Clinical snapshot

コセルゴ顆粒5mg

セルメチニブ硫酸塩

添付文書改訂 2025年09月01日

【警告】

  • 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と神経線維腫症1型の治療の十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  3. 2.3重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者

効能・効果

神経線維腫症1型における叢状神経線維腫

用法・用量

通常、小児にはセルメチニブとして1回25mg/m2(体表面積)を1日2回経口投与するが、患者の状態により適宜減量する。ただし、1回量は50mgを上限とする。

使用上の注意

  1. 8.1心機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(LVEFの変動を含む)を確認すること。

  2. 8.2眼障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に眼の異常の有無を確認すること。また、眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

  3. 8.3肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うこと。

  4. 8.4横紋筋融解症、ミオパチーがあらわれることがあるので、本剤投与中は定期的にCK、クレアチニン等の検査を行い、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等に十分注意すること。

  5. 8.5貧血、ヘモグロビン減少、好中球減少、リンパ球減少、血小板減少があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心疾患又はその既往歴のある患者

症状が悪化するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類C)

投与しないこと。本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。

  1. 9.3.2中等度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)

本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後1ヵ月間は適切な避妊を行うよう指導すること。

  2. 9.4.2パートナーが妊娠する可能性がある男性に対しては、本剤投与中及び投与終了後1週間は適切な避妊を行うよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。マウスを用いた胚・胎児発生に関する試験では、胚・胎児死亡、催奇形性、胎児重量の減少が認められ、臨床曝露量(25mg/m2 1日2回投与、初回投与時)に対する安全域は2.8倍であった。マウスを用いた出生前及び出生後の発生に関する試験では、出生児に未成熟な開眼及び口蓋裂等の奇形が認められ、臨床曝露量(25mg/m2 1日2回投与、初回投与時)に対する安全域は0.4倍未満であった。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。本剤又は本剤の代謝物がヒトの母乳中に移行するかどうかは不明であるが、動物試験(マウス)で授乳中の母動物へ本剤を投与した際、本剤及び本剤の代謝物が乳汁中に排泄されることが認められている。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児、乳児又は体表面積0.40m2未満の小児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • 本剤は、主にCYP3Aにより代謝され、CYP2C19も関与する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 強い又は中程度のCYP3A阻害剤• クラリスロマイシン
• エリスロマイシン
• イトラコナゾール等
• グレープフルーツジュース
本剤の副作用が増強されるおそれがあるため、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。
やむを得ず併用する場合には、減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
• フルコナゾール 本剤の副作用が増強されるおそれがあるため、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。
やむを得ず併用する場合には、減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
CYP2C19及びCYP3Aを阻害することにより、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
• 強い又は中程度のCYP3A誘導剤• フェニトイン
• リファンピシン
• カルバマゼピン等
本剤の効果が減弱するおそれがあるため、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。 これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の代謝が促進され、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
• セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 本剤の効果が減弱するおそれがあるため、摂取しないよう注意すること。 これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の代謝が促進され、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ざ瘡様皮膚炎(46.4%) 頻度不明
低アルブミン血症 頻度不明
便秘 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
爪囲炎 頻度不明
疲労・無力症 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
脱毛・毛髪変色 頻度不明
血中CK増加(40.9 %) 頻度不明
血中クレアチニン増加 頻度不明
霧視 頻度不明
顔面浮腫 頻度不明
高血圧 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

セルメチニブは、MEK1/2を阻害することにより、MEKの基質であるERKのリン酸化を阻害し、RASにより調節されるRAF/MEK/ERK経路のシグナル伝達を抑制することで、NF1における神経線維腫の増殖を抑制すると考えられる11)。

18.2 神経線維腫の増殖抑制作用

シュワン細胞特異的にNF1遺伝子を欠失させた遺伝子改変マウス神経線維腫モデルにおいて、セルメチニブは神経線維腫組織内におけるERKのリン酸化を阻害し、神経線維腫の増殖を抑制した12)。

