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リコモジュリン点滴静注用12800

トロンボモデュリン アルファ(遺伝子組換え)

添付文書改訂 2026年04月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1頭蓋内出血、肺出血、消化管出血(継続的な吐血・下血、消化管潰瘍による出血)のある患者[出血を助長するおそれがある。]

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  3. 2.3妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

汎発性血管内血液凝固症(DIC)

用法・用量

通常、成人には、トロンボモデュリン アルファとして1日1回380U/kgを約30分かけて点滴静注する。なお、症状に応じ適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、出血症状の観察・凝血学的検査を十分に行い、本剤によると考えられる出血症状の発現・増悪がみられた場合には投与を中止すること。

  2. 8.2本剤投与中に重篤な腎機能障害が認められた際は、次のことに注意すること。

  • 重篤な腎機能障害に伴い出血症状の発現・増悪がみられた場合には投与を中止すること。

  • 本剤投与により有効性が認められた場合には、血小板数、凝固・線溶系マーカー、出血症状に注意しながら、本剤を130U/kgに減量することを考慮すること。

  • 本剤投与による有効性が評価できていない場合には、他の薬剤に変更することも検討すること。本剤130U/kgを重篤な腎機能障害患者に投与した経験は少ない。

  1. 8.3他の血液凝固阻害剤で、脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等の併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫により麻痺に至ったとの報告がある。このような場合に本剤を使用するときには、患者の神経障害の徴候及び症状を十分観察し、異常がみられた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  2. 8.4本剤は蛋白製剤であり、ショック、アナフィラキシー等があらわれる可能性があるので、観察を十分に行い、これらの症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  3. 8.5DICの再発時には他剤の使用なども考慮し、本剤の再投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ行うこと。また、本剤を再投与する場合には、出血傾向の増悪、凝血能の変動、アレルギー症状等について注意深く観察すること。本剤再投与の経験は少なく、有効性及び安全性は確立されていない。また、本剤に対する抗体が出現することがある。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1過去1年以内に脳血管障害(頭蓋内出血、脳梗塞等)の既往のある患者

再出血、出血性脳梗塞を起こした場合、重篤な転帰をたどるおそれがある。

  1. 9.1.2急性前骨髄球性白血病が直接誘因となりDICを発症した患者

一般に重篤な出血有害事象の発現率が高いことが報告されている。

  1. 9.1.3白血病等で末梢血白血球数が100,000/μLを超える患者

leukostasisを発現する頻度が高いため、脳等重要臓器での出血が発現するおそれがある。

  1. 9.1.4中枢神経系の手術又は外傷後日の浅い患者

出血を助長する可能性がある。

  1. 9.1.5血小板数50,000/μL以下の患者、凝血学的検査において線溶系の過度な活性化が疑われる患者

第Ⅲ相臨床試験において、本剤投与前及び投与中に血小板数が50,000/μL以下となった患者では、50,000/μLを超える患者に比べ出血有害事象の発現率が高かった。また、一般に凝血学的検査において線溶系が過度に活性化している状態では、出血のリスクは高くなる。

  1. 9.1.6プロテインC濃度が高度に低下している可能性が高い患者

可能な限り本剤投与前、又は投与開始後早期にプロテインC濃度を測定し、10%以下の低値であり、かつDICの改善がみられない場合は速やかに他剤での治療に切り替えること。プロテインCの濃度が検出限界以下(10%以下)に低下した患者では薬効が減じるおそれがある。第Ⅲ相臨床試験において、プロテインC濃度が10%以下に低下した患者4例はいずれも本剤投与後DICから非離脱であった。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎機能障害のある患者

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝機能障害のある患者

一般に肝機能障害が高度の患者では全身状態は悪化し易い。

  1. 9.3.2劇症肝炎を基礎疾患とするDIC患者

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.5 妊婦

  1. 9.5.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性

投与しないこと。動物実験で大量投与により、膣からの出血(ラット、サル)、母動物の死亡(ラット)、及び胎児の死亡(サル)が報告されている2),3),4) 。

  1. 9.5.2産婦(産科領域のDIC患者)

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。大出血を伴う産婦には、他剤で効果が不十分な場合のみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットに静脈内投与した実験で乳汁中への移行が報告されている5) 。

9.7 小児等

  1. 9.7.1新生児には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  2. 9.7.2小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

  1. 9.8.1患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄される。一般に腎機能等の生理機能が低下している。

