Clinical snapshot

炭酸ランタンOD錠500mg「トーワ」

炭酸ランタン水和物口腔内崩壊錠

添付文書改訂 2025年08月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

慢性腎臓病患者における高リン血症の改善

用法・用量

通常、成人にはランタンとして1日750mgを開始用量とし、1日3回に分割して食直後に経口投与する。以後、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減するが、最高用量は1日2,250mgとする。

使用上の注意

本剤の投与にあたっては、定期的に血清リン、カルシウム及びPTH濃度を測定しながら慎重に投与すること。血清リン及びカルシウム濃度の管理目標値は学会のガイドライン等、最新の情報を参考にすること。低カルシウム血症及び二次性副甲状腺機能亢進症の発現あるいは発現のおそれがある場合には、ビタミンD製剤やカルシウム製剤の投与あるいは他の適切な治療法に切り替えることを考慮すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1活動性消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管狭窄のある患者

本剤の主な副作用は消化器症状のため、これらの疾患に影響を及ぼすおそれがある。

  1. 9.1.2腸管憩室のある患者

腸管穿孔を起こした例が報告されている。

  1. 9.1.3腹膜炎又は腹部外科手術の既往歴のある患者

イレウスを起こした例が報告されている。

  1. 9.1.4消化管潰瘍又はその既往歴のある患者

症状が悪化又は再発した例が報告されている。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害のある患者

重度の肝機能障害を有する患者は臨床試験では除外されている。胆汁排泄が著しく低下しているおそれのある重度の肝機能障害患者では、注意深く観察すること。本剤は主に胆汁中に排泄される。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。妊娠ラットに高用量のランタンを妊娠6日から分娩後20日まで投与した試験において、児の体重低値及び一部の指標で発達の遅れが認められたとの報告がある1)。また、妊娠ウサギに高用量のランタンを投与した試験において、母動物の摂餌量及び体重の減少、着床前後の死亡率の増加、並びに胎児の体重低値がみられたとの報告がある2)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトにおいてランタンの乳汁への移行が報告されている3)。

9.7 小児等

投与しないことが望ましい。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
テトラサイクリン系抗生物質
• テトラサイクリン、ドキシサイクリン等ニューキノロン系抗菌剤
• レボフロキサシン水和物、シプロフロキサシン塩酸塩水和物等
左記薬剤の吸収が低下し、効果が減弱されるおそれがあるので、本剤服用後2時間以上あけて投与すること。 ランタンと難溶性の複合体を形成し、左記薬剤の腸管からの吸収を妨げることが考えられる。
甲状腺ホルモン剤
• レボチロキシンナトリウム水和物等
左記薬剤の吸収が低下するおそれがあるので、併用する場合には本剤との投与間隔をできる限りあけるなど慎重に投与すること。 ランタンと難溶性の複合体を形成し、左記薬剤の腸管からの吸収を妨げることが考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1〜5%未満
ALT上昇 1%未満
AST上昇 1%未満
そう痒 1%未満
めまい 1%未満
下痢 1〜5%未満
低カルシウム血症 頻度不明
低リン血症 1%未満
便秘 5%以上
倦怠感 1%未満
副甲状腺機能亢進症 1〜5%未満
嘔吐 5%以上
好酸球増多 1%未満
悪心 5%以上
放屁増加 1%未満
末梢性浮腫 頻度不明
消化不良 1〜5%未満
発疹 1%未満
胃不快感 1〜5%未満
胃潰瘍 1%未満
胃炎 1%未満
背部痛 1%未満
胸痛 1%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部不快感 1%未満
腹部膨満感 1〜5%未満
貧血 1〜5%未満
逆流性食道炎 1〜5%未満
食欲不振 1〜5%未満
高カルシウム血症 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

炭酸ランタンは、消化管内で食物由来のリン酸イオンと結合して不溶性のリン酸ランタンを形成し、腸管からのリン吸収を抑制することにより、血中リン濃度を低下させる。19)

18.2 リン結合作用

In vitro試験において、炭酸ランタンをリン酸ナトリウム溶液中で反応させた結果、リン除去率はpH3で97.5%、pH5で97.1%及びpH7で66.6%であった。20)

18.3 血清リン濃度低下作用

5/6腎摘出ラットに炭酸ランタンを6週間反復投与したとき、血清リン濃度は溶媒対照群に比して有意に低下した。21)

18.4 生物学的同等性試験

  • 〈炭酸ランタンOD錠500mg「トーワ」〉

炭酸ランタンOD錠500mg「トーワ」とホスレノールOD錠500mgそれぞれ1錠(ランタンとして500mg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に1日3回3日間食後経口投与(水なし又は水とともに服用)して尿中リン排泄量を測定した。なお、朝、昼、夕食でリン摂取量が均等になる食事(食物中のリン含有量が1日当たり約1,300mg)を摂取した。投与前2日間及び投与3日間の24時間平均尿中リン排泄量を算出し、得られたパラメータ(24時間平均尿中リン排泄量のベースラインからの変化量)について、90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、生物学的同等性の判定基準とした±1.632mmolの範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。8)

平均24時間尿中リン排泄量(mmol/24hr)
投与開始前
(-2日目及び-1日目)
投与開始後
(1日目から3日目)
炭酸ランタンOD錠500mg「トーワ」 22.912±4.403 15.054±3.200
ホスレノールOD錠500mg 22.755±3.765 15.363±3.051

