高血圧症
イルアミクス配合錠LD「ダイト」
イルベサルタン・アムロジピンベシル酸塩
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1本剤の成分又はジヒドロピリジン系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性
-
2.3アリスキレンフマル酸塩を投与中の糖尿病患者(ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)
効能・効果
用法・用量
通常、成人には1日1回1錠(イルベサルタン/アムロジピンとして100mg/5mg又は100mg/10mg)を経口投与する。本剤は高血圧治療の第一選択薬として用いない。
使用上の注意
-
8.1本剤はイルベサルタンとアムロジピンの配合剤であり、イルベサルタンとアムロジピン双方の副作用が発現するおそれがあるため、適切に本剤の使用を検討すること。
-
8.2イルベサルタンを含むアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤投与中に重篤な肝機能障害があらわれたとの報告がある。肝機能検査を実施するなど観察を十分に行うこと。
-
8.3降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
-
8.4手術前24時間は投与しないことが望ましい。アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤投与中の患者は、麻酔及び手術中にレニン-アンジオテンシン系の抑制作用による高度な血圧低下を起こすおそれがある。
-
8.5アムロジピンは血中濃度半減期が長く投与中止後も緩徐な降圧効果が認められるので、本剤投与中止後に他の降圧剤を使用するときは、用量並びに投与間隔に留意するなど慎重に投与すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。イルベサルタンによる腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。
- 9.1.2高カリウム血症の患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。イルベサルタンにより高カリウム血症を増悪させるおそれがある。 また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、血清カリウム値に注意すること。
- 9.1.3脳血管障害のある患者
過度の降圧が脳血流不全を引き起こし、病態を悪化させるおそれがある。
- 9.1.4厳重な減塩療法中の患者
一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがある。
- 9.1.5*心不全のある患者
非虚血性心筋症による重度心不全患者注1)を対象とした海外臨床試験において、プラセボ群と比較してアムロジピン投与群で肺水腫の発現頻度が高かったとの報告がある1)。
注1)アムロジピンの承認された効能又は効果は「高血圧症」及び「狭心症」である。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1重篤な腎機能障害のある患者
過度の降圧により腎機能を悪化させるおそれがある。
- 9.2.2血液透析中の患者
一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1肝機能障害のある患者、特に胆汁性肝硬変及び胆汁うっ滞のある患者
増量時には慎重に投与すること。アムロジピンは主として肝臓で代謝されるため、肝機能障害のある患者では、血中濃度半減期の延長及び血中濃度-時間曲線下面積(AUC)が増大することがある。アムロジピン高用量(10mg)において副作用の発現頻度が高くなる可能性がある。イルベサルタンは主に胆汁中に排泄されるため、血中濃度が上昇するおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
- 9.4.1妊娠する可能性のある女性
妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている2),3)。
本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること。
-
(1)本剤投与開始前に妊娠していないことを確認すること。本剤投与中も、妊娠していないことを定期的に確認すること。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。
-
(2)次の事項について、本剤投与開始時に患者に説明すること。また、投与中も必要に応じ説明すること。
-
妊娠中に本剤を使用した場合、胎児・新生児に影響を及ぼすリスクがあること。
-
妊娠が判明した又は疑われる場合は、速やかに担当医に相談すること。
-
