ロクロニウム臭化物又はベクロニウム臭化物による筋弛緩状態からの回復
スガマデクス静注液200mgシリンジ「ニプロ」
スガマデクスナトリウム注射液
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはスガマデクスとして、浅い筋弛緩状態(筋弛緩モニターにおいて四連(TOF)刺激による2回目の収縮反応(T2)の再出現を確認した後)では1回2mg/kgを、深い筋弛緩状態(筋弛緩モニターにおいてポスト・テタニック・カウント(PTC)刺激による1~2回の単収縮反応(1-2PTC)の出現を確認した後)では1回4mg/kgを静脈内投与する。また、ロクロニウム臭化物の挿管用量投与直後に緊急に筋弛緩状態からの回復を必要とする場合、通常、成人にはスガマデクスとして、ロクロニウム臭化物投与3分後を目安に1回16mg/kgを静脈内投与する。
使用上の注意
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8.1筋弛緩及び筋弛緩の回復の程度を客観的に評価し、本剤を安全かつ適切に使用するために、筋弛緩モニターを可能な限り行うこと。
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8.2挿管困難が予測される患者に対しては、気道確保の方法について予め十分に検討を行い、緊急に筋弛緩状態からの回復を必要とする場合の本剤16mg/kgの投与は、必要最小限の使用に留めること。
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8.3自発呼吸が回復するまで必ず調節呼吸を行うこと(ガス麻酔器又は人工呼吸器を使用すること)。
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8.4筋弛緩作用の残存による呼吸抑制、誤嚥等の合併症を防止するため、患者の筋弛緩が十分に回復したことを確認した後に抜管すること。また、抜管後も筋弛緩作用の再発が起きるおそれがあるので患者の観察を十分に行うこと。
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8.5維持麻酔中に本剤を投与すると、浅麻酔となっている場合には、四肢や体幹の動き、バッキングなどが起こることがあるので、必要に応じて麻酔薬又はオピオイドを追加投与すること。
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8.6手術後にロクロニウム臭化物及びベクロニウム臭化物の筋弛緩作用を増強する薬剤を併用する際は筋弛緩の再発に注意し、筋弛緩の再発が発現した場合は、人工呼吸など適切な処置を行うこと。
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8.7本剤の投与後に筋弛緩剤を再投与する必要が生じた場合、再投与する筋弛緩剤の作用発現時間の遅延が認められるおそれがあるので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること1),2)。
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8.8本剤投与後数分以内に心室細動、心室頻拍、心停止、高度徐脈があらわれることがあるので、循環動態の観察を十分に行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1心拍出量の低下のある患者
筋弛緩からの回復が遅延するおそれがある。
- 9.1.2浮腫性疾患の患者
筋弛緩からの回復が遅延するおそれがある。
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9.1.3アレルギー素因のある患者
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9.1.4呼吸器疾患の既往歴のある患者
気管支痙攣を起こすおそれがある。
- 9.1.5血液凝固障害を伴う患者
健康成人を対象とした海外試験において活性化部分トロンボプラスチン時間又はプロトロンビン時間の一過性の延長が認められている3)。
9.2 腎機能障害患者
本剤は腎排泄されるため、排泄が遅延するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている4)。
9.7 小児等
国内において、小児等を対象とした臨床試験は実施していない5)。
9.8 高齢者
