- 緑内障、高眼圧症
タフチモ配合点眼液「NIT」
タフルプロスト・チモロールマレイン酸塩点眼液
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.2気管支喘息又はその既往歴のある患者、気管支痙攣又は重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者[喘息発作の誘発・増悪がみられるおそれがある。]
-
2.3コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)又は心原性ショックのある患者[これらの症状を増悪させるおそれがある。]
-
2.4オミデネパグ イソプロピルを投与中の患者
効能・効果
用法・用量
- 1回1滴、1日1回点眼する。
使用上の注意
-
8.1全身的に吸収される可能性があり、β遮断剤全身投与時と同様の副作用があらわれることがあるので、留意すること。
-
8.2本剤の投与により、虹彩や眼瞼への色素沈着(メラニンの増加)による色調変化、あるいは眼周囲の多毛化があらわれることがある。これらは投与の継続によって徐々に進行し、投与中止により停止する。眼瞼色調変化及び眼周囲の多毛化については、投与中止後徐々に消失、あるいは軽減する可能性があるが、虹彩色調変化については投与中止後も消失しないことが報告されている。混合色虹彩の患者では虹彩の色調変化は明確に認められるが、暗褐色の単色虹彩の患者(日本人に多い)においても変化が認められている。特に片眼投与の場合、左右眼で虹彩の色調に差が生じる可能性がある。これらの症状については、長期的な情報が十分に得られていないので、患者を定期的に診察し、十分観察すること。投与に際しては、これらの症状について患者に十分説明し、また、眼瞼色調変化、眼周囲の多毛化の予防あるいは軽減のため、投与の際に液が眼瞼皮膚等についた場合には、よくふき取るか、洗顔するよう患者を指導すること。
-
8.3角膜上皮障害(点状表層角膜炎、糸状角膜炎、角膜びらん)があらわれることがあるので、しみる、そう痒感、眼痛等の自覚症状が持続する場合には、直ちに受診するよう患者に指導すること。
-
8.4縮瞳剤からチモロールマレイン酸塩製剤に切り替える場合、縮瞳作用の消失に伴い、屈折調整を必要とすることがある。
-
8.5本剤の点眼後、一時的に霧視があらわれることがあるため、その症状が回復するまで機械類の操作や自動車等の運転には従事させないよう注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1肺高血圧による右心不全のある患者
肺高血圧による右心不全の症状を増悪させるおそれがある。
- 9.1.2うっ血性心不全のある患者
うっ血性心不全の症状を増悪させるおそれがある。
- 9.1.3糖尿病性ケトアシドーシス及び代謝性アシドーシスのある患者
アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。
- 9.1.4コントロール不十分な糖尿病のある患者
血糖値に注意すること。低血糖症状をマスクすることがある。
- 9.1.5無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者
嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫、及びそれに伴う視力低下を起こすとの報告がある。
- 9.1.6眼内炎(虹彩炎、ぶどう膜炎)のある患者
類薬で眼圧上昇がみられたとの報告がある。
- 9.1.7閉塞隅角緑内障の患者
使用経験がない。
9.5 妊婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 タフルプロストの動物実験では、妊娠ラットに静脈内投与した場合、30μg/kg/日(臨床用量注1) の2000倍)では催奇形性及び着床後胚死亡率の増加がみられ、10μg/kg/日(臨床用量注1) の約670倍)では胎児の発育に対する影響(胎児体重の低値及び胸骨未骨化)が認められた。妊娠ウサギにタフルプロストを静脈内投与した場合、0.1μg/kg/日(臨床用量注1) の約6.7倍)では流産、着床後胚死亡率の増加、黄体数・着床数の減少等が観察され、0.03μg/kg/日(臨床用量注1) の2倍)では催奇形性が認められた。妊娠・授乳ラットにタフルプロストを静脈内投与した場合、1μg/kg/日(臨床用量注1) の約67倍)では母動物の哺育不良及び出生児の4日生存率の低値が認められた。また、摘出ラット子宮を用いた実験では、タフルプロストの臨床用量注1) 点眼投与時の推定血漿中濃度(30pg/mL未満)の約3.3倍、タンパク結合率にて換算した推定血漿中非結合型薬物濃度(0.24pg/mL未満)の約420倍で、子宮収縮への作用が認められている。 また、チモロールマレイン酸塩の動物実験(経口)において、器官形成期のラットに500mg/kg/dayを経口投与したとき骨化遅延が、マウスに1,000mg/kg/day、ウサギに200mg/kg/dayを経口投与したとき、死亡胎児数の増加が認められている。
