Clinical snapshot

ルプキネスカプセル7.9mg

ボクロスポリンカプセル

添付文書改訂 2026年02月01日

【警告】

  1. 1.1本剤の投与により、重篤な感染症により致死的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設で、本剤についての十分な知識をもつ医師のもとで使用すること。

  2. 1.2本剤の投与はループス腎炎の治療に十分精通している医師のもとで行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2強いCYP3A4阻害作用を有する薬剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、リトナビル含有製剤、アタザナビル硫酸塩、ダルナビル エタノール付加物、ホスアンプレナビルカルシウム水和物、コビシスタット含有製剤、クラリスロマイシン含有製剤、セリチニブ、エンシトレルビル フマル酸)を投与中の患者

  3. 2.3生ワクチンを接種しないこと。

効能・効果

ループス腎炎

用法・用量

通常、成人にはボクロスポリンとして1回23.7mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1日和見感染を含む感染症が発現又は悪化することがあるので、十分注意すること。

  2. 8.2重篤な腎障害があらわれることがあるため、投与開始前、投与開始後1箇月間は隔週、以降も定期的に腎機能検査を行うこと。

  3. 8.3血圧が上昇することがあるため、定期的に血圧を確認し、血圧が上昇した場合は降圧剤等による適切な治療を行うこと。

  4. 8.4痙攣発作、振戦、可逆性後白質脳症症候群(PRES)等の神経症状があらわれるおそれがあるため、本剤投与中は定期的に患者の状態を観察し、症状が認められた場合には本剤を減量又は中止すること。

  5. 8.5本剤を含むカルシニューリン阻害薬による、重篤な高カリウム血症が報告されているため、本剤投与中は血清カリウム濃度を定期的に測定すること。

  6. 8.6カルシニューリン阻害薬による、高血糖が報告されているため、本剤投与中は定期的に血糖値等を確認すること。

  7. 8.7過度の免疫抑制により、リンパ腫及び他の悪性腫瘍が発現するおそれがあるので、十分注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1QT延長のおそれ又はその既往歴のある患者

低カリウム血症等のQT延長のリスク因子を有する患者においてQT延長が起こるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)のある患者

可能な限り投与を避けること。血中濃度が上昇するおそれがあるため、やむを得ず投与する場合には、用量を減量するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。重度の腎機能障害のあるループス腎炎患者を対象とした臨床試験は実施していない。

  1. 9.2.2中等度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2以下)のある患者

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。中等度の腎機能障害のあるループス腎炎患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh分類C)

可能な限り投与を避けること。血中濃度が上昇するおそれがある。重度の肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。

  1. 9.3.2軽度及び中等度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh分類A及びB)

用量を減量すること。血中濃度が上昇するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験では、妊娠ラットに経口投与した場合、体表面積換算で臨床用量注1)の約5倍(4mg/kg/日)で胎児体重の低値及び胎児の骨化遅延が認められた。また、妊娠ウサギに経口投与した場合、体表面積換算で臨床用量注1)の約2倍(1.6mg/kg/日)で胎児体重の低値が、約8.2倍(6.5mg/kg/日)で胎児の胸骨未骨化等が認められた1)。

注1)本剤7.9mgを60kgの患者に1回23.7mgを1日2回経口投与したときの投与量(0.79mg/kg/日)

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで乳汁中への移行が報告されている2)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

