Clinical snapshot

リスペリドン内用液1mg/mL「ヨシトミ」

リスペリドン

添付文書改訂 2024年10月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強されることがある。]

  3. 2.3アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)

  4. 2.4本剤の成分及びパリペリドンに対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 統合失調症

  • 小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性

用法・用量

  1. 6.1統合失調症

通常、成人にはリスペリドンとして1回1mg(1mL)1日2回より開始し、徐々に増量する。維持量は通常1日2~6mg(2~6mL)を原則として1日2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、1日量は12mg(12mL)を超えないこと。

  1. 6.2小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性

  2. 6.2.1体重15kg以上20kg未満の患者

通常、リスペリドンとして1日1回0.25mg(0.25mL)より開始し、4日目より1日0.5mg(0.5mL)を1日2回に分けて経口投与する。症状により適宜増減するが、増量する場合は1週間以上の間隔をあけて1日量として0.25mg(0.25mL)ずつ増量する。但し、1日量は1mg(1mL)を超えないこと。

  1. 6.2.2体重20kg以上の患者

通常、リスペリドンとして1日1回0.5mg(0.5mL)より開始し、4日目より1日1mg(1mL)を1日2回に分けて経口投与する。症状により適宜増減するが、増量する場合は1週間以上の間隔をあけて1日量として0.5mg(0.5mL)ずつ増量する。但し、1日量は、体重20kg以上45kg未満の場合は2.5mg(2.5mL)、45kg以上の場合は3mg(3mL)を超えないこと。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1投与初期、再投与時、増量時にα交感神経遮断作用に基づく起立性低血圧があらわれることがあるので、少量から徐々に増量し、低血圧があらわれた場合は減量等、適切な処置を行うこと。

  2. 8.2眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

  3. 8.3本剤の投与により、高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、特に糖尿病又はその既往歴あるいはその危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。

  4. 8.4低血糖があらわれることがあるので、本剤投与中は、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状に注意するとともに、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。

  5. 8.5本剤の投与に際し、あらかじめ上記8.3及び8.4の副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)、低血糖症状(脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等)に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう指導すること。

  • 〈統合失調症〉
  1. 8.6興奮、誇大性、敵意等の陽性症状を悪化させる可能性があるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
  • 〈小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性〉
  1. 8.7定期的に安全性及び有効性を評価し、漫然と長期にわたり投与しないこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心・血管系疾患、低血圧、又はそれらの疑いのある患者

一過性の血圧降下があらわれることがある。

  1. 9.1.2不整脈の既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者

QTが延長する可能性がある。

  1. 9.1.3パーキンソン病又はレビー小体型認知症のある患者

悪性症候群が起こりやすくなる。また、錐体外路症状の悪化に加えて、錯乱、意識レベルの低下、転倒を伴う体位不安定等の症状が発現するおそれがある。

  1. 9.1.4てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者

痙攣閾値を低下させるおそれがある。

  1. 9.1.5自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者

症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.6糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者

血糖値が上昇することがある。

  1. 9.1.7脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者

悪性症候群が起こりやすい。

  1. 9.1.8不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者

抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。

9.2 腎機能障害患者

本剤の半減期の延長及びAUCが増大することがある。

9.3 肝機能障害患者

肝障害を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで乳汁移行が認められている1)。

9.7 小児等

  • 〈統合失調症〉
  1. 9.7.113歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
  • 〈小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性〉
  1. 9.7.2低出生体重児、新生児、乳児、5歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら少量(1回0.5mg(0.5mL))から投与するなど、慎重に投与すること。高齢者では錐体外路症状等の副作用があらわれやすく、また、腎機能障害を有する患者では最高血漿中濃度が上昇し、半減期が延長することがある。