筋弛緩からの回復が遅延するおそれがある。外国の臨床試験において、高齢者で回復時間がわずかに遅延する傾向が認められた。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| トレミフェン | 筋弛緩状態からの回復の遅延又は筋弛緩の再発が生じるおそれがあるので、本剤投与後6時間以降に投与すること。 | 本剤に包接されたロクロニウム臭化物又はベクロニウム臭化物と置換し、ロクロニウム臭化物又はベクロニウム臭化物の血中濃度が上昇することがある。 |
| 経口避妊剤 • ノルエチステロン・エチニルエストラジオール等 |
経口避妊剤の作用が減弱することがある。経口避妊剤服用当日に本剤が投与された場合は飲み忘れた場合と同様の措置を講じること。 | 本剤と包接体を形成し、経口避妊剤の血中濃度が低下することがある。 |
| 抗凝固剤 • ワルファリン等 |
本剤との併用により、抗凝固作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を観察するとともに血液凝固に関する検査値に注意すること。 | 作用機序は不明であるが、海外試験において、本剤4mg/kgと抗凝固剤の併用中に活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)又はプロトロンビン時間(PT)の軽度で一過性の延長が認められている。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| β-N-アセチル-D-グルコサミニダーゼ増加 | 1%未満 |
| そう痒 | 頻度不明 |
| 低血圧 | 1%未満 |
| 体動 | 1%未満 |
| 味覚異常 | 1%未満 |
| 咳嗽 | 1〜5%未満 |
| 嘔吐 | 1〜5%未満 |
| 尿中β2-ミクログロブリン増加 | 1%未満 |
| 尿中アルブミン陽性 | 1%未満 |
| 徐脈 | 1%未満 |
| 悪寒 | 1%未満 |
| 悪心 | 1〜5%未満 |
| 浮動性めまい | 1%未満 |
| 潮紅 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 筋力低下 | 1%未満 |
| 頻脈 | 1%未満 |
| 高血圧 | 1%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
スガマデクスナトリウムは、γ-シクロデキストリンを修飾した選択的筋弛緩剤結合剤である。血漿中で筋弛緩剤のロクロニウム臭化物又はベクロニウム臭化物と包接体を形成し、神経筋接合部のニコチン受容体と結合可能な筋弛緩剤の濃度を減少させる。この結果、ロクロニウム臭化物又はベクロニウム臭化物による筋弛緩作用が阻害される32)。
18.2 筋弛緩剤との親和性
スガマデクスナトリウムは、ステロイド系筋弛緩剤であるロクロニウム臭化物及びベクロニウム臭化物に対して非常に高い親和性を示した(結合定数はそれぞれ15.1及び8.8×106M-1)が、スキサメトニウム塩化物水和物に対する親和性は認められなかった33)。
18.3 筋弛緩回復作用
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18.3.1ロクロニウム臭化物又はベクロニウム臭化物がスガマデクスナトリウムに包接されることにより、筋弛緩剤の作用が阻害され、筋弛緩状態からの回復が得られる。In vitro試験において、スガマデクスナトリウムは、ロクロニウム臭化物及びベクロニウム臭化物による筋弛緩を回復させた34),35)。
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18.3.2ロクロニウム臭化物又はベクロニウム臭化物の持続注入により、サル拇指内転筋のTOF反応の最初の反応T1が90%抑制される筋弛緩状態に維持し、持続注入の停止後に自然回復させた場合と、460nmol/kgのスガマデクスナトリウムを投与した場合の、TOF比(T4/T1の比)0.9に回復するまでの時間を比較した。TOF比(T4/T1の比)0.9に回復するまでの時間は、ロクロニウム臭化物による筋弛緩に対して、自然回復で14.5±1.1分、スガマデクスナトリウム投与後1.9±0.5分(平均値±標準誤差、n=4)であった。また、ベクロニウム臭化物による筋弛緩に対して、自然回復で23.1±1.8分、スガマデクスナトリウム投与後4.4±0.6分(n=4)であった36),37)。
-
