Clinical snapshot

サラジェン顆粒0.5%

ピロカルピン塩酸塩顆粒

添付文書改訂 2023年05月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者[冠状動脈硬化に伴う狭窄所見を冠状動脈攣縮により増強し、虚血性心疾患の病態を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患の患者[気道抵抗や気管支平滑筋の緊張増大及び気管支粘液分泌亢進のため、症状を悪化させるおそれがある。]

  3. 2.3消化管及び膀胱頸部に閉塞のある患者[消化管又は膀胱筋を収縮又は緊張させ、症状を悪化させるおそれがある。]

  4. 2.4てんかんのある患者[てんかん発作をおこすおそれがある。]

  5. 2.5パーキンソニズム又はパーキンソン病の患者[パーキンソニズム又はパーキンソン病の症状を悪化させるおそれがある。]

  6. 2.6虹彩炎の患者[縮瞳が症状を悪化させるおそれがある。]

  7. 2.7本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

○頭頸部の放射線治療に伴う口腔乾燥症状の改善

○シェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状の改善

用法・用量

通常、成人にはピロカルピン塩酸塩として1回5mgを1日3回、食後に経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1縮瞳を起こすおそれがあるので、投与中の患者には夜間の自動車の運転及び暗所での危険を伴う機械の操作に注意させること。

  2. 8.2本剤投与中、過度に発汗し十分な水分補給が出来ない場合には脱水症状を引き起こす可能性があるので、このような状況が考えられる患者には担当医師に相談させること。

  3. 8.3本剤を12週間投与して効果が認められない場合には、その後の経過を十分に観察し、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1高度の唾液腺腫脹及び唾液腺の疼痛を有する患者

症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2間質性肺炎の患者

間質性肺炎を増悪する可能性がある。

  1. 9.1.3膵炎の患者

膵液の分泌が亢進し、症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.4過敏性腸疾患の患者

腸管運動が亢進し、症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.5消化性潰瘍の患者

消化液の分泌が亢進し、症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.6胆のう障害又は胆石のある患者

胆管を収縮させ、症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.7尿路結石又は腎結石のある患者

尿管及び尿道を収縮させ、症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.8前立腺肥大に伴う排尿障害のある患者

膀胱筋を収縮又は緊張させ、排尿障害を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.9甲状腺機能亢進症の患者

心血管系に作用し、不整脈又は心房細動を起こすおそれがある。

  1. 9.1.10全身性進行性硬化症の患者

心血管系、消化器系に作用し、症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.11迷走神経緊張症のある患者

迷走神経の緊張を増強させるおそれがある。

  1. 9.1.12認識力の障害又は精神障害のある患者

一般にコリン作動薬は、用量依存的に中枢神経系に作用する可能性がある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1中等度又は高度の肝機能低下患者

高い血中濃度が持続し、副作用の発現率が高まるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)において死産頻度の増加、新生児の生存率低下、平均体重の減少及び骨化遅延の発生頻度の増加が認められている。また、動物実験(ラット)で、受胎率の低下が認められている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、乳汁中への移行が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