注1)タフルプロスト点眼液0.0015%を60kgの患者の両眼に1回1滴(30μL)を点眼投与したときの投与量(0.015μg/kg/日)
9.6 授乳婦
- 治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット:点眼投与)でタフルプロストは乳汁中への移行が報告されている。チモロールマレイン酸塩はヒト母乳中へ移行することがある。
9.7 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
- 一般に生理機能が低下している。
相互作用
-
- チモロールは、主としてCYP2D6によって代謝される。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
- 以下の薬剤とは併用しないこと。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| オミデネパグ イソプロピル エイベリス点眼液 |
中等度以上の羞明、虹彩炎等の眼炎症が高頻度に認められている。 | 機序不明 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
以下の薬剤との併用に注意すること。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| アドレナリン ジピベフリン塩酸塩 |
散瞳作用が助長されたとの報告がある。 | 機序不明 |
| カテコールアミン枯渇剤: • レセルピン等 |
交感神経系に対し、過剰の抑制を来すことがあり、低血圧、徐脈を生じ、眩暈、失神、起立性低血圧を起こすことがある。 | カテコールアミンの枯渇を起こす薬剤は、β-遮断作用を相加的に増強する可能性がある。 |
| β-遮断剤(全身投与): • アテノロール プロプラノロール塩酸塩 • メトプロロール酒石酸塩 |
眼圧下降あるいはβ-遮断剤の全身的な作用が増強されることがある。 | 作用が相加的にあらわれることがある。 |
| カルシウム拮抗剤: • ベラパミル塩酸塩 ジルチアゼム塩酸塩 |
房室伝導障害、左室不全、低血圧を起こすおそれがある。 | 相互に作用が増強される。 |
| ジギタリス製剤: • ジゴキシン ジギトキシン |
心刺激伝導障害(徐脈、房室ブロック等)があらわれるおそれがある。 | 相加的に作用(心刺激伝導抑制作用)を増強させる。 |
| CYP2D6阻害作用を有する薬剤 • キニジン硫酸塩水和物 選択的セロトニン再取り込み阻害剤 |
β-遮断作用(例えば心拍数減少、徐脈)が増強するとの報告がある。 | これらの薬剤は本剤の代謝酵素であるP450(CYP2D6)を阻害し、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALT(GPT)上昇 | 頻度不明 |
| AST(GOT)上昇 | 頻度不明 |
| γ-GTP上昇 | 頻度不明 |
| ねばつき感 | 頻度不明 |
| めまい | 頻度不明 |
| レイノー現象 | 頻度不明 |
| 上眼瞼溝深化 | 1%未満 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 不快 | 頻度不明 |
| 不眠 | 頻度不明 |
| 乾性角結膜炎 | 1〜5%未満 |
| 乾燥感等) | 頻度不明 |
| 低血圧 | 頻度不明 |
| 倦怠感 | 頻度不明 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 口渇 | 頻度不明 |
| 咳 | 頻度不明 |
| 四肢冷感 | 頻度不明 |
| 多くなる等) | 5%以上 |
| 太く | 5%以上 |
| 失神 | 頻度不明 |
| 好酸球増加 | 頻度不明 |
| 尿糖陽性 | 1%未満 |
| 尿蛋白陽性 | 頻度不明 |
| 尿酸上昇 | 頻度不明 |
| 徐脈等の不整脈 | 頻度不明 |
| 悪夢 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 感覚異常 | 頻度不明 |