相互作用

  • 本剤は主としてCYP2D6で代謝される。また、一部CYP3A4の関与も示唆される。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アドレナリン
(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
• ボスミン
アドレナリンの作用を逆転させ、血圧降下を起こすことがある。 アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等) 相互に作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。
ドパミン作動薬 相互に作用を減弱することがある。 本剤はドパミン遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において作用が拮抗する可能性がある。
降圧薬 降圧作用が増強することがある。 本剤及びこれらの薬剤の降圧作用による。
アルコール 相互に作用を増強することがある。 アルコールは中枢神経抑制作用を有する。
CYP2D6を阻害する薬剤(パロキセチン2)等) 本剤及び活性代謝物の血中濃度が上昇することがある。 これらの薬剤の薬物代謝酵素阻害作用による。
CYP3A4を誘導する薬剤(カルバマゼピン3)、フェニトイン、リファンピシン4)、フェノバルビタール) 本剤及び活性代謝物の血中濃度が低下することがある。 これらの薬剤のCYP3A4誘導作用による。
CYP3A4を阻害する薬剤(イトラコナゾール5)等) 本剤及び活性代謝物の血中濃度が上昇することがある。 これらの薬剤のCYP3A4阻害作用による。
QT延長を起こすことが知られている薬剤 QT延長があらわれるおそれがある。 QT延長作用が増強するおそれがある。
アドレナリン含有歯科麻酔剤
• リドカイン・アドレナリン
血圧降下を起こすことがある。 アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP増加 頻度不明
ALT増加 頻度不明
AST増加 頻度不明
CK増加 頻度不明
LDH増加 頻度不明
γ-GTP増加 頻度不明
アカシジア 5%以上
アナフィラキシー反応 頻度不明
インフルエンザ 頻度不明
インフルエンザ様疾患 頻度不明
ウイルス感染 頻度不明
うつ病 頻度不明
グリコヘモグロビン増加 頻度不明
ざ瘡 頻度不明
ジスキネジア 頻度不明
ジストニー 頻度不明
しびれ感 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ダニ皮膚炎 頻度不明
てんかん 頻度不明
パーキンソニズム 頻度不明
ヘマトクリット減少 頻度不明
めまい・ふらつき 5%以上
よだれ 頻度不明
ラ音 頻度不明
リビドー亢進 頻度不明
リビドー減退 頻度不明
上室性期外収縮 頻度不明
上腹部痛 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 5%以上
不活発 頻度不明
不眠症 5%以上
不規則月経 頻度不明
中耳炎 頻度不明
乳房不快感 頻度不明
乳房分泌 頻度不明
乳房腫大 頻度不明
乳汁漏出症 頻度不明
仮面状顔貌 頻度不明
会話障害(舌のもつれ等) 頻度不明
低体温 頻度不明
低血圧 頻度不明
体重増加 頻度不明
体重減少 頻度不明
便失禁 頻度不明
便秘 5%以上
倦怠感 5%以上
傾眠 5%以上
処置による疼痛 頻度不明
刺激無反応 頻度不明
副鼻腔うっ血 頻度不明
副鼻腔炎 頻度不明
勃起不全 頻度不明
動悸 頻度不明
協調運動異常 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口唇炎 頻度不明
口渇 5%以上
口腔咽頭痛 頻度不明
右脚ブロック 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
呼吸障害 頻度不明
咳嗽 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
唾液欠乏 頻度不明
喘鳴 頻度不明
嗜眠 頻度不明
嘔吐 5%以上
嚥下性肺炎 頻度不明
嚥下障害 頻度不明
四肢痛 頻度不明
回転性めまい 頻度不明
多汗症 頻度不明
多飲症 頻度不明
失神 頻度不明
女性化乳房 頻度不明
好中球減少症 頻度不明
好酸球数増加 頻度不明
妄想 頻度不明
姿勢異常 頻度不明
射精障害 頻度不明
尿中蛋白陽性 頻度不明
尿中血陽性 頻度不明
尿失禁 頻度不明
尿糖陽性 頻度不明
尿路感染 頻度不明
尿閉 頻度不明
左脚ブロック 頻度不明
希発月経 頻度不明
平衡障害 頻度不明
幻覚 頻度不明
弓なり緊張 頻度不明
引っかき傷 頻度不明
徐脈 頻度不明
徘徊 頻度不明
心室性期外収縮 頻度不明
心電図QT延長注2) 頻度不明
