留意し、投与中に腫瘤が増大したり、臨床症状の改善がみられない場合は投与を中止すること。

  2. 8.2卵巣チョコレート嚢胞は、頻度は低いものの自然経過において悪性化を示唆する報告があるので、定期的に画像診断や腫瘍マーカー等の検査を行い、患者の状態に十分注意すること。

  3. 8.3本剤投与中は経過を十分に観察し、期待する効果が得られない場合には漫然と投与を継続せず、他の適切な治療を考慮すること。

  4. 8.4本剤投与後に不正子宮出血があらわれ、重度の貧血に至ることがある。不正子宮出血の程度には個人差があり、投与中に出血が持続する場合や一度に大量の出血が生じる場合もあるので、以下の点に注意すること。

  • 患者にはあらかじめ十分に説明し、出血量が多く持続日数が長い場合や一度に大量の不正子宮出血が認められた場合には、医師へ相談するよう指導すること。

  • 貧血のある患者では、必要に応じて本剤投与前に貧血の治療を行うこと。

  • 不正子宮出血が認められた場合には必要に応じて血液検査を実施し、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には鉄剤の投与又は本剤の投与中止、輸血等の適切な処置を行うこと。

  • 子宮内膜症患者を対象とした国内臨床試験において、子宮腺筋症又は子宮筋腫を合併する患者での貧血の発現率は、合併しない患者と比較して高い傾向が認められている。

  1. 8.5本剤を長期投与する場合には以下の点に注意すること。
  • 不正子宮出血が持続的に認められている患者は、類似疾患(悪性腫瘍等)に起因する出血との鑑別に留意し、定期的に画像診断等を行うなど、患者の状態に十分注意すること。また、必要に応じ細胞診等の病理学的検査の実施を考慮すること。

  • 本剤の1年を超える投与における有効性及び安全性は確立していないので、1年を超える投与は治療上必要と判断される場合にのみ行い、定期的に臨床検査(血液検査、骨塩量検査等)等を行うなど、患者の状態に十分注意すること。

  1. 8.6本剤の投与により更年期障害様のうつ症状を起こすことが報告されているので、本剤の使用に際しては患者の状態等を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1子宮筋腫のある患者

不正子宮出血が増悪し、まれに大量出血を起こすおそれがある。

  1. 9.1.2うつ病又はうつ状態の患者並びにそれらの既往歴のある患者

更年期障害様のうつ症状があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.3最大骨塩量に達していない患者

本剤投与に際し、本剤投与による骨密度の減少の可能性や将来的な骨粗鬆症等の発症リスクを考慮した上で、本剤の投与の可否を慎重に判断すること。また、本剤投与中は、定期的に骨塩量検査を実施するなど患者の状態に十分注意し、治療上の有益性と骨密度減少のリスクを考慮した上で投与継続の可否を慎重に判断し、漫然と投与しないこと。12歳~18歳を対象とした海外臨床試験において、本剤52週間投与後の骨密度変化率は-1.2%であった1)。

