Clinical snapshot

ロキソプロフェンNa錠60mg「YD」

ロキソプロフェンナトリウム錠

添付文書改訂 2026年04月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1消化性潰瘍のある患者[プロスタグランジン生合成抑制により、胃の血流量が減少し消化性潰瘍が悪化することがある。]

  2. 2.2重篤な血液の異常のある患者[血小板機能障害を起こし、悪化するおそれがある。]

  3. 2.3重篤な肝機能障害のある患者

  4. 2.4重篤な腎機能障害のある患者

  5. 2.5重篤な心機能不全のある患者

  6. 2.6本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  7. 2.7アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[アスピリン喘息発作を誘発することがある。]

  8. 2.8妊娠後期の女性

効能・効果

  • 下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛 関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛

  • 手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎

  • 下記疾患の解熱・鎮痛 急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)

用法・用量

  • 〈下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛/関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛 手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎〉

通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mg、1日3回経口投与する。頓用の場合は、1回60~120mgを経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。

  • 〈下記疾患の解熱・鎮痛/急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)〉

通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mgを頓用する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、原則として1日2回までとし、1日最大180mgを限度とする。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。

使用上の注意

  1. 8.1消炎鎮痛剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意すること。

  2. 8.2過度の体温下降、虚脱、四肢冷却等があらわれることがあるので、特に高熱を伴う高齢者又は消耗性疾患を合併している患者においては、投与後の患者の状態に十分注意すること。

  3. 8.3無顆粒球症、白血球減少、溶血性貧血、再生不良性貧血、血小板減少があらわれることがあるので、血液検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  4. 8.4急性疾患に対し本剤を使用する場合には、次の事項を考慮すること。

  • 急性炎症、疼痛及び発熱の程度を考慮し、投与すること。

  • 原則として同一の薬剤の長期投与を避けること。

  • 原因療法があればこれを行い、本剤を漫然と投与しないこと。

  1. 8.5慢性疾患(関節リウマチ、変形性関節症等)に対し本剤を用いる場合には、次の事項を考慮すること。
  • 長期投与する場合には定期的に尿検査、血液検査及び肝機能検査等を行うこと。

  • 薬物療法以外の療法も考慮すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1消化性潰瘍の既往歴のある患者

潰瘍を再発させることがある。

  1. 9.1.2非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある患者で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている患者

本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与すること。ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能・効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もある。

  1. 9.1.3血液の異常又はその既往歴のある患者(重篤な血液の異常のある患者を除く)

溶血性貧血等の副作用が起こりやすくなる。

  1. 9.1.4心機能異常のある患者(重篤な心機能不全のある患者を除く)

腎のプロスタグランジン生合成抑制により浮腫、循環体液量の増加が起こり、心臓の仕事量が増加するため症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.5気管支喘息の患者(アスピリン喘息又はその既往歴のある患者を除く)

病態を悪化させることがある。

  1. 9.1.6潰瘍性大腸炎の患者

病態を悪化させることがある。

  1. 9.1.7クローン病の患者

病態を悪化させることがある。

  1. 9.1.8感染症を合併している患者

必要に応じて適切な抗菌剤を併用し、観察を十分に行い慎重に投与すること。感染症を不顕性化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎機能障害のある患者

投与しないこと。急性腎障害、ネフローゼ症候群等の副作用を発現することがある。

  1. 9.2.2腎機能障害又はその既往歴のある患者(重篤な腎機能障害のある患者を除く)

浮腫、蛋白尿、血清クレアチニン上昇、高カリウム血症等の副作用が起こることがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝機能障害のある患者

投与しないこと。副作用として肝機能障害が報告されており、悪化するおそれがある。

  1. 9.3.2肝機能障害又はその既往歴のある患者(重篤な肝機能障害のある患者を除く)

