Clinical snapshot

ルテウム腟用坐剤400mg

プロゲステロン

添付文書改訂 2022年04月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2乳癌又は生殖器癌の既往歴又はその疑いのある患者 [腫瘍の悪化又は顕性化を促すおそれがある。]

  3. 2.3診断の確定していない異常性器出血のある患者 [病因を見のがすおそれがある。]

  4. 2.4動脈又は静脈の血栓塞栓症、重度の血栓性静脈炎又はその既往歴のある患者 [血液凝固能が亢進され、これらの症状が悪化又は再発することがある。]

  5. 2.5稽留流産又は子宮外妊娠の患者 [妊娠維持作用により死亡胎児の排出が困難になるおそれがある。]

  6. 2.6重度の肝機能障害のある患者

  7. 2.7ポルフィリン症の患者 [症状が悪化するおそれがある。]

効能・効果

生殖補助医療における黄体補充

用法・用量

プロゲステロンとして1回400mgを1日2回、採卵日(又はホルモン補充周期下での凍結胚移植ではエストロゲン投与により子宮内膜が十分な厚さになった時点)から最長10週間(又は妊娠12週まで)腟内に投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与中止により、不安、気分変化、発作感受性の増大を引き起こす可能性があるので、投与中止の際には注意するよう患者に十分説明すること。

  2. 8.2傾眠状態や浮動性めまいを引き起こすことがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分説明すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1てんかん又はその既往歴のある患者

副腎皮質ホルモン様作用により病態に影響を及ぼすおそれがある。

  1. 9.1.2うつ病又はその既往歴のある患者

注意深く観察し、症状の悪化を認めた場合は、投与を中止するなど注意すること。副腎皮質ホルモン様作用により病態に影響を及ぼすおそれがある。

  1. 9.1.3片頭痛、喘息又はその既往歴のある患者

病態に影響を及ぼすおそれがある。

  1. 9.1.4心疾患又はその既往歴のある患者

ナトリウムや体液の貯留により、症状が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.5糖尿病の患者

糖尿病が悪化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎疾患又はその既往歴のある患者

ナトリウムや体液の貯留により、症状が増悪するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害のある患者

投与しないこと。代謝能が低下しており肝臓への負担が増加するため、症状が増悪するおそれがある。

  1. 9.3.2中等度以下の肝機能障害のある患者

症状が増悪するおそれがある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤の成分は、ヒト母乳中へ移行するとの報告がある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
他の腟剤
• 抗真菌剤等
本剤の作用が増強又は減弱する可能性がある。 プロゲステロンの放出及び吸収を変化させる可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
そう痒症 頻度不明
ほてり 頻度不明
上腹部痛 頻度不明
下痢 頻度不明
下腹部痛 頻度不明
不快感 頻度不明
不正子宮出血 頻度不明
乳房不快感 頻度不明
乳房圧痛 頻度不明
乳房痛 頻度不明
体温変動感 頻度不明
体重増加 頻度不明
便秘 頻度不明
傾眠 頻度不明
冷感 頻度不明
切迫流産 頻度不明
卵巣腫大 頻度不明
味覚異常 頻度不明
嘔吐 頻度不明
外陰腟そう痒症 頻度不明
外陰部腟カンジダ症 頻度不明
失禁 頻度不明
寝汗 頻度不明
放屁 頻度不明
気分動揺 頻度不明
気分変化 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
疲労 頻度不明
発疹 頻度不明
直腸新生物 頻度不明
稽留流産 頻度不明
絨毛膜下血腫 頻度不明
胃拡張 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部不快感 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
自然流産 頻度不明
適用部位そう痒感 頻度不明
関節痛 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻尿 頻度不明
骨盤痛 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