| 抑うつ | 頻度不明 |
| 流涙増加 | 頻度不明 |
| 浮腫 | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 点状角膜炎等の角膜上皮障害 | 5%以上 |
| 発疹 | 1%未満 |
| 白血球数減少 | 1%未満 |
| 眼のそう痒感 | 1〜5%未満 |
| 眼の異常感(違和感 | 頻度不明 |
| 眼の異物感 | 1%未満 |
| 眼刺激 | 1〜5%未満 |
| 眼底黄斑部の浮腫・混濁注2) | 頻度不明 |
| 眼痛 | 1%未満 |
| 眼瞼下垂 | 頻度不明 |
| 眼瞼炎 | 1〜5%未満 |
| 眼瞼色素沈着 | 1〜5%未満 |
| 眼瞼部多毛 | 1%未満 |
| 眼脂 | 頻度不明 |
| 眼重感 | 1%未満 |
| 睫毛の異常(睫毛が長く | 5%以上 |
| 筋肉痛 | 頻度不明 |
| 紅斑 | 頻度不明 |
| 結膜下出血 | 1%未満 |
| 結膜充血 | 5%以上 |
| 結膜浮腫 | 頻度不明 |
| 結膜炎 | 1%未満 |
| 羞明 | 頻度不明 |
| 耳鳴 | 頻度不明 |
| 胸部圧迫感 | 頻度不明 |
| 脱力感 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 虹彩炎 | 1%未満 |
| 血清カリウム上昇 | 頻度不明 |
| 複視 | 頻度不明 |
| 視力低下等の視力障害 | 頻度不明 |
| 角膜知覚低下 | 頻度不明 |
| 重症筋無力症の増悪 | 頻度不明 |
| 霧視 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 1%未満 |
| 黄斑浮腫 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
- 本剤の配合成分であるタフルプロストの活性代謝物(タフルプロストカルボン酸体)は、プロスタノイドFP受容体作動薬である。一方の配合成分であるチモロールマレイン酸塩は、非選択的β-受容体遮断剤である。両剤は異なる作用機序により眼圧下降作用を示す。 ・プロスタノイドFP受容体作動作用 タフルプロストの活性代謝物であるタフルプロストカルボン酸体は、プロスタノイドFP受容体に対して高い親和性(Ki=0.40nM)を示した。サルを用いて、0.005%タフルプロスト点眼液注3) を1日1回3~5日間反復点眼したときの房水動態をフルオロフォトメトリー法、Two-level constant pressure perfusion法及び125I-131I標識アルブミン灌流法により検討したところ、房水産生量に変化は認められず、ぶどう膜強膜流出量を有意に増大させた14)。
注3)本剤のタフルプロスト濃度は0.0015%である。
- β-受容体遮断作用 チモロールマレイン酸塩の眼圧下降の作用機序の詳細は明らかではないが、サル、健康成人でのフルオロフォトメトリー試験及び緑内障患者でのトノグラフィー試験において、主に房水産生の抑制によることが示唆されている 15),16) ,17) ,18)。
18.2 眼圧下降作用
- タフルプロスト・チモロールマレイン酸塩点眼液(タフルプロスト0.0015%、チモロール0.5%)をサルに単回点眼したとき、有意な眼圧下降作用が認められ、この作用は配合成分の各単剤(0.0015%タフルプロスト点眼液及び0.5%チモロール点眼液)の眼圧下降作用よりも有意に強い作用であった19)。
18.3 眼血流への作用
- 健康成人に0.0015%タフルプロスト点眼液を単回点眼したとき、傍視神経乳頭網膜動脈の血流速度及び傍視神経乳頭網膜の組織血流量の有意な増加が認められた20) 。 ・ウサギに0.0015%タフルプロスト点眼液を1日1回28日間反復点眼し、レーザースペックル法で測定したところ、視神経乳頭部組織血流量の有意な増加が認められた21)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1健康成人における検討
健康成人男性(32例)に、タフルプロスト・チモロールマレイン酸塩点眼液(タフルプロスト0.0015%、チモロール0.5%)(1日1回)、0.0015%タフルプロスト点眼液(1日1回)、0.5%チモロール点眼液(1日2回)及び0.0015%タフルプロスト点眼液(1日1回)と0.5%チモロール点眼液(1日2回)の併用をそれぞれ1回1滴で両眼に7日間反復点眼し、タフルプロストの活性代謝物であるタフルプロストカルボン酸体及びチモロールの血漿中濃度を測定した。タフルプロスト・チモロールマレイン酸塩点眼液を反復点眼したときの血漿中タフルプロストカルボン酸体のCmaxは、点眼1日目及び7日目ともタフルプロスト単剤点眼及びタフルプロスト/チモロール併用点眼と同程度であった。また、タフルプロスト・チモロールマレイン酸塩点眼液の点眼1日目及び7日目の血漿中チモロールについては、Cmax及びAUCinfともにチモロール単剤点眼及びタフルプロスト/チモロール併用点眼と同程度であった1) 。
