Clinical snapshot

レベミル注 ペンフィル

インスリン デテミル(遺伝子組換え)

添付文書改訂 2023年11月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1低血糖症状を呈している患者

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

インスリン療法が適応となる糖尿病

用法・用量

通常、成人では、初期は1日1回4~20単位を専用のインスリン注入器を用いて皮下注射する。注射時刻は夕食前又は就寝前のいずれでもよいが、毎日一定とする。他のインスリン製剤との併用において、投与回数を1日2回にする場合は朝食前及び夕食前、又は朝食前及び就寝前に投与する。投与量は患者の症状及び検査所見に応じて適宜増減する。なお、他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1日4~80単位である。但し、必要により上記用量を超えて使用することがある。

使用上の注意

  1. 8.1低血糖に関する注意について、その対処法も含め患者及びその家族に十分徹底させること。

  2. 8.2低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。

  3. 8.3肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合はインスリン製剤を変更するなど適切な処置を行うこと。

  4. 8.4急激な血糖コントロールに伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は増悪、眼の屈折異常、治療後神経障害(主として有痛性)があらわれることがあるので注意すること。

  5. 8.5本剤の自己注射にあたっては以下の点に留意すること。 ・投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。 ・全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。 ・専用のインスリンペン型注入器の取扱説明書を必ず読むよう指導すること。

  6. 8.6本剤と他のインスリン製剤を取り違えないよう、毎回注射する前に本剤のラベル等を確認するよう患者に十分指導すること。

  7. 8.7同一箇所への繰り返し投与により、注射箇所に皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれることがあるので、定期的に注射箇所を観察するとともに、以下の点を患者に指導すること。 ・本剤の注射箇所は、少なくとも前回の注射箇所から2~3cm離すこと。 ・注射箇所の腫瘤や硬結が認められた場合には、当該箇所への投与を避けること。

  8. 8.8皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれた箇所に本剤を投与した場合、本剤の吸収が妨げられ十分な血糖コントロールが得られなくなることがある。血糖コントロールの不良が認められた場合には、注射箇所の腫瘤や硬結の有無を確認し、注射箇所の変更とともに投与量の調整を行うなどの適切な処置を行うこと。血糖コントロールの不良に伴い、過度に増量されたインスリン製剤が正常な箇所に投与されたことにより、低血糖に至った例が報告されている。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1手術、外傷、感染症等の患者

インスリン需要の変動が激しい。

  1. 9.1.2低血糖を起こすおそれがある以下の患者又は状態

・脳下垂体機能不全又は副腎機能不全 ・下痢、嘔吐等の胃腸障害 ・飢餓状態、不規則な食事摂取 ・激しい筋肉運動 ・過度のアルコール摂取者

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度の腎機能障害患者

低血糖を起こすおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害患者

低血糖を起こすおそれがある。

9.5 妊婦

妊娠した場合、あるいは妊娠が予測される場合には医師に知らせるよう指導すること。妊娠中、周産期等にはインスリンの需要量が変化しやすいため、用量に留意し、定期的に検査を行い投与量を調整すること。通常インスリン需要量は、妊娠初期は減少し、中期及び後期は増加する。

9.6 授乳婦

用量に留意し、定期的に検査を行い投与量を調整すること。インスリンの需要量が変化しやすい。

9.7 小児等

定期的に検査を行い投与量を調整すること。成長、思春期及び活動性によりインスリンの需要量が変化する。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。生理機能が低下していることが多く、低血糖が発現しやすい。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
糖尿病用薬
ビグアナイド薬
スルホニルウレア薬
速効型インスリン分泌促進薬
α-グルコシダーゼ阻害薬
チアゾリジン薬
DPP-4阻害薬
GLP-1受容体作動薬
SGLT2阻害薬       等
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 血糖降下作用が増強される。
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 インスリン分泌促進、糖新生抑制作用による血糖降下作用を有する。
三環系抗うつ剤
ノルトリプチリン塩酸塩 等
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 機序は不明であるが、インスリン感受性を増強するなどの報告がある。
サリチル酸誘導体
アスピリン
エテンザミド
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 糖に対するβ細胞の感受性の亢進やインスリン利用率の増加等による血糖降下作用を有する。また、末梢で弱いインスリン様作用を有する。
抗腫瘍剤
シクロホスファミド水和物
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 インスリンが結合する抗体の生成を抑制し、その結合部位からインスリンを遊離させる可能性がある。
β-遮断剤
プロプラノロール塩酸塩
アテノロール
ピンドロール
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 アドレナリンによる低血糖からの回復反応を抑制する。また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある。
クマリン系薬剤
ワルファリンカリウム
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 機序不明
クロラムフェニコール 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 機序不明
ベザフィブラート 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 インスリン感受性増強等の作用により、本剤の作用を増強する。
サルファ剤 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 膵臓でのインスリン分泌を増加させることにより、低血糖を起こすと考えられている。腎機能低下、空腹状態の遷延、栄養不良、過量投与が危険因子となる。
シベンゾリンコハク酸塩
ジソピラミド
ピルメノール塩酸塩水和物
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 インスリン分泌作用を認めたとの報告がある。
チアジド系利尿剤
トリクロルメチアジド
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
カリウム喪失が関与すると考えられている。カリウム欠乏時には、血糖上昇反応に対するβ細胞のインスリン分泌能が低下する可能性がある。
副腎皮質ステロイド
プレドニゾロン
トリアムシノロン
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する。
ACTH
テトラコサクチド酢酸塩
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
副腎皮質刺激作用により糖質コルチコイドの分泌が増加する。糖質コルチコイドは、糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する。
アドレナリン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
糖新生亢進、末梢での糖利用抑制、インスリン分泌抑制による血糖上昇作用を有する。
グルカゴン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する。
甲状腺ホルモン
レボチロキシンナトリウム水和物
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する。
成長ホルモン
ソマトロピン
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
抗インスリン様作用による血糖上昇作用を有する。
卵胞ホルモン
エチニルエストラジオール
結合型エストロゲン
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
末梢組織でインスリンの作用に拮抗する。
経口避妊薬 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
末梢組織でインスリンの作用に拮抗する。
ニコチン酸 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
末梢組織でのインスリン感受性を低下させるため耐糖能障害を起こす。
濃グリセリン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
代謝されて糖になるため、血糖値が上昇する。
イソニアジド 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
炭水化物代謝を阻害することによる血糖上昇作用を有する。
ダナゾール 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリン抵抗性を増強するおそれがある。
フェニトイン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリン分泌抑制作用を有する。
蛋白同化ステロイド
メテノロン
血糖降下作用の増強による低血糖症状 、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明
ソマトスタチンアナログ製剤
オクトレオチド酢酸塩
ランレオチド酢酸塩
血糖降下作用の増強による低血糖症状 、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
BUN上昇 1〜5%未満
γ-GTP上昇 1〜5%未満
アレルギー 頻度不明
じん麻疹 頻度不明
そう痒感 1〜5%未満
そう痒感等) 1〜5%未満
リポジストロフィー(皮下脂肪の萎縮・肥厚等) 1〜5%未満
増悪 1〜5%未満
屈折異常 頻度不明
抗インスリン抗体産生に伴う血糖コントロール不良 頻度不明
治療後神経障害(主に有痛性) 頻度不明
注射部位反応注4)(疼痛 1〜5%未満
浮腫 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
発赤 1〜5%未満
皮膚アミロイドーシス 頻度不明
硬結 1〜5%未満
糖尿病網膜症の顕在化 1〜5%未満
肝機能障害 1〜5%未満
腫脹 1〜5%未満
血中アミラーゼ上昇 1〜5%未満
頭痛 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