プロゲステロンは主に卵巣において産生され、排卵後の着床が可能となる分泌期にその産生が高まる。一方、妊娠成立後のプロゲステロン産生は妊娠7~8週以後に卵巣から胎盤へ移行する。ヒト子宮内膜間質細胞におけるプロゲステロン受容体の発現は受精卵の着床時期である分泌期中期に最も強く発現し、また、子宮筋にもプロゲステロン受容体は存在する。プロゲステロンは、プロゲステロン受容体を介して転写活性を促進することによって作用を発現する。

18.2 子宮内膜の分泌相への変化

卵巣を摘出した雌性ウサギにエストロゲンとプロゲステロンを投与したときの子宮内膜の組織学的変化を検討した結果、エストロゲンにより肥厚増殖した子宮内膜に対しプロゲステロンはその増殖を止め、腺組織拡張などを惹起し、子宮内膜の組織像を分泌相へ変化させた12)。

18.3 子宮内膜間質細胞の脱落膜化作用

受精卵が子宮内膜に着床するには、子宮内膜間質細胞の脱落膜化が必要である。脱落膜は、卵巣を摘出した雌性マウスにエストロゲン及びプロゲステロンを投与し、子宮内膜に対し物理的な刺激を加えても形成されるが、プロゲステロン受容体欠損マウスではこのような脱落膜化反応は認められないことから、プロゲステロン及びその受容体を介するシグナルが子宮内膜間質細胞における脱落膜形成に必須であることが示された13)。

18.4 着床効果及び妊娠維持作用

雌性ウサギの卵巣を交尾48時間後に摘出し、プロゲステロンを投与して着床に対する効果を検討した結果、プロゲステロンを投与したウサギに着床が認められた。また、妊娠中期に卵巣を摘出したウサギ及びラットにプロゲステロンを投与(ラットはエストロゲンを併用)して妊娠維持に対する効果を検討した結果、プロゲステロンはウサギ及びラットいずれにおいても妊娠維持作用を示した14)。

18.5 子宮筋に対する収縮抑制作用

卵巣を摘出した雌性ウサギに対するエストロゲンの子宮収縮の増大作用に対して、プロゲステロンはその収縮を抑制した15)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

閉経前の日本人健康成人女性に本剤400mgを単回経腟投与した時の薬物動態パラメータ及び血漿中プロゲステロン濃度推移(変化量:各採血ポイントの血漿中プロゲステロン濃度から投与前の生体内血漿中プロゲステロン濃度を差し引いた値)は以下のとおりであった5)。

投与量 AUC0-72
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
400mg 267.4±152.4 10.7±3.2 9.8±7.8 11.2±4.0

(mean±S.D., n=6)

  1. 16.1.2反復投与

閉経前の日本人健康成人女性に、本剤800mg(1回400mgを1日2回)を5日間反復経腟投与した結果、1日目と5日目の薬物動態パラメータ及び血漿中プロゲステロン濃度推移(変化量:各採血ポイントの血漿中プロゲステロン濃度から投与前の生体内血漿中プロゲステロン濃度を差し引いた値)は以下のとおりであった6)。

投与量 時期 AUC0-τ(ng・hr/mL) Cmax(ng/mL)
800mg/日
(400mg×2回)
1日目 92.1±23.8 11.1±3.6
5日目 146.8±43.9 15.6±4.4

(mean±S.D., n=8)

16.3 分布

ヒト血清中のプロゲステロンはおよそ17%がコルチコステロイド結合グロブリン(CBG)に、80%がアルブミンに結合し、2.5%が非結合型で存在する7)(外国人データ)。

16.4 代謝

プロゲステロンはヒトにおいて速やかに代謝され、代謝クリアランスは60L/day/kgであった8)(外国人データ)。 プロゲステロンの代謝物としては、5α-pregnane-3α,20α-diol(allopregnanediol)、5α-pregnane-3β,20α-diol、3α-hydroxy-5β-pregnan-20-one(pregnanolone)などがある9)。

16.5 排泄

ヒトに[14C]プロゲステロンを静脈内投与したときの尿及び糞中への排泄率は、それぞれ46~59%及び8~17%であった。胆汁中への放射能の排泄率は約30%であった10)(外国人データ)。