| タフルプロストカルボン酸体 | チモロール | ||
|---|---|---|---|
| Cmax(ng/mL) | Cmax(ng/mL) | AUCinf(ng・hr/mL) | |
| 点眼1日目 | 0.02480±0.00537 | 1.409±0.344 | 6.766±1.888 |
| 点眼7日目 | 0.02223±0.01267 | 1.293±0.551 | 6.449±2.774 |
(平均値±標準偏差)
- 16.1.2患者における検討
原発開放隅角緑内障(広義)又は高眼圧症患者において、導入期にタプロス点眼液0.0015%(1日1回)及びチモプトール点眼液0.5%(1日2回)を2~5週間点眼後、タフチモ配合点眼液「NIT」又はタプコム配合点眼液を、部分遮蔽、クロスオーバー法により、両眼に1日1回、1回1滴、1期あたり5週間反復点眼し、眼圧値を測定した試験(生物学的同等性試験)にて、第Ⅰ期又は第Ⅱ期治療期5週の10時及び12時における血漿中チモロール濃度を測定した結果、タフチモ配合点眼液「NIT」で0.1082±0.1449ng/mL及び0.8589±0.4636ng/mL、タプコム配合点眼液で0.0880±0.1071ng/mL及び0.7223±0.3797ng/mLであった2) 。
16.3 分布
- タフルプロスト・チモロールマレイン酸塩点眼液(タフルプロスト0.0015%、チモロール0.5%)をラットに単回点眼したときのタフルプロストカルボン酸体及びチモロールの房水中濃度は、0.5%チモロール点眼液と0.0015%タフルプロスト点眼液を5分間隔で併用(それぞれ単回点眼)したときと同様に推移した3) 。 ・タフルプロストカルボン酸体500ng/mLで限外濾過法により測定したヒト血清アルブミンに対する結合率は99.2%であった4),5) 。 ・チモロールの血漿タンパク結合率は約60%である6) 。
16.4 代謝
- タフルプロストは、主として角膜に存在するカルボキシエステラーゼにより、活性代謝物であるタフルプロストカルボン酸体に速やかに加水分解される(in vitro)7) 。チモロールは主としてCYP2D6によって代謝される8) 。 ・ヒト肝細胞を用いた3H-タフルプロストのin vitro代謝試験では、タフルプロストカルボン酸体とそのグルクロン酸抱合体、dinorタフルプロストカルボン酸体とその水酸化体及びグルクロン酸抱合体、tetranorタフルプロストカルボン酸体とその水酸化体及びグルクロン酸抱合体が検出された7) 。 ・14C-チモロール4mgを単回経口投与した後のヒト尿中には、ジメチルエチルアミノ基が脱離して生成されたカルボン酸代謝物、及びモルホリン環が開裂した代謝物が認められた(外国人データ)9),10) 。
16.8 その他
- (ウサギを用いた眼組織中薬物濃度推移比較試験)
タフチモ配合点眼液「NIT」及びタプコム配合点眼液を雄性ウサギ(日本白色種)に1日1回28日間反復点眼投与し、最終投与後5、20、40、60、120及び180分に採取した虹彩-毛様体中のタフルプロスト遊離酸及びチモロール濃度を測定してタフチモ配合点眼液「NIT」とタプコム配合点眼液の最高組織内濃度(Cmax)及び組織曝露量(AUC0→3hr)を比較した。その結果、タフチモ配合点眼液「NIT」とタプコム配合点眼液の各パラメータの平均比は、タフルプロスト遊離酸のCmax及びAUC0→3hrではそれぞれ-6.5%及び0.4%、チモロールのCmax及びAUC0→3hrはそれぞれ-16.2%及び-12.7%であり、全て類似性の基準内(平均比で±30%以内)にあった。また、虹彩-毛様体におけるタフチモ配合点眼液「NIT」とタプコム配合点眼液の最高組織内濃度到達時間(Tmax)は、タフルプロスト遊離酸でいずれも60分、チモロールではいずれも20分であり、差はみられなかった。最終点眼投与後180分におけるタフルプロスト遊離酸濃度及びチモロール濃度にタフチモ配合点眼液「NIT」とタプコム配合点眼液で統計学的に有意な差はみられなかった。以上の結果から、タフチモ配合点眼液「NIT」とタプコム配合点眼液の各有効成分について標的組織への移行性は大きく異ならず類似すると考えられた11) 。