心電図T波逆転注2) 頻度不明
心電図異常注2) 頻度不明
性機能不全 頻度不明
悪夢 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 5%以上
情動鈍麻 頻度不明
意識レベルの低下 頻度不明
意識消失 頻度不明
感染 頻度不明
房室ブロック 頻度不明
扁桃炎 頻度不明
抑うつ症状 頻度不明
振戦 5%以上
排尿困難 頻度不明
斜頚 頻度不明
易刺激性 5%以上
月経遅延 頻度不明
月経障害 5%以上
末梢冷感 頻度不明
末梢循環不全 頻度不明
末梢性ニューロパチー 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
構語障害 頻度不明
構音障害 5%以上
歩行障害 頻度不明
歯痛 頻度不明
気分不良 頻度不明
気力低下 頻度不明
気管支炎 頻度不明
気道うっ血 頻度不明
気道感染 頻度不明
水中毒 頻度不明
水疱 頻度不明
注意力障害 頻度不明
洞性徐脈 頻度不明
洞性頻脈 頻度不明
流涎過多 5%以上
流涙増加 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
湿疹 頻度不明
潮紅 頻度不明
激越 頻度不明
無オルガズム症 頻度不明
無力症 頻度不明
無動 頻度不明
無月経 頻度不明
爪真菌症 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
痙攣 頻度不明
発声障害 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球数増加 頻度不明
白血球数減少 頻度不明
皮下組織膿瘍 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚変色 頻度不明
皮膚病変 頻度不明
眼乾燥 頻度不明
眼充血 頻度不明
眼感染 頻度不明
眼球回転発作 頻度不明
眼瞼痙攣 頻度不明
眼瞼縁痂皮 頻度不明
眼脂 頻度不明
睡眠時無呼吸症候群 頻度不明
睡眠時遊行症 頻度不明
睡眠障害 頻度不明
神経過敏 頻度不明
立ちくらみ 頻度不明
筋力低下 頻度不明
筋固縮 5%以上
筋攣縮 頻度不明
筋痙縮 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
筋骨格痛 頻度不明
筋骨格系胸痛 頻度不明
精神症状 頻度不明
精神運動亢進 頻度不明
糞塊充塞 頻度不明
紅斑 頻度不明
結膜炎 頻度不明
網膜動脈閉塞 頻度不明
緊張 頻度不明
総蛋白減少 頻度不明
緑内障 頻度不明
羞明 頻度不明
耳感染 頻度不明
耳痛 頻度不明
耳鳴 頻度不明
肝機能異常 頻度不明
肝酵素上昇 頻度不明
肺うっ血 頻度不明
肺炎 頻度不明
胃不快感 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃腸炎 頻度不明
背部痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
脂漏性皮膚炎 頻度不明
脱毛症 頻度不明
腟分泌物異常 頻度不明
腸閉塞 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
膀胱炎 頻度不明
膵炎 頻度不明
自殺企図 頻度不明
舌腫脹 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
薬剤離脱症候群 頻度不明
蜂巣炎 頻度不明
血中クレアチニン増加 頻度不明
血中トリグリセリド増加 頻度不明
血中ナトリウム減少 頻度不明
血中ブドウ糖増加 頻度不明
血中プロラクチン増加 頻度不明
血中尿素増加 頻度不明
血中尿酸増加 頻度不明
血圧低下 頻度不明
血小板数減少 頻度不明
血小板減少症 頻度不明
血管浮腫 頻度不明
術中虹彩緊張低下症候群 頻度不明
被害妄想 頻度不明
視力低下 頻度不明
記憶障害 頻度不明
調節障害 頻度不明
貧血 頻度不明
起立性低血圧 頻度不明
躁病 頻度不明
転倒・転落 頻度不明
運動低下 頻度不明
運動障害 頻度不明
過換気 頻度不明
過敏症 頻度不明
過眠症 頻度不明
過角化 頻度不明
錐体外路障害 頻度不明
錯乱状態 頻度不明
錯感覚 頻度不明
鎮静 頻度不明
関節痛 頻度不明
関節硬直 頻度不明
限局性感染 頻度不明
霧視 頻度不明
頚部痛 頻度不明
頭痛 頻度不明
頭部不快感 頻度不明
頭部粃糠疹 頻度不明
頻尿 頻度不明
頻脈 頻度不明
顔面浮腫 頻度不明
食欲不振 5%以上
食欲亢進 頻度不明
食欲減退 頻度不明
高プロラクチン血症 頻度不明
高尿酸血症 頻度不明
高脂血症 頻度不明
高血圧 頻度不明
鼻出血 頻度不明
鼻咽頭炎 頻度不明
鼻漏 頻度不明
鼻炎 頻度不明
鼻閉 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

