Clinical snapshot

レボフロキサシン点滴静注バッグ500mg「HK」

レボフロキサシン水和物

添付文書改訂 2024年03月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈効能共通〉
  1. 2.1本剤の成分又はオフロキサシンに対し過敏症の既往歴のある患者
  • 〈炭疽等の重篤な疾患以外〉
  1. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  2. 2.3小児等

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

レボフロキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、大腸菌、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、ペスト菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ブルセラ属、野兎病菌、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)

  • 〈適応症〉

外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、腸チフス、パラチフス、子宮内感染、子宮付属器炎、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、Q熱

用法・用量

通常、成人にはレボフロキサシンとして1回500mgを1日1回、約60分間かけて点滴静注する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

  2. 8.2本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。

  3. 8.2.1事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。

  4. 8.2.2投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。

  5. 8.2.3投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に投与開始直後は注意深く観察すること。

  6. 8.3意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。

  7. 8.4大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。

  8. 8.5長期投与が必要となる場合には、経過観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者

痙攣を起こすことがある。

  1. 9.1.2キノロン系抗菌薬に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤又はオフロキサシンに対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)

  2. 9.1.3重篤な心疾患(不整脈、虚血性心疾患等)のある患者

QT延長を起こすことがある。

  1. 9.1.4重症筋無力症の患者

症状を悪化させることがある。

  1. 9.1.5大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子(マルファン症候群/ロイス・ディーツ症候群等)を有する患者

必要に応じて画像検査の実施を考慮すること。海外の疫学研究において、フルオロキノロン系抗菌薬投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの報告がある。

  1. 9.1.6うっ血性心不全、腎不全、ネフローゼ症候群等、ナトリウムの摂取が問題となる患者

本剤には塩化ナトリウムが含まれている。

9.2 腎機能障害患者

高い血中濃度の持続が認められている。なお、血液透析又はCAPD(持続的外来腹膜透析)は、体内からのレボフロキサシン除去への影響は少ないと報告があり1),2),3)、透析後の追加投与は不要と考えられる。

9.5 妊婦

  • 〈炭疽等の重篤な疾患以外〉
  1. 9.5.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で胎児器官形成期の投与において胎児の発育遅延及び出生児の行動発達遅延が認められている。
  • 〈炭疽等の重篤な疾患〉
  1. 9.5.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性を考慮して投与すること。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

  • 〈炭疽等の重篤な疾患以外〉
  1. 9.7.1投与しないこと。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。動物実験(幼若犬、若い成犬(13ヵ月齢)、幼若ラット)で関節異常が認められている。
  • 〈炭疽等の重篤な疾患〉
  1. 9.7.2治療上の有益性を考慮して投与すること。