薬物動態

16.1 血中濃度

1歳以上7歳未満の叢状神経線維腫を有する神経線維腫症1型患者36例に本剤25mg/m2を1日2回反復経口投与したとき、投与1日目及び29日目のセルメチニブ及び活性代謝物であるN-脱メチル体の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。

1歳以上7歳未満の叢状神経線維腫を有する神経線維腫症1型患者に本剤25mg/m2を1日2回反復経口投与したときの血漿中濃度推移(算術平均値+標準偏差)

測定
対象
測定
患者
集団
例数 Cmax
(ng/mL)
Tmaxa)
(h)
AUC0-12h
(ng・h/mL)
T1/2 b)
(h)
セルメ
チニブ
投与
1日目
全体 32 516.1
(52.17)
1.99
[0.83, 3.88]
1755
(27.94)
8.539
±6.167c)
日本人 4 618.4
(76.36)
2.47
[1.02, 2.95]
1526
(25.09)
9.060
±3.571d)
投与
29日目
全体 33 655.3
(54.36)
2.00
[0.92, 4.07]
2490
(50.69)
日本人 4 644.2
(23.68)
1.05
[0.97, 2.00]
1952
(32.08)
N-脱
メチル
投与
1日目
全体 32 36.95
(49.93)
2.00
[0.83, 5.87]
140.8
(30.03)c)
5.964
±6.591c)
日本人 4 43.11
(54.06)
2.47
[1.02, 2.95]
118.1
(19.56)
3.972
±2.813
投与
29日目
全体 33 38.16
(47.75)
2.00
[0.92, 4.07]
159.5
(35.87)e)
日本人 4 43.20
(19.56)
1.56
[0.98, 2.00]
143.3
(14.64)

幾何平均値(変動係数%)、―:評価せず

a)中央値 [範囲]、b)算術平均値±標準偏差、c)30例、d)3例、e)32例

16.2 吸収

  1. 16.2.1相対的バイオアベイラビリティ

健康成人24例に本剤25mgを空腹時に単回経口投与したとき、セルメチニブカプセル50mgを空腹時に単回経口投与したときと比較して、投与量で補正したCmaxの幾何平均比は65.4%(90%信頼区間:58.1%~73.6%)、AUCinfの幾何平均比は86.5%(90%信頼区間:81.1%~92.2%)であり、Tmaxは約0.6時間延長した2)(外国人データ)。

  1. 16.2.2食事の影響

健康成人24例に本剤25mgを低脂肪食の摂取後に単回経口投与したとき、絶食下投与と比較して、Cmaxは39.5%低下し、AUCinfは3.5%低下し、Tmaxは約1.3時間延長した2)(外国人データ)。

16.3 分布

In vitro試験において、セルメチニブのヒト血漿蛋白結合率は98.4%であった。セルメチニブは主にヒト血清アルブミンに対して結合し(96.1%)、α1-酸性糖蛋白への結合率は27.2%であった3)。

16.4 代謝

セルメチニブは主にCYP3Aにより代謝され、CYP2C19も関与する(代謝における推定寄与率:25%及び15%4))。また、セルメチニブのグルクロン酸抱合にはUGT1A1及びUGT1A3が寄与することが示唆された。

健康成人6例にセルメチニブの14C標識体75mgを単回経口投与したとき注5)、ヒト血漿中の主なセルメチニブ関連成分は、未変化体のセルメチニブ(投与放射能の約40%)、イミダゾインダゾール体のグルクロン酸抱合体(22%)であった。その他、セルメチニブのグルクロン酸抱合体(7%)、N-脱メチルカルボン酸体(3.6%)、活性代謝物であるN-脱メチル体(2.9%)等が認められた5)(外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人6例にセルメチニブの14C標識体75mgを単回経口投与したとき注5)、投与後9日間で投与量の59%の放射能標識体が糞中から回収され(未変化体は投与量の19%)、33%が尿中から回収された(未変化体は投与量の1%未満)5)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害