  2. 9.8.2出血の危険性が高まるおそれがある。第Ⅲ相臨床試験において非高齢者の出血の副作用発現率が8.5%(59例中5例)であったのに対し、高齢者では17.5%(57例中10例)であった。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
*抗凝固剤
• 未分画ヘパリン、ダルテパリンナトリウム、ダナパロイドナトリウム、ガベキサートメシル酸塩、ナファモスタットメシル酸塩、乾燥濃縮人アンチトロンビンⅢ等
本剤の作用が増強するおそれがある。他の抗凝固剤と本剤との併用の安全性は明らかになっておらず、併用に際しては慎重に投与の判断を行うこと。 併用により、抗凝固作用が相加的に作用する6),7),8),9),10) 。
血栓溶解剤
• ウロキナーゼ、t-PA製剤等
他の抗凝固剤(ヘパリン)でその作用を増強することが報告されている。 本剤の抗凝固作用とこれら薬剤のフィブリン溶解作用により出血傾向が増強するおそれがある。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
• アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン塩酸塩、非ステロイド系抗炎症剤等
他の抗凝固剤(ヘパリン)でその作用を増強することが報告されている。 本剤の抗凝固作用とこれら薬剤の血小板凝集抑制作用により出血傾向が増強するおそれがある。
デフィブロチドナトリウム 出血傾向が増強するおそれがある。 出血傾向が増強するおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
LDH上昇 頻度不明
アルカリフォスファターゼ上昇 頻度不明
アレルギー紫斑病 頻度不明
コリンエステラーゼ低下 頻度不明
ビリルビン血症 頻度不明
下血 頻度不明
丘疹 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低クロール血症 頻度不明
低コレステロール血症 頻度不明
低血糖 頻度不明
便潜血陽性 頻度不明
創傷出血 頻度不明
口内出血 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
多形滲出性紅斑様皮疹 頻度不明
尿円柱 頻度不明
尿沈渣白血球 頻度不明
尿沈渣赤血球 頻度不明
尿潜血陽性 頻度不明
気道出血 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化管出血 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
皮下出血 頻度不明
穿刺部位出血 頻度不明
筋肉内出血 頻度不明
糖尿 頻度不明
紫斑(病) 頻度不明
胃潰瘍 頻度不明
胸痛 頻度不明
胸腔内出血 頻度不明
腹腔内出血 頻度不明
蛋白尿 頻度不明
血中尿酸低下 頻度不明
血尿 頻度不明
血清ALT上昇 頻度不明
血清AST上昇 頻度不明
血腫 頻度不明
貧血 頻度不明
高カリウム血症 頻度不明
高クロール血症 頻度不明
高コレステロール血症 頻度不明
高トリグリセライド血症 頻度不明
高ナトリウム血症 頻度不明
黄疸 頻度不明
鼻出血 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は、トロンビンによるプロテインCの活性化を促進する。生成した活性化プロテインCは、活性化第Ⅴ因子及び活性化第Ⅷ因子を不活化することによってトロンビンの生成を抑制し、血液凝固系の活性化を阻害する。本剤は、トロンビンの生成阻害作用に基づいた抗凝固作用により、DICの発症を抑制する。

18.2 プロテインC活性化促進作用

トロンビンによるプロテインC活性化を促進した(in vitro)17) 。

18.3 トロンビン生成阻害作用

  1. 18.3.1ヒト正常血漿において、組織因子で誘発される活性化第Ⅴ因子及びプロトロンビナーゼ活性を阻害し、トロンビンの生成を抑制した(in vitro)18) 。

  2. 18.3.2プロテインC、プロテインS又はアンチトロンビン活性が低下したヒト血漿において、組織因子で誘発されるプロトロンビナーゼ活性を阻害した(in vitro)17) 。

18.4 トロンビンの凝固活性に対する阻害作用

ヒト正常血漿におけるトロンビン凝固時間を延長した(in vitro)18) 。

18.5 血栓成長阻害作用

  1. 18.5.1ヒト血小板においてトロンビンによる凝集反応を阻害した(in vitro)17) 。

  2. 18.5.2各種の凝固時間を延長した(in vitro)18) 。

18.6 実験的DICモデルに対する作用

  1. 18.6.1組織因子誘発DICモデル(ラット、サル)において、凝血学的検査値を改善した19),20) 。

  2. 18.6.2エンドトキシン誘発DICモデル(ラット)において、凝血学的検査値を改善した21) 。

  3. 18.6.3アンチトロンビン活性を低下させた組織因子誘発DICモデル(ラット)において、凝血学的検査値を改善した22) 。

  4. 18.6.4組織因子誘発DICモデル(ラット)において、出血時間の延長を抑制した23) 。

  5. 18.6.5エンドトキシン誘発DICモデル(ラット)において、炎症性サイトカインの生成及び臓器障害の発生を抑制し、生存率を改善した24) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1健康成人

健康成人男性に本剤1,900U/人(0.3mg/人)を2時間かけて点滴静注注)したとき、血漿中のトロンボモデュリン アルファは投与終了後にCmaxに達し、その後2相性で消失した(T1/2α約4時間、T1/2β約20時間)11) 。薬物速度論的パラメータを以下に示す。

