慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解(長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
スピオルトレスピマット28吸入
チオトロピウム臭化物水和物オロダテロール塩酸塩
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
- 2.1閉塞隅角緑内障の患者
- [眼内圧を高め、症状を悪化させるおそれがある。]
- 2.2前立腺肥大等による排尿障害のある患者
- [更に尿を出にくくすることがある。]
- 2.3アトロピン及びその類縁物質あるいは本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人には1回2吸入(チオトロピウムとして5μg及びオロダテロールとして5μg)を1日1回吸入投与する。
使用上の注意
-
8.1用法及び用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、本剤が適当ではないと考えられるので、漫然と投与を継続せず中止すること。
-
8.2急性症状を緩和するためには、短時間作用性吸入β2刺激薬等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。 また、その薬剤の使用量が増加したり、あるいは効果が十分でなくなってきた場合には、疾患の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し医師の治療を求めるよう患者に注意を与えること。
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8.3本剤の投与中に短時間作用性吸入β2刺激薬を使用する場合は、急性の気管支痙攣等、急性呼吸器症状の緩和のみに使用するよう患者に注意を与えること。
-
8.4吸入薬の場合、薬剤の吸入により気管支痙攣が誘発される可能性があるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
-
8.5本剤の投与時に、本剤が眼に入らないように患者に注意を与えること。また、結膜の充血及び角膜浮腫に伴う赤色眼とともに眼痛、眼の不快感、霧視、視覚暈輪あるいは虹輪が発現した場合、急性閉塞隅角緑内障の徴候の可能性がある。これらの症状が発現した場合には、可及的速やかに医療機関を受診するように患者に注意を与えること。
-
8.6過度に使用を続けた場合、不整脈、場合により心停止を起こすおそれがあるので、使用が過度にならないよう注意すること。また、患者に対し、本剤の過度の使用による危険性があることを理解させ、1日1回、できるだけ同じ時間帯に吸入し、1日1回を超えて投与しないよう注意を与えること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1心不全、心房細動、期外収縮の患者、又はそれらの既往歴のある患者
心不全、心房細動、期外収縮が発現することがある。
- 9.1.2心血管障害(冠不全、不整脈、肥大型閉塞性心筋症)のある患者
交感神経刺激作用により症状を悪化させるおそれがある。また、QT延長があらわれるおそれがある。
- 9.1.3高血圧の患者
血圧を上昇させるおそれがある。
- 9.1.4痙攣性疾患のある患者
痙攣の症状を悪化させるおそれがある。
- 9.1.5糖尿病の患者
高用量のβ2刺激薬を投与すると、血糖値が上昇するおそれがある。
- 9.1.6甲状腺機能亢進症の患者
甲状腺機能亢進症の症状を悪化させるおそれがある。
- 9.1.7前立腺肥大(排尿障害がある場合を除く)のある患者
排尿障害が発現するおそれがある。
- 9.1.8気管支喘息を合併した患者
気管支喘息の治療が適切に行われるよう注意すること。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1腎機能が高度あるいは中等度低下している患者(クレアチニンクリアランス値が50mL/min以下の患者)
血中濃度の上昇がみられる。チオトロピウムは腎排泄型である。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。高用量オロダテロール(2489μg/kg/日)の妊娠ウサギへの吸入投与により、その胎児に骨格、眼及び心血管の発生異常が報告されている。チオトロピウム及びオロダテロールいずれも、動物実験(ラット)で胎児に移行することが認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。チオトロピウム及びオロダテロールいずれも、動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
副作用の発現に注意すること。一般に腎クリアランス等の生理機能が低下しており、血中濃度が上昇するおそれがある。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤 • MAO阻害剤 三環系抗うつ剤等 |
QT間隔が延長され心室性不整脈等のリスクが増大するおそれがある。 | いずれもQT間隔を延長させる可能性がある。 |
| 交感神経刺激剤 | オロダテロールの交感神経刺激作用が増強され、心拍数増加、血圧上昇等がみられるおそれがある。 | 交感神経刺激剤との併用により、アドレナリン作動性神経刺激が増大する可能性がある。 |
| キサンチン誘導体 ステロイド剤 非カリウム保持性利尿剤 |
低カリウム血症による心血管事象を起こすおそれがあるため、血清カリウム値に注意すること。 | キサンチン誘導体はアドレナリン作動性神経刺激を増大させるため、血清カリウム値の低下が増強する可能性がある。 ステロイド剤及びこれらの利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が増強する可能性がある。 |
| β遮断剤 | オロダテロールの作用が減弱するおそれがある。やむを得ず併用する場合には、心選択性β遮断剤が望ましいが、注意すること。 | β遮断剤との併用により、オロダテロールの作用が拮抗される可能性がある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| クレアチニン上昇 | 頻度不明 |
| じん麻疹 | 頻度不明 |
| そう痒 | 頻度不明 |
