マラリア
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.2妊婦(妊娠14週未満)又は妊娠している可能性のある女性
-
2.3リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、リファブチン、セイヨウオトギリソウ(St.John's wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品、ホスフェニトインを投与中の患者
効能・効果
用法・用量
通常、体重に応じて1回1錠~4錠(アルテメテル/ルメファントリンとして20mg/120mg~80mg/480mg)を初回、初回投与後8時間、その後は朝夕1日2回2日間(計6回)、食直後に経口投与する。 体重別の1回投与量は、下記のとおりである。
- 5kg以上15kg未満:20mg/120mg(1錠) 15kg以上25kg未満:40mg/240mg(2錠) 25kg以上35kg未満:60mg/360mg(3錠) 35kg以上:80mg/480mg(4錠)
使用上の注意
- 8.1本剤の使用に際しては、マラリアに関して十分な知識と経験を持つ医師又はその指導の下で行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1QT延長を起こしやすい患者(先天性QT延長症候群のある患者、心疾患のある患者、低カリウム血症や低マグネシウム血症のある患者等)
心電図モニターを行うなど観察を十分に行うこと。本剤はQT延長を起こすおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
*妊娠する可能性のある女性には、必要に応じて本剤投与開始前に妊娠検査を実施し、妊娠していないことを確認すること。また、本剤投与中及び最終投与後最初の月経までの間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
9.5 妊婦
妊娠14週未満の妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠14週以降の妊婦には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験の結果から、本剤の器官形成期の投与により重篤な先天性欠損が起こる可能性が示唆されている。アルテメテル・ルメファントリン又はアルテメテルの胚・胎児発生に関する試験(ラット及びウサギ)では、臨床曝露量(アルテメテル及びDHAとして)の等倍未満となる用量でアルテメテル及びルメファントリンを併用経口投与したとき、早期吸収胚数、総吸収胚数及び着床後胚死亡率の増加、並びに生存胎児数の減少が報告されている。アルテメテル・ルメファントリンの出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験(ラット)では、臨床曝露量(アルテメテル、DHA及びルメファントリンとして)の等倍以下となる用量でアルテメテル及びルメファントリンを併用経口投与したとき、妊娠期間の延長、着床後胚死亡率の増加及び生存胎児数の減少が認められたことが報告されている。Artemisinin系薬物を妊娠動物の器官形成期に投与した動物実験において、胚・胎児死亡及び催奇形性(ラット及びウサギ)、胎児死亡(サル)が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験において、本剤の乳汁中への移行が示唆されている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児又は体重5kg未満の小児に対する臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下している。
相互作用
- アルテメテル及びルメファントリンはいずれも主としてCYP3Aによって代謝される。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • リファンピシン (リファジン等) • カルバマゼピン (テグレトール等) • フェノバルビタール (フェノバール等) • フェニトイン (アレビアチン、ヒダントール) • リファブチン (ミコブティン) • セイヨウオトギリソウ(St.John's wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 • ホスフェニトイン (ホストイン) |
アルテメテル及びルメファントリンの血中濃度が低下し、抗マラリア作用が減弱する可能性がある。 | これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、アルテメテル及びルメファントリンの代謝が促進される。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • QT延長を起こすことが知られている薬剤• キニーネ • クラスIa、クラスIIIの抗不整脈剤• ジソピラミド • プロカインアミド • キニジン • アミオダロン • ソタロール等 • 抗精神病薬• ピモジド • クロルプロマジン • ハロペリドール等 • 抗うつ剤• アミトリプチリン • イミプラミン等 • マクロライド系抗菌剤• エリスロマイシン等 • フルオロキノロン系抗菌剤• モキシフロキサシン等 • アゾール系抗真菌剤• フルコナゾール等 • 等 |
