麻酔時の筋弛緩、気管挿管時の筋弛緩
ロクロニウム臭化物静注液25mg/2.5mL「F」
ロクロニウム臭化物
【警告】
本剤は、その作用及び使用法について熟知した医師のみが使用すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分又は臭化物に対して過敏症の既往歴のある患者
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2.2重症筋無力症、筋無力症候群の患者のうち、スガマデクスナトリウムに対して過敏症の既往歴のある患者[筋弛緩回復剤であるスガマデクスナトリウムを使用できないため、筋弛緩作用が遷延しやすい。]
効能・効果
用法・用量
通常、成人には挿管用量としてロクロニウム臭化物0.6mg/kgを静脈内投与し、術中必要に応じて0.1~0.2mg/kgを追加投与する。持続注入により投与する場合は、7μg/kg/分の投与速度で持続注入を開始する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、挿管用量の上限は0.9mg/kgまでとする。
使用上の注意
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8.1本剤は呼吸抑制を起こすので十分な自発呼吸が回復するまで必ず調節呼吸を行うこと(ガス麻酔器又は人工呼吸器を使用すること)。
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8.2重症筋無力症、筋無力症候群の患者では、非脱分極性筋弛緩剤に対する感受性が極めて高く、筋弛緩作用が増強・遷延しやすいため、筋弛緩モニターによる確認を必ず行うとともに、患者の呼吸状態等に十分注意し、必要に応じてスガマデクスナトリウムによる筋弛緩状態からの回復を行うこと。また、これらの患者では筋弛緩状態からの回復に抗コリンエステラーゼ剤を使用しないこと。
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8.3*重症筋無力症、筋無力症候群以外の患者では、本剤による筋弛緩状態から回復させるには、スガマデクスナトリウム又は抗コリンエステラーゼ剤並びにアトロピン硫酸塩水和物(抗コリンエステラーゼ剤の副作用防止のため)を静脈内投与すること。抗コリンエステラーゼ剤を投与する場合、筋弛緩モニターによる回復又は自発呼吸の発現を確認した後に投与すること。 なお、それぞれの薬剤の電子添文の用法及び用量、使用上の注意を必ず確認すること。
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8.4麻酔導入後、本剤にさきがけて気管挿管の目的でスキサメトニウム塩化物水和物を投与した場合には、スキサメトニウム塩化物水和物の効果の消失(患者の自発呼吸の発現)を確認した後、本剤を投与すること。
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8.5本剤による筋弛緩の程度を客観的に評価し、本剤を安全かつ適切に使用するために、筋弛緩モニターを必要に応じて行うこと。
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8.6スキサメトニウム塩化物水和物で過去にアナフィラキシー反応が生じた患者では、同様にアナフィラキシー反応が生じる可能性があるので、注意すること。
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8.7筋弛緩作用の残存による呼吸抑制、誤嚥等の合併症を防止するため、患者の筋弛緩が十分に回復したことを確認した後に抜管すること。
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8.8スガマデクスナトリウム投与後に本剤を再投与する必要が生じた場合、本剤の作用発現時間の遅延が認められるおそれがあるので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1呼吸困難及び気道閉塞のある患者
換気不全により、患者の自発呼吸の再開が遅れるおそれがある。
- 9.1.2胆道疾患の患者
本剤の排泄が遅れるため作用が遷延することがある。
- 9.1.3気管支喘息の患者
喘息発作、気管支痙攣を起こすおそれがある。
- 9.1.4電解質異常(低カリウム血症、低カルシウム血症、高マグネシウム血症等)、低蛋白血症、脱水症、アシドーシス、高炭酸ガス血症の患者
本剤の作用が増強されるおそれがある。
- 9.1.5低体温麻酔及び低体温灌流法による人工心肺使用の患者
作用が増強し、作用持続時間が延長するおそれがある。
- 9.1.6重症筋無力症、筋無力症候群の患者
非脱分極性筋弛緩剤に対する感受性が極めて高い。
- 9.1.7重症筋無力症、筋無力症候群の患者を除く神経筋疾患の患者(筋ジストロフィー、筋緊張症候群、先天性ミオパチー、脊髄性筋萎縮症、ギラン・バレー症候群等)又はポリオ罹患後の患者
本剤の作用の増強又は減弱が生じることがある。
- 9.1.8心拍出量の低下が認められる患者
