乳幼児甲状腺機能低下症
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
新鮮な心筋梗塞のある患者[基礎代謝の亢進により心負荷が増大し、病態が悪化することがある。]
効能・効果
用法・用量
通常、乳幼児にはレボチロキシンナトリウムとして1回10μg/kg(本剤100mg/kg)を1日1回経口投与する。 未熟児に対しては1回5μg/kg(本剤50mg/kg)から投与を開始して8日目から1回10μg/kg(本剤100mg/kg)を1日1回経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。
使用上の注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1狭心症、陳旧性心筋梗塞、動脈硬化症、高血圧症等の重篤な心・血管系の障害のある患者
投与する場合には少量から開始し、通常より長期間をかけて増量し維持量は最小必要量とすること。基礎代謝の亢進による心負荷により、病態が悪化するおそれがある。
- 9.1.2副腎皮質機能不全、脳下垂体機能不全のある患者
副腎皮質機能不全の改善(副腎皮質ホルモンの補充)を十分にはかってから投与すること。副腎クリーゼを誘発し、ショック等を起こすことがある。
- 9.1.3糖尿病患者
血糖コントロールの条件が変わることがある。
9.5 妊婦
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
-
9.7.1児の状態(血圧、尿量、血清ナトリウム値等)を観察しながら慎重に投与すること。
-
9.7.2低出生体重児、早産児では、晩期循環不全を起こすことがある。なお、低出生体重児、早産児のうち、特に極低出生体重児や超早産児では、晩期循環不全を起こしやすく、また、本剤の投与後早期に起こりやすい。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| クマリン系抗凝血剤1) • ワルファリンカリウム等 |
クマリン系抗凝血剤の作用を増強することがあるので、併用する場合にはプロトロンビン時間等を測定しながらクマリン系抗凝血剤の用量を調節するなど慎重に投与すること。 | 甲状腺ホルモンがビタミンK依存性凝血因子の異化を促進すると考えられている。 |
| 交感神経刺激剤 • アドレナリン、ノルアドレナリン、エフェドリン・メチルエフェドリン含有製剤 |
交感神経刺激剤の作用を増強し、冠動脈疾患のある患者に併用すると冠不全のリスクが増大するおそれがあるので、併用する場合には慎重に投与すること。 | 甲状腺ホルモンがカテコールアミン類のレセプターの感受性を増大すると考えられている。 |
| 強心配糖体製剤 • ジゴキシン、ジギトキシン等 |
甲状腺機能亢進状態では血清ジゴキシン濃度が低下し、甲状腺機能低下状態では上昇するとの報告があるため、甲状腺機能亢進状態では通常より多量の、甲状腺機能低下状態では通常より少量の強心配糖体製剤の投与を必要とすることがある。併用する場合には強心配糖体製剤の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。 | 強心配糖体製剤の吸収率、分布容積、肝代謝、腎排泄速度等の増減が関与していると考えられている。 |
| 血糖降下剤 • インスリン製剤、スルフォニル尿素系製剤等 |
血糖降下剤を投与している患者において、本剤を投与すると血糖コントロールの条件が変わることがあるので、併用する場合には血糖値その他患者の状態を十分観察しながら両剤の用量を調節するなど慎重に投与すること。 | 糖代謝全般に作用し血糖値を変動させると考えられている。 |
| コレスチラミン2)、コレスチミド、鉄剤3)、アルミニウム含有制酸剤4),5)、炭酸カルシウム6)、炭酸ランタン水和物、セベラマー塩酸塩、ポリスチレンスルホン酸カルシウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム | 同時投与により本剤の吸収が遅延又は減少することがあるので、併用する場合には本剤との投与間隔をできる限りあけるなど慎重に投与すること。 | 消化管内で本剤と結合し吸収を抑制すると考えられている。 |
| フェニトイン製剤7)、カルバマゼピン、フェノバルビタール | これらの薬剤は本剤の血中濃度を低下させることがあるので、併用する場合には本剤を増量するなど慎重に投与すること。 | これらの薬剤は甲状腺ホルモンの異化を促進すると考えられている。 |
