Clinical snapshot

レグパラ錠12.5mg

シナカルセト塩酸塩

添付文書改訂 2019年11月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症

  • 下記疾患における高カルシウム血症

  • 副甲状腺癌

  • 副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症

用法・用量

  • 〈維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症〉

開始用量としては、成人には1日1回シナカルセトとして25mgを経口投与する。以後は、患者の副甲状腺ホルモン(PTH)及び血清カルシウム濃度の十分な観察のもと、1日1回25~75mgの間で適宜用量を調整し、経口投与する。ただし、PTHの改善が認められない場合には、1回100mgを上限として経口投与する。増量を行う場合は増量幅を25mgとし、3週間以上の間隔をあけて行うこと。

  • 〈副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症〉

開始用量としては、成人にはシナカルセトとして1回25mgを1日2回経口投与する。以後は、患者の血清カルシウム濃度の十分な観察のもと、1回25~75mgの間で適宜用量を調整し、1日2回経口投与する。増量を行う場合は1回の増量幅を25mgとし、2週間以上の間隔をあけて行うこと。なお、血清カルシウム濃度の改善が認められない場合は、1回75mgを1日3回又は4回まで経口投与できる。

使用上の注意

  1. 8.1本剤投与中は定期的に血清カルシウム濃度を測定し、低カルシウム血症が発現しないよう十分注意すること。低カルシウム血症の発現あるいは発現のおそれがある場合には、本剤の減量等も考慮するとともにカルシウム剤やビタミンD製剤の投与を考慮すること。また、本剤投与中にカルシウム剤やビタミンD製剤の投与を中止した際には、低カルシウム血症の発現に注意すること。

  2. 8.2本剤の開始時及び用量調整時は頻回に患者の症状を観察し、副作用の発現などに注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1低カルシウム血症の患者

低カルシウム血症を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2痙攣発作のある患者又はその既往歴のある患者

海外臨床試験において、痙攣発作の既往歴を有する患者等で、痙攣発作が発現したとの報告がある。

  1. 9.1.3消化管出血や消化管潰瘍又はその既往歴のある患者

症状を悪化又は再発させるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

本剤は肝臓で代謝されるので、曝露量が増加する。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット及びウサギ)で母動物の低カルシウム血症、体重増加抑制及び摂餌量減少、胎児重量の減少が観察されている。また、動物実験(ラット及びウサギ)で胎盤を通過することが報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。また、動物実験(ラット)で授乳期に本剤を母動物に投与した場合、授乳期新生児に一過性の体重増加抑制が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