作用発現時間が遅延し、また作用が遷延することがある。
- 9.1.9肥満の患者
実体重で投与量を算出した場合、作用持続時間が延長し回復が遅延するおそれがある。
- 9.1.10熱傷の患者
筋弛緩剤の作用が抑制されることが知られている。
- 9.1.11*血液脳関門の機能障害又は透過性の亢進がある患者
重篤な感染症を合併している患者や新生児において、散瞳及び固定瞳孔がみられたとの報告がある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1腎疾患の患者
本剤の排泄が遅れるため作用が遷延することがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1肝疾患の患者
本剤の排泄が遅れるため作用が遷延することがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。 動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした国内臨床試験は実施していない。小児患者(704例)を対象とした本剤(投与量上限1mg/kg)の11の海外臨床試験のメタアナリシスでは、副作用として頻脈(1.4%)が認められた。 作用発現時間が早く、また小児では作用持続時間が短い。
9.8 高齢者
本剤の排泄が遅れるため作用が遷延することがある。 患者の状態を観察しながら、挿管用量を0.6mg/kgとして慎重に投与すること。また、術中必要に応じて追加投与する場合は、挿管用量での作用持続時間を考慮の上、用量を決定すること。本剤0.6mg/kgを投与したとき、高齢者では非高齢者と比較してクリアランスが約16%(高齢者:3.45mL/min/kg、非高齢者:4.11mL/min/kg)低下し、高齢者の作用持続時間は非高齢者と比較して約1.5倍(高齢者:42.4分、非高齢者:27.5分)延長した1)。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| スキサメトニウム塩化物水和物 | スキサメトニウム投与後に本剤を投与すると、本剤の筋弛緩作用が増強されることがある。また本剤投与後、スキサメトニウムを投与すると本剤の作用が増強又は減弱される。 | 脱分極性の筋弛緩剤との併用により本剤の作用が増強されると考えられるが、減弱の機序については不明である。 |
| 他の非脱分極性筋弛緩剤 | 本剤と他の非脱分極性筋弛緩剤との投与順により、本剤の筋弛緩作用が減弱あるいは、増強することがある。 | 作用持続時間の異なる非脱分極性筋弛緩剤を逐次使用した場合、最初に使用した筋弛緩剤の作用が影響する。 |
| 吸入麻酔剤 • イソフルラン • セボフルラン • ハロタン • エーテル等リチウム塩製剤 |
本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意すること。 | 筋弛緩作用を有する。 |
| カリウム排泄型利尿剤 • フロセミド • チアジド系 |
本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意すること。 | 低カリウム血症により本剤の作用が増強されることがある。 |
| MAO阻害剤 プロタミン製剤 不整脈用剤 • β-遮断薬メトロニダゾール カルシウム拮抗剤 シメチジン ブピバカイン |
本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意すること。 | 機序不明 |
| 抗生物質 • アミノグリコシド系 • リンコマイシン系 • ポリペプチド系 • アシルアミノペニシリン系マグネシウム塩製剤 キニジン キニーネ |
本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意すること。また、これらの薬剤を術後に投与した場合、本剤の筋弛緩作用が再発現(再クラーレ化)することがある。 | これらの薬剤は筋弛緩作用を有するため作用が増強されると考えられている。再クラーレ化については機序不明である。 |
| フェニトイン | 術中の静脈内投与により本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合は注意すること。 | 機序不明 |
| 塩化カルシウム製剤 塩化カリウム製剤 |
本剤の筋弛緩作用が減弱されることがある。 | Ca2+及びK+は骨格筋の収縮に関与している。 |
| プロテアーゼ阻害剤 • ガベキサート • ウリナスタチン |
本剤の筋弛緩作用が減弱されることがある。 | 機序不明 |
| 副腎皮質ホルモン剤 抗てんかん剤 • カルバマゼピン • フェニトイン |
長期前投与により、本剤の筋弛緩作用が減弱されることがある。 | 機序不明 |
| リドカイン | 本剤の筋弛緩作用が増強される及びリドカインの作用発現が早まることがあるので、併用する場合には減量するなど注意すること。 | 機序不明 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 | 1%未満 |
| アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加 | 1%未満 |
| 上腹部痛 | 1%未満 |
| 低血圧 | 1%未満 |
| 徐脈 | 1%未満 |
| 心室性期外収縮 | 1%未満 |
| 心拍数増加 | 1%未満 |
| 接触性皮膚炎 | 1%未満 |
| 注射部位紅斑 | 1%未満 |
| 洞性徐脈 | 1%未満 |
| 浮動性めまい | 1%未満 |
| 潮紅 | 1%未満 |
| 疼痛* | 頻度不明 |
| 発疹 | 1%未満 |
| 発赤 | 頻度不明 |
| 白血球数増加 | 1%未満 |
| 白血球数減少 | 1%未満 |
| 血中アルカリホスファターゼ増加 | 1%未満 |
| 血中アルカリホスファターゼ減少 | 1%未満 |
| 血中コレステロール増加 | 1%未満 |
| 血中ビリルビン増加 | 1%未満 |
| 血圧上昇 | 1%未満 |
| 血圧低下 | 1%未満 |
| 血小板数増加 | 1%未満 |
| 血小板数減少 | 1%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
- ロクロニウム臭化物は神経筋接合部のニコチン性アセチルコリン受容体のアンタゴニストとして作用することにより、筋弛緩作用を示すことが認められている12)。
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18.1.1摘出ニワトリヒナの神経筋標本において、ロクロニウム臭化物は多重神経支配を受けている筋線維の収縮を引き起こさず、間接刺激による筋収縮を抑制した13)。
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18.1.2麻酔下のネコ及びブタを用いた試験において、ロクロニウム臭化物は筋束の不随収縮を引き起こさず、筋収縮の抑制時にはテタヌス減衰またはTOF(四連)刺激による減衰を示した。またネオスチグミンはロクロニウム臭化物による筋収縮の抑制を拮抗した13)。
18.2 筋弛緩作用
麻酔下のネコ及びブタを用いた試験においてロクロニウム臭化物の筋弛緩作用のED50値はベクロニウム臭化物の約5倍であった。ネコにおいて、ED90の投与量のロクロニウム臭化物投与による作用発現時間は同効力のベクロニウム臭化物の2倍早かった。ネコ及びブタにおいてED90の投与量のロクロニウム臭化物とベクロニウム臭化物の作用持続時間はほぼ同等であった13)。
薬物動態
16.1 血中濃度
国内臨床試験において、バランス麻酔下の患者(59例)にロクロニウム臭化物0.3、0.6、0.9mg/kgを単回静脈内投与したときの薬物動態パラメータを下表に示す2)。
| 投与量 (mg/kg) |
症例数 | 半減期 (min) |
MRT (min) |
CL (mL/min/kg) |
Vss (mL/kg) |
AUC (mg・min/mL) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 0.3 | 20 | 48±17 | 33±13 | 4.5±0.9 | 146±55 | 0.07±0.01 |
| 0.6 | 19 | 75±28 | 46±13 | 4.1±1.0 | 181±48 | 0.15±0.03 |
| 0.9 | 20 | 76±19 | 47±14 | 3.8±0.8 | 172±39 | 0.25±0.05 |
平均値±標準偏差
16.4 代謝
スフェンタニル麻酔下の患者11例にロクロニウム臭化物0.6mg/kgを単回静脈内投与し、維持用量として0.3mg/kg注1)を静脈内投与した後、持続点滴注入を15μg/kg/分で開始した注2)。血漿中に少量の代謝物17-脱アセチル体が検出された3)(外国人データ)。
16.5 排泄
スフェンタニル麻酔下の患者11例にロクロニウム臭化物0.6mg/kgを単回静脈内投与し、維持用量として0.3mg/kg注1)を静脈内投与した後、持続点滴注入を15μg/kg/分で開始した注2)。静脈内持続注入の開始から投与終了後12時間までの未変化体の尿中排泄率は38%であった。尿中に代謝物は検出されなかった3)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎不全患者及び肝機能障害患者
腎不全患者及び肝機能障害患者では正常肝・腎機能患者と比較してロクロニウム臭化物のクリアランスが約20%(腎不全患者:2.18mL/min/kg、肝機能障害患者:2.16mL/min/kg、正常肝・腎機能患者:2.72mL/min/kg)減少し、肝機能障害患者では消失半減期が約1.75倍(正常肝・腎機能患者:145分、肝機能障害患者:255分)延長した4)。
- 16.6.2高齢者
ロクロニウム臭化物0.6mg/kgを投与したとき、高齢者では非高齢者と比較してクリアランスが約16%(高齢者:3.45mL/min/kg、非高齢者:4.11mL/min/kg)低下した1)。 注1)本剤の承認された維持用量は0.1~0.2mg/kgである。 注2)本剤の承認された初期注入速度は7μg/kg/分である。