Clinical snapshot

ローヘパ透析用100単位/mLシリンジ20mL

パルナパリンナトリウム注射液

添付文書改訂 2026年05月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1パルナパリンナトリウムに対し過敏症状又は過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析・血液透析ろ過・血液ろ過)

用法・用量

  • 〈出血性病変又は出血傾向を有しない患者の場合〉

  • 通常、成人には体外循環開始時、パルナパリンナトリウムとして治療1時間あたり7~13単位/kgを体外循環路内血液に単回投与する。なお、体外循環路内の血液凝固状況に応じ適宜増減する。

  • 通常、成人には体外循環開始時、パルナパリンナトリウムとして15~20単位/kgを体外循環路内血液に単回投与し、体外循環開始後は毎時6~8単位/kgを抗凝固薬注入ラインより持続注入する。なお、体外循環路内の血液凝固状況に応じ適宜増減する。

  • 〈出血性病変又は出血傾向を有する患者の場合〉

通常、成人には体外循環開始時、パルナパリンナトリウムとして10~15単位/kgを体外循環路内血液に単回投与し、体外循環開始後は毎時6~9単位/kgを抗凝固薬注入ラインより持続注入する。

使用上の注意

  1. 8.1脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等との併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがある。併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。

  2. 8.2ヘパリン起因性血小板減少症(HIT:heparin-induced thrombocytopenia)があらわれることがあるので、本剤投与後は血小板数を測定すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1高度な出血症状を有する患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。出血症状を助長するおそれがある。

  1. 9.1.2ヘパリン起因性血小板減少症(HIT:heparin-induced thrombocytopenia)の既往歴のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。投与が必要な場合は、本剤投与後は血小板数を測定すること。HITがあらわれることがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝障害又はその既往歴のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。肝障害を助長するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット、ウサギ)で本剤を妊娠前から妊娠後期に高用量(360mg/kg)投与した群で、雌雄の繁殖能力への影響、生存児の骨化遅延、骨格変異や形態観察の異常等、母体及び胎児の死亡が認められた1),2),3),4)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、母乳中へ移行することが確認されている5)。

9.7 小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
抗凝固剤 本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある。 本剤の抗凝固作用と血液凝固因子の生合成阻害作用により相加的に出血傾向が増強される。
血栓溶解剤
• ウロキナーゼ
• t-PA製剤等
本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある。 本剤の抗凝固作用とフィブリン溶解作用により相加的に出血傾向が増強される。
サリチル酸誘導体
• アスピリン等
本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある。 本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
• ジピリダモール
• チクロピジン塩酸塩等
本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある。 本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。
非ステロイド性消炎剤 本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある。 本剤の抗凝固作用と血小板機能阻害作用により、出血の危険性が増大する。
糖質副腎皮質ホルモン剤 本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある。 副腎皮質ホルモン剤の消化器系の副作用により、出血の危険性が増大する可能性がある。
デキストラン 本剤の作用が出血傾向を増強するおそれがある。 本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。
テトラサイクリン系抗生物質
強心配糖体
• ジギタリス製剤
本剤の作用が減弱することがある。 機序は不明である。
筋弛緩回復剤
• スガマデクスナトリウム
本剤の抗凝固作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を観察するとともに血液凝固に関する検査値に注意すること。 作用機序は不明であるが、スガマデクスナトリウム4mg/kgと抗凝固剤の併用中に活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)又はプロトロンビン時間(PT)の軽度で一過性の延長が認められている。
アンデキサネット アルファ(遺伝子組換え) 本剤の抗凝固作用が減弱し、ヘパリン抵抗性を示すことがある。 **In vitroデータから、アンデキサネット アルファ(遺伝子組換え)がヘパリン-アンチトロンビンⅢ複合体に作用し、本剤の抗凝固作用を減弱させることが示唆されている。シミュレーション結果に基づき、本剤の抗凝固活性は、アンデキサネット アルファ(遺伝子組換え)投与終了4時間後にはアンデキサネット アルファ(遺伝子組換え)の影響を受けないと推定されている。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1〜5%未満
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
LDH上昇 1〜5%未満
そう痒感 頻度不明
両頬のつっぱり感 1〜5%未満
低アルドステロン症 頻度不明
出血性壊死 頻度不明
動悸 1〜5%未満
点状出血 1〜5%未満
発疹 頻度不明
白斑 頻度不明
胸部圧迫感 1〜5%未満
脱毛 頻度不明
貧血 1〜5%未満
頭痛 1〜5%未満
骨粗鬆症 頻度不明
鼻出血 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤の抗凝固作用はヘパリンナトリウムと同様アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)を介する間接作用である。本剤はATⅢの活性型血液凝固第X因子(Xa)、トロンビンとの結合反応を促進するが、ヘパリンナトリウムに比して、よりXaへの選択性が高いことが示唆されている18)。

