NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌
【警告】
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはラロトレクチニブとして1回100mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。 通常、小児にはラロトレクチニブとして1回100mg/m2(体表面積)を1日2回経口投与する。ただし、1回100mgを超えないこと。なお、患者の状態により適宜減量する。
使用上の注意
-
8.1肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
-
8.2骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1中等度以上の肝機能障害患者(Child-Pugh分類B又はC)
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤の血漿中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。NTRK1、NTRK2及びNTRK3遺伝子をそれぞれ欠損したノックアウトマウスでは、神経系の異常により生後早期に死亡することが報告されており、本剤の作用機序から、本剤が投与された場合、胎児へ有害な影響を及ぼす可能性がある1),2),3)。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。乳汁移行に関するデータはないが、本剤はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある。
相互作用
- 本剤は、主にCYP3Aによって代謝される。また、CYP3Aに対して弱い阻害作用を示す。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 強力な又は中程度のCYP3A阻害剤 • イトラコナゾール、クラリスロマイシン、ボリコナゾール等グレープフルーツ含有食品 |
本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、やむを得ず併用する場合には本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 強力な又は中程度のCYP3A誘導剤 • リファンピシン、フェニトイン、フェノバルビタール等セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 |
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。 | これらの薬剤がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血漿中濃度が低下する可能性がある。 |
| CYP3Aの基質となる薬剤 • シクロスポリン、キニジン、タクロリムス等 |
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤がCYP3Aを阻害することにより、これらの薬剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| Al-P増加 | 頻度不明 |
| 下痢 | 5%以上 |
| 体重増加 | 5%以上 |
| 便秘(10.1%) | 5%以上 |
| 味覚異常 | 5%以上 |
| 嘔吐 | 5%以上 |
| 悪心(10.6%) | 5%以上 |
| 浮腫 | 5%以上 |
| 疲労(14.3%) | 5%以上 |
| 発疹 | 5%以上 |
| 筋力低下 | 頻度不明 |
| 筋肉痛 | 5%以上 |
| 頭痛 | 5%以上 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ラロトレクチニブは、NTRK遺伝子がコードするトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)ファミリータンパクのチロシンキナーゼに対する阻害作用を有する低分子化合物である。ラロトレクチニブは、TRK融合タンパクのリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
18.2 抗腫瘍効果
ラロトレクチニブは、in vitroにおいて、TRK融合タンパクを発現するヒト非小細胞肺癌由来CUTO-3.29細胞株、ヒト結腸・直腸癌由来KM12細胞株等に対して増殖抑制作用を示した。また、ラロトレクチニブは、in vivoにおいて、KM12、CUTO-3.29細胞株等を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
日本人健康成人男性に、本剤100、200又は400mg(カプセル剤)を空腹時に単回経口投与注1)したときのラロトレクチニブの血漿中濃度推移及びPKパラメータは以下のとおりであった。AUC及びCmaxは400mgまでの範囲で概ね用量に比例した増加を示した。
| 投与量 (mg) |
n | Cmax (μg/L) |
tmax※ (h) |
AUC (μg・h/L) |
t1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|---|
| 100 | 6 | 548 (33.2) |
1.00 (1.0-3.0) |
1220 (23.9) |
1.88 (14.8) |
| 200 | 6 | 1250 (47.3) |
1.25 (1.0-3.0) |
3280 (33.8) |
2.55 (18.6) |
| 400 | 6 | 2730 (35.1) |
1.00 (0.5-4.0) |
7210 (42.2) |
2.78 (14.1) |
幾何平均値(幾何CV%)、※:中央値(範囲)
- 16.1.2反復投与
進行固形癌患者に、本剤100、150又は200mg(カプセル剤)を1日2回反復経口投与注1)したときのラロトレクチニブのPKパラメータは以下のとおりであった。血漿中ラロトレクチニブ濃度は投与8日目までに定常状態に達した。本剤100mgを1日2回反復経口投与した際の投与8日目におけるラロトレクチニブの蓄積率は1.11であった(外国人データ)。
| 投与量 (mg) |
測定日 | n | Cmax (μg/L) |
tmax※1 (h) |
AUC12h (μg・h/L) |
t1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 100 | 第1日目 | 39 | 868 (86.6) |
0.750 (0.250-2.05) |
2040 (92.6) |
1.68 (32.3) |
| 第8日目 | 37 | 788 (80.6) |
1.00 (0.500-9.37) |
2180 (97.2) |
2.73 (50.8)※2 |
|
| 150 | 第1日目 | 7 | 923 (51.6) |
0.920 (0.530-1.00) |
2240 (47.0) |
1.55 (16.0) |
| 第8日目 | 6 | 815 (52.0) |
0.760 (0.500-2.00) |
2370 (59.6) |
2.16 (39.5)※3 |
|
| 200 | 第1日目 | 6 | 1210 (122) |
0.760 (0.500-1.95) |
3760 (114)※4 |
1.67 (25.6)※4 |
| 第8日目 | 6 | 929 (175) |
1.03 (0.500-4.00) |
3040 (118) |
2.67 (49.3)※5 |
幾何平均値(幾何CV%)、※1:中央値(範囲)、※2:n=33、※3:n=3、※4:n=5、※5:n=4
16.2 吸収
- 16.2.1バイオアベイラビリティ
健康成人6例に、本剤100mg(カプセル剤)を単回経口投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは32~37%であった(外国人データ)。
- 16.2.2食事の影響