9.8 高齢者

  1. 9.8.1腱障害があらわれやすいとの報告がある。

  2. 9.8.2投与量ならびに投与間隔に留意し、慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬
フルルビプロフェン等
痙攣を起こすおそれがある。 中枢神経におけるGABAA受容体への結合阻害が増強されると考えられている。
クマリン系抗凝固薬
ワルファリン
ワルファリンの作用を増強し、プロトロンビン時間の延長が認められたとの報告がある。 ワルファリンの肝代謝を抑制、又は蛋白結合部位での置換により遊離ワルファリンが増加する等と考えられている。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
デラマニド等
QT延長を起こすおそれがある。 QT延長作用が相加的に増加するおそれがある。
副腎皮質ホルモン剤(経口剤及び注射剤)
プレドニゾロン
ヒドロコルチゾン等
腱障害のリスクが増大するとの報告がある。これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること。 機序は不明である。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP上昇 頻度不明
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
BUN上昇 頻度不明
CK上昇 1%未満
LDH上昇 1%未満
γ-GTP上昇 頻度不明
クレアチニン上昇 頻度不明
しびれ感 1%未満
そう痒症 1%未満
ぼんやり 頻度不明
めまい 1%未満
リンパ球数減少 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠 頻度不明
低血圧 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 1%未満
傾眠 頻度不明
光線過敏症 頻度不明
動悸 頻度不明
口内炎 頻度不明
口渇 1%未満
味覚消失 頻度不明
味覚異常 頻度不明
咽喉乾燥 頻度不明
嗅覚錯誤 頻度不明
嘔吐 1%未満
四肢痛 頻度不明
好中球数減少 1%未満
好酸球数増加 頻度不明
尿中ブドウ糖陽性 1%未満
尿蛋白陽性 1%未満
尿閉 頻度不明
幻覚 1%未満
悪心 1%未満
意識障害 頻度不明
振戦 頻度不明
注射部位そう痒感 頻度不明
注射部位不快感 1%未満
注射部位熱感 1%未満
注射部位疼痛 頻度不明
注射部位硬結 1%未満
注射部位紅斑(12.3%) 頻度不明
注射部位腫脹 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
無嗅覚 頻度不明
無尿 頻度不明
熱感 頻度不明
発汗 頻度不明
発熱 1%未満
発疹 1%未満
白血球数減少 1%未満
穿刺部位疼痛 1%未満
筋肉痛 頻度不明
耳鳴 1%未満
肝機能異常 頻度不明
胃腸障害 頻度不明
胸痛 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
脱力感 頻度不明
腹痛 1%未満
腹部不快感 1%未満
腹部膨満 1%未満
舌炎 1%未満
蕁麻疹 頻度不明
血中ビリルビン増加 1%未満
血小板数減少 頻度不明
血尿 1%未満
血管炎 1%未満
血管障害 1%未満
視覚異常 頻度不明
貧血 頻度不明
錐体外路障害 頻度不明
関節痛 1%未満
関節障害 頻度不明
静脈炎 1%未満
頭痛 1%未満
頻尿 頻度不明
頻脈 頻度不明
食欲不振 1%未満
高血糖 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は、ラセミ体であるオフロキサシンの一方の光学活性S体であるレボフロキサシンの水和物を含有するニューキノロン系抗菌製剤で、細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣに作用し、DNA複製を阻害する。DNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣ阻害活性は、オフロキサシンの約2倍の強さであった24),25),26),27),28),29)。抗菌作用は殺菌的であり24),30)、MIC付近の濃度で溶菌が認められた31)。

18.2 抗菌作用

レボフロキサシンは、嫌気性菌を含むグラム陽性菌群及びグラム陰性菌群に対し、広範囲な抗菌スペクトルを有し、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、ならびに大腸菌、クレブシエラ属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属を含む腸内細菌科、緑膿菌を含むブドウ糖非発酵グラム陰性菌群、インフルエンザ菌、レジオネラ属、ペプトストレプトコッカス属、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)などに抗菌活性を示した。また、チフス菌、パラチフス菌、炭疽菌、ペスト菌、ブルセラ属、野兎病菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)に対しても抗菌力を示した24),30),32),33),34),35),36),37),38),39),40),41),42),43),44)。 実験的マウス感染治療試験において、レボフロキサシンは、治療効果を示した32)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人8例にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注した場合、薬物動態パラメータは、次のとおりであった5)。

Tmax
(hr)
Cmax
(μg/mL)
t1/2
(hr)
AUC0-72hr
(μg・hr/mL)
500mg点滴静注 1.00±0.00 9.79±1.05 8.05±1.54 51.96±4.96

t1/2:終末相の消失半減期

  1. 16.1.2経口投与との比較

健康成人にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注(8例)した場合又は単回経口投与(40例)した場合、薬物動態パラメータは、次のとおりであった6)。

Tmax
(hr)
Cmax
(μg/mL)
t1/2
(hr)
AUC0-72hr
(μg・hr/mL)
500mg点滴静注 1.00±0.00 9.79±1.05 8.05±1.54 51.96±4.96
500mg経口投与 0.99±0.54 8.04±1.98 7.89±1.04 50.86±6.46