妊娠を計画する場合は、担当医に相談すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。妊娠中期及び末期にアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤又はアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の奇形、肺の低形成等があらわれたとの報告がある。アムロジピンは動物実験で妊娠末期に投与すると妊娠期間及び分娩時間が延長することが認められている4) 。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。イルベサルタンでは動物実験(ラット)において乳汁中への移行が認められている。また、動物実験(ラット出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験)の50mg/kg/日以上で哺育期間において出生児の体重増加抑制が認められている。アムロジピンではヒト母乳中へ移行することが報告されている5)。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。アムロジピンは、高齢者での体内動態試験で血中濃度が高く、血中濃度半減期が長くなる傾向が認められている。
相互作用
- アムロジピンの代謝には主として薬物代謝酵素CYP3A4が関与していると考えられている。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| アリスキレンフマル酸塩 • ラジレス(糖尿病患者に使用する場合。ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く) |
イルベサルタンで非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。 | レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| カリウム保持性利尿剤 • スピロノラクトン、トリアムテレン等カリウム補給剤 • 塩化カリウム |
血清カリウム値が上昇することがある。 | 機序:イルベサルタンのアルドステロン分泌抑制によりカリウム貯留作用が増強する可能性がある。 危険因子:腎機能障害のある患者 |
| 利尿降圧剤 • フロセミド、トリクロルメチアジド等 |
一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがある。 | 利尿降圧剤で治療を受けている患者では、体液量の減少によりレニン活性が亢進しており、降圧作用が増強するおそれがある。 |
| アリスキレンフマル酸塩 | 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。 なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。 |
レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
| アンジオテンシン変換酵素阻害剤 • エナラプリル、イミダプリル等 |
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。 | レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
| 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) • ロキソプロフェン、インドメタシン等 |
イルベサルタンの降圧作用が減弱するおそれがある。 | 血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成阻害により、イルベサルタンの降圧作用を減弱させる可能性がある。 |
| 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) • ロキソプロフェン、インドメタシン等 |
腎機能が低下している患者では、更に腎機能が悪化するおそれがある。 | プロスタグランジンの合成阻害により、腎血流量が低下するためと考えられる。 |
| リチウム • 炭酸リチウム |
イルベサルタンによるリチウム中毒が報告されている。 | リチウムの再吸収はナトリウムと競合するため、イルベサルタンのナトリウム排泄作用により、リチウムの再吸収が促進されると考えられる。 |
| 降圧作用を有する薬剤 | 降圧作用が増強されるおそれがある。 | 相互に作用を増強するおそれがある。 |
| CYP3A4阻害剤 • エリスロマイシン、ジルチアゼム、リトナビル、イトラコナゾール等 |
エリスロマイシン及びジルチアゼムとの併用により、アムロジピンの血中濃度が上昇したとの報告がある。 | アムロジピンの代謝が競合的に阻害される可能性が考えられる。 |
| CYP3A4誘導剤 • リファンピシン等 |
アムロジピンの血中濃度が低下するおそれがある。 | アムロジピンの代謝が促進される可能性が考えられる。 |