投与量 薬物速度論的パラメータ
(4例の平均値±標準偏差)
Cmax
(ng/mL)
AUCa)
(ng・hr/mL)
T1/2α
(hr)
T1/2β
(hr)
CLtot
(mL/hr/kg)
1,900U
(0.3mg)
121.75±5.16 3030.89±291.62 3.97±1.96 20.48±2.22 1.52±0.25

a)時間0~無限大の値

  1. 16.1.2DIC患者

後期第Ⅱ相臨床試験時の投与前、1日目投与終了時、6日目投与終了時、及び6日目投与後24時間(7日目)の血漿中濃度を測定したところ、各血漿中濃度は用量依存的な増加がみられ6日目投与終了時に最高濃度に達した後、6日目投与後24時間で低下した12) 。各時点の血漿中濃度を以下に示す。なお、トロンボモデュリン アルファの動態に性差は認められなかった13) 。

図 DIC患者での各時点の血漿中濃度 (平均値±標準偏差、n=27-40 1日1回30分静脈内投与)

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合

ラットに125I-トロンボモデュリン アルファを静脈内投与した際の放射能の溶出パターンをゲルろ過クロマトグラフィにより調べたところ、いずれの時点も血漿中には、未変化体と同じ溶出位置にのみ放射能ピークが検出されたことから、トロンボモデュリン アルファは血漿蛋白質との結合はほとんどないものと考えられた5) 。

  1. 16.3.2組織内分布

ラットに125I-トロンボモデュリン アルファを静脈内急速投与した際の組織内放射能濃度は血漿で最も高く、肝臓、腎臓、脾臓等の組織はいずれも血漿中濃度の21%以下で、組織移行性は低かった。血球移行性も低く、測定したいずれの時点も血球移行率は5.3%以下であった。消失はいずれの組織も血漿とほぼ同様の減衰を示したことから、残留性は認められなかった5) 。

16.4 代謝

健康成人男性にトロンボモデュリン アルファを静脈内投与した試験において、投与終了後48時間までの尿中に、投与した量の54~74%のトロンボモデュリン アルファ(ELISAにて検出)が回収されたことから、静脈内投与されたトロンボモデュリン アルファはその多くが代謝を受けず、未変化体のまま尿中に排泄されるものと考えられた11) 。

16.5 排泄

健康成人男性にトロンボモデュリン アルファ1,300U/人(0.2mg/人)を2時間かけて1日1回3日間反復点滴静注注)したところ、最終投与後48時間までに総投与量の73.6%が尿中に排泄された11) 。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

製造販売後臨床試験において、腎機能障害を伴うDIC患者に本剤380U/kg(0.06mg/kg)あるいは130U/kg(0.02mg/kg)を1日1回30分かけて6日間点滴静注したときの初回投与後のデータ(表、図)を以下に示す14) 。

投与量 実測24時間
Ccr(mL/min)
na) 薬物速度論的パラメータ(平均値±標準偏差)
最小~最大
平均値
Cmax
(ng/mL)
AUC0-24
(ng・hr/mL)
T1/2
(hr)
CLtot
(mL/hr/kg)
380U/kg 60≤ 60.5~97.4
78.4
10(0) 807±160 11,100±1,700 16.2±3.52 3.56±0.697
30≤ <60 35.3~55.1
47.9
6(2) 987±294 14,300±3,010 22.0±2.93 2.29±0.515
10≤ <30 13.6~23.2
18.1
6(2) 1,110±460 14,400±4,480 16.8±2.03 2.76±0.731
<10 0~9.9
5.6
9(8) 828±156 12,900±2,910 27.3±12.0 2.39±0.988
130U/kg 60≤ 92.3 1(0) 221 2,910 14 4.85
30≤ <60 - 0 - - - -
10≤ <30 11.7~26.9
20.5
3(1) 390±95.0 5,580±1,000 19.9±4.25 2.16±0.605
<10 0.4~5.4
3.3
4(4) 287±41.6 4,580±847 23.0±5.72 2.40±0.720

a):( )内は持続的血液濾過透析実施症例数

図 腎機能障害を伴うDIC患者での血漿中濃度の経時推移 (平均値+標準偏差)

  1. 16.6.2肝機能障害患者

肝機能障害患者においては、トロンボモデュリン アルファの動態に変化は認められなかった13) 。

  1. 16.6.3高齢者

65歳以上の高齢者では、非高齢者と比較してトロンボモデュリン アルファのクリアランスに統計学的に有意な低下(16%程度)がみられたが、投与量補正を必要とする程度のものではないと考えられた13) 。

16.7 薬物相互作用

後期第Ⅱ相臨床試験において併用率の高かった(15%以上)薬剤(ファモチジン、フロセミド、フルコナゾール、アロプリノール等)についてそれらの併用によるトロンボモデュリン アルファの動態への影響を検討した結果、いずれもトロンボモデュリン アルファの動態には影響がないことが確認された13) 。

注)本剤の承認された用法・用量は、「通常、成人には、トロンボモデュリン アルファとして1日1回380U/kgを約30分かけて点滴静注する。なお、症状に応じ適宜減量する。」である。