Clinical snapshot

ラボナール注射用0.5g

注射用チオペンタールナトリウム

添付文書改訂 2025年04月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1ショック又は大出血による循環不全、重症心不全のある患者[血管運動中枢抑制により過度の血圧低下をおこすおそれがある。]

  2. 2.2急性間歇性ポルフィリン症の患者[酵素誘導によりポルフィリン合成を促進し、症状を悪化させるおそれがある。]

  3. 2.3アジソン病の患者[催眠作用が持続又は増強するおそれがある。血圧低下を生じやすい。また本疾患は高カリウム血症を伴うがカリウム値が上昇するおそれがある。]

  4. 2.4重症気管支喘息の患者[気管支痙攣を誘発するおそれがある。]

  5. 2.5バルビツール酸系薬物に対する過敏症の患者

効能・効果

  • 全身麻酔

  • 全身麻酔の導入

  • 局所麻酔剤・吸入麻酔剤との併用

  • 精神神経科における電撃療法の際の麻酔

  • 局所麻酔剤中毒・破傷風・子癇等に伴う痙攣

  • 精神神経科における診断(麻酔インタビュー)

用法・用量

  • 〈静脈内投与〉

  • 溶液濃度:2.5%水溶液(5%溶液は静脈炎を起こすことがある)

  • 投与量・投与法:調製したチオペンタール水溶液を静脈より注入する。

本剤の用量や静注速度は年齢・体重とは関係が少なく個人差があるため一定ではないが、大体の基準は次のとおり。

  1. 6.1全身麻酔の導入

最初に2~4mL(2.5%溶液で50~100mg)を注入して患者の全身状態、抑制状態等を観察し、その感受性より追加量を決定する。次に患者が応答しなくなるまで追加注入し、応答がなくなった時の注入量を就眠量とする。更に就眠量の半量ないし同量を追加注入した後、他の麻酔法に移行する。 なお、気管内に挿管する場合は筋弛緩剤を併用する。

  1. 6.2短時間麻酔

  2. 6.2.1患者とコンタクトを保ちながら最初に2~3mL(2.5%溶液で50~75mg)を10~15秒位の速度で注入後30秒間麻酔の程度、患者の全身状態を観察する。更に必要ならば2~3mLを同速度で注入し、患者の応答のなくなった時の注入量を就眠量とする。なお、手術に先立ち、更に2~3mLを同速度で分割注入すれば、10~15分程度の麻酔が得られる。

  3. 6.2.2短時間で手術が終了しない場合は、注射針を静脈中に刺したまま呼吸、脈拍、血圧、角膜反射、瞳孔対光反射等に注意しながら手術の要求する麻酔深度を保つように1~4mL(2.5%溶液で25~100mg)を分割注入する(1回の最大使用量は1gまでとする)。

  4. 6.3精神神経科における電撃療法の際の麻酔

通常、12mL(2.5%溶液で300mg)をおよそ25~35秒で注入し、必要な麻酔深度に達したことを確かめた後、直ちに電撃療法を行う。

  1. 6.4併用使用

本剤は局所麻酔剤あるいは吸入麻酔剤と併用することができる。 通常、2~4mL(2.5%溶液で50~100mg)を間歇的に静脈内注入する。 点滴投与を行う場合は静脈内点滴麻酔法に準ずる。

  1. 6.5痙攣時における使用

患者の全身状態を観察しながら、通常、2~8mL(2.5%溶液で50~200mg)を痙攣が止まるまで徐々に注入する。

  1. 6.6精神神経科における診断(麻酔インタビュー)

1分間に約1mLの速度で3~4mL注入し入眠させる。その後2~10分で呼びかければ覚醒し、質問に答えるようになればインタビューを実施する。その後は1分間約1mLの速度で追加注入する。

場合により次のような方法を用いる。

  • 〈直腸内注入〉

  • 溶液濃度:10%水溶液

  • 投与量:体重kg当たり20~40mg(10%溶液で0.2~0.4mL/kg)を基準とする。

  • 注入法:溶液を注射器に入れ、注射器の先に導尿用カテーテルをつけ肛門より直腸に挿入し、注腸する。注入後15分で麻酔に入り、約1時間持続する。

  • 〈筋肉内注射〉

  • 溶液濃度:2.0~2.5%水溶液、特に7歳以下の小児に対しては2%溶液を使用する(2.5%以上の濃度は組織の壊死を起こす危険がある)。

  • 筋注部位:大腿筋肉、上腕部筋肉など筋肉の多い部位を選んで注射する。

  • 投与量:体重kg当たり20mg(2%溶液で1mL/kg)を基準とする。

  • 投与法:一度に全量を注入してはならず、全量を2~3等分して、5分ごとに必要に応じて追加投与する。注入後5~15分で麻酔に入り、約40~50分程度持続する。

使用上の注意

  1. 8.1麻酔を行う際には、原則としてあらかじめ絶食させておくこと。

  2. 8.2麻酔を行う際には、原則として麻酔前投薬を行うこと。

  3. 8.3麻酔中は気道に注意して呼吸・循環に対する観察を怠らないこと。

  4. 8.4麻酔の深度は手術、検査に必要な最低の深さにとどめること。

  5. 8.5麻酔前に酸素吸入器、吸引器具、挿管器具等の人工呼吸のできる器具を手もとに準備しておくことが望ましい。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1重症糖尿病の患者