  • 本剤の主代謝経路は、血漿中のエステラーゼによる加水分解と、チトクロームP450 2A6(CYP2A6)による酸化である。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
コリン作動薬
アセチルコリン塩化物
ベタネコール塩化物 等
コリンエステラーゼ阻害薬
ネオスチグミン
アンベノニウム塩化物 等
アセチルコリン放出促進作用を有する薬剤
モサプリド 等
本剤又はこれらの薬剤の作用が増強されることがある。 ムスカリン様作用が増強される。
抗コリン作動薬
アトロピン硫酸塩水和物
スコポラミン臭化水素酸塩水和物 等
本剤又はこれらの薬剤の作用が減弱されることがある。 本剤の作用に拮抗する。
抗コリン作用を有する薬剤
フェノチアジン系抗精神病薬
クロルプロマジン 等
三環系抗うつ薬
アミトリプチリン塩酸塩
イミプラミン塩酸塩 等
本剤の作用が減弱されることがある。 本剤の作用に拮抗する。
CYP2A6で主に代謝されて活性化する薬剤
テガフール製剤
テガフールの活性本体である5-FUの作用が減弱される可能性がある。 本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2A6を競合的に阻害することにより、テガフールの活性本体である5-FUの生成が減少し、5-FUの血中濃度が低下するおそれがある。
CYP2A6で主に代謝される薬剤
レトロゾール 等
これらの薬剤の作用が増強される可能性がある。 本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2A6を競合的に阻害することにより、レトロゾールなどの血中濃度が上昇するおそれがある。
CYP2A6阻害剤
メトキサレン 等
本剤の作用が増強される可能性がある。 メトキサレンなどが薬物代謝酵素CYP2A6を阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
潜在的に心毒性を有する抗悪性腫瘍剤
アントラサイクリン系薬剤 等
これらの薬剤を併用する場合は、本剤の循環器系への作用がこれらの薬剤が有する心筋障害を誘発するおそれがあるので、慎重に投与すること。 心筋に対する蓄積毒性が誘発されるおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1〜5%未満
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
BUN上昇 1〜5%未満
LDH上昇 1〜5%未満
ST低下 1%未満
γ-GTP上昇 1〜5%未満
アミラーゼ上昇 1%未満
アミラーゼ低下 1%未満
アルブミン減少 1%未満
うつ病 1%未満
かぜ症候群 1〜5%未満
カリウム上昇 1%未満
カリウム低下 1%未満
クレアチニン上昇 1%未満
クロライド上昇 1%未満
しびれ 1〜5%未満
しゃっくり 1%未満
そう痒感 1〜5%未満
トリグリセリド上昇 5%以上
ナトリウム上昇 1%未満
ナトリウム低下 1%未満
ヘマトクリット減少 1〜5%未満
ほてり 5%以上
めまい 1〜5%未満
メレナ 1%未満
リンパ球減少 1%未満
上室性期外収縮 1%未満
下痢 5%以上
下肢痛 1%未満
下腹部痛 1〜5%未満
不整脈 1%未満
不眠 1〜5%未満
中耳炎 1%未満
低血圧 1%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
傾眠 1〜5%未満
冷感 1%未満
前立腺肥大 1%未満
副鼻腔炎 1%未満
単球増多 1%未満
単純疱疹 1%未満
口内乾燥 1%未満
口内炎 1〜5%未満
口唇炎 1%未満
口唇腫脹 1%未満
口角炎 1%未満
味覚異常 1%未満
呼吸困難 1%未満
1〜5%未満
咽頭炎 1%未満
咽頭異和感 1%未満
咽頭痛 1〜5%未満
唾液分泌過多 1%未満
唾液腺炎 1%未満
唾液腺痛 1〜5%未満
唾液腺腫大 1%未満
喀痰増加 1%未満
喀血 1%未満
嗄声 1%未満
嘔吐 1〜5%未満
嘔気 5%以上
四肢冷感 1%未満
多汗 5%以上
夜間頻尿 1%未満
好中球増多 1%未満
好中球減少 1%未満
好酸球増多 1%未満
尿ウロビリノゲン陽性 1%未満
尿失禁 1%未満
尿潜血陽性 1〜5%未満
尿糖陽性 1%未満
尿蛋白陽性 1%未満
尿路感染 1%未満
尿酸上昇 1%未満
尿量増加 1%未満
帯状疱疹 1%未満
心悸亢進 1〜5%未満
心窩部痛 1%未満
悪寒 1〜5%未満
意識低下 1%未満
手指のこわばり 1%未満
振戦 1%未満
排便回数増加 1%未満
排尿困難 1%未満
排尿痛 1%未満
排尿障害 1%未満
月経異常 1%未満
末梢性浮腫 1%未満
歯痛 1%未満
歯肉炎 1%未満
歯肉腫脹 1%未満
残尿感 1%未満
汗疹 1%未満
流涙 1%未満
浮腫 1%未満
消化不良 1〜5%未満
湿疹 1%未満
疲労 1%未満
疼痛 1%未満
発熱 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
発赤 1%未満
白血球数増多 1%未満
白血球数減少 1〜5%未満
皮膚炎 1%未満
眼球乾燥 1%未満
眼痛 1%未満
眼瞼炎 1%未満
眼瞼腫脹 1%未満
筋肉痛 1%未満
総コレステロール上昇 1〜5%未満
総コレステロール低下 1%未満
総ビリルビン上昇 1%未満
総蛋白上昇 1%未満
総蛋白減少 1%未満
耳痛 1%未満
耳鳴 1〜5%未満
肛門周囲炎 1%未満
肝機能異常 1%未満
肩こり 1%未満
肺炎 1%未満
胃不快感 1〜5%未満
胃炎 1%未満
胃痛 1〜5%未満
胃重感 1%未満
背部痛 1%未満
胸痛 1〜5%未満
脂漏 1%未満
脱力感 1%未満
腰椎部椎間板病変 1%未満
腰痛 1%未満
腸炎 1%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部不快感 1%未満
腹部膨満 1〜5%未満
腹鳴 1%未満
膀胱炎 1%未満
舌炎 1%未満
舌麻痺 1%未満
蕁麻疹 1%未満
血小板数減少 1%未満
血色素量減少 1〜5%未満
視力異常 1〜5%未満
赤血球数減少 1〜5%未満
関節痛 1〜5%未満
難聴 1%未満
頭痛 5%以上
頸肩痛 1%未満
頸部痛 1%未満
頸部硬直 1%未満
頻尿 5%以上
頻脈 1%未満
顔面浮腫 1%未満
食欲不振 1〜5%未満
食道炎 1%未満
高血圧 1〜5%未満
鼓腸放屁 1%未満
鼻出血 1%未満
鼻炎 5%以上

