Clinical snapshot

ラロキシフェン塩酸塩錠60mg「あゆみ」

ラロキシフェン塩酸塩

添付文書改訂 2023年08月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症等の静脈血栓塞栓症のある患者又はその既往歴のある患者[これらの症状が増悪することがある。]

  2. 2.2長期不動状態(術後回復期、長期安静期等)にある患者

  3. 2.3抗リン脂質抗体症候群の患者[静脈血栓塞栓症を起こしやすいとの報告がある。]

  4. 2.4妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦

  5. 2.5本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

閉経後骨粗鬆症

用法・用量

通常、ラロキシフェン塩酸塩として、1日1回60mgを経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の服用により、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症を含む)があらわれることがあるので、患者に対しては、次のような症状が認められた場合には直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明すること。 症状:下肢の疼痛・浮腫、突然の呼吸困難、息切れ、胸痛、急性視力障害等

  2. 8.2静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症を含む)のリスクが上昇するため、長期不動状態(術後回復期、長期安静期等)に入る3日前には本剤の服用を中止し、完全に歩行可能になるまでは投与を再開しないこと。

  3. 8.3患者のカルシウム及び/又はビタミンDの摂取量が十分でない場合は、カルシウム及び/又はビタミンDをそれぞれ補給すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1経口エストロゲン療法にて顕著な高トリグリセリド血症(>500mg/dL)の既往歴のある患者

血清トリグリセリド値のモニターを行うこと。本剤の服用により血清トリグリセリド上昇があらわれることがある。

9.2 腎機能障害患者

国内臨床試験では除外されている。

9.3 肝機能障害患者

国内臨床試験では除外されている。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊婦に本剤を投与した場合、胎児に悪影響を及ぼすおそれがある。ウサギでは、流産及び低頻度で胎児心奇形(心室中隔欠損)が認められた。ラットでは、胎児の発達遅延及び発育異常(波状肋骨、腎盂拡張)あるいは分娩遅延又は分娩困難、出生児生存率の低下、身体発育分化の変化、発育分化抑制や下垂体ホルモンの変化、出生児におけるリンパ球組織の減少といった所見が認められ、また、高用量では、分娩困難による母動物及び産児の死亡の報告がある。

9.6 授乳婦

授乳中の女性には投与しないこと。本剤がヒト乳汁中へ移行するかどうかは不明である。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 陰イオン交換樹脂• コレスチラミン 本剤の血中濃度が低下する。 本剤がコレスチラミンに吸着され、消化管内からの吸収量が低下することが知られている。その他の陰イオン交換樹脂についても同様の可能性が考えられる。
• クマリン系抗凝血剤• ワルファリン プロトロンビン時間の減少が報告されている。本剤による治療の開始あるいは終了の際、プロトロンビン時間を注意深くモニターする必要がある。 機序は不明である。
• アンピシリン 本剤の血中濃度が低下するおそれがある。 アンピシリンにより腸内細菌叢が減少することにより本剤の腸肝循環が低下するためと考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
γ-GTP上昇 頻度不明
おくび 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ヘマトクリット減少 頻度不明
ヘモグロビン減少 頻度不明
ほてり 頻度不明
下肢痙攣 頻度不明
乳房緊満 頻度不明
体重増加 頻度不明
嘔気 頻度不明
多汗 頻度不明
感覚減退 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
膣分泌物 頻度不明
良性の子宮内腔液増加 頻度不明
血中Al-P減少 頻度不明
血中アルブミン減少 頻度不明
血中カルシウム減少 頻度不明
血小板数減少 頻度不明
血清リン減少 頻度不明
血清総蛋白減少 頻度不明
表在性血栓性静脈炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ラロキシフェンはエストロゲン受容体を介して作用を発現する22) 。骨においてはエストロゲン受容体に結合後、骨代謝回転に関与するサイトカインを介して、エストロゲンと同様な骨吸収抑制作用を示す23),24),25) 。また、脂質代謝に対してもエストロゲンと同様の作用を示す26),27),28),29) 。卵巣切除ラットの子宮重量に関する試験において、エストロゲン0.1mg/kg/日投与群では子宮重量は285%増加し、ラロキシフェン0.01~10mg/kg/日投与群では18%から66%増加したが用量反応性は認められなかった30) 。なお、ラロキシフェン投与により卵巣切除ウサギ(70及び210mg/日)及びサル(1及び5mg/kg/日)においては子宮重量の増加は認められなかった27),31) 。乳腺刺激作用の有無を確認する目的で、卵巣切除サルを用いて乳腺小葉組織量を計測した結果、ラロキシフェン投与群と対照群との間に差は認められなかった27),32)。