| 上室性頻脈 | 頻度不明 |
| 不眠 | 頻度不明 |
| 中咽頭カンジダ症 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 副鼻腔炎 | 頻度不明 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 口内炎 | 頻度不明 |
| 口渇(1.3%) | 頻度不明 |
| 味覚倒錯 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 頻度不明 |
| 咳嗽 | 頻度不明 |
| 咽喉刺激感 | 頻度不明 |
| 咽頭炎 | 頻度不明 |
| 喉頭炎 | 頻度不明 |
| 喘鳴 | 頻度不明 |
| 嗅覚錯誤 | 頻度不明 |
| 嚥下障害 | 頻度不明 |
| 夜間頻尿 | 頻度不明 |
| 好酸球増多 | 頻度不明 |
| 尿路感染 | 頻度不明 |
| 尿閉 | 頻度不明 |
| 排尿障害 | 頻度不明 |
| 歯肉炎 | 頻度不明 |
| 気管支痙攣 | 頻度不明 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 発声障害 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 白血球減少 | 頻度不明 |
| 皮膚乾燥 | 頻度不明 |
| 皮膚感染 | 頻度不明 |
| 皮膚潰瘍 | 頻度不明 |
| 眼圧上昇 | 頻度不明 |
| 胃食道逆流性疾患 | 頻度不明 |
| 背部痛 | 頻度不明 |
| 脱毛 | 頻度不明 |
| 脱水 | 頻度不明 |
| 腎機能異常 | 頻度不明 |
| 舌炎 | 頻度不明 |
| 血尿 | 頻度不明 |
| 過敏症(血管浮腫を含む) | 頻度不明 |
| 関節痛 | 頻度不明 |
| 関節腫脹 | 頻度不明 |
| 霧視 | 頻度不明 |
| 頻脈 | 頻度不明 |
| 高尿酸血症 | 頻度不明 |
| 高血圧 | 頻度不明 |
| 鼻出血 | 頻度不明 |
| 鼻咽頭炎 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
- 18.1.1チオトロピウム
チオトロピウムは長時間持続型の選択的ムスカリン受容体拮抗薬であり、ムスカリン受容体のサブタイプであるM1~M5受容体にほぼ同程度の親和性を示す26)。気道においては、気道平滑筋のM3受容体に対するアセチルコリンの結合を阻害して気管支収縮抑制作用を発現する。
- 18.1.2オロダテロール
オロダテロールは長時間持続型ヒトβ2受容体刺激薬であり、in vitro試験において、オロダテロールはhβ1-AR及びhβ3-ARと比較するとhβ2-ARに対して241倍及び2299倍の刺激作用を示した。吸入による局所投与後、オロダテロールはhβ2-ARを活性化することで細胞内のアデニル酸シクラーゼを活性化し、環状アデノシン一リン酸(cAMP)の生成を促し、気管支平滑筋を弛緩させる。
18.2 気管支収縮抑制作用及び作用持続時間
- 18.2.1チオトロピウム
非臨床試験(摘出標本及びウサギ、イヌの生体位)において示された気管支収縮抑制作用は用量依存的であり、この作用は24時間以上持続する27),28)。摘出標本を用いた検討により、気管支収縮に対する抑制作用(M3受容体拮抗作用)はアセチルコリン遊離増強作用(M2受容体拮抗作用)に比べ持続することが明らかとなっている。
- 18.2.2オロダテロール
モルモット及びイヌのアセチルコリン誘発性気管支収縮モデルにおいて、オロダテロールは用量に依存した気管支収縮抑制作用を示し、その作用は24時間持続した29)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1チオトロピウム及びオロダテロール併用投与時
日本人COPD患者を対象に本剤を3週間反復吸入投与したときのチオトロピウム及びオロダテロールの血漿中濃度は約5分、約10分で最高値に達した1)。 血漿中濃度推移(算術平均±標準偏差)及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
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<血漿中濃度推移>
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チオトロピウム
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オロダテロール
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T5/O5配合剤:チオトロピウム5μg+オロダテロール5μg配合剤
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<薬物動態パラメータ>
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反復投与(21日目) チオトロピウム オロダテロール 例数 13 13 パラメータ[単位] gMean(gCV%) gMean(gCV%) Cmax,ss[pg/mL] 16.5(92.0) 4.33(53.7) tmax,ss[h]a) 0.100(0.100-0.333) 0.183(0.100-0.333) AUC0-4h,ss[pg・h/mL]b) 23.3(44.8) 9.94(29.9) fe0-4,ss[%] 6.72(119) 1.50(100)
a)中央値(範囲) b)n=12
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<チオトロピウムとオロダテロールの相互作用>
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COPD患者に、チオトロピウム5μg及びオロダテロール10μg注)を1日1回3週間反復吸入投与したとき、チオトロピウム及びオロダテロールとも、単独投与時と比較して顕著な薬物相互作用は認められなかった2)(外国人データ)。 注)本剤の承認された用法及び用量は、通常、成人には1回2吸入(チオトロピウムとして5μg及びオロダテロールとして5μg)を1日1回吸入投与である。
16.2 吸収
