Clinical snapshot

エピペン注射液0.15mg

アドレナリン

添付文書改訂 2026年03月01日

【警告】

  1. 1.1本剤を患者に交付する際には、必ずインフォームドコンセントを実施し、本剤交付前に自らが適切に自己注射できるよう、本剤の保存方法、使用方法、使用時に発現する可能性のある副作用等を患者に対して指導し、患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者が理解したことを確認した上で交付すること。本剤を誤った方法で使用すると手指等への誤注射等の重大な事故につながるおそれがある。

  2. 1.2本剤を患者に交付する際には、患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に対して、本剤に関する患者向けの説明文書等を熟読し、また、本剤の練習用エピペントレーナーを用い、日頃から本剤の使用方法について訓練しておくよう指導すること。

  3. 1.3本剤は、アナフィラキシー発現時の緊急補助的治療として使用するものであるので、本剤を患者に交付する際には、医療機関での治療に代わり得るものではなく、本剤使用後には必ず医療機関を受診し、適切な治療を受けるよう指導すること。

  4. 1.4本剤が大量投与又は不慮に静脈内に投与された場合には、急激な血圧上昇により、脳出血を起こす場合があるので、静脈内に投与しないこと。また、患者に対しても投与部位についての適切な指導を行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

イソプレナリン、ノルアドレナリン等のカテコールアミン製剤、アドレナリン作動薬を投与中の患者(ただし、蘇生等の緊急時はこの限りでない)

効能・効果

蜂毒、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る)

用法・用量

通常、アドレナリンとして0.01mg/kgが推奨用量であり、患者の体重を考慮して、アドレナリン0.15mg又は0.3mgを筋肉内注射する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤はアドレナリン受容体作動薬として、α受容体、β受容体それぞれに作用し、その作用は投与量、投与方法等に影響を受けやすいので注意すること。

  2. 8.2*アドレナリンはアナフィラキシーショックの救急治療の第一選択薬であり、ショック時の循環動態を改善するが、その循環動態はショックを起こした原因及び病期により異なることがあるので、治療に際し本剤の選択、使用時期には十分注意すること。

  3. 8.3本剤には昇圧作用のほか血管収縮、気管支拡張作用等もあるので、ショックの初期治療後は他の昇圧薬を用いること。

  4. 8.4過度の昇圧反応を起こすことがあり、急性肺水腫、不整脈、心停止等を起こすおそれがあるので、過量投与にならないよう注意すること。

  5. 8.5本剤を患者に交付する際には、必ずインフォームドコンセントを実施し、本剤の注射により発現する可能性のある副作用及び手指等への誤注射等のリスクについても、十分に説明し指導すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1以下の患者には、ショック等生命の危機に直面しており、緊急時に用いる場合を除き、投与しないこと。

  2. (1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  3. (2)交感神経作動薬に対し過敏な反応を示す患者

アドレナリン受容体が本剤に対し高い感受性を示すおそれがある。

  1. (3)動脈硬化症の患者

本剤の血管収縮作用により、閉塞性血管障害が促進され、冠動脈や脳血管等の攣縮及び基質的閉塞があらわれるおそれがある。

  1. (4)甲状腺機能亢進症の患者

頻脈、心房細動がみられることがあり、本剤の投与により悪化するおそれがある。

  1. (5)糖尿病の患者

肝におけるグリコーゲン分解の促進や、インスリン分泌の抑制により、高血糖を招くおそれがある。

  1. (6)心室性頻拍等の重症不整脈のある患者

本剤のβ刺激作用により、不整脈を悪化させるおそれがある。

  1. (7)精神神経症の患者

一般に交感神経作動薬の中枢神経系の副作用として情緒不安、不眠、錯乱、易刺激性及び精神病的状態等があるので悪化するおそれがある。

  1. (8)コカイン中毒の患者

コカインは、交感神経末端でのカテコールアミンの再取り込みを阻害するので、本剤の作用が増強されるおそれがある。

  1. (9)投与量が0.01mg/kgを超える患者(0.15mg製剤については15kg未満、0.3mg製剤については30kg未満の患者)

過量投与になるので、通常のアドレナリン注射液を用いて治療すること。

  1. 9.1.2高血圧の患者

本剤の血管収縮作用により、急激な血圧上昇があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.3肺気腫のある患者