副作用が発現した場合には減量するなど注意すること。65歳以上の患者における副作用(特にQT延長)の発現頻度は65歳未満の患者に比較して高い傾向が認められている。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アゾール系抗真菌剤
• イトラコナゾール 等マクロライド系抗生物質
• エリスロマイシン
• クラリスロマイシン 等アミオダロン塩酸塩
グレープフルーツジュース
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。 本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記のようなCYP3A4阻害剤等との併用で、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。本剤とケトコナゾールを併用したとき、本剤のAUCが約2倍増加した1)。
三環系抗うつ薬
• アミトリプチリン塩酸塩
• イミプラミン塩酸塩 等ブチロフェノン系抗精神病薬
• ハロペリドール 等フレカイニド酢酸塩
ビンブラスチン硫酸塩
これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 本剤のCYP2D6阻害作用により左記のようなCYP2D6基質薬物の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。本剤とデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物を併用したとき、デキストロメトルファンのAUCが約11倍増加した2)。
カルシトニン
ビスホスホン酸塩系骨吸収抑制剤
• パミドロン酸二ナトリウム水和物
• アレンドロン酸ナトリウム水和物
• インカドロン酸二ナトリウム水和物 等副腎皮質ホルモン
• コルチゾン
• プレドニゾロン
• デキサメタゾン 等
血清カルシウム濃度が低下するおそれがある。 本剤の血中カルシウム低下作用が増強される可能性がある。
ジギトキシン
ジアゼパム 等
本剤の血中濃度に影響を与えるおそれがある。 血漿蛋白結合率が高いことによる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1〜5%未満
AST・ALT上昇 1%未満
CK上昇 1%未満
LDH上昇 1%未満
γ-GTP上昇 頻度不明
こわばり 1%未満
しびれ 1〜5%未満
シャント閉塞 1%未満
そう痒 1〜5%未満
ビリルビン上昇 頻度不明
めまい 1〜5%未満
上室性期外収縮 1%未満
上腹部痛 1〜5%未満
下痢 1〜5%未満
不整脈 1〜5%未満
不眠症 1〜5%未満
体重減少 1%未満
便潜血 1%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
勃起不全 1%未満
動悸 1%未満
口内炎 1%未満
口渇 1%未満
味覚異常 1〜5%未満
四肢痛 1〜5%未満
心室性期外収縮 1%未満
心房細動 1%未満
心窩部不快感 1%未満
心筋梗塞 1%未満
心筋虚血 1%未満
悪心・嘔吐 (25.1%) 5%以上
気分不良 1%未満
浮腫 1〜5%未満
消化不良 1〜5%未満
甲状腺腫 1%未満
痔核 1%未満
発熱 1%未満
発疹 1%未満
皮下出血 1%未満
眼乾燥 1%未満
筋痙攣 1〜5%未満
筋痛 1%未満
結膜出血 1%未満
総コレステロール上昇 1%未満
胃・十二指腸炎 1〜5%未満
胃不快感(17.1%) 5%以上
胃潰瘍 1%未満
胃腸炎 1%未満
胃腸障害 1〜5%未満
胸痛 1%未満
胸部不快感 1%未満
脱力 1%未満
脱毛 1%未満
脱水 1%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部不快感 1〜5%未満
腹部膨満 5%以上
血圧上昇 1〜5%未満
血圧低下 1%未満
血小板減少 1%未満
血糖上昇 1%未満
裂孔ヘルニア 1%未満
貧血 1〜5%未満
逆流性食道炎 1〜5%未満
錯感覚 1〜5%未満
関節痛 1〜5%未満
頭痛 1〜5%未満
頻脈 1%未満
食欲不振 5%以上
高脂血症 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は、副甲状腺細胞表面のカルシウム受容体を介して作用を発現する。カルシウム受容体はPTH分泌に加え、PTH生合成及び副甲状腺細胞増殖を制御している。本剤は、カルシウム受容体に作動し、主としてPTH分泌を抑制することで、血清PTH濃度を低下させる。また、反復投与では本剤の副甲状腺細胞増殖抑制作用も血清PTH濃度低下に寄与すると考えられる25),26),27)。

18.2 PTH分泌抑制作用(in vitro

本剤は、ウシ副甲状腺細胞及びヒト副甲状腺細胞からのPTH分泌を濃度依存的に抑制した25),26)。

18.3 副甲状腺細胞増殖抑制作用

本剤は、部分腎摘ラットへの反復経口投与により副甲状腺細胞増殖を抑制し、副甲状腺過形成の進展を抑制した27)。

18.4 血清PTH及びカルシウム濃度低下効果

本剤は、正常ラット及び部分腎摘ラットへの単回経口投与により血清PTH及びカルシウム濃度を投与量依存的に低下させた25)。

18.5 骨障害抑制効果

二次性副甲状腺機能亢進症では、血清PTH濃度の上昇による骨障害が発症する。本剤は、部分腎摘ラットへの反復経口投与により血清PTH濃度の上昇による骨障害の症状である骨髄線維化、皮質骨粗鬆化、皮質骨骨密度低下及び骨強度低下を抑制した。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

  2. (1)健康成人

健康成人に本剤25、50及び100mgを空腹時に単回経口投与したときの血漿中シナカルセト濃度は投与量に依存して高くなっており、二相性の消失を示した。薬物動態パラメータは下表のとおりであった4)。

健康成人にシナカルセト塩酸塩を単回経口投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)

投与量(mg) 薬物動態パラメータ
25 Cmax(ng/mL) 2.63±1.23
tmax(h) 3.9±1.4
AUC(ng・h/mL) 18.5±10.5
t1/2(h) 7.70±3.54
50 Cmax(ng/mL) 17.73±10.89
tmax(h) 4.0±0.0
AUC(ng・h/mL) 117.7±65.7
t1/2(h) 24.81±9.41
100 Cmax(ng/mL) 41.88±12.19
tmax(h) 4.0±1.3
AUC(ng・h/mL) 409.8±160.3
t1/2(h) 32.22±5.63