チオトロピウム(吸入液剤)を健康成人に吸入投与したとき、投与量の33%が全身循環血中に吸収されることが尿中排泄データから示された3),4)(外国人データ)。 オロダテロールを健康成人に吸入投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは、約30%と推定された5),6)(外国人データ)。
16.3 分布
チオトロピウムの血漿蛋白との結合率(in vitro試験)は72%で7) 、分布容積は32L/kgであった4)(外国人データ)。 オロダテロールの血漿蛋白との結合率(in vitro試験)は約60%で8) 、分布容積は1110Lであった6)(外国人データ)。
16.4 代謝
健康成人にチオトロピウムを静脈内投与注)したとき、チオトロピウムの代謝はわずかであった4)。エステル化合物であるチオトロピウム臭化物は、非酵素的にエステル結合が加水分解され、N-メチルスコピン及びジチニールグリコール酸の生成がみられた9)。また、ヒト肝ミクロソーム及びヒト肝細胞を用いた試験でチトクロームP-450によって酸化された代謝物及びそのグルタチオン抱合体がわずかにみられ10),11)、この代謝はCYP2D6及び3A4の阻害薬により抑制された10)(外国人データ)。 In vivo試験において、オロダテロールの主な代謝経路は直接的なグルクロン酸抱合化及びメトキシ部分のO-脱メチル化であった12)。オロダテロールのO-脱メチル化には、CYP2C8及びCYP2C9が関与しており13)、オロダテロールのグルクロン酸抱合体生成には、UDPグルクロン酸転移酵素UGT1A1、UGT1A7、UGT1A9及びUGT2B7が関与していた14)。 注)本剤の承認された用法及び用量は、通常、成人には1回2吸入(チオトロピウムとして5μg及びオロダテロールとして5μg)を1日1回吸入投与である。
16.5 排泄
健康成人にチオトロピウムを静脈内投与注)したとき、全身クリアランスは880mL/minで、尿中未変化体排泄率は74%であった4)。 健康成人にオロダテロールを静脈内持続投与注)したとき、全身クリアランスは872mL/minであった6)(外国人データ)。 健康成人に[14C]標識オロダテロールを静脈内投与注)したとき、投与した放射能の38%が尿中に、53%が糞中に排泄された。静脈内投与時の尿中未変化体排泄率は19%であり、6日以内に投与した放射能の90%以上が排泄された6)(外国人データ)。 注)本剤の承認された用法及び用量は、通常、成人には1回2吸入(チオトロピウムとして5μg及びオロダテロールとして5μg)を1日1回吸入投与である。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能低下患者
軽度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランスが50~80mL/minの患者)では、チオトロピウム4.8μgを静脈内投与注)後のAUC0-4hは健康成人に比較して39%高い値を示した15)。また、高度あるいは中等度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランスが50mL/min未満の患者)では血漿中未変化体濃度は約2倍高い値を示した(AUC0-4hは82%高かった)(外国人データ)。 高度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランスが30mL/min未満)では、オロダテロールを単回吸入投与注)したときのAUC0-4hは健康成人に比較して約40%増加した16)(外国人データ)。
- 16.6.2肝機能低下患者
オロダテロールのCmax及びAUC(投与量補正値)の肝機能障害患者/健康成人の比(90%信頼区間)は、軽度で112%(84%~151%)及び97%(75%~125%)、中等度で99%(73%~135%)及び105%(79%~140%)であった17)(外国人データ)。
- 16.6.3高齢者
高齢者にチオトロピウム(粉末吸入剤)を吸入投与したとき、チオトロピウムの腎クリアランスは低下した(腎クリアランスは58歳以下のCOPD患者で326mL/min、69歳以上のCOPD患者で163mL/min)が、これは加齢に伴う腎機能の低下によるものと考えられた18)(外国人データ)。 一方、チオトロピウム(粉末吸入剤)を1日1回反復吸入投与後のAUC0-4h(幾何平均値[範囲])は、非高齢者では18.2(10.0~61.7)pg・h/mL、高齢者では26.1(10.5~56.0)pg・h/mLで、高齢者で非高齢者に比較して高かったが、個体間変動を考慮すると、血中濃度に加齢による大きな差はないと考えられた18)(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
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オロダテロールとフルコナゾール19)
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健康成人にオロダテロール10μg注)(吸入投与)とフルコナゾール400mg(経口投与)を1日1回14日間併用したとき、オロダテロールのCmax及びAUCの併用時/非併用時の比(90%信頼区間)は、それぞれ109%(102%~117%)及び113%(106%~121%)であった(外国人データ)。
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オロダテロールとケトコナゾール20)
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健康成人にオロダテロール10μg注)(吸入投与)とケトコナゾール400mg(経口投与)を1日1回14日間併用したとき、オロダテロールのCmaxが66%、AUCが68%上昇した(外国人データ)。
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注)本剤の承認された用法及び用量は、通常、成人には1回2吸入(チオトロピウムとして5μg及びオロダテロールとして5μg)を1日1回吸入投与である。
16.8 その他
- 16.8.1心電図への影響
日本人COPD患者に本剤を3週間投与したときのベースラインからのQTcF間隔の変化量の平均値は-7.6(投与15分前)~-2.3ms(投与後1時間)であった1)。