| グレープフルーツジュース | アムロジピンの降圧作用が増強されるおそれがある。 | グレープフルーツに含まれる成分がアムロジピンの代謝を阻害し、アムロジピンの血中濃度が上昇する可能性が考えられる。 |
| シンバスタチン | アムロジピンとシンバスタチン80mg(国内未承認の高用量)との併用により、シンバスタチンのAUCが77%上昇したとの報告がある。 | 機序は不明である。 |
| タクロリムス | アムロジピンとの併用によりタクロリムスの血中濃度が上昇し、腎障害等のタクロリムスの副作用が発現するおそれがある。併用時にはタクロリムスの血中濃度をモニターし、必要に応じてタクロリムスの用量を調整すること。 | アムロジピンとタクロリムスは、主としてCYP3A4により代謝されるため、併用によりタクロリムスの代謝が阻害される可能性が考えられる。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| (連用により)歯肉肥厚 | 頻度不明 |
| ALP上昇 | 頻度不明 |
| ALT上昇 | 1%未満 |
| AST上昇 | 頻度不明 |
| BUN上昇 | 頻度不明 |
| CK上昇 | 1%未満 |
| CRP上昇 | 頻度不明 |
| LDH上昇 | 頻度不明 |
| γ‐GTP上昇 | 頻度不明 |
| クレアチニン上昇 | 頻度不明 |
| コレステロール上昇 | 頻度不明 |
| しびれ | 頻度不明 |
| じん麻疹 | 頻度不明 |
| そう痒 | 頻度不明 |
| ビリルビン上昇 | 頻度不明 |
| ヘマトクリット減少 | 頻度不明 |
| ヘモグロビン減少 | 頻度不明 |
| ほてり(熱感 | 頻度不明 |
| めまい・ふらつき | 1%未満 |
| もうろう感 | 頻度不明 |
| 下痢・軟便 | 頻度不明 |
| 不眠 | 頻度不明 |
| 体重増加 | 頻度不明 |
| 体重減少 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 倦怠感 | 頻度不明 |
| 光線過敏症 | 頻度不明 |
| 勃起障害 | 頻度不明 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 口内炎 | 頻度不明 |
| 口渇 | 頻度不明 |
| 味覚異常 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 頻度不明 |
| 咳嗽 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 多形紅斑 | 頻度不明 |
| 多汗 | 頻度不明 |
| 失神 | 頻度不明 |
| 女性化乳房 | 頻度不明 |
| 好酸球増加 | 頻度不明 |
| 尿中ブドウ糖陽性 | 頻度不明 |
| 尿中蛋白陽性 | 頻度不明 |
| 尿沈渣異常 | 頻度不明 |
| 尿潜血陽性 | 頻度不明 |
| 尿管結石 | 頻度不明 |
| 尿酸上昇 | 頻度不明 |
| 徐脈 | 頻度不明 |
| 心房細動 | 頻度不明 |
| 心窩部痛 | 頻度不明 |
| 性機能異常 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 房室ブロック | 頻度不明 |
| 振戦 | 頻度不明 |
| 排便回数増加 | 頻度不明 |
| 排尿障害 | 頻度不明 |
| 期外収縮 | 頻度不明 |
| 末梢神経障害 | 頻度不明 |
| 気分動揺 | 頻度不明 |
| 洞停止 | 頻度不明 |
| 洞房 | 頻度不明 |
| 浮腫注3) | 1%未満 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 異常感覚 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 疼痛 | 頻度不明 |
| 発熱 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 白血球増加 | 頻度不明 |
| 白血球減少 | 頻度不明 |
| 皮膚変色 | 頻度不明 |
| 眠気 | 頻度不明 |
| 筋力低下 | 頻度不明 |
| 筋痙攣 | 頻度不明 |
| 筋緊張亢進 | 頻度不明 |
| 筋肉痛 | 頻度不明 |
| 糖尿病 | 頻度不明 |
| 紫斑 | 頻度不明 |
| 総蛋白減少 | 頻度不明 |
| 耳鳴 | 頻度不明 |
| 肝機能障害 | 1%未満 |
| 胃不快感 | 頻度不明 |
| 胃腸炎 | 頻度不明 |
| 背部痛 | 頻度不明 |
| 胸やけ | 頻度不明 |
| 胸痛 | 頻度不明 |
| 脱力感 | 頻度不明 |
| 脱毛 | 頻度不明 |
| 脳梗塞 | 頻度不明 |
| 腹水 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 腹部膨満 | 頻度不明 |
| 膵炎 | 頻度不明 |
