統合失調症
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1昏睡状態、循環虚脱状態の患者[これらの状態を悪化させるおそれがある。]
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2.2バルビツール酸誘導体、麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制剤の作用を延長し増強させる。]
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2.3アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
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2.4本剤の成分、フェノチアジン系化合物及びその類似化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
ゾテピンとして、通常成人1日75~150mgを分割経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日450mgまで増量することができる。
使用上の注意
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8.1眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
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8.2制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1皮質下部の脳障害(脳炎、脳腫瘍、頭部外傷後遺症等)の疑いがある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない。高熱反応があらわれるおそれがあるので、このような場合には全身を氷で冷やすか、又は解熱剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
- 9.1.2血液障害のある患者
血液障害を悪化させるおそれがある。
- 9.1.3褐色細胞腫又はパラガングリオーマ、動脈硬化症あるいは心疾患の疑いのある患者
類似化合物であるフェノチアジン系化合物では血圧の急速な変動がみられることがある。
- 9.1.4重症喘息、肺気腫、呼吸器感染症等の患者
類似化合物であるフェノチアジン系化合物では呼吸抑制があらわれることがある。
- 9.1.5てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者及び過去にロボトミーや電撃療法をうけた患者
痙攣閾値を低下させることがある。
- 9.1.6高温環境にある患者
高熱反応があらわれることがある。
- 9.1.7脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者
悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい。
- 9.1.8不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害を悪化させるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験で新生仔死亡率の増加が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状(新生児薬物離脱症候群)や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
9.6 授乳婦
投与中は授乳しないことが望ましい。母乳中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。錐体外路症状等の副作用が起こりやすい。
相互作用
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)• (ボスミン) | アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧低下を起こすおそれがある。 | アドレナリンはα、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用により、β受容体刺激作用が優位となり、血圧低下作用が増強される。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • 中枢神経抑制剤• バルビツール酸誘導体 • 麻酔剤等 |
相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある。 | 本剤及びこれらの薬剤は中枢神経抑制作用を有する。 |
| 降圧剤 | 相互に降圧作用を増強させることがある。 | 本剤及びこれらの薬剤は降圧作用を有する。 |
| • 抗コリン作用を有する薬剤• 抗コリン性抗パーキンソン剤 • 三環系抗うつ剤等 |
相互に抗コリン作用を増強させることがある。 | 本剤及びこれらの薬剤は抗コリン作用を有する。 |
| メトクロプラミド ドンペリドン |
内分泌機能異常、錐体外路症状が発現しやすくなる。 | 本剤及びこれらの薬剤は抗ドパミン作用を有するため、併用により抗ドパミン作用が強くあらわれる。 |
| • ドパミン作動薬• レボドパ等 | 相互に作用を減弱させることがある。 | 本剤は抗ドパミン作用を有するため、作用が拮抗する。 |
| • アルコール• 飲酒 | 相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある。 | ともに中枢神経抑制作用を有する。 |
| 有機燐殺虫剤 | 相互に作用し、有機燐殺虫剤の毒性を増強させるおそれがあるので、接触しないように注意すること。 | 有機燐殺虫剤の抗コリンエステラーゼ作用を増強し、その毒性を強めるおそれがある。 |
