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アルチバ静注用2mg

レミフェンタニル塩酸塩

添付文書改訂 2024年06月01日

【警告】

本剤は添加物としてグリシンを含むため、硬膜外及びくも膜下への投与は行わないこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分又はフェンタニル系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2ナルメフェン塩酸塩を投与中の患者又は投与中止後1週間以内の患者

効能・効果

  • 成人:全身麻酔の導入及び維持における鎮痛

  • 小児:全身麻酔の維持における鎮痛

用法・用量

  • 〈成人〉

成人では他の全身麻酔剤を必ず併用し、下記用量を用いる。 麻酔導入:通常、レミフェンタニルとして0.5μg/kg/分の速さで持続静脈内投与する。なお、ダブルルーメンチューブの使用、挿管困難等、気管挿管時に強い刺激が予想される場合には、1.0μg/kg/分とすること。また、必要に応じて、持続静脈内投与開始前にレミフェンタニルとして1.0μg/kgを30~60秒かけて単回静脈内投与することができる。ただし、気管挿管を本剤の投与開始から10分以上経過した後に行う場合には単回静脈内投与の必要はない。 麻酔維持:通常、レミフェンタニルとして0.25μg/kg/分の速さで持続静脈内投与する。なお、投与速度については、患者の全身状態を観察しながら、2~5分間隔で25~100%の範囲で加速又は25~50%の範囲で減速できるが、最大でも2.0μg/kg/分を超えないこと。浅麻酔時には、レミフェンタニルとして0.5~1.0μg/kgを2~5分間隔で追加単回静脈内投与することができる。

  • 〈小児〉

1歳以上の小児では他の全身麻酔剤を必ず併用し、下記用量を用いる。 麻酔維持:通常、レミフェンタニルとして0.25μg/kg/分の速さで持続静脈内投与する。なお、投与速度については、患者の全身状態を観察しながら、2〜5分間隔で25〜100%の範囲で加速又は25〜50%の範囲で減速できるが、最大でも1.3μg/kg/分を超えないこと。浅麻酔時には、レミフェンタニルとして1.0μg/kgを2〜5分間隔で追加単回静脈内投与することができる。

使用上の注意

  1. 8.1本剤投与にあたっては、原則としてあらかじめ絶食させておくこと。

  2. 8.2本剤の使用に際しては、一般の全身麻酔剤と同様、麻酔開始より患者が完全に覚醒するまで、麻酔技術に熟練した医師が専任で患者の全身状態を十分に監視すること。また、本剤は強オピオイドであり呼吸循環への影響が予測されるため、必ず気道確保、呼吸管理等の蘇生設備の完備された場所で、心電図による監視、血圧の測定等、心機能をモニターすること。

  3. 8.3患者の全身状態を観察しながら、本剤及び併用する全身麻酔剤の投与量に注意し、麻酔の深度は手術、検査に必要な最低の深さにとどめること。

  4. 8.4まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合には直ちに救急処置のとれるよう、常時準備しておくこと。

  5. 8.5本剤は作用消失が急速であり投与中止5~10分後には作用が消失する。そのため、本剤の投与中止前、若しくは直後に鎮痛剤を投与するなど適切な術後疼痛管理を行うこと。

  6. 8.6麻酔の影響が完全に消失するまでは、自動車の運転や危険を伴う機械の操作等に従事しないよう、患者に注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1ASA Ⅲ、Ⅳの患者

開始投与速度を減速し、その後調節すること。血液循環が抑制されるおそれがある。2)

  1. 9.1.2衰弱患者、循環血液量減少のある患者

心血管系に影響を及ぼすおそれがある。

  1. 9.1.3重症の高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者

血圧低下や病状の悪化が起こりやすい。

  1. 9.1.4不整脈のある患者

徐脈を起こすことがある。

  1. 9.1.5慢性肺疾患等の呼吸機能障害のある患者

呼吸抑制を増強するおそれがある。

  1. 9.1.6薬物依存の既往歴のある患者

依存性を生じやすい。

  1. 9.1.7痙攣発作の既往歴のある患者

痙攣が起こることがある。

  1. 9.1.8気管支喘息の患者

気管支収縮が起こることがある。

9.5 妊婦

  1. 9.5.1妊産婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  2. 9.5.2本剤は胎盤を通過するため、分娩時の投与により新生児に呼吸抑制があらわれることがある。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁移行が認められている。3)

9.7 小児等

低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

本剤の開始用量を減量するなど、患者の全身状態を観察しながら慎重に投与して調節すること。心血管系に影響を及ぼすおそれがあり、血圧低下等の副作用があらわれやすい。本剤の薬理学的作用に対する感受性が増大するとの報告がある。4)