18.3.3サルにED90(単収縮高を90%抑制する用量)の5倍用量のロクロニウム臭化物(800nmol/kg)又はベクロニウム臭化物(70nmol/kg)を投与し、拇指内転筋に深い筋弛緩を引き起こした後、生理食塩水又は1,150nmol/kg(ロクロニウム臭化物の約1.4倍、ベクロニウム臭化物の約16.4倍の濃度)のスガマデクスナトリウムを投与した(n=4)。ロクロニウム臭化物による筋弛緩に対し、TOF比(T4/T1の比)0.9に回復するまでの時間は、生理食塩水投与後28.2±3.4分(平均値±標準誤差)であったのに対し、スガマデクスナトリウム投与後7.9±1.8分と有意に短縮した。一方、ベクロニウム臭化物による筋弛緩に対し、TOF比(T4/T1の比)0.9に回復するまでの時間は、生理食塩水投与後49.0±4.7分であったのに対し、スガマデクスナトリウム投与後48.6±8.3分であった38)。
薬物動態
16.1 血中濃度
日本人健康成人にスガマデクスナトリウムを非麻酔下で単回静脈内投与したときの薬物動態パラメータは表1のとおりであった7),8)。
| 投与量 (mg/kg)注1) |
症例数 | AUC0-∞ (μg・min/mL) |
CL (mL/min) |
Vss (mL) |
t1/2 (min) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 14 | 561 [14.2] |
106 [16.7] |
12,071 [13.5] |
107 [13.9] |
| 8 | 14 | 4,604 [10.0] |
103 [9.02] |
11,799 [15.5] |
132 [17.5] |
| 16 | 14 | 9,670 [13.5] |
98.4 [15.5] |
11,370 [15.0] |
143 [22.5] |
幾何平均値[幾何CV(%)]
注1)スガマデクスとしての投与量
16.3 分布
- 16.3.1血漿タンパク及び赤血球への結合
スガマデクスは、ヒト血漿タンパク(薬物濃度:0~125μM)及び赤血球(薬物濃度:0~250μM)と結合しない9),10)(in vitro)。
16.4 代謝
健康成人6例に14C-スガマデクスナトリウム4mg/kgを非麻酔下で単回静脈内投与したとき、血漿中放射能の99.9%が未変化体であった8),11)(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人6例に14C-スガマデクスナトリウム4mg/kgを非麻酔下で単回静脈内投与したとき、投与放射能の約90%が投与24時間以内に尿中に排泄された8),11)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
重度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス30mL/min未満、透析患者を含む)又は腎機能正常患者(クレアチニンクリアランス80mL/min以上)に麻酔下でスガマデクスナトリウム(スガマデクスとして2mg/kg)を単回静脈内投与したときの薬物動態パラメータは表2のとおりであった12),13)。別の試験において、重度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)、中等度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス30~50mL/min)又は腎機能正常患者(クレアチニンクリアランス80mL/min以上)に非麻酔下でスガマデクスナトリウム(スガマデクスとして4mg/kg)を単回静脈内投与したときの薬物動態パラメータは表2のとおりであった14)(外国人データ)。
| 投与量 (mg/kg)注2) |
腎機能障害の程度 | 症例数 | AUC0-∞ (μg・min/mL) |
CL (mL/min) |
Vss (mL) |
t1/2 (min) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2 | 腎機能正常患者 | 13 | 1,728 [34.8] |
95.2 [22.1] |
13,800 [20.5] |
139 [44.4] |
| 重度腎機能障害患者注3) | 13 | 27,463 [114] |
5.53 [108] |
15,986 [35.5] |
2,139 [121] |
|
| 4 | 腎機能正常患者 | 6 | 3,750 | 95.0 [16.0] |
148 [13.5] |
|
| 中等度腎機能障害患者 | 6 | 9,060 | 37.8 [39.6] |
344 [29.8] |
||
| 重度腎機能障害患者 | 6 | 20,340 | 16.0 [26.8] |
794 [35.5] |
幾何平均値[幾何CV(%)]
注2)スガマデクスとしての投与量
注3)透析患者9例を含む
臨床試験において、スガマデクスナトリウムの血漿中濃度はhigh-flux膜による平均6時間の透析により約70%減少した。low-flux膜ではスガマデクスナトリウムは除去されなかった15)。