強オピオイド鎮痛剤を定時投与中の癌患者における突出痛の鎮痛
【警告】
小児が誤って口に入れた場合、過量投与となり死に至るおそれがあることを患者等に説明し、必ず本剤を小児の手の届かないところに保管するよう指導すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分に対し過敏症のある患者
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2.2ナルメフェン塩酸塩水和物を投与中の患者又は投与中止後1週間以内の患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人には1回の突出痛に対して、フェンタニルとして100μgを開始用量として舌下投与する。 用量調節期に、症状に応じて、フェンタニルとして1回100、200、300、400、600、800μgの順に一段階ずつ適宜調節し、至適用量を決定する。なお、用量調節期に1回の突出痛に対してフェンタニルとして1回100~600μgのいずれかの用量で十分な鎮痛効果が得られない場合には、投与から30分後以降に同一用量までの本剤を1回のみ追加投与できる。 至適用量決定後の維持期には、1回の突出痛に対して至適用量を1回投与することとし、1回用量の上限はフェンタニルとして800μgとする。 ただし、用量調節期の追加投与を除き、前回の投与から2時間以上の投与間隔をあけ、1日あたり4回以下の突出痛に対する投与にとどめること。
使用上の注意
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8.1本剤をがんにおける突出痛の鎮痛以外の管理に使用しないこと。
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8.2本剤の使用開始にあたっては、主な副作用、具体的な服用方法、服用時の注意点、保管方法等を患者等に対して十分に説明し、理解を得た上で使用を開始すること。特に呼吸抑制、意識障害等の症状がみられた場合には速やかに主治医に連絡するよう指導すること。
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8.3本剤を増量する場合には、副作用に十分注意すること。
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8.4連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。また、乱用や誤用により過量投与や死亡に至る可能性があるので、これらを防止するため観察を十分行うこと。
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8.5眠気、めまいが起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
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8.6本剤を投与する場合には、便秘に対する対策として緩下剤、悪心・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を、また、鎮痛効果が得られている患者で通常とは異なる強い眠気がある場合には、過量投与の可能性を念頭において本剤の減量を考慮するなど、本剤投与時の副作用に十分注意すること。
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8.7口内炎、口腔内出血、口腔粘膜欠損等の症状がみられた場合には、本剤の血中濃度が高くなり、副作用があらわれやすくなるおそれがあるので、速やかに医師又は薬剤師に相談するように患者等に指導すること。
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8.8本剤の医療目的外使用を防止するため、適切な処方を行い、保管に留意するとともに、患者等に対して適切な指導を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1慢性肺疾患等の呼吸機能障害のある患者
呼吸抑制を増強するおそれがある。
- 9.1.2喘息患者
気管支収縮を起こすおそれがある。
- 9.1.3徐脈性不整脈のある患者
徐脈を助長させるおそれがある。
- 9.1.4頭蓋内圧の亢進、意識障害・昏睡、脳腫瘍等の脳に器質的障害のある患者
呼吸抑制を起こすおそれがある。
- 9.1.5口内炎、口腔内出血、口腔粘膜に欠損のある患者
血中濃度が上昇し、副作用があらわれるおそれがある。
- 9.1.6薬物依存の既往歴のある患者
依存性を生じやすい。
9.2 腎機能障害患者
排泄が遅延し、副作用があらわれやすくなるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