  • 本剤は、主としてCYP3A4により代謝される。また、P糖蛋白の基質であるとともに、P糖蛋白、有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1及びOATP1B3への阻害作用を有する。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
強いCYP3A4阻害作用を有する薬剤
• アゾール系抗真菌剤• イトラコナゾール(イトリゾール)
• ボリコナゾール(ブイフェンド)
• ポサコナゾール(ノクサフィル)
• リトナビル含有製剤(ノービア、パキロビッド、カレトラ)
• アタザナビル硫酸塩(レイアタッツ)
• ダルナビル エタノール付加物(プリジスタ、プリジスタナイーブ)
• ホスアンプレナビルカルシウム水和物(レクシヴァ)
• コビシスタット含有製剤(ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ)
• クラリスロマイシン含有製剤(クラリシッド、クラリス、ボノサップ、ラベキュア)
• セリチニブ(ジカディア)
• エンシトレルビル フマル酸(ゾコーバ)
代謝酵素の阻害により、本剤の作用が増強するおそれがある。 本剤の代謝酵素であるCYP3A4を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させる。
生ワクチン
• 乾燥弱毒生麻しんワクチン
• 乾燥弱毒生風しんワクチン
• 乾燥BCG等
類薬による免疫抑制下で、生ワクチン接種により発症したとの報告がある。 免疫抑制作用により発症の可能性が増加する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
中程度のCYP3A4阻害作用を有する薬剤
• フルコナゾール、ジルチアゼム、シメチジン、ベラパミル等
代謝酵素の阻害により、本剤の作用が増強するおそれがあるので、本剤を減量すること。 本剤の代謝酵素であるCYP3A4を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させる。
グレープフルーツ含有食品
代謝酵素の阻害により、本剤の作用が増強するおそれがあるので、本剤を減量すること。 本剤の代謝酵素であるCYP3A4を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させる。
中程度以上のCYP3A4誘導作用を有する薬剤
• リファンピシン、エファビレンツ等
• セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セントジョーンズワート)含有食品
代謝酵素の誘導により、本剤の作用が減弱するおそれがある。 本剤の代謝酵素であるCYP3A4を誘導し、本剤の血中濃度を低下させる。
HMG-CoA還元酵素阻害剤
• シンバスタチン等
本剤によりHMG-CoA還元酵素阻害剤の血中濃度が上昇し、副作用の発現頻度が増加するおそれがある。 本剤はOATP1B1/3を阻害しHMG-CoA還元酵素阻害剤の血中濃度を上昇させるおそれがある。
ジゴキシン 本剤によりジゴキシンの作用が増強されるおそれがあるので、ジゴキシンを減量するなど慎重に投与すること。 本剤はP糖蛋白を阻害し、ジゴキシンの血漿中濃度を上昇させる。
カリウム製剤
カリウム保持性利尿剤
• スピロノラクトン、トリアムテレン等
• 抗アルドステロン薬
• エプレレノン等アンジオテンシン変換酵素阻害薬
• エナラプリルマレイン酸塩等アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
• ロサルタンカリウム等レニン阻害薬
• アリスキレンフマル酸塩等非ステロイド性消炎鎮痛剤
• ジクロフェナク
• ナプロキセン
• スリンダク
• インドメタシン等ジゴキシン
β-遮断剤
ヘパリン
高カリウム血症があらわれるおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。 高カリウム血症の副作用が相互に増強される。
腎毒性のある薬剤
• アムホテリシンB、アミノ糖系抗生物質、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、非ステロイド性抗炎症剤等
腎障害が発現することがある。 腎毒性が相互に増強される。
不活化ワクチン
• インフルエンザワクチン等
不活化ワクチンの作用を減弱させることがある。 免疫抑制作用によりワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。
PUVA療法を含む紫外線療法 PUVA療法を含む紫外線療法との併用は皮膚癌発現のリスクを高める危険性があるため、やむを得ず併用する場合は定期的に皮膚癌又は前癌病変の有無を観察すること。 PUVA療法により皮膚癌が発生したとの報告があり、本剤併用による免疫抑制下では皮膚癌の発現を促進する可能性がある。
免疫抑制作用を有する薬剤
• 免疫抑制剤• 副腎皮質ホルモン剤等
• 抗リウマチ薬(DMARD)• メトトレキサート等
過度の免疫抑制が起こることがある。 ともに免疫抑制作用を有する。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
• ヒドロキシクロロキン
• アジスロマイシン
• シプロフロキサシン等
QT延長を起こすおそれがある。 これらの薬剤では単独投与でもQT延長がみられている。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
インフルエンザ 頻度不明
上気道感染(24.0%) 頻度不明
下痢 頻度不明
咳嗽 頻度不明
多毛症 頻度不明
帯状疱疹 頻度不明
悪心 頻度不明
振戦 頻度不明
歯肉増殖 頻度不明
消化不良 頻度不明
痙攣発作 頻度不明
糸球体濾過率減少(26.2%) 頻度不明
脱毛症 頻度不明
腹痛 頻度不明
貧血 頻度不明
過敏症 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲減退 頻度不明
高カリウム血症 頻度不明
高血圧(20.6%) 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ボクロスポリンは、T細胞においてシクロフィリンと複合体を形成し、カルシニューリンに結合することでカルシニューリンを阻害する。これによりリンパ球増殖、T細胞サイトカイン産生、及びT細胞活性化表面抗原の発現が抑制され、免疫抑制作用を示す。