18.2 骨密度及び骨強度に及ぼす影響

ラットの卵巣切除モデルにおいてラロキシフェン1~10mg/kg/日を卵巣切除4日後より投与した結果、腰椎、脛骨等における骨密度減少及び骨強度低下を抑制し26),33) 、これらの効果は12ヵ月間投与後でも保持された34)。サルにおいてもラロキシフェン1及び5mg/kg/日を卵巣切除翌日より投与した結果、卵巣切除による骨密度減少を抑制し、これらの効果は2年間投与後でも保持され、腰椎における骨密度増加作用と骨強度低下抑制作用との間には正の相関が認められた27) 。また、卵巣切除したラット及びサルでの生化学的マーカー値の変動から亢進した骨代謝回転に対する抑制効果が示された27),35) 。

18.3 骨組織形態に及ぼす影響

ラットの卵巣切除モデルにおいて、ラロキシフェン3mg/kg/日の投与は海綿骨における骨梁数の減少や骨梁間隙の増大を改善し、正常な微細構造を有する骨を形成した。ラットにおけるこれらの効果は10ヵ月間投与後でも保持された28) 。

18.4 骨折治癒に及ぼす影響

卵巣切除ラットにラロキシフェン1mg/kg/日を投与し、大腿骨骨折部分における力学的性質及び材質特性を検討した結果、卵巣切除による骨折部分における剛性低下、材質特性(ヤングの剛性率)の低下あるいは骨形成速度の上昇に対する抑制効果が認められた36) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与試験

閉経後健康女性52例にラロキシフェン塩酸塩120mg(60mg錠2錠)注1)を空腹時に単回経口投与した時の血漿中ラロキシフェン濃度は複数のピークを示した。CmaxのCV%は94.8%、AUC0-∞のCV%は55.7%を示し、個体間変動が大きいことが示された。なお、ラロキシフェン塩酸塩1.0mg静脈内投与時注1)の分布容積は7.5L/kgであった3),4)。

Cmax(ng/mL) tmaxa)(hr) AUC0-∞(ng・hr/mL) t1/2b)(hr)
1.635(94.8) 9(1~24) 55.9(55.7) 24.3(15.8~103.9)

算術平均(CV%):n=52 a)中央値(範囲) b)調和平均(範囲)

  1. 16.1.2反復投与試験

閉経後健康女性16例に、ラロキシフェン塩酸塩60mgを1日1回14日間反復経口投与した。14日間の反復経口投与により血漿中ラロキシフェン濃度は定常状態に達することが示された。また、60mg以下において投与量比例性が示された3),5)。

Css, max(ng/mL) Css, ave(ng/mL) Css, min(ng/mL) tmaxa)(hr) AUCss
(ng・hr/mL)
CLp, ss(L/hr/kg)
1.750(32.4) 1.384(34.2) 1.099(37.0) 8(1~8) 33.2(34.2) 36.5(48.1)

算術平均(CV%):n=16 a) 中央値(範囲)

  1. 16.1.3生物学的同等性試験

ラロキシフェン塩酸塩錠60mg「あゆみ」とエビスタ錠60mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ラロキシフェン塩酸塩として60mg)閉経後健康成人女性に絶食時単回経口投与して血漿中ラロキシフェン濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された6) 。