(Mean±S.D., n=48)

平均24時間尿中リン排泄量(mmol/24hr)
投与開始前
(-2日目及び-1日目)
投与開始後
(1日目から3日目)
炭酸ランタンOD錠500mg「トーワ」 21.060±3.665 16.416±2.870
ホスレノールOD錠500mg 21.228±3.480 16.806±2.533

(Mean±S.D., n=63)

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人健康成人男子8例に炭酸ランタン水和物チュアブル錠250及び1000mgを単回投与した際のランタンの薬物動態パラメータを表に示した。4)

投与量 Cmax
(ng/mL)
tmax※
(h)
t1/2
(h)
AUC
(ng・h/mL)
250mg 0.156 4.00 7.8 1.56
1000mg 0.192 5.25 19.2 3.69

幾何平均値 ※:中央値

  1. 16.1.2反復投与

日本人健康成人男子9例に炭酸ランタン水和物チュアブル錠1000mgを1日3回10日間反復投与したときの定常状態における血漿中ランタン濃度は、投与後6時間目に最高値に達し、Cmax及びAUC(0-8)はそれぞれ0.558ng/mL及び3.67ng・h/mLであった。5)

  1. 16.1.3透析患者

日本人透析患者に炭酸ランタン水和物チュアブル錠を最大4500mg注1)/日投与した国内長期投与試験における投与開始後28、52及び104週目の平均血漿中ランタン濃度はそれぞれ0.389ng/mL、0.440ng/mL及び0.476ng/mLであった。6)

  1. 16.1.4保存期慢性腎臓病患者

日本人の保存期慢性腎臓病患者に炭酸ランタン水和物製剤を最大2250mg/日投与した国内長期投与試験における投与開始後32及び60週目の平均血漿中ランタン濃度はそれぞれ0.688±0.413ng/mL及び0.952±0.622ng/mLであった。7)

  1. 16.1.5全身暴露量比較

炭酸ランタンOD錠500mg「トーワ」とホスレノールOD錠500mgそれぞれ1錠(ランタンとして500mg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に1日3回4日間(計10回)食直後に経口投与して投与4日目朝の投与後の血漿中ランタン濃度を測定した。その結果、両剤の薬物動態に大きな差はないことが確認された。8)

なお、本試験は「18.4 生物学的同等性試験〈炭酸ランタンOD錠500mg「トーワ」〉」と同試験内で行った。

16.2 吸収

炭酸ランタン水和物チュアブル錠1000mg単回経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティーは0.002%未満であった(外国人データ)。9)

16.3 分布

  1. 16.3.1高リン血症を呈する血液透析患者15例を対象として炭酸ランタン水和物チュアブル錠を1日750mgから投与を開始し、1日4500mg注1)まで適宜増減して投与した国内骨生検試験において、投与開始前及び投与開始1年後に骨生検を行った結果、骨中ランタン濃度は投与開始前の57.3±33.5ng/gに対して、投与1年後には1274.7±839.6ng/gと、血漿中ランタン濃度の0.329±2.06ng/mL(投与開始前:検出感度以下)よりも高く、骨に蓄積する傾向が認められた。10) また、血液透析患者1359例(炭酸ランタン水和物チュアブル錠682例、標準療法群677例)を対象として炭酸ランタン水和物チュアブル錠を1日3000mg注1)まで最長2年間投与した海外長期投与試験においても、測定が可能であった28例における骨中ランタン濃度は投与開始前80.9±59.8ng/g、投与開始2年後1855.3±1338.3ng/gであり、同患者の血漿中ランタン濃度(投与開始前:0.0±0.07ng/mL、投与開始2年後:0.5±0.65ng/mL)よりも高かった。11)

  2. 16.3.2In vitro試験において、ランタンのヒト血漿タンパク結合率は高かった(99.7%)。12)

16.4 代謝

炭酸ランタンは体内で代謝を受けない。In vitro代謝試験において、ランタンは1A2、2C9/10、2C19、2D6及び3A4/5の各CYP分子種に対して阻害作用を示さなかった。13)

16.5 排泄

  1. 16.5.1単回投与

日本人健康成人男子8例に炭酸ランタン水和物チュアブル錠250及び1000mgを単回投与した際の尿中ランタン濃度はほとんどの被験者で定量下限未満であった。また、120時間目までの糞中回収率はそれぞれ59.5%、66.9%であった。4)

投与量 糞中回収率※(%)
250mg 59.5
1000mg 66.9

※:算術平均値

  1. 16.5.2反復投与

日本人健康成人男子9例に炭酸ランタン水和物チュアブル錠1000mgを1日3回注1)10日間反復投与した際の最終投与後48時間までにすべての被験者から平均で投与量の0.0000164%が尿中に排泄され、投与したランタンの59.8%が糞中から回収された。5)

16.8 その他

  • 〈炭酸ランタンOD錠250mg「トーワ」〉

炭酸ランタンOD錠250mg「トーワ」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(令和2年3月19日、薬生薬審発0319第1号)に基づき、炭酸ランタンOD錠500mg「トーワ」を標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた。14)

注1)本剤の承認された最高用量は1日2,250mgである。