Clinical snapshot

リバスチグミンテープ4.5mg「DSEP」

リバスチグミン経皮吸収型製剤

添付文書改訂 2024年10月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分又はカルバメート系誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制

用法・用量

通常、成人にはリバスチグミンとして1日1回4.5mgから開始し、原則として4週毎に4.5mgずつ増量し、維持量として1日1回18mgを貼付する。また、患者の状態に応じて、1日1回9mgを開始用量とし、原則として4週後に18mgに増量することもできる。 本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。

使用上の注意

  1. 8.1本剤投与で効果が認められない場合には、漫然と投与しないこと。

  2. 8.2アルツハイマー型認知症は、自動車の運転等の機械操作能力を低下させる可能性がある。また、本剤は主に投与開始時又は増量時にめまい及び傾眠を誘発することがある。このため、自動車の運転等の危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

  3. 8.3本剤の貼付により皮膚症状があらわれることがあるため、貼付箇所を毎回変更すること。皮膚症状があらわれた場合には、ステロイド軟膏又は抗ヒスタミン外用剤等を使用するか、本剤の減量又は一時休薬、あるいは使用を中止するなど適切な処置を行うこと。

  4. 8.4本剤を同一箇所に連日貼付・除去を繰り返した場合、皮膚角質層の剥離等が生じ、血中濃度が増加するおそれがあるため、貼付箇所を毎回変更すること。

  5. 8.5本剤の貼り替えの際、貼付している製剤を除去せずに新たな製剤を貼付したために過量投与となり、重篤な副作用が発現した例が報告されている。貼り替えの際は先に貼付している製剤を除去したことを十分確認するよう患者及び介護者等に指導すること。

  6. 8.6嘔吐あるいは下痢の持続により脱水があらわれることがある。脱水により、重篤な転帰をたどるおそれがあるので、嘔吐あるいは下痢がみられた場合には、観察を十分に行い適切な処置を行うこと。

  7. 8.7アルツハイマー型認知症患者では、体重減少が認められることがある。また、本剤を含むコリンエステラーゼ阻害剤の投与により、体重減少が報告されているので、治療中は体重の変化に注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1洞不全症候群又は伝導障害(洞房ブロック、房室ブロック)等の心疾患のある患者

迷走神経刺激作用により徐脈又は不整脈が起こるおそれがある。

  1. 9.1.2*心筋梗塞、弁膜症、心筋症等の心疾患、電解質異常(低カリウム血症等)等のある患者、QT延長又はその既往歴・家族歴のある患者

徐脈、房室ブロック、QT延長、Torsade de pointes等が起こるおそれがあるため、重篤な不整脈に移行しないよう観察を十分に行うこと。

  1. 9.1.3胃潰瘍又は十二指腸潰瘍のある患者、あるいはこれらの既往歴のある患者

胃酸分泌量が増加し、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍を誘発又は悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.4尿路閉塞のある患者又はこれを起こしやすい患者

排尿筋を収縮させ症状を誘発又は悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.5てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者

痙攣閾値を低下させ痙攣発作を誘発させるおそれがある。

  1. 9.1.6気管支喘息又は閉塞性肺疾患、あるいはこれらの既往歴のある患者

気管支平滑筋の収縮及び気管支粘液分泌の亢進により症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.7錐体外路障害(パーキンソン病、パーキンソン症候群等)のある患者

線条体のコリン系神経を亢進することにより、症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.8低体重の患者

消化器系障害(悪心、嘔吐等)を発現しやすくなるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害患者

治療上やむを得ないと判断される場合にのみ投与すること。血中濃度が上昇するおそれがある。また、重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット、ウサギ)において、リバスチグミン又はその代謝物の胎児への移行が認められている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において、乳汁中への移行が報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • 本剤は、主にエステラーゼにより加水分解され、その後硫酸抱合を受ける。本剤のチトクロームP450(CYP)による代謝はわずかである。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
コリン作動薬
• アセチルコリン
カルプロニウム
ベタネコール
アクラトニウムコリンエステラーゼ阻害剤
• アンベノニウム
ジスチグミン
ピリドスチグミン
ネオスチグミン等
コリン刺激作用が増強され、コリン系副作用(悪心、嘔吐、徐脈等)を引き起こす可能性がある。 本剤と同様にコリン作動性作用を有している。
抗コリン作用を有する薬剤
• トリヘキシフェニジル
ピロヘプチン
マザチコール
メチキセン
ビペリデン等アトロピン系抗コリン剤
• ブチルスコポラミン
アトロピン等
本剤と抗コリン作用を有する薬剤のそれぞれの効果が減弱する可能性がある。 本剤と抗コリン作用を有する薬剤の作用が相互に拮抗する。
サクシニルコリン系筋弛緩剤
• スキサメトニウム等
サクシニルコリン系筋弛緩剤の作用が過剰にあらわれるおそれがある。 本剤がコリンエステラーゼを阻害し、脱分極性筋弛緩剤の分解を抑制する。
非ステロイド性消炎鎮痛剤 胃潰瘍又は十二指腸潰瘍を誘発又は悪化させるおそれがある。 コリン系の賦活により胃酸分泌量が増加する。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
アレルギー性皮膚炎 1%未満
うつ病 1%未満
けん怠感 1%未満
コリンエステラーゼ減少 1%未満
そう痒症 1%未満
上室性期外収縮 1%未満
下痢 1〜5%未満
不安 頻度不明
不眠症 1%未満
体重減少 1〜5%未満
傾眠 1%未満
嘔吐 5%以上
多汗症 1%未満
好酸球増加症 1%未満
尿失禁 1%未満
尿路感染 1%未満
心房細動 1%未満
悪夢 頻度不明
悪心 5%以上
振戦 1%未満
接触性皮膚炎 5%以上
攻撃性 頻度不明
末梢性浮腫 1%未満
水疱 頻度不明
浮動性めまい 1〜5%未満
消化不良 1%未満
湿疹 1%未満
無力症 1%未満
疲労 1%未満
発疹 1%未満
糖尿病 1%未満
紅斑 1%未満
縮瞳 頻度不明
肝機能検査異常 1%未満
胃炎 1〜5%未満
腹痛 1〜5%未満
膵炎 頻度不明
落ち着きのなさ 1%未満
蕁麻疹 頻度不明
蛋白尿 1%未満
血中アミラーゼ増加 1〜5%未満
血尿 1〜5%未満
貧血 1%未満
転倒・転落 1%未満
適用部位そう痒感 5%以上
適用部位亀裂 1〜5%未満
適用部位刺激感 1%未満
適用部位反応 1%未満
適用部位浮腫 5%以上
適用部位疼痛 1〜5%未満
適用部位皮膚剥脱 1〜5%未満
適用部位皮膚炎 1〜5%未満
適用部位紅斑 5%以上
適用部位腫脹 1%未満
適用部位過敏反応 頻度不明
頭痛 1〜5%未満
頻尿 1%未満
頻脈 1%未満
食欲減退 5%以上
高血圧 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