18.2 血液凝固阻止作用

イヌ血液透析モデルにおいて本剤を開始時に単回静脈内投与すると同一抗第Xa因子活性のヘパリンナトリウムよりも長時間、血液凝固阻止作用を示す。このとき、血漿中抗第Xa因子活性の半減期はヘパリンナトリウムの1.5倍であり、活性部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長はヘパリンナトリウムに比して軽度である。また、開始時に単回静脈内投与した後、透析施行中持続注入すると著明なAPTTの延長を伴わずにヘパリンナトリウムと同様の血液凝固阻止作用を発揮する19)。

薬物動態

16.1 血中濃度

健常成人男子(17例)に本剤20単位/kg、40単位/kg、80単位/kg注1)を単回静脈内投与して得られた血漿中抗第Xa因子活性は図のとおりであり、用量相関性が認められる6)。

投与量 20U/kg(5例) 40U/kg(6例) 80U/kg(6例)
Cmax(anti-Xa U/mL) 0.39±0.03 0.67±0.07 1.21±0.17
T1/2(min) 84.30±6.00 114.94±18.70 146.42±7.88
AUC(anti-Xa U・min/mL) 49.00±3.10 116.18±18.97 241.92±31.36
CL(mL/min/kg) 0.41±0.02 0.35±0.06 0.34±0.04

(平均値±標準偏差)

U:単位

16.3 分布

35Sで標識した本剤を雄ラットに1mg/kgを静脈内投与したとき、投与後5分にほとんどの組織で最高濃度となり、特に腎臓で高い放射能が認められた5)。

16.4 代謝

35Sで標識した本剤を雌雄ラットに1mg/kg、雄イヌに1mg/kg静脈内投与したとき、ラットとイヌの血漿、尿中及び組織中の未変化体相当分画は経時的に減少し、それより低分子側の代謝物が増加した。その代謝物は、主として脾臓において分解を受けて生じた硫酸基であると考えられた5)。

16.5 排泄

35Sで標識した本剤を雄ラットに1mg/kg、雄イヌに1mg/kg静脈内投与したとき、投与後168時間までに、ラットでは尿中へ76.7%、糞中へ8.5%が排泄され、イヌでは尿中に78.8%、糞中へ3.2%が排泄された。また、ラットにおける24時間までの胆汁中への排泄は、3.9%であった5)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1血液透析施行中の安定期慢性腎不全患者

血液透析施行中の安定期慢性腎不全患者15例に本剤40~50単位/kg(1時間あたり平均9.95単位/kg、平均4.5時間透析)注1)を単回静脈内投与したとき、血漿中抗第Xa因子活性は投与後1相性に低下した。また、本剤は主に尿中に排泄されるが、腎機能の低下している患者では尿中に排泄されないため抗第Xa因子活性の血漿中からの消失が遅延し、平均44.7単位/kgを投与したときの消失の半減期は健常人(40単位/kgを投与したとき114.94分)に比し約2倍長い246.53±76.97分であった6),7)。

16.8 その他

  1. 16.8.1透析膜への吸着性

ヘパリンを対照とした灌流試験により、本剤の吸着性について抗Xa活性を指標に検討した結果、本剤の抗Xa活性は経時的に低下し、ヘモファン膜に吸着することが示された。

注1)承認最大用量は20単位/kgである。