肺循環障害を増悪させ、右心系への負荷が過重となり、右心不全に陥るおそれがある。

  1. 9.1.4心疾患のある患者

本剤のβ刺激作用により、心疾患を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦、妊娠している可能性のある女性又は産婦には投与しないことが望ましい。胎児の酸素欠乏をもたらしたり、分娩第二期を遅延するおそれがある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児及び乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤の作用に対する感受性が高いことがある。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
イソプレナリン、ノルアドレナリン等のカテコールアミン製剤、アドレナリン作動薬
• プロタノール等
不整脈、場合により心停止があらわれることがある。
蘇生等の緊急時以外には併用しない。
これらの薬剤のβ刺激作用により、交感神経興奮作用が増強すると考えられている。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ハロゲン含有吸入麻酔薬
• ハロタン注1)
イソフルラン注2)
セボフルラン注3)
デスフルラン注4)
頻脈、心室細動発現の危険性が増大する。 これらの薬剤により、心筋のカテコールアミン感受性が亢進すると考えられている。
モノアミン酸化酵素阻害薬 本剤の作用が増強され、血圧の異常上昇をきたすことがある。 本剤の代謝酵素を阻害することにより、カテコールアミン感受性が亢進すると考えられている。
三環系抗うつ薬
• イミプラミン
アミトリプチリン等セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)
• ミルナシプラン等その他の抗うつ薬
• マプロチリン等
本剤の作用が増強され、血圧の異常上昇をきたすことがある。 アドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを遮断し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させると考えられている。
メチルフェニデート 本剤の作用が増強され、血圧の異常上昇をきたすことがある。 アドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを遮断し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させると考えられている。
抗精神病薬
• ブチロフェノン系薬剤
フェノチアジン系薬剤
イミノジベンジル系薬剤
ゾテピン
リスペリドンα遮断薬
本剤の昇圧作用の反転により、低血圧があらわれることがある。 これらの薬剤のα遮断作用により、本剤のβ刺激作用が優位になると考えられている。
分娩促進薬
• オキシトシン等バッカクアルカロイド類
• エルゴタミン等
本剤の作用が増強され、血圧の異常上昇をきたすことがある。 これらの薬剤の血管平滑筋収縮作用により、血圧上昇作用を増強すると考えられている。
ジギタリス製剤 異所性不整脈があらわれることがある。 ともに異所性刺激能を有し、不整脈発現の可能性が高くなると考えられている。
キニジン 心室細動があらわれることがある。 相互に心筋に対する作用を増強すると考えられている。
甲状腺製剤
• チロキシン等
冠不全発作があらわれることがある。 甲状腺ホルモンは心筋のβ受容体を増加させるため、カテコールアミン感受性が亢進すると考えられている。
非選択性β遮断薬
• プロプラノロール
• カルベジロール等
(1)相互の薬剤の効果が減弱する。
(2)血圧上昇、徐脈があらわれることがある。
(1)これらの薬剤のβ遮断作用により本剤の作用が抑制される。また、本剤のβ刺激作用により、これらの薬剤の作用が抑制される。
(2)これらの薬剤のβ遮断作用により、本剤のα刺激作用が優位になると考えられている。
血糖降下薬
• インスリン等
血糖降下薬の作用を減弱させることがある。 本剤の血糖上昇作用によると考えられている。
ブロモクリプチン 血圧上昇、頭痛、痙攣等があらわれることがある。 機序は明らかではないが、本剤の血管収縮作用、血圧上昇作用に影響を及ぼすと考えられている。
利尿剤
チアジド系利尿剤
• トリクロルメチアジド
ヒドロクロロチアジド等チアジド系類似剤
• インダパミド等ループ利尿剤
• フロセミド等カリウム保持性利尿剤
• スピロノラクトン
本剤の作用が減弱することがある。手術前の患者に使用する場合、利尿剤の一時休薬等を行うこと。 本剤の血管反応性を低下させることがある。

注1)ハロタン麻酔中のヒトの50%に心室性期外収縮を誘発するアドレナリン量(粘膜下投与)は2.1μg/kgと報告されている1)。 注2)イソフルラン麻酔中のヒトの50%に心室性期外収縮を誘発するアドレナリン量(粘膜下投与)は6.7μg/kgと報告されている1)。 注3)セボフルラン麻酔中、5μg/kg未満のアドレナリンを粘膜下に投与しても3回以上持続する心室性期外収縮は誘発されなかったが、5μg/kg~14.9μg/kgのアドレナリンを投与した場合、1/3の症例に3回以上持続する心室性期外収縮が誘発された2)。 注4)デスフルラン麻酔中、7.0μg/kg未満のアドレナリンを粘膜下に投与しても3回以上持続する心室性期外収縮は誘発されなかったが、7.0μg/kg~13.0μg/kgのアドレナリンを投与した場合、50%(6/12例)の症例に3回以上持続する心室性期外収縮が誘発された3)。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
めまい 頻度不明
不安 頻度不明
不整脈 頻度不明
心悸亢進 頻度不明
悪心・嘔吐 頻度不明
振戦 頻度不明
熱感 頻度不明
発汗 頻度不明
胸内苦悶 頻度不明
血圧異常上昇 頻度不明
過敏症状等 頻度不明
頭痛 頻度不明
顔面潮紅・蒼白 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は、化学的に合成した副腎髄質ホルモン(アドレナリン)を含有しており、交感神経のα、β受容体に作用する。

18.2 循環器系に対する作用

心臓においては、洞房結節の刺激発生のペースをはやめて心拍数を増加させ、心筋の収縮力を強め、心拍出量を増大するので強心作用をあらわす。血管に対しては、収縮作用と拡張作用の両方をあらわし、心臓の冠動脈を拡張し、皮膚毛細血管を収縮させ末梢抵抗を増加させて血圧を上昇させる5),6)。

18.3 血管以外の平滑筋に対する作用

気管支筋に対して弛緩作用をあらわし、気管支を拡張させて呼吸量を増加させる5),6)。

18.4 その他の作用

喘息において、肥満細胞から抗原誘発性の炎症性物質を遊離することを抑制し、気管支分泌物を減少させ、粘膜の充血を減らす効果もある7)。

薬物動態

16.4 代謝

アドレナリンは交感神経細胞内に取り込まれるかあるいは組織内で主としてカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ、モノアミンオキシダーゼによって速やかにメタネフリン、そのグルクロン酸及び硫酸抱合体、3-メトキシ-4-ヒドロキシマンデル酸等に代謝され、不活化される。

16.5 排泄

アドレナリンは組織に取り込まれ代謝されたのち、大部分が代謝物として尿中に排泄される。