| 血中カリウム上昇 | 頻度不明 |
| 血中カリウム減少 | 頻度不明 |
| 血圧低下 | 頻度不明 |
| 血小板減少 | 頻度不明 |
| 血管性浮腫 | 頻度不明 |
| 血管炎 | 頻度不明 |
| 視力異常 | 頻度不明 |
| 貧血 | 頻度不明 |
| 赤血球減少 | 頻度不明 |
| 起立性低血圧 | 頻度不明 |
| 逆流性食道炎 | 頻度不明 |
| 錐体外路症状 | 頻度不明 |
| 関節痛 | 頻度不明 |
| 霧視 | 頻度不明 |
| 頭痛・頭重 | 1%未満 |
| 頻尿・夜間頻尿 | 頻度不明 |
| 頻脈 | 頻度不明 |
| 顔面潮紅等) | 頻度不明 |
| 高血糖 | 頻度不明 |
| 黄疸 | 頻度不明 |
| 鼻出血 | 頻度不明 |
| 鼻炎 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
- 18.1.1イルベサルタン
In vitro試験においてウサギ摘出大動脈のアンジオテンシンⅡ(AⅡ)誘発収縮を特異的に抑制し、in vivo試験(ラット、イヌ、サル)においてもAⅡ誘発昇圧反応に対して抑制作用を示した。In vitro結合試験から、その抑制作用はAⅡ受容体に対する競合的拮抗に基づくものであり、更にAⅡタイプ1受容体(AT1受容体)選択的であることが示唆された。その他の受容体には親和性を示さず、アンジオテンシン変換酵素も阻害しなかった29),30),31),32),33),34)。
- 18.1.2アムロジピン
細胞膜の電位依存性カルシウムチャネルに選択的に結合し、細胞内へのCa2+の流入を減少させて冠血管や末梢血管の平滑筋を弛緩させる35)。そのカルシウム拮抗作用は緩徐に発現するとともに持続性を示し、また心抑制作用が弱く血管選択性を示すことが認められている35)。
18.2 降圧作用
高血圧自然発症ラットにイルベサルタンとアムロジピンを併用して投与すると、それぞれの単独投与と比較して降圧作用の増強が認められた36)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1生物学的同等性
健康成人男性24例にイルベサルタン/アムロジピン100mg/10mgを配合錠又は単剤併用にて空腹時単回経口投与した場合の血漿中イルベサルタン及び血清中アムロジピンの薬物動態は表のとおりであった。イルベサルタン及びアムロジピンの薬物動態を配合錠と単剤併用で比較した結果、両成分とも生物学的に同等であった7)。
| イルベサルタン | アムロジピン | |||
|---|---|---|---|---|
| 配合錠 | 単剤併用 | 配合錠 | 単剤併用 | |
| Cmax (ng/mL) |
2,115.9 ±621.4 |
2,010.4 ±524.6 |
5.29 ±0.92 |
5.26 ±0.72 |
| AUC0-t (ng・hr/mL) |
8,635.8 ±2,768.4 |
8,426.4 ±2,233.0 |
197.19 ±34.24 |
198.58 ±38.25 |
| Tmax (hr) |
1.31 ±0.64 |
1.35 ±0.74 |
6.3 ±1.1 |
5.9 ±0.9 |
| T1/2 (hr) |
11.145 ±3.810 |
9.437 ±2.413 |
37.72 ±5.90 |
38.72 ±7.34 |
平均値±標準偏差、n=24 AUC0-t:イルベサルタンは0~48時間値、アムロジピンは0~96時間値
- 16.1.2生物学的同等性試験
- 〈イルアミクス配合錠HD「ダイト」〉
健康成人男性にイルアミクス配合錠HD「ダイト」とアイミクス配合錠HDのそれぞれ1錠(イルベサルタンとして100mg、アムロジピンとして10mg)を、絶食時単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された(クロスオーバー法)8)。
- (1)イルベサルタン
| 判定パラメータ | 参考パラメータ | |||
|---|---|---|---|---|
| AUC0-48 (ng・hr/mL) |
Cmax (ng/mL) |
Tmax (hr) |
T1/2 (hr) |
|
| イルアミクス配合錠HD「ダイト」 | 7821 ±2957 |
2138 ±712 |
1.5 ±0.9 |
14.3 ±14.2 |
| アイミクス配合錠HD | 7691 ±2764 |
1866 ±642 |
1.6 ±1.0 |
12.6 ±9.4 |
Mean±S.D.(n=44)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
- (2)アムロジピン
| 判定パラメータ | 参考パラメータ | |||
|---|---|---|---|---|
| AUC0-120 (ng・hr/mL) |
Cmax (ng/mL) |
Tmax (hr) |
T1/2 (hr) |
|
| イルアミクス配合錠HD「ダイト」 | 313.3 ±72.1 |
7.64 ±1.58 |