糖尿病を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2重症高血圧症、低血圧症、重症貧血、低蛋白血症のある患者

血圧を変動させるおそれがある。また、重症貧血及び低蛋白血症では本剤の作用が増強されるおそれがある。

  1. 9.1.3心筋障害、動脈硬化症のある患者

血圧降下が発現するおそれがある。

  1. 9.1.4脳圧上昇時

呼吸抑制や気道閉塞により血中のCO2分圧を上昇させ、脳圧を上昇させるおそれがある。また、カリウム平衡異常(低カリウム血症及びリバウンド高カリウム血症等)が発現するおそれがある。

  1. 9.1.5重症筋無力症、筋ジストロフィー、呼吸困難及び気道閉塞を呈する疾患

呼吸抑制を誘発するおそれがある。

  1. 9.1.6電解質アンバランス時(特にカリウム中毒)

血中カリウム値が上昇するおそれがある。

  1. 9.1.7薬物過敏症の患者(バルビツール酸系薬物に対する過敏症の患者を除く)

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重症腎障害のある患者

排泄の遅延により、本剤の作用が増強するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重症肝障害のある患者

代謝の遅延及び蛋白結合の低下により、本剤の作用が増強するおそれがある。

9.5 妊婦

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 帝王切開等の分娩に使用する場合には、できるだけ最小有効量を慎重に投与すること。新生児への影響が考えられる。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に呼吸抑制、血圧下降があらわれやすい。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
中枢神経抑制剤 呼吸抑制作用、降圧作用、中枢神経抑制作用(鎮静、催眠等)が増強することがある。
併用する場合には、用量に注意する。
相加的に作用(中枢神経抑制作用)を増強させる。
血圧降下剤 降圧作用、中枢神経抑制作用(鎮静、催眠等)が増強することがある。併用する場合には、用量に注意する。 相加的に作用(中枢神経抑制作用)を増強させる。
MAO阻害剤 中枢神経抑制作用(鎮静、催眠等)が増強することがある。
併用する場合には、用量に注意する。
相加的に作用(中枢神経抑制作用)を増強させる。
三環系抗うつ剤 降圧作用、中枢神経抑制作用(鎮静、催眠等)が増強することがある。また、三環系抗うつ剤の作用が減弱することがある。
併用する場合には、用量に注意する。
相加的に作用(中枢神経抑制作用)を増強させる。
中枢性筋弛緩剤(クロルフェネシンカルバミン酸エステル等) 中枢神経抑制作用(鎮静、催眠等)が増強することがある。
併用する場合には、用量に注意する。
相加的に作用(中枢神経抑制作用)を増強させる。
スルホニル尿素系血糖降下剤 中枢神経抑制作用(鎮静、催眠等)が増強することがある。
併用する場合には、用量に注意する。
相加的に作用(中枢神経抑制作用)を増強させる。
抗パーキンソン剤(レボドパ等) 中枢神経抑制作用(鎮静、催眠等)が増強することがある。
併用する場合には、用量に注意する。
相加的に作用(中枢神経抑制作用)を増強させる。
ジスルフィラム 中枢神経抑制作用(鎮静、催眠等)が増強することがある。また、併用により、重篤な低血圧があらわれたとの報告がある。
異常が認められた場合には、本剤を減量するなど適切な処置を行う。
ジスルフィラムは本剤の代謝を阻害する。
クマリン系抗凝血剤(ワルファリンカリウム等) 抗凝血作用が減弱することがある。
頻回にプロトロンビン値の測定を行い、クマリン系抗凝血剤の用量を調節する。
本剤は肝の薬物代謝酵素を誘導し、クマリン系抗凝血剤の代謝を促進する。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
しびれ感 頻度不明
ふるえ 1〜5%未満
めまい 1〜5%未満
不快感 1〜5%未満
不整脈 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
唾液・気道分泌増加 1〜5%未満
嘔吐 1〜5%未満
尿閉 1〜5%未満
悪心 1〜5%未満
流涙 1〜5%未満
痙攣 1〜5%未満
皮疹 頻度不明
筋緊張 1〜5%未満
興奮 1〜5%未満
血圧低下 頻度不明
術中興奮 1〜5%未満
術中運動不安 1〜5%未満
複視 1〜5%未満
頭痛 1〜5%未満
頻脈 1〜5%未満
顔面潮紅 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

超短時間作用型のバルビツール酸系静脈注射麻酔剤で、脳幹の網様体賦活系を抑制することにより麻酔作用をあらわすと考えられている。

薬物動態

16.1 血中濃度

外国人のデータでは、健康成人6例(男3、女3)にチオペンタールを3.5mg/kg静脈内投与したとき、血漿中濃度の減少は3相性を示し、それぞれの半減期は2.8分、48.7分、5.7時間である1)。

16.4 代謝

チオペンタールは肝臓で代謝される2)。

16.5 排泄

尿中への未変化体の排泄は投与量の1%以下である2)。

16.8 その他

麻酔用量を単回静脈内投与したとき、10~20秒で意識は消失し、麻酔深度は40秒まで増強するが、その後、次第に減少し20~30分後に意識が回復する3)。