リバスチグミンは、アセチルコリンを分解する酵素であるコリンエステラーゼを阻害することにより脳内アセチルコリン量を増加させ、脳内コリン作動性神経を賦活する15)。

18.2 脳内コリンエステラーゼ阻害作用及びアセチルコリン増加作用

ラットの脳内アセチルコリンエステラーゼ及びブチリルコリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリンレベルを増加させる16)。

18.3 学習記憶改善作用

コリン作動性神経遮断モデル(スコポラミン処置ラット)やアルツハイマー病モデル(アミロイドβ脳内注入マウス及びAPP23マウス)の学習記憶障害を改善する17),18),19)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1反復投与

健康成人にリバスチグミン貼付剤9mgもしくは18mgを1日1回反復投与(5日間貼付)したときの投与5日目の血漿中薬物動態パラメータを下表に示す。血漿中リバスチグミンは貼付8時間後に最高血漿中濃度(Cmax)に到達し、貼付24時間後(貼付終了時)まで緩やかに減少した。Cmaxはリバスチグミン貼付剤9mgで3.39±1.44ng/mL、18mgで8.27±2.31ng/mL(平均値±標準偏差)であった1)。

投与量 Cmax(ng/mL) Tmax※(hr) AUC0-24hr(ng・hr/mL)
9mg 3.39±1.44 8 62.9±18.7
18mg 8.27±2.31 8 153.3±41.5

※:中央値 (mean±SD, n=18)

リバスチグミン貼付剤18mgを除去後の血漿中リバスチグミン濃度の消失半減期は3.3時間であった。いずれの用量でもリバスチグミン貼付剤からのリバスチグミンの放出率は含量の約50%であった。 血漿中リバスチグミン濃度は投与開始3日で定常状態に到達した。リバスチグミン貼付剤9mgの初回投与日及び投与5日目のAUC0-24hr比から求めた累積率は1.34であった1)。

  1. 16.1.2生物学的同等性

リバスチグミンテープ18mg「DSEP」とイクセロンパッチ18mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1枚(リバスチグミンとして18mg)健康成人男子に単回投与(24時間貼付)して血漿中リバスチグミン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC, Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲であり、両剤の生物学的同等性が確認された2)。

血漿中リバスチグミン濃度の推移

投与製剤 AUC0-48hr
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
リバスチグミンテープ18mg「DSEP」 142.4±46.3 7.17±2.18 12.1±3.3 4.8±1.0
イクセロンパッチ18mg 145.2±51.3 7.85±3.08 12.3±3.1 5.2±1.1

(mean±SD, n=30)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、血液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

背部、上腕部、胸部に貼付したとき、リバスチグミンの曝露量には貼付部位間で差が認められなかった3),4)(外国人のデータ)。

16.3 分布

リバスチグミンの血漿中蛋白結合率は、リバスチグミン貼付剤投与後の血漿中濃度付近で約40%であった5)(in vitro)。

16.4 代謝

リバスチグミンは、主にエステラーゼにより加水分解され、その後硫酸抱合を受ける。CYPによる代謝はわずかである6)。

16.5 排泄

リバスチグミンの排泄は代謝物の腎排泄が主である。健康成人に[14C]標識リバスチグミンを経口投与したとき、90%以上が尿中へ排泄され、糞中への排泄は1%未満であった7)(外国人のデータ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者

リバスチグミン貼付剤で肝機能障害患者を対象とした薬物動態試験は実施されていない。なお、リバスチグミンの経口剤(国内未承認)を、Child-Pughスコアが5~12の肝硬変患者に単回投与したとき、健康成人と比較してリバスチグミンのAUCが約130%、Cmaxが約60%上昇した8)(外国人のデータ)。

16.7 薬物相互作用

リバスチグミン貼付剤の薬物間相互作用を検討した試験はない。リバスチグミンの経口剤(国内未承認)について、ジゴキシン、ワルファリン、ジアゼパム、フルオキセチンとの薬物動態学的相互作用を検討した結果、リバスチグミンの薬物動態に対する併用薬の影響は認められなかった9)。リバスチグミンは主にエステラーゼにより代謝され、CYPによる代謝はわずかであることから、CYPを阻害する薬物と併用してもリバスチグミンの薬物動態は影響を受けないと考えられる。また、リバスチグミン貼付剤18mgを貼付したときのリバスチグミンのCmaxはCYPに対するIC50値より十分低いことから、CYPにより代謝される併用薬の薬物動態に影響を及ぼす可能性は低いと考えられる10)。