QT延長が起こるおそれがある。 | 本剤はQT延長を起こすおそれがあるため、これらの薬剤との併用によりQT延長及びトルサード・ド・ポアントが起こるおそれがある。 |
| • メフロキン | 本剤との併用によりルメファントリンの血中濃度が低下する。 | メフロキンによる胆汁生成の低下により、ルメファントリンの吸収が低下するためと考えられる。 |
| • CYP3A阻害剤• イトラコナゾール • クラリスロマイシン等 |
アルテメテル及びルメファントリンの血中濃度が上昇し、QT延長が起こるおそれがある。 | これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、アルテメテル及びルメファントリンの代謝が阻害される。 |
| • グレープフルーツジュース | アルテメテル及びルメファントリンの血中濃度が上昇する可能性があるので、本剤服用中はグレープフルーツジュースの飲用を避けさせること。 | グレープフルーツジュースに含まれる成分のCYP3A阻害作用により、アルテメテル及びルメファントリンの代謝が阻害される。 |
| • エトラビリン • モダフィニル • エファビレンツ • ボセンタン |
アルテメテル及びルメファントリンの血中濃度が低下し、抗マラリア作用が減弱する可能性がある。 | これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、アルテメテル及びルメファントリンの代謝が促進される。 |
| • CYP3Aで代謝される薬剤• アンプレナビル • ホスアンプレナビル等 |
これらの薬剤の血中濃度が低下し、効果が減弱する可能性がある。 | アルテメテルとその活性代謝物dihydroartemisinin(DHA)には、肝薬物代謝酵素(CYPs)誘導作用が報告されている。 |
| • ロピナビル・リトナビル | アルテメテル及びDHAの血中濃度が低下し、ルメファントリンの血中濃度が上昇する。 | ロピナビル・リトナビルのCYP3A阻害作用により、ルメファントリンの代謝が阻害されると考えられる。アルテメテル及びDHAの曝露量が低下した機序は不明である。 |
| • 経口避妊薬 | 本剤との併用により、経口避妊薬の効果が減弱する可能性がある。経口避妊薬を投与中の患者には、追加で他の避妊方法を用いることが推奨される。 | アルテメテルとDHAには、肝薬物代謝酵素(CYPs)誘導作用が報告されている。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| そう痒症 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 傾眠 | 頻度不明 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 咳嗽 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 好酸球増加症 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 感覚鈍麻 | 頻度不明 |
| 歩行障害 | 頻度不明 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 無力症 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 睡眠障害 | 頻度不明 |
| 筋肉痛 | 頻度不明 |
| 肝機能検査値異常 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 貧血 | 頻度不明 |
| 運動失調 | 頻度不明 |
| 錯感覚 | 頻度不明 |
| 間代 | 頻度不明 |
| 関節痛 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 食欲減退 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
本剤は、アルテメテル及びルメファントリンを1:6の比率で含有する。両成分とも、マラリア原虫の食胞内において作用する。アルテメテルは、DHAに速やかに代謝され、アルテメテル及びDHAが有するエンドペルオキシド架橋が赤血球のヘム鉄と反応することで反応性代謝物を産生し、抗マラリア活性を発揮する17) 。また、ルメファントリンは、食胞でのヘモグロビンの分解過程で、有毒な中間生成体であるヘムから毒性のないヘモゾインへの重合過程を阻害することで抗マラリア活性を発揮すると考えられている18) 。
18.2 抗マラリア活性