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ナルメフェン塩酸塩
• セリンクロ
鎮痛作用が減弱するおそれがある。ナルメフェン塩酸塩を投与中の患者又は投与中止後1週間以内の患者には投与しないこと。緊急の手術等によりやむを得ず併用する場合には患者ごとに本剤の用量を漸増し、呼吸抑制等の中枢神経抑制症状を注意深く観察すること。手術等において本剤を投与することが事前にわかる場合には、少なくとも1週間前にナルメフェン塩酸塩の投与を中断すること。 μオピオイド受容体への競合的阻害による。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
中枢神経抑制作用を有する薬剤5)
• 全身麻酔剤
ベンゾジアゼピン系薬剤
バルビツール酸系薬剤等アルコール
オピオイド剤
麻酔・鎮静等の作用が増強することがあるので、併用する場合には、投与速度を減速するなど慎重に投与すること。 相互に作用を増強させ過度な麻酔深度となるおそれがある。
心抑制作用を有する薬剤6)
• β遮断剤
カルシウム拮抗剤等
徐脈、血圧低下等の作用が増強することがあるので、併用する場合には、投与速度を減速するなど慎重に投与すること。 β遮断剤、カルシウム拮抗剤は共に徐脈、血圧低下作用を有するためこれらの薬剤との併用により作用が増強するおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT増加 頻度不明
AST増加 頻度不明
LDH増加 頻度不明
ビリルビン増加 頻度不明
乏尿 頻度不明
体温低下 頻度不明
冷感 頻度不明
創合併症 頻度不明
嘔吐 頻度不明
幻視 頻度不明
心室無収縮 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
房室ブロック 頻度不明
房室解離 頻度不明
振戦 頻度不明
期外収縮 頻度不明
洞房ブロック 頻度不明
潮紅 頻度不明
発疹 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
紅斑 頻度不明
結節性調律 頻度不明
肝機能異常 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
術後血圧上昇 頻度不明
鎮静 頻度不明
高血圧 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

受容体結合試験において、レミフェンタニルはμ-、δ-及びκ-オピオイド受容体に対して親和性を示した(それぞれ、IC50=2.6nmol/L、66nmol/L及び6.1μmol/L)。この結果から、レミフェンタニルは選択的なμ-オピオイド受容体アゴニストとして作用し、強力な鎮痛作用を示すものと考えられる。23)

18.2 鎮痛作用

ラットの輻射熱法において、レミフェンタニルは用量依存的な鎮痛作用を示し、作用持続時間も用量依存的に延長したが、高用量投与時又は持続投与時においても作用消失が速やかであることが示された。また、繰り返し投与による作用持続時間の延長及び鎮痛作用の減弱は認められなかった。さらに、主代謝物の鎮痛作用は未変化体の約1/270と弱いことが示された。24),25)

18.3 鎮静作用

レミフェンタニルを0.5μg/kg/分でイヌに持続静脈内投与したとき、深い麻酔状態に特有のデルタ波形が脳波図に認められたことから、鎮静作用を有することが示された26)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  • 〈成人〉

日本人患者36例にレミフェンタニルとして0.25、0.5、1.0及び2.0μg/kgを1分間かけて単回静脈内投与したとき、また、日本人患者37例にレミフェンタニルとして0.125、0.25、0.5及び1.0μg/kg/分を持続静脈内投与したとき、動脈血液中未変化体濃度はそれぞれ2相性の消失を示した。各相における半減期は、単回静脈内投与時において0.6~1.3分(t1/2α)及び6.7~11.5分(t1/2β)、また、持続静脈内投与時においては1.3~2.3分(t1/2α)及び12.6~16.5分(t1/2β)であり、用量並びに投与方法にかかわらずほぼ一定であった。また、両投与方法における最高血液中濃度(Cmax)及び血液中濃度-時間曲線下面積(AUC)は各用量範囲において用量に比例して増加することが示された。8)

日本人患者にレミフェンタニルとして0.125、0.25及び0.5μg/kg/分を持続静脈内投与したときの動脈血液中未変化体濃度推移(平均値+標準偏差)

投与量
(μg/kg/分)
Cmax
(ng/mL)
t1/2α
(min)
t1/2β
(min)
AUC
(ng・min/mL)
CL
(mL/min/kg)
Vss
(mL/kg)
0.125(n=11) 3.08±0.94 1.30±0.77 12.62±8.37 690.5±335.7 44.8±15.5 303±133
0.25(n=12) 5.53±2.02 1.89±1.00 16.48±12.65 1235.4±703.7 55.4±35.1 406±296
0.5(n=12) 11.23±2.99 1.59±0.86 15.01±11.04 1975.8±699.8 48.3±16.2 316±165
1.0(n=1) 22.03 2.30 13.81 4978 45.4 296
  • 〈小児〉