18.2 カルシニューリン阻害作用

ボクロスポリンはカルシニューリン活性の阻害作用を示した24)(in vitro)。

18.3 リンパ球増殖抑制作用

ボクロスポリンは、リンパ球増殖抑制作用を示した25)(in vitro)。

18.4 心移植モデルにおける免疫抑制作用

ボクロスポリンは、心移植モデルラットにおいて異種移植した心臓の移植片生着期間の延長効果を示した26)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人にボクロスポリン23.7mgを絶食時及び食後に単回経口投与した時の血中濃度推移及び薬物動態パラメータを図16-1及び表16-1に示す4)。

図16-1 健康成人におけるボクロスポリン単回経口投与時の血中濃度推移

食事条件 例数 tmax
(h)
Cmax
(ng/mL)
AUC∞
(ng・h/mL)
t1/2
(h)
絶食時 16 1.50
(1.00~2.50)
115±19.9 455±110a 13.1±4.6a
食後 16 2.00
(1.50~4.00)
110±33.4 522±179 14.2±6.8

平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(最小値~最大値)

a:15例

  1. 16.1.2反復投与

健康成人にボクロスポリン0.25mg/kg注2)(平均体重を基に換算すると17.1mg)、0.5mg/kg注2)(平均体重を基に換算すると35.2mg)、1.0mg/kg注2)(平均体重を基に換算すると70.6mg)又は1.5mg/kg注2)(平均体重を基に換算すると95.9mg)を1日目の朝に空腹時単回経口投与後、3日目から12日目までの10日間1日2回(朝夜、約12時間ごと)空腹時反復経口投与した後13日目の朝に空腹時単回経口投与した時、ボクロスポリンの血中濃度は6日間投与後に定常状態に達した。薬物動態パラメータを表16-2に示す5)。

投与量 例数 tmax
(h)
Cmax
(ng/mL)
AUC24hb
(ng・h/mL)
t1/2
(h)
17.1mg
(0.25mg/kg)
8 1.57
(1.08~2.13)
70.3±19.6 372±104 27.1±4.27
35.2mg
(0.5mg/kg)
8 1.56
(1.08~4.07)
160±56.7 921±399 29.6±4.58a
70.6mg
(1.0mg/kg)
8 2.12
(1.57~2.55)
416±46.7 2,510±317 29.9±4.00
95.9mg
(1.5mg/kg)
8 2.00
(1.50~3.00)
619±82.5 4,390±945 30.6±3.81a

平均値±標準偏差、tmaxのみ中央値(最小値~最大値)

投与量(mg)は平均体重値を基に算出された実際の投与量

a:7例

b:13日目朝の空腹時経口投与後24時間のAUC

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人にボクロスポリン23.7mgを単回経口投与した時、絶食時投与に比べ食後(高脂肪食)投与ではCmax及びAUCはそれぞれ0.91倍及び1.14倍であった4)。