アルテメテル及びルメファントリンは、赤内型のP. falciparumに対し活性を示す19) 。また、in vitro及びin vivoのいずれにおいても、アルテメテル及びルメファントリンを併用投与しても耐性は認められなかった20) 。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
日本人健康成人男性に本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を高脂肪食摂取後に単回経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった1) 。
| 成分 | アルテメテル | DHA | ルメファントリン |
|---|---|---|---|
| Cmax | 90.7±52.3 (ng/mL) |
83.1±24.4 (ng/mL) |
9.84±2.27 (μg/mL) |
| AUClast | 255±152 (ng・h/mL) |
263±65.7 (ng・h/mL) |
220±63.3 (μg・h/mL) |
| AUCinf | 280±156 (ng・h/mL) |
283±64.7 (ng・h/mL) |
231±69.6 (μg・h/mL) |
| Tmax※(h) | 1.50(0.75;4.00) | 2.00(1.50;4.00) | 6.00(5.00;12.0) |
| T1/2(h) | 2.09±1.39 | 1.62±0.382 | 87.4±22.0 |
12例、平均±標準偏差、※:中央値(範囲)
○:80/480mg(20/120mg錠を4錠)投与時、アルテメテル ●:80/480mg(20/120mg錠を4錠)投与時、DHA○:80/480mg(20/120mg錠を4錠)投与時、ルメファントリン 日本人健康成人男性に本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を単回経口投与したときの血漿中濃度-時間推移(平均値±標準偏差、12例)
-
16.1.2反復投与
-
(1)健康成人に本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を高脂肪食摂取後に反復経口投与したとき、アルテメテルの血漿中濃度は時間依存的に減少し、DHAは増加すると考えられた。ルメファントリンの消失半減期が長いことから、曝露量は累積する傾向が認められた2) (外国人のデータ)。
-
(2)12歳以下の小児マラリア患者を対象として、体重5kg以上15kg未満の患者には1錠、15kg以上25kg未満の患者には2錠、25kg以上35kg未満の患者には3錠を粉砕して投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった3) (外国人のデータ)。
| 成分 | 5kg以上 15kg未満 |
15kg以上 25kg未満 |
25kg以上 35kg未満 |
|---|---|---|---|
| アルテメテル | 55例 | 29例 | 8例 |
| Cmax(ng/mL) | 188±168 | 198±179 | 174±145 |
| DHA | 56例 | 29例 | 8例 |
| Cmax(ng/mL) | 54.7±58.9 | 79.8±80.5 | 68.4±23.4 |
| ルメファントリン | 194例 | 102例 | 19例 |
| Cmax(μg/mL) | 6.13a) | 9.37b) | 21.9c) |
| AUClast(μg・h/mL) | 577 | 699 | 1,150 |
平均±標準偏差、a)101例、b)53例、c)1例
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
健康成人男性にアルテメテル・ルメファントリン合剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を単回経口投与したとき、アルテメテルのCmax及びAUC0-tは空腹時投与ではそれぞれ52.3ng/mL(CV%:86%)及び143ng・h/mL(77%)であった。高脂肪食摂取後では104ng/mL(51%)及び338ng・h/mL(52%)であり、アルテメテルの曝露量は空腹時投与に比べ約2倍であった。ルメファントリンのCmax及びAUC0-168hは空腹時投与では383ng/mL(40%)及び6,806ng・h/mL(48%)であった。高脂肪食摂取後では5,099ng/mL(37%)及び107,845ng・h/mL(44%)であり、ルメファントリンの曝露量は空腹時投与に比べ約16倍であった4) (外国人のデータ)。
16.3 分布
ヒトにおけるアルテメテル及びルメファントリンの血漿蛋白結合率はそれぞれ95.4%及び99.7%であった。DHAの血清蛋白結合率は47%~76%であった。アルテメテル及びルメファントリンの血球移行率は11%及び8%であった5) 。
16.4 代謝