9.3 肝機能障害患者

代謝能の低下により、本剤の作用が増強することがある。重度の肝機能障害患者は臨床試験では除外されている。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット、ウサギ)において、受胎阻害、胚死亡率の増加及び流産等が認められている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、乳汁中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • 本剤は主にCYP3A4で代謝される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• CYP3A4阻害剤• エリスロマイシン
クラリスロマイシン
アゾール系抗真菌剤• イトラコナゾール
フルコナゾール 等
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。(本剤とクラリスロマイシンの併用により、本剤のCmax及びAUCはそれぞれ単独投与時の20%及び86%増加した。) これらの薬剤が本剤の薬物代謝酵素であるCYP3A4を阻害することによると考えられる。
• CYP3A4誘導剤• リファンピシン
フェニトイン
フェノバルビタール
カルバマゼピン 等
本剤の血中濃度が低下することにより本剤の有効性が減弱するおそれがある。 これらの薬剤が本剤の薬物代謝酵素であるCYP3A4を誘導することによると考えられる。
• 卵胞ホルモン含有製剤• エストラジオール誘導体
エストリオール誘導体
結合型エストロゲン製剤 等
本剤の効果が減弱する可能性がある。 子宮内膜症はエストロゲン依存性の疾患であることから、卵胞ホルモン含有製剤の投与により本剤の治療効果が減弱する可能性がある。
• 黄体ホルモン含有製剤• プロゲステロン製剤
メドロキシプロゲステロン酢酸エステル製剤
ノルエチステロン製剤
ジドロゲステロン製剤 等
プロゲステロン作用が増強する可能性がある。 ともにプロゲステロン受容体に対するアゴニスト活性を示すことから、プロゲステロン作用が相加的に増強する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
AST・ALT・γ-GTP・ビリルビン上昇等の肝機能検査値異常 1〜5%未満
いらいら感 1%未満
コレステロール上昇 1%未満
ざ瘡 1〜5%未満
しびれ感 1%未満
そう痒感 1%未満
ほてり(20.6%) 5%以上
めまい 1〜5%未満
下痢 1〜5%未満
不安 1%未満
不正子宮出血(88.3%) 5%以上
不眠 1%未満
乳房痛 1〜5%未満
乳房緊満感 1〜5%未満
乳汁分泌 1%未満
体重増加 1〜5%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
傾眠 1〜5%未満
動悸 1〜5%未満
口内炎 1%未満
嘔吐 1%未満
外陰部かぶれ・かゆみ注1) 5%以上
悪心 5%以上
抑うつ 1%未満
浮腫 1〜5%未満
片頭痛 1%未満
疲労 1〜5%未満
発汗 1%未満
発熱 1%未満
発疹等 1〜5%未満
白血球減少 1%未満
皮膚乾燥 1%未満
耳鳴 1%未満
肩こり 1〜5%未満
胃部不快感 1〜5%未満
背部痛 1〜5%未満
脱毛 1%未満
腹痛 1〜5%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部膨満感 1〜5%未満
血糖値上昇 1%未満
貧血 1〜5%未満
関節痛 1%未満
頭痛 5%以上
骨塩量低下 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ジエノゲストはプロゲステロン受容体に対する選択的なアゴニスト作用を示し、卵巣機能抑制及び子宮内膜細胞の増殖抑制により子宮内膜症に対する有効性及び子宮腺筋症に伴う疼痛の改善を示すと考えられる。

18.2 ステロイドホルモン受容体に対する作用

  1. 18.2.1受容体アゴニスト活性

ヒトステロイドホルモン受容体遺伝子を導入した細胞を用いたin vitro試験で、プロゲステロン受容体に対する選択的なアゴニスト活性を示した18),19),20),21)。

  1. 18.2.2プロゲステロン作用

ラット及びウサギを用いたin vivo試験において、子宮に対してプロゲステロン作用を示した22),23),24)。一方、アンドロゲン作用25)、グルココルチコイド作用26)及びミネラルコルチコイド作用27)は示さなかった。

18.3 卵巣機能抑制作用

  1. 18.3.1健康成人女性

健康成人女性に本剤1日2mgを2回に分け21日間経口投与したとき、通常の月経周期にみられる血清中エストラジオール及びプロゲステロン濃度の上昇の抑制、血清中LH及びFSH濃度の一過性の上昇の消失が認められた28)。

  1. 18.3.2子宮内膜症患者

子宮内膜症患者に本剤1日1~4mgを2回に分け16~24週間経口投与注4)したとき、血清中エストラジオール濃度は用量の増量に伴い低値を示した。また、本剤1日1~4mg注4)で、血清中プロゲステロン濃度は全例で卵胞期の基準値以下であり、排卵抑制が示唆された29)。

  1. 18.3.3子宮腺筋症患者

子宮腺筋症患者に本剤1日1mg、2mg又はプラセボを2回に分け16週間経口投与注4)したとき、血清中エストラジオール濃度は用量の増量に伴い低値を示した。また、本剤1日2mgで血清中エストラジオール濃度はプラセボに比し低値であり、血清中エストラジオール濃度抑制作用が認められた16),30)。

18.4 子宮内膜への作用

  1. 18.4.1子宮内膜細胞の増殖抑制作用

ヒト子宮内膜間質細胞を用いたin vitro試験で、細胞増殖の抑制が認められた31)。

  1. 18.4.2子宮内膜の偽脱落膜化

子宮内膜症患者を対象とした臨床薬理試験で、本剤1日2mgを2回に分け16週間経口投与したとき、ジエノゲストのプロゲステロン作用による子宮内膜の偽脱落膜化が認められた32)。

18.5 実験的子宮内膜症に対する効果

ラット33)及びウサギ34)を用いた実験的子宮内膜症の試験で、移植子宮内膜片の体積縮小あるいは重量の増加抑制がみられ、子宮内膜症に対する治療効果が示唆された。

注4)本剤の承認された用法及び用量は「1日2mgを2回に分け経口投与」である。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人女性に本剤0.5mg、1mg、2mgを絶食単回経口投与注2)したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであり、血漿中濃度は、投与後0.9~1.3時間で最高血漿中濃度に達した。Cmax及びAUC0-∞は用量に依存して増大し、半減期は6.65~7.66時間であった2)。