日本人小児患者(1~15歳、36例)に持続静脈内投与(開始用量:レミフェンタニルとして0.25μg/kg/分)開始後、定常状態の1時点で採血したとき、0.24~0.26μg/kg/分の用量における全血中レミフェンタニル濃度[中央値(範囲)]は4.76(0.57-8.96)ng/mLであった。クリアランス(CL)は、用量間で明らかな差は認められず、51.18(27.71-436.75)mL/min/kg[中央値(範囲)]であった。

用量(μg/kg/分)
[n=1~6歳、
7~15歳]
上段:中央値、下段:[範囲]
1~6歳 7~15歳 合計
全血中未変化体濃度(ng/mL) <0.24注1)
[n=1、0]
5.01
-
-
-
5.01
-
0.24~0.26
[n=15、18]
4.33
[0.57-6.38]
5.41
[3.62-8.96]
4.76
[0.57-8.96]
0.26<注2)
[n=2、0]
11.18
[6.65-15.70]
-
-
11.18
[6.65-15.70]
CL
(mL/min/kg)
全用量
[n=18、18]
57.51
[39.39-436.75]
46.11
[27.71-69.45]
51.18
[27.71-436.75]

注1)0.2398μg/kg/分 n=1 注2)0.4831μg/kg/分 n=1、0.7489μg/kg/分 n=1

16.3 分布

蛋白結合率(in vitro):レミフェンタニル(2~50ng/mL)の血漿蛋白結合率は71~72%であり、アルブミンへの結合率は14~16%、α1-酸性糖蛋白への結合率は38~47%であった9)。

16.4 代謝

レミフェンタニルは血液中並びに組織内に存在する非特異的エステラーゼにより、速やかに加水分解され、低活性代謝物である脱メチル体(未変化体の1/270~1/4600の活性)を生じる。なお、レミフェンタニルは偽性コリンエステラーゼにより加水分解されない。10),11),12),13)

16.5 排泄

日本人健康成人男性6例にレミフェンタニルとして1.0μg/kgを1分間かけて単回静脈内投与したとき、投与後24時間までに投与量の約1%が未変化体として、約80%が脱メチル体代謝物として尿中に排泄された14)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1高齢者

40~65歳(中高年者)及び66歳以上(高齢者)の健康成人男女にレミフェンタニルとして3.0μg/kg/分を持続静脈内投与したとき、レミフェンタニルの中枢コンパートメントの分布容積(Vc)が男性と比較して、女性で約40%低値であった以外、薬物動態パラメータに中高年者と高齢者及び男女間で差は認められなかった15)。(外国人データ)

  1. 16.6.2腎機能障害患者

腎機能障害患者にレミフェンタニルとして0.0125又は0.025μg/kg/分で1時間持続静脈内投与後、0.025又は0.05μg/kg/分で3時間持続静脈内投与したとき、対照群と比べて未変化体の体内動態に腎機能低下による影響は認められなかった。一方、臨床的に問題となる所見は得られていないが、腎機能障害患者において脱メチル体代謝物の全身クリアランス(CL)が低下するとの報告がある。16)(外国人データ)

  1. 16.6.3血液透析患者

低活性代謝物である脱メチル体は、血液透析中に少なくとも25~35%除去される16)。(外国人データ)

  1. 16.6.4肝機能障害患者

肝機能障害患者にレミフェンタニルとして0.0125又は0.025μg/kg/分で1時間持続静脈内投与後、0.025又は0.05μg/kg/分で3時間持続静脈内投与したとき、対照群と比べて未変化体及び脱メチル体代謝物の体内動態に肝機能低下による影響は認められなかった。なお、重篤な肝機能障害患者では本剤の呼吸抑制作用に対しわずかに感受性が高いとの報告がある。17)(外国人データ)

  1. 16.6.5肥満患者

肥満患者(実体重が標準体重を80%以上超過)にレミフェンタニルとして7.5又は10μg/kgを1分間かけて単回静脈内投与したとき、各患者の実体重で補正した未変化体のVc、CL及び定常状態における分布容積(Vss)において、肥満患者群と非肥満患者群で有意な差が認められたが、標準体重で補正した場合、有意な差は認められなかった。また、未変化体のt1/2においては両群間で違いは認められなかった。1),18)(外国人データ)