16.3 分布

  1. 16.3.1日本人における成績

患者にレボフロキサシン1回500mgを60分間で点滴静注した場合、喀痰(点滴開始0.5~4時間後で対血漿中濃度比:0.45~1.54、5例)、胆嚢胆汁(点滴開始3時間後で対血漿中濃度比:1.78~2.16、2例)、胆管胆汁(点滴開始3時間後で対血漿中濃度比:1.37~2.31、4例)、腟分泌物(点滴開始3~7時間後で対血漿中濃度比:1.17~2.21、7例)、腹腔内滲出液(点滴開始7~9時間後で対血漿中濃度比:1.35~2.30、3例)に移行性を示した7),8),9),10)。

  1. 16.3.2外国人における成績

健康成人又は患者にレボフロキサシン500mgを単回経口投与した場合、炎症性滲出液(投与後0.5~24時間で対血漿中濃度比:0.2~1.5)、気管支粘膜(投与後0.5~8時間で対血漿中濃度比:0.9~1.8)、気管支肺胞洗浄液(投与後0.5~8時間で対血漿中濃度比:1.1~3.0)、肺マクロファージ(投与後0.5~24時間で対血漿中濃度比:4.1~18.9)、肺組織(投与後2.28~25.43時間で対血漿中濃度比:1.06~9.98)に移行性を示した11)。

  1. 16.3.3血漿蛋白結合率

健康成人にレボフロキサシン500mgを単回点滴静注した場合、ex vivoでの血漿蛋白結合率は、点滴開始1~12時間後において約29~33%であった12)。

16.4 代謝

健康成人にレボフロキサシン500mgを1日1回7日間反復投与(60分間点滴静注)した場合、投与量に対する投与後24時間後までの代謝物(脱メチル体及びN-オキサイド体)の尿中排泄率は、いずれも投与量の1%未満であった13)。

16.5 排泄

健康成人にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注した場合、投与量に対する投与後72時間までの未変化体の尿中排泄率は、93.9%であった。レボフロキサシンは、主に未変化体の尿中排泄により体内から消失する5)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

母集団薬物動態パラメータを用い、レボフロキサシンを腎機能低下患者に推奨される用法及び用量で、7日間反復点滴静注した場合の薬物動態パラメータを推定した。腎機能低下患者に血漿中濃度の上昇は認められず、投与7日目のAUC0-24hrは腎機能正常者に500mg1日1回反復点滴静注した場合と大きな差は認められなかった14)。

腎機能
(CLcr mL/min)
用法・用量の目安 母集団薬物動態解析から推定したパラメータ注1)
Cmax(μg/mL) AUC0-24hr(μg・hr/mL)注2)
50≦CLcr 500mgを1日1回投与 Cmax≦12.26 AUC0-24hr≦111.75
20≦CLcr<50 初日500mgを1回、2日目以降250mgを1日に1回投与 6.13<Cmax≦8.15 55.87<AUC0-24hr≦106.36
10≦CLcr<20 初日500mgを1回、3日目以降250mgを2日に1回投与 6.24<Cmax≦7.15 53.18<AUC0-24hr≦76.11

注1)体重60kgとした場合

注2)隔日投与ではAUC0-48hr×1/2

  1. 16.6.2高齢者

健康高齢者(65~79歳)及び健康非高齢者(20~45歳)にレボフロキサシン500mgを60分間で単回点滴静注した場合の薬物動態パラメータは、次のとおりであった15)。

例数 Tmax
(hr)
Cmax
(μg/mL)
AUC0-24hr
(μg・hr/mL)
高齢者 24 1.00±0.00 11.19±2.26 75.98±11.51
非高齢者 24 1.00±0.00 9.25±1.94 56.63±10.89

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1シメチジン、プロベネシド

健康成人にシメチジン400mgを1日2回3日間又はプロベネシド500mgを1日4回5日間投与し、シメチジン投与1日目又はプロベネシド投与3日目にレボフロキサシン500mgを60分間で点滴静注したところ、シメチジンの併用によって、AUC0-72hrは1.3倍に上昇し、t1/2は7.6時間から11.7時間に延長した。またプロベネシドの併用によって、AUC0-72hrは1.5倍に上昇し、t1/2は7.6時間から12.4時間に延長した。一方、Cmax及び累積尿中排泄率(投与後0~72時間)にシメチジン又はプロベネシド併用による大きな差は認められなかった16)。