16.3 分布

ヒト血漿蛋白結合率は、96.97%であった6)(in vitro、平衡透析法)。

16.4 代謝

ボクロスポリンは主としてCYP3A4で代謝される7)(in vitro)。

16.5 排泄

健康成人に14C標識ボクロスポリン70mg注2)を単回経口投与した時、糞中及び尿中にそれぞれ投与した放射能の92.7%及び2.1%が排泄された。未変化体の糞中及び尿中への排泄率はそれぞれ5%及び0.25%であった8)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能の程度の異なる被験者(クレアチニンクリアランス60mL/min~89mL/min及びクレアチニンクリアランス30mL/min~59mL/min)にボクロスポリン0.4mg/kg注2)を単回又は1日2回反復経口投与した時のCmax及びAUCは正常な腎機能を有する被験者と同程度であった。クレアチニンクリアランス<30mL/minの被験者にボクロスポリン0.4mg/kgを単回経口投与した時、ボクロスポリンのCmax及びAUCは正常な腎機能を有する被験者と比較してそれぞれ1.46倍及び1.74倍であった9)(外国人データ)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

肝機能の程度の異なる被験者(Child-Pugh分類A又はB)にボクロスポリン0.4mg/kg注2)を単回経口投与した時、正常な肝機能を有する被験者と比較してボクロスポリンのCmaxはいずれも1.45倍、AUCはそれぞれ1.67倍及び1.96倍であった10)(外国人データ)。

  1. 16.6.3性別

ループス腎炎患者においてボクロスポリンの薬物動態に性別による臨床的に意味のある影響は認められなかった11)(外国人データを含む母集団解析)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1ケトコナゾール

健康成人において、強いCYP3A4阻害作用を有する経口ケトコナゾール400mgとボクロスポリン0.4mg/kg注2)1日2回投与の併用により、ボクロスポリンのCmax及びAUCは単独投与時と比較してそれぞれ6.45倍及び18.55倍であった12)(外国人データ)。

  1. 16.7.2リファンピシン

健康成人において、強いCYP3A4誘導作用を有するリファンピシン600mgとボクロスポリン0.4mg/kg注2)単回投与の併用により、ボクロスポリンのAUCは単独投与時と比較して1/8であった13)(外国人データ)。

  1. 16.7.3ベラパミル

健康成人において、強いP糖蛋白阻害作用及び中程度のCYP3A4阻害作用を有するベラパミル80mgとボクロスポリン0.4mg/kg注2)1日2回投与の併用により、ボクロスポリンのCmax及びAUCは単独投与時と比較してそれぞれ2.08倍及び2.71倍であった14)(外国人データ)。

  1. 16.7.4ジゴキシン

健康成人において、P糖蛋白基質であるジゴキシン0.25mg(初回投与のみ0.5mg)とボクロスポリン0.4mg/kg注2)1日2回投与の併用により、ジゴキシンのCmax及びAUCは単独投与時と比較してそれぞれ1.51倍及び1.25倍であった15)(外国人データ)。

  1. 16.7.5シンバスタチン

健康成人において、シンバスタチン40mgとボクロスポリン23.7mg1日2回の併用投与により、活性代謝物でありOATP1B1/3基質であるシンバスタチン酸のCmax及びAUCは単独投与時と比較してそれぞれ3.10倍及び1.84倍であった。また、単独投与時と比較して乳癌耐性蛋白(BCRP)基質であるシンバスタチンのCmaxは1.60倍であったが、AUCは0.94倍であり同程度であった16)(外国人データ)。

  1. 16.7.6その他
  • 全身性エリテマトーデス患者において、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)1gとボクロスポリン23.7mg1日2回の併用投与は、ミコフェノール酸(MPA)血中濃度に臨床的に有意な影響を及ぼさなかった17)(外国人データ)。

  • 健康成人において、ボクロスポリン0.4mg/kg注2)1日2回とCYP3A4基質であるミダゾラム7.5mgの併用投与は、ミダゾラムのCmax及びAUCに顕著な影響を与えず、それぞれ単独投与時と比較して約0.89倍及び1.02倍であった18)(外国人データ)。

  • ボクロスポリンはP糖蛋白の基質であることが示されている19)。また、ボクロスポリンはP糖蛋白、BCRP、OATP1B1及びOATP1B3に対して阻害作用を示した20)(in vitro)。

注2)本剤の承認された用法及び用量は、通常1回23.7mgを1日2回である。