| • アドレナリン含有歯科麻酔剤• リドカイン・アドレナリン | 重篤な血圧低下を起こすおそれがある。 | アドレナリンはα、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用により、β受容体刺激作用が優位となり、血圧低下作用が増強されるおそれがある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| アカシジア(静坐不能) | 1〜5%未満 |
| ジスキネジア(構音障害 | 1〜5%未満 |
| しびれ感 | 1〜5%未満 |
| パーキンソン症候群(手指振戦 | 5%以上 |
| めまい | 1〜5%未満 |
| 下痢 | 1%未満 |
| 不安・焦燥 | 1〜5%未満 |
| 不整脈 | 1%未満 |
| 不眠 | 1〜5%未満 |
| 不穏・興奮 | 1〜5%未満 |
| 乳汁分泌 | 1%未満 |
| 仮面様顔貌等) | 5%以上 |
| 体重増加 | 1%未満 |
| 体重減少 | 1%未満 |
| 便秘 | 1〜5%未満 |
| 口内炎 | 1%未満 |
| 口渇 | 1〜5%未満 |
| 味覚異常 | 1%未満 |
| 嚥下障害 | 1〜5%未満 |
| 失禁 | 1〜5%未満 |
| 姿勢異常等) | 1〜5%未満 |
| 性欲亢進 | 1%未満 |
| 息苦しさ | 1%未満 |
| 悪心・嘔吐 | 1〜5%未満 |
| 意識障害 | 1〜5%未満 |
| 排尿困難 | 1〜5%未満 |
| 易刺激 | 1〜5%未満 |
| 月経異常 | 1%未満 |
| 歩行障害 | 5%以上 |
| 流涎 | 5%以上 |
| 浮腫 | 1〜5%未満 |
| 発汗 | 1%未満 |
| 発熱 | 1%未満 |
| 発疹 | 1〜5%未満 |
| 皮膚そう痒感 | 1%未満 |
| 眠気 | 5%以上 |
| 眼球回転発作 | 1〜5%未満 |
| 瞳孔散大 | 1%未満 |
| 筋強剛 | 5%以上 |
| 肝障害 | 1〜5%未満 |
| 脱力・倦怠感 | 1〜5%未満 |
| 脳波異常 | 5%以上 |
| 腹部不快感 | 1〜5%未満 |
| 腹部膨満感 | 1%未満 |
| 膏顔 | 5%以上 |
| 血圧降下 | 1〜5%未満 |
| 血清尿酸低下 | 5%以上 |
| 視覚障害 | 1〜5%未満 |
| 運動減少 | 5%以上 |
| 頭痛・頭重 | 1〜5%未満 |
| 頻尿 | 1%未満 |
| 頻脈 | 1〜5%未満 |
| 食欲不振 | 1〜5%未満 |
| 食欲亢進 | 1%未満 |
| 鼻閉 | 1〜5%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
脳内モノアミンに対する作用として、ドパミン受容体やセロトニン受容体の遮断作用、ドパミン代謝回転亢進作用及びカテコールアミンの神経終末部への取り込み抑制作用等を示す。
18.2 ドパミン受容体遮断作用
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18.2.1ゾテピンは中枢神経系のドパミン受容体を遮断することにより、ラットのアポモルフィン又はメタンフェタミンによる強制咀嚼行動及び回転運動、イヌでのアポモルフィンによる嘔吐を抑制する。また、ラット脳のドパミンの代謝回転を亢進させる7)。
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18.2.2ゾテピンはマウスの自発運動、回転棒上での平衡保持、ラットの徘徊運動や立ち上り運動(open field test)、条件回避反応、嗅球摘除ラットでのmuricide行動等を抑制し、この作用はクロルプロマジンと同程度である。しかし、マウスでのバルビツレート睡眠に対する増強作用はクロルプロマジンより弱い7),8)。
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18.2.3ゾテピンのラットでのカタレプシー惹起作用はペルフェナジン、ハロペリドール、チオチキセンより弱い7)。
18.3 セロトニン受容体遮断作用
ゾテピンは中枢性のセロトニン受容体に対して強い遮断作用を有し、幻覚剤のLSD(ウサギ)9),10)、メスカリン、DOM(ラット)11)並びにセロトニン作動性薬物のフェンフルラミン(ラット)12)、MK-212(ウサギ)9),10)、キパジン(ラット)13)、5HTP(マウス)12)等の各種作用に対する抑制は多くの場合クロルプロマジン、ハロペリドール、シプロヘプタジンよりも強い。
18.4 カテコールアミンの神経終末部への取り込み抑制作用
ゾテピンはノルアドレナリン、ドパミン及びセロトニンの神経終末部への取り込みを抑制する(ラット)8)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
統合失調症患者5例にゾテピンを100mg経口投与した場合、その消化管からの吸収は良好であり、血清中濃度は投与1~4時間後にピーク(0.03~0.24μg/mL、平均0.129μg/mL)に達する。その後徐々に減少し、投与24時間後には最高血清中濃度のおよそ1/10となり、ヒトでの血清からのゾテピンの消失半減期は約8時間であった1)。各々の血清中濃度は下図のとおりである。
- 16.1.2反復投与
統合失調症患者に連続投与した場合、投与量が多くとも血清中濃度が高いとはいえず、個人差がみられる。また、投与1週間以内に血清中濃度は定常状態に達すると考えられる2)。
16.3 分布
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16.3.1気分障害患者に1日100mg投与したとき母乳中への移行が認められている3)。
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16.3.2 14C標識ゾテピンのin vitroでの蛋白結合率は高く、ヒト血清アルブミンとの結合率は約97%である4)。
16.4 代謝
本剤の主な代謝酵素はCYP3A4である5)。
16.5 排泄
統合失調症患者にゾテピンを経口投与後、0~24時間の尿への未変化体の排泄率は投与量の0.03~0.07%で、大部分が代謝物であった1)。