代謝が遅延し、副作用があらわれやすくなるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。フェンタニルクエン酸塩注射液において、分娩時の投与により新生児に呼吸抑制、分娩時を含む妊娠中の投与により胎児に徐脈があらわれたとの報告がある。また、動物実験(ラット)で胚・胎児死亡率の高値傾向が認められている。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。ヒトで母乳中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
副作用の発現に注意し、慎重に投与すること。フェンタニルのクリアランスが低下し、血中濃度消失半減期の延長が認められている。
相互作用
- 本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| ナルメフェン塩酸塩水和物 (セリンクロ) |
ナルメフェン塩酸塩水和物はオピオイド受容体作動薬の鎮痛作用を減弱させるため、効果を得るために必要な本剤の用量が通常用量より多くなるおそれがある。また、退薬症候を起こすおそれがある。 | μオピオイド受容体拮抗作用により、μオピオイド受容体作動薬に対して競合的に阻害する。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 中枢神経抑制剤 • フェノチアジン系薬剤 ベンゾジアゼピン系薬剤 バルビツール酸系薬剤等吸入麻酔剤 モノアミン酸化酵素阻害剤 三環系抗うつ剤 骨格筋弛緩剤 鎮静性抗ヒスタミン剤 アルコール オピオイド系薬剤 |
呼吸抑制、低血圧、めまい、口渇及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 | 相加的に中枢神経抑制作用が増強する。 |
| セロトニン作用薬 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI) モノアミン酸化酵素阻害剤 等 |
セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクローヌス等)があらわれるおそれがある。 | 相加的にセロトニン作用が増強するおそれがある。 |
| CYP3A4を阻害する薬剤 • リトナビル イトラコナゾール アミオダロン クラリスロマイシン ジルチアゼム塩酸塩 フルボキサミンマレイン酸塩等 |
フェンタニルのAUCの増加、血中半減期の延長が認められたとの報告がある。呼吸抑制等の副作用が発現するおそれがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。 | 肝CYP3A4に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。 |
| グレープフルーツジュース | 本剤の血中濃度を上昇させるおそれがある。 | CYP3A4に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。 |
| CYP3A4を誘導する薬剤 • リファンピシン フェニトイン等 |
本剤の血中濃度を低下させるおそれがある。また、CYP3A4誘導剤を中止又は減量する場合は、本剤の効果が増強する可能性があるため、本剤の用量を適宜調節すること。 | 肝CYP3A4に対する誘導作用により、本剤の代謝が促進される。 |
| キニジン | 本剤の血中濃度を上昇させるおそれがある。 | P糖蛋白及びCYP3A4に対する阻害作用により、本剤の吸収が増加し代謝が阻害される。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| アロディニア | 頻度不明 |
| せん妄 | 頻度不明 |
| そう痒 | 1〜5%未満 |
| ほてり | 1〜5%未満 |
| めまい | 1〜5%未満 |
| 便秘 | 5%以上 |
| 倦怠感 | 1〜5%未満 |
| 傾眠 | 5%以上 |
| 動悸 | 1〜5%未満 |
| 口内炎 | 1〜5%未満 |
| 口渇 | 1〜5%未満 |
| 嘔吐 | 5%以上 |
| 幻覚 | 1〜5%未満 |
| 心室性期外収縮 | 1〜5%未満 |
| 悪心 | 5%以上 |
| 排尿困難 | 1〜5%未満 |
| 異常感 | 1〜5%未満 |
| 痛覚過敏注2) | 頻度不明 |
| 発汗 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 1〜5%未満 |
| 錯乱 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 1〜5%未満 |
| 食欲減退 | 1〜5%未満 |
| 食道運動障害 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
モルモット全脳組織を用いた、フェンタニルのオピオイド受容体サブタイプ(μ、δ、κ)に対するアゴニスト活性の検討において、μ受容体に対して選択的で高い親和性が示されたことが報告されている。したがって、フェンタニルはμオピオイド受容体のアゴニストとして作用し、強力な鎮痛作用を示すと考えられる13)。