行動薬理並びに神経化学的実験の結果より、主としてドパミンD2受容体拮抗作用及びセロトニン5-HT2受容体拮抗作用に基づく、中枢神経系の調節によるものと考えられる33),34)。

18.2 薬理作用

  1. 18.2.1抗ドパミン作用

ドパミンD2受容体拮抗作用を有し、ラットでアンフェタミン又はアポモルフィンにより誘発される興奮や常同行動等の行動変化を用量依存的に抑制した。その程度はハロペリドールと同等若しくはやや弱いことが示された33)。

  1. 18.2.2抗セロトニン作用

セロトニン5-HT2受容体拮抗作用を有し、ラットでトリプタミン及びメスカリンにより誘発される振戦や首振り運動等の行動変化を抑制した33)。

  1. 18.2.3カタレプシー惹起作用

ラットでのカタレプシー惹起作用は、ハロペリドールより弱い。また、ラットの中脳-辺縁系(嗅結節)でのドパミンD2受容体に対する結合親和性は、錐体外路症状との関連が深いとされている線条体での親和性より高い。しかしハロペリドールでは線条体における結合親和性の方が高い。なお、セロトニン5-HT2受容体拮抗作用が線条体におけるドパミン伝達の遮断を緩和している可能性がある33),34),35),36)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1小児及び青年の精神疾患患者での成績

小児及び青年の精神疾患患者にリスペリドン錠を0.01~0.08mg/kg/日の用量で1日2回反復経口投与したとき、体重あたりの用量0.04mg/kg/日で規格化した血漿中未変化体のCmax,ss及びAUCτ,ssは青年と比較して小児で若干低値であったが、血漿中主代謝物9–ヒドロキシリスペリドンのCmax,ss及びAUCτ,ssは小児と青年で同程度であった8)(外国人データ)。

Cmax,ss
(ng/mL)
Cmin,ss
(ng/mL)
AUCτ,ss
(ng・hr/mL)
CL/F
(mL/min・kg)
小児
(6~11歳)
(n=12)
未変化体 12.4±9.0 2.06±2.68 87.5±61.5a) 6.11±4.15a)
主代謝物 16.7±6.8 8.98±3.58 152±58 2.52±1.00
青年
(12~16歳)
(n=12)
未変化体 22.5±23.9 8.61±13.1 190±235b) 6.51±6.72b)
主代謝物 16.8±8.8 11.7±6.9 172±94 2.37±1.01

a)n=9、b)n=11

  1. 16.1.2生物学的同等性試験

リスペリドン内用液1mg/mL「ヨシトミ」とリスパダール内用液1mg/mLを、クロスオーバー法によりそれぞれ1mL(リスペリドンとして1mg)を健康成人男子(n=27)に絶食単回経口投与して血漿中濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、80%~125%の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された9)。

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC(0→24)
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
tmax
(h)
t1/2
(h)
リスペリドン内用液1mg/mL「ヨシトミ」 30.71±24.21 6.96±3.42 1.02±0.35 3.2±1.3
リスパダール内用液1mg/mL 33.02±27.86 7.22±3.19 1.00±0.24 3.9±1.9

(Mean±S.D., n=27)

血漿中濃度

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.3 分布

  1. 16.3.1体組織への分布(参考:ラットでのデータ)

ラットにおける14C–リスペリドンの単回投与後の組織内放射能濃度は、ほとんどの組織において投与2時間以内に最高値に達し、その後の消失は血漿中からの消失と同様な傾向を示した。 放射能濃度が最も高かった肝臓では血漿中放射能濃度の12~22倍程度あり、胃、小腸、副腎、腎臓及び各種腺組織等でも高い放射能濃度が認められた10)。

  1. 16.3.2血液-脳関門通過性

健康成人にリスペリドン1mg錠を単回投与し、脳内におけるドパミンD2及びセロトニン5–HT2受容体占拠率について検討した結果、各受容体に結合親和性を有することが確認された。 したがって、リスペリドンは血液–脳関門を通過することが示唆された11)。