図1) ラロキシフェン塩酸塩60mg錠を単回投与したときの血漿中ラロキシフェン濃度推移

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-96
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
tmax
(hr)
t1/2
(hr)
ラロキシフェン塩酸塩錠60mg「あゆみ」
(錠剤、60mg)
21.03±6.94 0.57±0.28 9.3±11.3 39.5±25.4
エビスタ錠60mg
(錠剤、60mg)
23.17±8.78 0.60±0.34 11.6±15.1 39.1±29.0

(Mean±S.D., n=30)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

  1. 16.2.1バイオアベイラビリティ

外国人の閉経後健康女性8例に、クロスオーバーデザインを用いてラロキシフェン塩酸塩120mg(60mg錠2錠)注1)の経口投与及びラロキシフェン塩酸塩1.0mgの静脈内投与注1)を実施し、ラロキシフェンの吸収について評価した。ラロキシフェン塩酸塩120mg経口投与時のラロキシフェンの絶対的バイオアベイラビリティは2.0%、吸収率は63%であった。なお、ラロキシフェンは腸肝循環することが示唆されている7)。

  1. 16.2.2食事の影響

外国人の閉経後健康女性14例に、空腹時及び食事の摂取下においてラロキシフェン塩酸塩120mg(60mg錠2錠)注1)を単回経口投与した結果、空腹時のCmax及びAUC0-tはそれぞれ0.9ng/mL及び41.5ng・hr/mL、食事の摂取下のCmax及びAUC0-tはそれぞれ1.1ng/mL及び49.1ng・hr/mLを示し、これらの間に統計的に有意な差は認められなかった8)。

16.3 分布

  1. 16.3.1蛋白結合

日本人の閉経後女性15例の血漿サンプルを用いて、3H-ラロキシフェンと血漿中蛋白の結合をin vitro試験で評価した。 血漿蛋白結合率の平均値は97.7%(範囲:96.6~98.5%)であった。また、外国人の閉経後女性の血漿サンプルを用いて評価した結果、3H-ラロキシフェンはアルブミンと99.6%、α1-酸性糖蛋白質と88.9%の結合率であった9)。

16.4 代謝

外国人の健康成人4例(男性注2)3例及び閉経後女性1例)に14C-ラロキシフェン塩酸塩199.7mg注1)のアルコール性水溶液を単回経口投与した。3種類のグルクロン酸抱合体のみが血漿中及び尿中に検出され、酸化代謝物は認められなかった。血漿中の未変化体は総放射活性の約1.0%であった10)。

16.5 排泄

外国人の健康成人4例(男性注2)3例及び閉経後女性1例)に14C-ラロキシフェン塩酸塩199.7mg注1)のアルコール性水溶液を単回経口投与した。糞便中に50~79%、尿中に3.3~5.5%の放射活性が排泄された11)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害

外国人の腎機能正常男性注2)10例及び腎機能障害男性注2)10例にラロキシフェン塩酸塩120mg(60mg錠2錠)注1)を単回経口投与した。腎機能障害男性は腎機能正常男性に比較してAUC0-∞が約2.2倍、Cmaxが約1.4倍であった12)。

  1. 16.6.2肝機能障害

外国人の健康成人8例(閉経後女性5例、男性注2)3例)及び肝硬変患者9例(閉経後女性5例、男性注2)4例)にラロキシフェン塩酸塩60mgを単回経口投与した。肝硬変患者は健康成人に比較してAUC0-∞が約2.5倍、Cmaxが約2.1倍であった13)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1コレスチラミン

外国人の閉経後健康女性14名において、コレスチラミン(無水コレスチラミンとして4~8gを1~2回/日)の反復経口投与によりラロキシフェン塩酸塩120mg(60mg錠2錠)注1)単回経口投与時のAUC0-tは60%低下した14)。

  1. 16.7.2アンピシリン

外国人の閉経後健康女性14名において、アンピシリン500mg(4回/日)の反復経口投与によりラロキシフェン塩酸塩120mg(60mg錠2錠)注1)単回経口投与時のCmaxは28%低下した15)。 注1)本剤の承認された用法及び用量はラロキシフェン塩酸塩として1日1回60mg経口投与である。 注2)本剤の承認された効能又は効果は閉経後骨粗鬆症である。