肝機能障害を悪化又は再発させることがある。

9.5 妊婦

  1. 9.5.1妊娠後期の女性

投与しないこと。動物実験(ラット)で分娩遅延及び胎児の動脈管収縮が報告されている。

  1. 9.5.2妊婦(妊娠後期を除く)又は妊娠している可能性のある女性

*治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。投与する際には、必要最小限にとどめ、羊水量、胎児の動脈管収縮を疑う所見を妊娠週数や投与日数を考慮して適宜確認するなど慎重に投与すること。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(全身作用を期待する製剤)を妊娠中期の妊婦に使用し、胎児の動脈管収縮が起きたとの報告がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

少量から投与を開始するなど必要最小限の使用にとどめ患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。副作用があらわれやすい。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
クマリン系抗凝血剤
• ワルファリン
抗凝血作用を増強するおそれがあるので注意し、必要があれば減量すること。 本剤のプロスタグランジン生合成抑制作用により血小板凝集が抑制され血液凝固能が低下し、抗凝血作用に相加されるためと考えられている。
第Xa因子阻害剤
• エドキサバントシル酸塩水和物等
出血の危険性を増大させるおそれがある。 抗血栓作用を増強するためと考えられている。
スルホニル尿素系血糖降下剤
• クロルプロパミド等
血糖降下作用を増強するおそれがあるので注意し、必要があれば減量すること。 本剤のヒトでの蛋白結合率は、ロキソプロフェンで97.0%、trans-OH体で92.8%と高く、蛋白結合率の高い薬剤と併用すると血中に活性型の併用薬が増加し、作用が増強されるためと考えられている。
ニューキノロン系抗菌剤
• レボフロキサシン水和物等
痙攣誘発作用を増強することがある。 ニューキノロン系抗菌剤は、中枢神経系の抑制性神経伝達物質であるGABAの受容体への結合を阻害し、痙攣誘発作用を起こす。本剤の併用により阻害作用を増強するためと考えられている。
メトトレキサート 血中メトトレキサート濃度を上昇させ、作用を増強することがあるので、必要があれば減量すること。 機序は不明であるが、本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、これらの薬剤の腎排泄が減少し血中濃度が上昇するためと考えられている。
リチウム製剤
• 炭酸リチウム
血中リチウム濃度を上昇させ、リチウム中毒を起こすことがあるので血中のリチウム濃度に注意し、必要があれば減量すること。 機序は不明であるが、本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、これらの薬剤の腎排泄が減少し血中濃度が上昇するためと考えられている。
チアジド系利尿薬
• ヒドロクロロチアジド等
利尿・降圧作用を減弱するおそれがある。 本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、水、ナトリウムの排泄を減少させるためと考えられている。
降圧剤
• ACE阻害剤
• アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤等
降圧作用を減弱するおそれがある。 本剤のプロスタグランジンの生合成抑制作用により、降圧作用を減弱させる可能性がある。
降圧剤
• ACE阻害剤
• アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤等
腎機能を悪化させるおそれがある。 本剤のプロスタグランジンの生合成抑制作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP上昇 1%未満
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
しびれ 1%未満
そう痒感 頻度不明
めまい 1%未満
下痢 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
動悸 1%未満
口内炎 頻度不明
口渇 頻度不明
嘔吐 1%未満
好酸球増多 1%未満
小腸・大腸の潰瘍注1) 頻度不明
尿量減少 頻度不明
悪心 頻度不明
排尿困難 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
消化性潰瘍注1) 頻度不明
発汗 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球減少 頻度不明
眠気 頻度不明
胃部不快感 頻度不明
胸やけ 頻度不明
胸痛 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
蛋白尿 頻度不明
血圧上昇 1%未満
血小板減少 頻度不明
血尿 頻度不明
貧血 頻度不明
頭痛 1%未満
顔面熱感 頻度不明
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ロキソプロフェンナトリウム水和物は経口投与されたとき、胃粘膜刺激作用の弱い未変化体のまま消化管より吸収され、その後速やかにプロスタグランジン生合成抑制作用の強い活性代謝物trans-OH体(SRS配位)に変換されて作用する。シクロオキシゲナーゼを作用点としたプロスタグランジン生合成抑制作用により、すぐれた鎮痛・抗炎症・解熱作用を有し、特に鎮痛作用が強力である28),29)。