18.2 鎮痛作用
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18.2.1熱刺激法の一つであるマウスのホットプレート法において、フェンタニルクエン酸塩(静脈内投与)は鎮痛作用を示し、そのED50は0.016mg/kgであり、モルヒネ硫酸塩(静脈内投与)のED50は7.3mg/kgであったことが報告されている14)。
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18.2.2Haffner変法によるマウス侵害刺激反応試験において、フェンタニルクエン酸塩は皮下投与10~15分後に最大作用を示し、そのED50は0.08mg/kgであったこと、フェンタニルクエン酸塩における鎮痛活性はモルヒネ硫酸塩(皮下投与、ED50:15mg/kg)に比べて約190倍強い効力を示したことが報告されている15)。
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18.2.3電気的侵害刺激法のウサギ歯髄疼痛モデルを用いた鎮痛試験において、フェンタニルクエン酸塩(静脈内投与)は鎮痛作用を示し、そのED50は0.0074mg/kgであり、モルヒネ硫酸塩(静脈内投与)のED50は1.1mg/kgであったことが報告されている14)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康成人に本剤100~800μg(フェンタニルとして)を単回舌下投与したとき、フェンタニルは投与後速やかに吸収され、tmax(中央値)は0.50~1.00時間であった。血漿中フェンタニル濃度の推移、薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。
健康成人に単回舌下投与したときの血漿中濃度推移
| 投与量 | tmaxa) (h) |
Cmax (ng/mL) |
AUC0-∞ (ng・h/mL) |
t1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|
| 100μg | 0.50 (0.31-2.00) |
0.187 ±0.061 |
0.974 ±0.332 |
5.02 ±2.58 |
| 200μg | 0.87 (0.27-4.00) |
0.302 ±0.092 |
1.92 ±0.53 |
6.67 ±2.01 |
| 400μg | 1.00 (0.50-1.99) |
0.765 ±0.288 |
5.49 ±1.93 |
13.5 ±5.0 |
| 800μg | 0.50 (0.25-1.00) |
1.42 ±0.47 |
8.95 ±2.97 |
10.1 ±3.4 |
平均値±標準偏差、n=12 a)中央値(最小値-最大値)
16.2 吸収
- 16.2.1バイオアベイラビリティ
本剤のバイオアベイラビリティは約50%であった2)(外国人データ)。
16.3 分布
- 16.3.1体組織への分布
雄ラットに3H-フェンタニルクエン酸塩を舌下投与したとき、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、肺、心臓及び精巣等多くの組織に放射能が認められた3)。
- 16.3.2胎児移行性
妊娠ラットに3H-フェンタニルを皮下投与したとき、胎児内放射能濃度は母動物の血液中放射能濃度の約1.5~2倍であったことが報告されている4)。
- 16.3.3乳汁移行性
分娩時にフェンタニルクエン酸塩を静脈内投与したとき、フェンタニルの乳汁移行が確認されたことが報告されている5)(外国人データ)。
- 16.3.4血漿蛋白結合率
ヒト血漿蛋白結合率は、89.1~90.0%(in vitro 、超遠心分離法、5~20ng/mL)であった6)。
16.4 代謝
フェンタニルは主に肝臓で代謝され、主たる代謝物はピペリジン環の酸化的N-脱アルキル化により生じるノルフェンタニルである。ヒト肝ミクロソームを用いた検討により、ノルフェンタニルへの代謝には主にCYP3A4が関与していることが報告されている7),8),9)(ラット、イヌ、in vitro)。
16.5 排泄
健康成人に本剤100~800μg(フェンタニルとして)を単回舌下投与後72時間までのフェンタニルの尿中排泄率は、投与量の0.89~1.39%であった。一方、主代謝物であるノルフェンタニルの尿中排泄率(未変化体換算)は、投与量の27.5~36.3%であった1)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
血液尿素窒素(BUN)が高値(35~111mg/dL)を示した腎不全末期患者(8例)にフェンタニル25μg/kgを静脈内投与したとき、クリアランスとBUNに負の相関が認められた10)(外国人データ)。
- 16.6.2肝機能障害患者
肝硬変患者(8例)と肝腎機能の正常な患者(13例)にフェンタニル5μg/kgを静脈内投与したときの薬物動態は両者でほとんど差がなかった11)(外国人データ)。