  1. 16.3.3血漿蛋白結合率

リスペリドン:約90.0%(in vitro、平衡透析法、10ng/mL) 9-ヒドロキシリスペリドン:約77.4%(in vitro、平衡透析法、50ng/mL)12)

16.4 代謝

健康成人にリスペリドンを経口投与した場合、主に肝臓で代謝されると推定され、主代謝物は9-ヒドロキシリスペリドンであった13)。 初回通過効果の有無及びその割合:あり(割合は不詳) 代謝物の活性の有無:主代謝物9-ヒドロキシリスペリドンの活性はin vitro及びin vivoの薬理試験においてリスペリドン未変化体とほぼ同程度かやや弱いことが示されている14),15)。 代謝酵素(チトクロームP450)の分子種2):CYP2D6、CYP3A4

16.5 排泄

健康成人にリスペリドン1mg錠及び2mg錠を経口投与した場合、投与後72時間までに排泄された尿中未変化体は約2%であり、主代謝物の9–ヒドロキシリスペリドンは約20%であった16)。外国人でのデータでは、健康成人に14C–リスペリドン1mgを単回経口投与した場合、投与後7日間までに放射活性の14%が糞中に、69%が尿中に排泄された13)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1高齢者及び腎機能障害患者での成績

健康成人、高齢者、肝機能障害患者及び腎機能障害患者にリスペリドン1mg錠を単回経口投与したとき、活性成分(リスペリドン+9-ヒドロキシリスペリドン)の薬物動態は、健康成人と比して、中等度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:30~60mL/min/1.73m2)でt1/2に35%の延長及びAUCに2.7倍の増大、重度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:10~29mL/min/1.73m2)でt1/2に55%の延長及びAUCに2.6倍の増大、高齢者でt1/2に30%の延長及びAUCに1.4倍の増大が認められた17)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

健康成人、健康高齢者又は患者(統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害、精神病)を対象とした薬物相互作用の検討結果を以下に示す(外国人データ)。

  1. 16.7.1リスペリドンの薬物動態に対する他剤の影響

  2. (1)カルバマゼピン

CYP3A4誘導作用を有するカルバマゼピン(反復投与)とリスペリドン(6mg/日反復投与)を21日間併用したときの活性成分(リスペリドン+9-ヒドロキシリスペリドン)の血漿中濃度は約50%減少した18)。

  1. (2)パロキセチン

統合失調症患者12例にCYP2D6阻害作用を有するパロキセチン(10、20及び40mg/日反復投与)とリスペリドン(4mg/日反復投与)を併用したとき、活性成分の定常状態におけるトラフ値がそれぞれ1.3、1.6及び1.8倍上昇した2)。

  1. (3)セルトラリン

統合失調症又は統合失調感情障害患者11例にCYP2D6阻害作用を有するセルトラリン(50mg/日反復投与)とリスペリドン(4~6mg/日反復投与)を併用したとき、活性成分の血漿中濃度に併用薬は影響を及ぼさなかった。また、セルトラリンを100mg/日に増量した患者では、活性成分の定常状態におけるトラフ値が15%上昇し、150mg/日に増量した2例では、それぞれ36%及び52%上昇した19)。

  1. (4)フルボキサミン

統合失調症患者11例にCYP3A4及びCYP2D6阻害作用を有するフルボキサミン(100mg/日反復投与)とリスペリドン(3~6mg/日反復投与)を併用したとき、活性成分の血漿中濃度に併用薬は影響を及ぼさなかった。また、フルボキサミンを200mg/日に増量した患者では、リスペリドンの定常状態におけるトラフ値が86%上昇したが、9-ヒドロキシリスペリドンの血漿中濃度に影響を及ぼさなかった20)。

  1. (5)イトラコナゾール

統合失調症患者19例にCYP3A4阻害作用を有するイトラコナゾール(200mg/日反復投与)とリスペリドン(2~8mg/日反復投与)を併用したときの活性成分の定常状態におけるトラフ値は65%上昇した5)。

  1. (6)ベラパミル

健康男性成人12例にP糖蛋白阻害作用を有するベラパミル(240mg反復投与)とリスペリドン(1mg単回投与)を併用したときの活性成分のCmax及びAUC∞はそれぞれ1.3倍及び1.4倍増加した21)。