腎機能が正常な成人被験者11例及び末期腎不全の成人被験者12例にセルメチニブカプセル50mgを単回経口投与したとき注5)、腎機能が正常な被験者に比べて末期腎不全の被験者では、Cmaxは16%低く、AUCinfは28%低く、非結合形のCmaxは13%高く、非結合形のAUCinfは3%低かった。末期腎不全の被験者におけるN-脱メチル体のAUCinfはセルメチニブの約20%であり、腎機能が正常な被験者よりやや高かった6)(外国人データ)。

  1. 16.6.2肝機能障害

肝機能が正常な成人被験者(8例)及び軽度の肝機能障害を有する成人被験者(Child-Pugh分類A、8例)にセルメチニブカプセル50mgを、中等度の肝機能障害を有する成人被験者(Child-Pugh分類B、8例)にセルメチニブカプセル50mg又は25mgを、並びに重度の肝機能障害を有する成人被験者(Child-Pugh分類C、8例)にセルメチニブカプセル20mgを単回経口投与したとき注5)、肝機能が正常な被験者に比べて軽度の肝機能障害を有する被験者では用量補正AUCinf及び用量補正非結合形AUCinfはそれぞれ86%及び69%であったが、中等度の肝機能障害を有する被験者ではそれぞれ159%及び141%、重度の肝機能障害を有する被験者ではそれぞれ157%及び317%と高かった6)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1イトラコナゾール

健康成人24例にイトラコナゾール(強力なCYP3A阻害剤)200mgを1日2回11日間反復経口投与し、投与8日目にセルメチニブカプセル25mgを単回経口投与したとき注5)、セルメチニブカプセル単独投与時と比較してイトラコナゾール併用時ではCmax及びAUCinfはそれぞれ19%及び49%上昇した7)(外国人データ)。

  1. 16.7.2フルコナゾール

健康成人22例にフルコナゾール(CYP2C19阻害剤かつ中程度のCYP3A阻害剤)を投与1日目に400mgを単回経口投与した後、投与2日目以降は200mgを1日1回10日間反復経口投与し、投与8日目にセルメチニブカプセル25mgを単回経口投与したとき注5)、セルメチニブカプセル単独投与時と比較してフルコナゾール併用時ではCmax及びAUCinfはそれぞれ26%及び53%上昇した7)(外国人データ)。

  1. 16.7.3リファンピシン

健康成人22例にリファンピシン(強力なCYP3A誘導剤)600mgを1日1回11日間反復経口投与し、投与8日目にセルメチニブカプセル75mgを単回経口投与したとき注5)、セルメチニブカプセル単独投与時と比較してリファンピシン併用時ではCmax及びAUCinfはそれぞれ26%及び51%低下した7)(外国人データ)。

  1. 16.7.4エリスロマイシン、ジルチアゼム、エファビレンツ

生理学的薬物速度論モデルによるシミュレーションにおいて、セルメチニブカプセル25mgを単独投与したときに対し注5)、中程度のCYP3A阻害剤であるエリスロマイシン(500mg 1日3回投与)又はジルチアゼム(60mg 1日3回投与)との併用時では、セルメチニブのAUCinf及びCmaxはそれぞれ約30%~40%及び約20%上昇すると推定された。また、本剤75mgを単独投与したときに対し注5)、中程度のCYP3A誘導剤であるエファビレンツ(600mg 1日1回投与)との併用時では、セルメチニブのAUCinf及びCmaxはそれぞれ38%及び22%低下すると推定された4)。

注5)本剤の承認用法及び用量は「通常、小児にはセルメチニブとして1回25mg/m2(体表面積)を1日2回経口投与するが、患者の状態により適宜減量する。ただし、1回量は50mgを上限とする。」である。