健康成人18例に、本剤100mg(カプセル剤)を単回経口投与したとき、空腹時投与に対する高脂肪食後投与におけるラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ0.656及び1.08であった(外国人データ)。
- 16.2.3カプセル剤に対する液剤の相対的バイオアベイラビリティ
健康成人18例に、本剤100mg(液剤)を単回経口投与したとき、カプセル剤投与に対する液剤投与におけるラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.36及び1.04であった(外国人データ)。
16.3 分布
- 16.3.1分布容積
健康成人6例に、ラロトレクチニブ100mg単回経口投与1時間後に[14C]ラロトレクチニブ約7.58μgを単回静脈内投与したとき、ラロトレクチニブの分布容積は48Lであった(外国人データ)。
- 16.3.2タンパク結合率
In vitro試験において、ラロトレクチニブのヒト血漿タンパク結合率は、約70%であった。
- 16.3.3血液/血漿中濃度比
Invitro試験において、ラロトレクチニブの血液/血漿中濃度比は、約0.9であった。
16.4 代謝
In vitro試験において、ラロトレクチニブの代謝は主にCYP3A4/5が関与することが示された。 健康成人6例に、[14C]ラロトレクチニブ100mgを単回経口投与したとき、投与24時間後までの血漿中に主に未変化体及びo-グルクロン酸抱合体(ヒドロキシピロリジン‐尿素部分の消失後に生成)が検出された(血漿中の総放射能AUCに対する割合は、それぞれ19及び26%)(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人6例に、[14C]ラロトレクチニブ100mgを単回経口投与したとき、投与312時間後までに投与した放射能の58及び39%がそれぞれ糞中及び尿中に排泄された(外国人データ)。また、投与48時間後までに投与した放射能の20%が未変化体として尿中に排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
本剤100mgを単回経口投与したとき、腎機能が正常な被験者(8例)に対する血液透析を必要とする末期腎疾患を有する患者(8例)のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.25及び1.40であった(外国人データ)。
- 16.6.2肝機能障害患者
本剤100mgを空腹時に単回経口投与したとき、肝機能が正常な被験者(11例)に対する軽度(Child-Pugh分類A)の肝機能障害患者(8例)のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.14及び1.31であった。肝機能が正常な被験者(11例)に対する中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害患者(8例)のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.14及び1.98であった。肝機能が正常な被験者(11例)に対する重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害患者(8例)のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.52及び3.19であった(外国人データ)。
- 16.6.3小児
生後1ヵ月以上21歳以下の進行固形癌患者又は中枢神経系原発腫瘍患者15例に、本剤100mg/m2(最大100mg)(液剤又はカプセル剤)を1日2回反復経口投与したときのラロトレクチニブのPKパラメータは以下のとおりであった。小児患者のCmax及びAUCは、本剤100mgを1日2回反復経口投与された成人患者と同程度であった(外国人データ)。
| 測定日 | n | Cmax (μg/L) |
tmax※1 (h) |
AUC12h (μg・h/L) |
t1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1サイクル • 第1日目 |
15 | 867 (51.1) |
1.00 (0.03-2.22) |
2220 (76.4) |
2.12 (35.9)※2 |
| 第4サイクル • 第1日目 |
6 | 854 (43.9) |
0.500 (0.480-1.98) |
1470 (28.1) |
2.30 (15.4)※3 |
幾何平均値(幾何CV%)、※1:中央値(範囲)、※2:n=10、※3:n=3
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1イトラコナゾール
健康成人12例に、イトラコナゾール(強力なCYP3A阻害剤)200mgを1日1回7日間反復経口投与し、本剤100mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するイトラコナゾール併用投与時のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ2.81及び4.33であった(外国人データ)。
- 16.7.2フルコナゾール、ジルチアゼム
生理学的薬物動態モデルに基づいたシミュレーションにおいて、癌患者での本剤(100mgを1日2回投与)単独投与時に対するフルコナゾール(中程度のCYP3A阻害剤)(400mg投与後に200mgを1日1回投与)併用時のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.86及び2.72であった。また、癌患者での本剤(100mgを1日2回投与)単独投与時に対するジルチアゼム(中程度のCYP3A阻害剤)(60mgを1日3回投与)併用時のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.78及び2.55であった。
- 16.7.3リファンピシン(反復投与)
健康成人12例にリファンピシン(強力なCYP3A誘導剤)600mgを1日1回11日間反復経口投与し、本剤100mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するリファンピシン併用投与時のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ0.293及び0.192であった(外国人データ)。
- 16.7.4エファビレンツ
生理学的薬物動態モデルに基づいたシミュレーションにおいて、癌患者での本剤(100mgを1日2回投与)単独投与時に対するエファビレンツ(中程度のCYP3A誘導剤)(600mgを1日1回投与)併用時のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ0.40及び0.28であった。
- 16.7.5ミダゾラム
健康成人16例に本剤100mgを1日2回10日間反復経口投与し、ミダゾラム(CYP3Aの基質)2mgを単回経口投与したとき、ミダゾラム単独投与時に対する本剤併用投与時のミダゾラムのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.68及び1.77であった(外国人データ)。
- 16.7.6その他
In vitro試験において、ラロトレクチニブは、P-gp及びBCRPの基質であることが示された。 健康成人12例にリファンピシン(P-gp及びBCRP阻害剤)600mgを単回経口投与し、本剤100mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するリファンピシン併用投与時のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.79及び1.68であった(外国人データ)。
注1)本剤の承認用法及び用量は、成人にはラロトレクチニブとして1回100mgを1日2回経口投与、小児には1回100mg/m2(体表面積)を1日2回経口投与(ただし、1回100mgを超えない)である。