| アミオダロン | アミオダロンは甲状腺ホルモン値を上昇又は低下させるおそれがあるので、併用する場合には甲状腺ホルモン値に注意し、慎重に投与すること。 | アミオダロンが甲状腺ホルモンの脱ヨード化を阻害することが考えられている。 |
| 経口エストロゲン製剤 • 結合型エストロゲン、エストラジオール、エストリオール等 |
経口エストロゲン製剤は甲状腺ホルモン値を低下させるおそれがあるので、併用する場合には本剤を増量するなど慎重に投与すること。 | 経口エストロゲン製剤がサイロキシン結合グロブリンを増加させることが考えられている。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALT上昇 | 頻度不明 |
| γ-GTP上昇等) | 頻度不明 |
| めまい | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 不整脈 | 頻度不明 |
| 不眠 | 頻度不明 |
| 体重減少 | 頻度不明 |
| 倦怠感 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 心悸亢進 | 頻度不明 |
| 振戦 | 頻度不明 |
| 発汗 | 頻度不明 |
| 発熱 | 頻度不明 |
| 皮膚の潮紅 | 頻度不明 |
| 神経過敏・興奮・不安感・躁うつ等の精神症状 | 頻度不明 |
| 筋肉痛 | 頻度不明 |
| 肝機能検査値異常(AST上昇 | 頻度不明 |
| 脈拍増加 | 頻度不明 |
| 脱力感 | 頻度不明 |
| 過敏症状 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 食欲不振 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
レボチロキシンナトリウムは、生体内で甲状腺から分泌されるT4と同じ薬理作用を示す。T4は甲状腺の他、肝臓や腎臓などの末梢組織でトリヨードチロニン(T3)に代謝された後、核内に存在する甲状腺ホルモン受容体に結合することにより、標的遺伝子の転写及びタンパク質の発現を調節し、エネルギー代謝、タンパク質代謝、脂質代謝の調整等の生理作用をもたらす11)。
薬物動態
16.1 血中濃度
新生児マススクリーニングで発見され、初回より本剤投与した先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)患者24例における血中TSH、T4、T3、遊離T4、遊離T3、TBGの平均値は以下とおりであった8)。
| 項目 投与期間 |
血中濃度 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| TSH (μU/mL) |
T4 (μg/dL) |
T3 (ng/dL) |
遊離T4 (ng/dL) |
遊離T3 (pg/mL) |
TBG (μg/mL) |
|
| 症例数 | 24 | 21 | 21 | 23 | 20 | 14 |
| 投与 開始時 |
242.0 ±319.3 |
5.5 ±3.8 |
136.2 ±70.0 |
0.8 ±0.4 |
3.4 ±1.6 |
29.1 ±5.3 |
| 1週後 | 42.2 ±67.1 |
16.0 ±3.9 |
171.3 ±47.6 |
2.2 ±0.8 |
4.2 ±1.3 |
27.8 ±5.0 |
| 2週後 | 9.0 ±18.8 |
16.2 ±3.4 |
170.7 ±45.6 |
2.4 ±0.7 |
4.4 ±1.8 |
27.5 ±5.1 |
| 4週後 | 4.1 ±12.8 |
16.4 ±4.1 |
166.5 ±42.0 |
2.6 ±0.7 |
4.9 ±1.0 |
28.2 ±4.3 |
| 8週後 | 1.4 ±2.8 |
16.7 ±4.8 |
176.7 ±44.3 |
2.9 ±1.2 |
5.5 ±1.1 |
30.6 ±6.4 |
| 12週後 | 1.3 ±2.7 |
16.8 ±5.1 |
184.2 ±43.9 |
2.7 ±1.0 |
5.7 ±1.2 |
32.1 ±7.2 |
16.4 代謝
ヒト及び動物におけるT4の主な代謝は脱ヨード化であり、それ以外にグルクロン酸抱合、硫酸抱合、脱アミノ化などを受ける9),10)。