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ピロカルピン塩酸塩は唾液腺腺房細胞のムスカリン(M3)受容体を刺激して、細胞内カルシウムを増加させ、腺腔内への水及び顆粒タンパクの分泌を亢進することにより、唾液分泌を促進する13)。

18.2 唾液分泌促進作用

本剤は、正常動物(マウス、ラット、イヌ)、X線照射による唾液分泌不全モデルラット及びシェーグレン症候群モデルマウスにおいて、十二指腸内投与により用量依存的な唾液分泌促進作用を示した14),15),16)。

18.3 ムスカリン受容体への作用

In vitro試験において、本剤による唾液分泌促進作用は選択的ムスカリンM3受容体遮断薬により著明に抑制された15),17)。In vitro試験において、本剤はヒト及びラットムスカリン受容体サブタイプ(M1、M2及びM3)に対しほぼ同等の親和性を示した15),16)。

18.4 カルシウム濃度上昇作用

In vitro試験において、本剤の刺激によりラット耳下腺細胞の細胞内カルシウム濃度は上昇した18)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1生物学的同等性試験(顆粒、錠)

健康成人男性にサラジェン顆粒0.5%又はピロカルピン塩酸塩錠5mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1g又は1錠(ピロカルピン塩酸塩として5mg)を空腹時に経口投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.8)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された1)。

AUC0-24
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
サラジェン
顆粒0.5%
70.73±
33.55
28.27±
8.34
0.741±
0.287
1.566±
0.310
ピロカルピン
塩酸塩錠5mg
68.05±
33.30
27.01±
8.68
0.957±
0.335
1.536±
0.310

(n=29、平均値±標準偏差)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

健康成人男性にピロカルピン塩酸塩錠5mgを食直後に単回経口投与すると、血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは空腹時とほぼ同様であり、食事摂取による大きな影響は認められなかった2)。

投与時期 Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
AUC0-inf
(ng・hr/mL)
空腹時 25.43±7.66 1.04±0.38 1.68±0.60 88.14±41.96
食直後 22.88±4.34 1.34±0.52 1.44±0.55 80.39±33.54

(n=8、平均値±標準偏差)

16.4 代謝

ピロカルピンのピロカルピン酸への加水分解には主に血漿中のエステラーゼが、また、3α-ヒドロキシ体への酸化にはCYP2A6が寄与することがin vitro試験により推定されている3),4)。

ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験において、ピロカルピンはCYP2A6に対して競合阻害を示し、Ki値は4.08μMであった5),6)。

16.5 排泄

健康成人男性にピロカルピン塩酸塩錠5mgを空腹時に単回経口投与したとき、48時間までにピロカルピン、ピロカルピン酸及び3α-ヒドロキシ体としてそれぞれ投与量の約22%、27%及び20%、計約68%が尿中に排泄され、この大部分が投与後8時間までに排泄された2)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

血液透析を受けていない成人腎機能低下者8例にピロカルピン塩酸塩錠5mgを単回経口投与したとき、クレアチニンクリアランスと各薬物動態パラメータとの間に有意な相関は認められなかった7)(外国人データ)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

成人肝機能正常者6例及び肝機能低下者12例(Child-Pugh分類A:9例、B:3例)にピロカルピン塩酸塩錠5mgを単回経口投与したとき、正常者に比べ肝機能低下者のCmax、AUC0-infは増加し、経口クリアランス(CLtot/F)は低下した8)(外国人データ)。

Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
AUC0-inf
(ng・hr/mL)
肝機能正常者 25.0±7.3 1.00±0.41 1.27±0.18 57.50±18.10
肝機能低下者 33.1±9.5 0.89±0.32 2.09±1.13 108.42±54.24

(n=6又は12、平均値±標準偏差)