アルテメテルは活性代謝物のDHAに代謝され、主な代謝酵素はCYP3A4/5である。ルメファントリンはCYP3A4によりN-脱ブチル化される6) 。また、ルメファントリンは、in vitroにおいて、CYP2D6の活性を阻害した(Ki値:0.997μmol/L)4) 。成人マラリア患者に本剤4錠を1日2回3日間計6回投与したとき、ルメファントリンの活性代謝物であるdesbutyl-ルメファントリンが検出されたが、その曝露量はルメファントリンの曝露量の1%未満であった7) (外国人のデータ)。
16.5 排泄
本剤を粉砕して健康成人に単回経口投与したとき、アルテメテル及びルメファントリンともに尿中には排泄されず、アルテメテルの投与量の0.01%未満のDHAが検出された8) (外国人のデータ)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1リファンピシン
HIV-1と結核の重複感染を有するマラリア患者ではない成人にリファンピシン(600mg/日)と本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を併用投与したとき、単独投与に比べてアルテメテルのCmax及びAUC0-12hはそれぞれ約83%及び約89%減少、DHAのCmax及びAUC0-12hは約78%及び約85%減少、並びに投与8日目のルメファントリンの血漿中濃度及び投与3から25日目までのAUCは、約84%及び約68%減少した9) (外国人のデータ)。
- 16.7.2ケトコナゾール(経口剤は国内未発売)
健康成人にケトコナゾール(初回投与400mg、4日間反復投与200mg/日)と本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を併用投与したとき、アルテメテルのCmax及びAUClastはそれぞれ約2.2倍(CV%:34~38%)及び約2.5倍(39~45%)に増加した。DHAのCmax及びAUClastは約1.4倍(39~43%)及び約1.7倍(29~36%)に増加した。ルメファントリンのCmax及びAUClastは約1.3倍(44~47%)及び約1.6倍(58~61%)に増加した10) (外国人のデータ)。
- 16.7.3メフロキン
健康成人にメフロキン(初回投与500mg、2回目及び3回目投与250mg)と本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を併用投与したとき、アルテメテル及びDHAの曝露量に影響はみられなかった。ルメファントリンのCmax及びAUC0-816hはそれぞれ32%及び41%減少した。メフロキンのCmax及びAUCは4%減少及び18%増加した11) (外国人のデータ)。
- 16.7.4キニーネ(注射剤は国内未発売)
健康成人にキニーネ(10mg/kg)の静脈内投与と本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を併用投与したとき、ルメファントリン及びキニーネの血漿中濃度に影響は認められなかった。アルテメテルのCmax及びAUC62h-lastはそれぞれ17%(CV%:47~82%)及び46%(63~142%)減少した。DHAのCmax及びAUC62h-lastは11%(31~40%)及び37%(39~40%)減少した12) (外国人のデータ)。
- 16.7.5ロピナビル・リトナビル
健康成人にロピナビル・リトナビル(400/100mg、1日2回)と本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を併用投与したとき、単独投与と比べてアルテメテルのCmax及びAUCinfはそれぞれ約22%及び約34%減少、DHAのCmax及びAUCinfは約36%及び約45%減少した。また、ルメファントリンのCmax及びAUCinfは、単独投与と比べて約1.4倍及び約2.3倍に増加した。ロピナビルの曝露量に本剤との併用による影響は認められなかった。リトナビルを単独投与したときのCmaxとAUC0-12hは516ng/mL及び3.07μg・h/mL、リトナビルと本剤を併用投与したときのCmaxとAUC0-12hは585ng/mL及び3.47μg・h/mLだった13) (外国人のデータ)。
- 16.7.6エファビレンツ
健康成人にエファビレンツ(600mg/日)と本剤80/480mg(20/120mg錠を4錠)を併用投与したとき、単独投与と比べてアルテメテルのCmax及びAUCinfはそれぞれ約21%及び約34%減少、DHAのCmax及びAUCinfは約38%及び約39%減少、ルメファントリンのCmax及びAUCinfは約4%増加及び約22%減少した。エファビレンツのCmax及びAUC0-24hは9%及び17%減少した14) (外国人のデータ)。
- 16.7.7グレープフルーツジュース
健康成人において、アルテメテル100mgをグレープフルーツジュース350mLと共に服用したとき、アルテメテル及びDHAのCmax(107±28及び85±26ng/mL)及びAUC0-8h(336±53及び276±83ng・h/mL)は、水で服用したときのCmax(42±17及び67±34ng/mL)及びAUC0-8h(177±49及び239±105ng・h/mL)と比ベ高値を示した15) (外国人のデータ)。