投与量 Cmax
(ng/mL)
tmax
(hr)
t1/2α
(hr)
t1/2β
(hr)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
0.5mg 17.5±2.2 0.9±0.2 0.749±0.201 7.06±1.00 154.9±34.2
1mg 34.7±3.1 1.3±0.6 0.772±0.364 6.65±1.49 320.4±56.7
2mg 76.1±14.6 1.2±0.4 0.580±0.209 7.66±1.22 695.1±114.2

(Mean±S.D.,n=6)

  1. 16.1.2反復投与

健康成人女性に本剤0.5mg、1mg、2mgを1日2回12時間毎に11回(6日間)反復経口投与注2)したところ、血漿中濃度は投与回数に従い徐々に上昇し、いずれの用量においても投与回数6回でほぼ定常状態に達した3),4)。本剤1mgを1日2回反復経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりである3)。

投与回数 Cmax
(ng/mL)
tmax
(hr)
t1/2β
(hr)
AUCa)
(ng・hr/mL)
1回目 28.0±3.2 2.1±0.9 8.56±1.91 313.5±29.2
11回目 42.9±2.7 2.7±0.5 12.44±3.17 341.2±31.5

(Mean±S.D.,n=6)

a)1回目のAUCは無限大時間まで外挿した値。11回目は投与12時間後までの値。

また、子宮内膜症患者134例に本剤1日2mgを2回に分け16週間又は24週間経口投与したときのCmax及びAUC0-∞の推定値はそれぞれ42.3ng/mL、393.9ng・hr/mLであった5)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人女性に本剤0.5mg、1mg、2mgを単回経口投与注2)したとき、摂食による吸収の遅延は認められるものの、吸収率及び消失速度には影響せず、食事の影響は少ないと考えられた2),3),4)。

投与量 投与条件 Cmax
(ng/mL)
tmax
(hr)
t1/2β
(hr)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
0.5mg 絶食下 17.5±2.2 0.9±0.2 7.06±1.00 154.9±34.2
非絶食下 12.4±0.4 2.3±1.0 8.82±1.48 166.5±39.5
1mg 絶食下 34.7±3.1 1.3±0.6 6.65±1.49 320.4±56.7
非絶食下 28.0±3.2 2.1±0.9 8.56±1.91 313.5±29.2
2mg 絶食下 76.1±14.6 1.2±0.4 7.66±1.22 695.1±114.2
非絶食下 52.0±8.2 3.5±0.5 7.47±0.36 625.4±73.9

(Mean±S.D.,n=6)

  1. 16.2.2生物学的利用率

健康成人男性20例にジエノゲスト2mgを絶食単回経口投与(錠剤)及び静脈内投与注2)したとき、生物学的利用率は90.55%であった6)(外国人データ)。

16.3 分布

  1. 16.3.1分布容積

健康成人女性6例に本剤0.5mg及び1mgを絶食単回経口投与注2)したときのみかけの分布容積(Vdβ/F)は、それぞれ33.79L及び30.04Lであった2)。

  1. 16.3.2血漿蛋白結合率

健康成人女性の血漿を用いたin vitro試験におけるジエノゲスト(100ng/mL)の蛋白結合率は94.5%であった7)。結合蛋白質は主にアルブミンと考えられた8)。

16.4 代謝

ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験の結果より、ジエノゲストの代謝には、主にCYP3A4が関与すると考えられた9),10)。 また、健康成人女性6例に本剤2mgを1日2回、計11回(6日間)反復経口投与注2)したときの定常状態におけるCmaxの368倍の濃度(100µmol/L)においても、ジエノゲストはCYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4活性をほとんど阻害しなかった11),12)。

16.5 排泄

健康成人女性6例に本剤2mgを絶食単回経口投与注2)した場合、尿中に未変化体は検出されず、尿中の代謝物として主に水酸化体及びグルクロン酸抱合体が排泄された2)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1クラリスロマイシン

健康成人女性10例にクラリスロマイシン200mgを1日2回、3日間経口投与し、翌日、本剤1mgとクラリスロマイシン200mgを1回併用したとき、本剤のCmax及びAUC0-∞は本剤1mg単独投与時に比し、それぞれ1.20倍、1.86倍に上昇した13)。

注2)本剤の承認された用法及び用量は「1日2mgを2回に分け経口投与」である。