6.4 ±1.6 |
42.8 ±9.0 |
| アイミクス配合錠HD | 308.7 ±81.3 |
7.62 ±1.86 |
6.0 ±1.2 |
43.5 ±10.0 |
Mean±S.D.(n=19)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
健康成人男性16例にイルベサルタン/アムロジピン100mg/10mg配合錠を単回経口投与(空腹時又は食後)した場合、空腹時投与と比べて食後投与のイルベサルタン及びアムロジピンのCmax及びAUCに差はみられなかった9)。
16.3 分布
- 16.3.1蛋白結合率
イルベサルタンのヒト血清蛋白結合率及びアムロジピンのヒト血漿蛋白結合率はいずれも約97%であった10)(in vitro)。
16.4 代謝
イルベサルタンは、主としてCYP2C9による酸化的代謝とグルクロン酸抱合により代謝される。ヒト肝ミクロソームを用いて、CYP活性に対するイルベサルタンの阻害作用について検討した結果、CYP1A2、CYP2D6及びCYP2E1に対しては阻害せず、CYP2A6、CYP2C8、CYP2C9及びCYP3A4に対して阻害作用が認められたものの、いずれも阻害の程度は弱かった11),12),13)(in vitro)。
16.5 排泄
健康成人においてイルベサルタンの未変化体尿中排泄率は約0.3~1.3%であった14)。また、健康成人に14C-標識イルベサルタンを経口投与した場合、放射能の約20%は尿中に排泄され、約54%は糞中に排泄された15)(外国人データ)。 健康成人6例にアムロジピンとして2.5mg又は5mgを単回経口投与した場合、尿中に未変化体として排泄される割合は小さく、いずれの投与量においても尿中未変化体排泄率は投与後24時間までに投与量の約3%、144時間までに約8%であった16)。 また、健康成人2例に14C-標識アムロジピン15mgを単回経口投与した場合、投与後12日までに投与放射能の59.3%が尿中に23.4%が糞中に排泄され、投与後72時間までの尿中放射能の9%が未変化体であった。その他に9種の代謝物が認められた17)(外国人データ)。 なお、これら代謝物にはアムロジピンをしのぐ薬理作用は認められていない。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
軽・中等度(9例)、高度(10例)の腎機能障害患者にイルベサルタン100mgを1日1回8日間反復経口投与した場合、腎機能正常者と比較してCmax、AUCに有意な差はみられなかった。血液透析中の患者を含め、腎機能障害患者に投与した場合にも蓄積傾向はほとんどないことが示唆された18)(外国人データ)。
- 16.6.2肝機能障害患者
軽・中等度の肝硬変患者10例に、イルベサルタン300mg注)を空腹時1日1回7日間反復経口投与したとき、健康成人と比較してCmax、AUCに有意な差はみられなかった。また蓄積傾向がほとんどないことも示唆された19)(外国人データ)。 成人肝硬変患者(Child A, Bクラス)5例にアムロジピンとして2.5mgを単回経口投与した場合、健康成人に比較して、投与72時間後の血中濃度が有意に上昇し、T1/2、AUCはやや高値を示したが有意差は認められなかった20)。
- 16.6.3高齢者
高齢者(65~80歳、男性10例、女性10例)と若年者(18~35歳、男性10例)にイルベサルタン25mg注)を1日1回反復経口投与した場合、Cmaxに有意な差はみられなかったが、AUCは若年者と比べて約50~70%上昇することが示された21)(外国人データ)。 老年高血圧患者(平均年齢79.7歳、男性2例、女性4例)にアムロジピンとして5mgを単回経口投与した場合、若年健康成人(平均年齢22.3歳、男性6例)に比較してCmax及びAUCは有意に高値を示したが、T1/2に有意差は認められなかった。また、8日間反復経口投与した場合、老年者の血漿中アムロジピン濃度は若年者よりも高く推移したが、そのパターンは若年者に類似しており、老年者でその蓄積が増大する傾向は認められなかった22)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1配合剤有効成分間の相互作用
健康成人男性24例にイルベサルタン300mg注)及びアムロジピンとして10mgを併用して経口単回投与した場合のイルベサルタンとアムロジピンの薬物動態は各単剤投与後と差はなく、イルベサルタンとアムロジピンの間に薬物動態に関する相互作用は認められなかった23)(外国人データ)。 注)イルベサルタンの承認された1日通常用量は50~100mg、1日最大用量は200mgである。
16.8 その他
- 〈イルアミクス配合錠LD「ダイト」〉
イルアミクス配合錠LD「ダイト」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン」に基づき、イルアミクス配合錠HD「ダイト」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた24)。