平均値±標準偏差, n=6

  1. (2)血液透析患者

血液透析患者に本剤25、50及び100mgを空腹時に単回経口投与したときの非透析日及び透析日における血漿中シナカルセト濃度は投与量に依存して高くなっており、二相性の消失を示した。薬物動態パラメータは下表のとおりであり、透析の影響は認められなかった5)。

血液透析患者にシナカルセト塩酸塩を単回投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)

投与量(mg) 薬物動態パラメータ 非透析日 透析日
25 Cmax(ng/mL) 5.16±2.34 9.92±6.64
tmax(h) 5.6±1.1 4.8±1.4
AUC(ng・h/mL) 57.6±25.1 85.4±26.0
t1/2(h) 28.45±14.24 32.94±14.52
50 Cmax(ng/mL) 17.89±10.00 20.71±13.71
tmax(h) 6.0±1.1 4.6±1.6
AUC(ng・h/mL) 207.1±91.8 218.6±99.6
t1/2(h) 38.58±20.19 33.96±10.23
100 Cmax(ng/mL) 26.92±15.80 36.70±26.09
tmax(h) 4.8±1.8 4.4±1.8
AUC(ng・h/mL) 383.3±126.5 408.4±125.8
t1/2(h) 38.47±8.62 40.12±7.50

平均値±標準偏差, Cmax、tmaxはn=8、それ以外はn=7

  1. 16.1.2反復投与

健康成人に本剤50mgを7日間反復経口投与したときの血漿中シナカルセトのトラフ濃度推移より、7日間の投与期間中にほぼ定常状態に達していることが確認された。 血液透析患者を対象に、反復投与時の血漿中シナカルセトのトラフ濃度推移について最長53週間検討しているが、経時的な上昇又は低下傾向は認められず、反復投与により血漿中シナカルセト濃度は定常状態に到達していることが確認された。

16.2 吸収

  1. 16.2.1バイオアベイラビリティ

本剤(25~100mg)を経口投与したときのバイオアベイラビリティ(平均値)は、5.1~28.4%(国内)及び7.9~24.4%(海外)であった6)。

  1. 16.2.2食事の影響

健康成人を対象に本剤50mgを単回経口投与したときの本剤の薬物動態に対する食事の影響を検討した結果、空腹時及び食後投与時における本剤の薬物動態パラメータはほぼ同様な値を示しており、本剤の薬物動態に及ぼす食事の影響は小さいと考えられた7)。

16.3 分布

健康成人の血漿を使用したin vitro試験でのシナカルセト(25~100ng/mL)の血漿蛋白結合率は男性で96.67~97.67%、女性で94.33~97.67%と高く、男女間に差は認められなかった8)。また、本剤を単回経口投与したときのシナカルセトの血漿蛋白結合率は、外国人肝機能正常者及び肝機能障害者を対象とした試験において94.7~97.1%、外国人腎機能正常者及び腎機能障害者を対象とした試験で92.7~95.1%とほぼ同じ値を示した9),10)。結合蛋白種としてアルブミンが考えられ、サイトⅡに対する親和性が高いことが示唆された8),11)。

16.4 代謝

外国人健康成人を対象として14C標識体75mgを単回経口投与した結果、シナカルセトはN-脱アルキル化又はナフタレン環の酸化により速やかに代謝されることが確認された12)。

16.5 排泄

健康成人を対象とした試験における本剤の未変化体の尿中排泄率は非常に低く、反復投与による尿中排泄に対する影響は認められなかった13)。外国人健康成人を対象として14C標識体75mgを単回経口投与した結果より、本剤は主に代謝物として尿中に排泄されることが確認された12)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者

肝機能正常者と肝機能障害患者を対象に、本剤50mgを空腹時に単回経口投与したときの薬物動態を検討した結果、Child-Pugh分類で中等度及び高度な肝機能障害を有する患者において、肝機能正常者と比べAUCがそれぞれ2.4倍及び4.2倍上昇した。なお、Child-Pugh分類で軽度の肝機能障害を有する患者のAUCは肝機能正常者と同様であった14)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1その他の薬剤

胃内pHを変動させる薬剤(炭酸カルシウム)あるいはリン吸着剤(セベラマー塩酸塩)との併用試験において、本剤の薬物動態に変化は認められなかった15),16)(外国人データ)。