18.2 鎮痛作用

  1. 18.2.1ロキソプロフェンナトリウム水和物をラットに経口投与したとき、Randall-Selitto法(炎症足加圧法)においてED50値は0.13mg/kgであり、ケトプロフェン、ナプロキセン、インドメタシンに比べ、10~20倍の強い鎮痛作用を示した30),31)。

  2. 18.2.2ロキソプロフェンナトリウム水和物をラットに経口投与したとき、熱炎症性疼痛法においてID50値は0.76mg/kgであり、ナプロキセンと同等、ケトプロフェン、インドメタシンの3~5倍以上の鎮痛作用を示した30),31)。

  3. 18.2.3ロキソプロフェンナトリウム水和物をラットに経口投与したとき、慢性関節炎疼痛法においてED50値は0.53mg/kgと強い鎮痛作用を示し、インドメタシン、ケトプロフェン、ナプロキセンの4~6倍の鎮痛作用を示した31)。

  4. 18.2.4ロキソプロフェンナトリウム水和物の鎮痛作用は末梢性である30)。

18.3 抗炎症作用

ロキソプロフェンナトリウム水和物をラットに経口投与したとき、カラゲニン浮腫(急性炎症モデル)、アジュバント関節炎(慢性炎症モデル)等に対して、ケトプロフェン、ナプロキセンとほぼ同等の抗炎症作用を示した30),31)。

18.4 解熱作用

ロキソプロフェンナトリウム水和物をラットに経口投与したとき、イーストによる発熱に対し、ケトプロフェン、ナプロキセンとほぼ同等、インドメタシンの約3倍の解熱作用を示した31)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与時

健康成人男性16例にロキソプロフェンナトリウム錠60mgを単回経口投与したところ、速やかに吸収され、血中にはロキソプロフェン(未変化体)のほか、trans-OH体(活性代謝物)の型で存在した。最高血漿中濃度に到達する時間はロキソプロフェンで約30分、trans-OH体で約50分であり、半減期はいずれも約1時間15分であった2)。

例数 Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
AUC
(μg・hr/mL)
吸収速
度定数
(hr-1)
消失速
度定数
(hr-1)
ロキソ
プロフェン
16 5.04
±0.27
0.45
±0.03
1.22
±0.07
6.70
±0.26
11.21
±1.82
λ1=4.04
±0.93
λ2=0.59
±0.04
trans
-OH体
16 0.85
±0.02
0.79
±0.02
1.31
±0.05
2.02
±0.05
3.56
±0.21
λ1=0.99
±0.07
λ2=0.54
±0.02

(平均値±標準誤差)

  1. 16.1.2反復投与時

健康成人男性5例にロキソプロフェンナトリウム80mgを1日3回5日間反復経口投与したとき、初回投与時と血漿中濃度に大きな差異はなく、蓄積性は認められなかった3)。

  1. 16.1.3生物学的同等性試験

ロキソプロフェンNa錠60mg「YD」とロキソニン錠をクロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ロキソプロフェンナトリウム無水物として60mg)、健康成人男子15名に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された4)。

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-8
(μg・hr/mL)
Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
ロキソプロフェン
Na錠60mg「YD」
7.69±1.10 4.72±0.86 0.6±0.3 1.2±0.2
ロキソニン錠 7.63±1.59 5.22±1.43 0.6±0.3 1.2±0.2

(平均値±標準偏差、n=15)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

ロキソプロフェン、trans-OH体の結合率はそれぞれ97%、93%であった5)。

16.5 排泄

健康成人男性6例にロキソプロフェンナトリウム錠60mgを単回経口投与したとき、尿中への排泄は速やかで、尿中に排泄された大部分がロキソプロフェン又はtrans-OH体のグルクロン酸抱合体であった2)。

ロキソプロフェンナトリウム錠60mg単回経口投与後の尿中排泄遊離型 グルクロン酸抱合型 

投与8時間後までの尿中排泄(% of dose)
遊離型 グルクロン酸抱合型
ロキソプロフェン 2.07±0.29 21.0±0.4
trans-OH体 2.21±0.47 16.0±0.6

(平均値±標準誤差、n=6)

注)本剤の承認最大用量は180mgである。