インスリン デテミルは、ヒトインスリンB鎖29位のリジンにC14脂肪酸側鎖を結合させ、アルブミンと親和性を示すように設計されたインスリンアナログである。この脂肪酸側鎖が、インスリン デテミル六量体間の自己会合を促す8) ことと、皮下注射部位においてアルブミンと結合する9) ことから、投与部位からの吸収は緩徐となる。また、血中においては、インスリン デテミルの98%以上がアルブミンと結合し平衡状態となるため、組織への拡散及び毛細血管壁の透過が可能な非結合型インスリン デテミルの濃度は低く保たれ、インスリン デテミルの末梢の標的組織への分布は緩徐である。これらのメカニズムにより、インスリン デテミルはヒトにおいてNPHヒトインスリンと比較し緩徐な薬物動態及び代謝作用を示す10) 。 インスリン デテミルは血中に移行後、インスリンレセプターに結合し11) インスリンで認められる次の作用により血糖降下作用を発現する。 (1)筋肉・脂肪組織における糖の取込み促進 (2)肝臓における糖新生の抑制 (3)肝臓・筋肉におけるグリコーゲン合成の促進 (4)肝臓における解糖系の促進 (5)脂肪組織における脂肪合成促進

薬物動態

16.1 血中濃度

健康日本人19例に本剤0.1875、0.375、0.75単位/kgを大腿部に単回皮下投与したとき、平均血清中薬物濃度推移は下図の通りであり、最高濃度到達時間は各投与量で投与後4、5.5、7時間(中央値)であった2) 。

16.8 その他

  1. 16.8.1健康日本人における皮下注射後のGIRプロファイル

健康日本人40例に本剤及びインスリン グラルギン0.4単位/kgを大腿部に単回皮下投与し、24時間正常血糖クランプ法により本剤の作用を検討したとき、本剤に対するグルコース注入率(GIR)は緩徐に増加し、24時間後においても持続していた。

  1. 16.8.2日本人1型糖尿病患者における皮下注射後のGIRプロファイル

日本人1型糖尿病患者23例に本剤及びNPHヒトインスリン0.3単位/kgを腹部に単回皮下投与したとき、投与後0-24時間のGIR曲線下面積及び最大GIRに両剤で有意差はなかったが、本剤投与後の最大GIR到達時間は中央値で約6.8時間とNPHヒトインスリン投与時(約2.9時間)に比して有意に遅く、より緩徐な血糖降下作用プロファイルが認められた3) 。

  1. 16.8.31型糖尿病患者における作用持続時間

1型糖尿病患者12例を対象に本剤0.4単位/kgを大腿部に単回皮下投与したとき、本剤投与後の作用開始時間は平均約1.6時間、被験者ごとの作用消失時間は約14~24時間以上であり、5例(約42%)においては24時間目でも作用が持続していた4) (外国人データ)。

  1. 16.8.41型糖尿病患者における皮下注射後の血糖降下作用の個体内変動

1型糖尿病患者52例に本剤、NPHヒトインスリン及びインスリン グラルギンのいずれか0.4単位/kgを計4回の投薬日ごとに大腿部に単回皮下投与し、GIRを測定した。投与後0-12時間のGIR曲線下面積、投与後0-24時間のGIR曲線下面積、最大GIR、25%0-24時間GIR曲線下面積到達時間の各項目について個体内変動係数(CV%)を薬剤間で比較した。いずれの項目ともNPHヒトインスリン及びインスリン グラルギンに比べて本剤投与後のCV%は有意に小さく、本剤の投与ごとの血糖降下作用のばらつきが小さいことが示された5) (外国人データ)。