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ラツーダ錠20mg

ルラシドン塩酸塩

添付文書改訂 2026年03月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1昏睡状態の患者[昏睡状態が悪化するおそれがある。]

  2. 2.2バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される。]

  3. **2.3CYP3A4を強く阻害する薬剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール(経口剤、口腔用剤、注射剤)、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ポサコナゾール、リトナビルを含む製剤、ダルナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、エンシトレルビル、コビシスタットを含む製剤、クラリスロマイシン、ロナファルニブ、セリチニブ)を投与中の患者

  4. 2.4CYP3A4を強く誘導する薬剤(リファンピシン、フェニトイン、ホスフェニトイン)を投与中の患者

  5. 2.5本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  6. 2.6アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)

効能・効果

  • 統合失調症

  • 双極性障害におけるうつ症状の改善

用法・用量

  • 〈統合失調症〉

通常、成人にはルラシドン塩酸塩として40 mgを1日1回食後経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は80 mgを超えないこと。

  • 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉

通常、成人にはルラシドン塩酸塩として20~60 mgを1日1回食後経口投与する。 なお、開始用量は20 mg、増量幅は1日量として20 mgとし、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は60 mgを超えないこと。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1興奮、不眠、不安等の精神症状を悪化させる可能性があるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。

  2. 8.2眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

  3. 8.3本剤の投与により、高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤の投与に際しては、あらかじめこれらの副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。特に糖尿病又はその既往歴あるいはその危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。

  4. 8.4投与初期、再投与時、増量時にα交感神経遮断作用に基づく起立性低血圧があらわれることがあるので、患者の状態を慎重に観察し、低血圧症状があらわれた場合には減量する等、適切な処置を行うこと。

  • 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉
  1. 8.5うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。

  2. 8.6自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。

  3. 8.7家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。

  4. 8.8大うつ病性障害等の精神疾患(双極性障害におけるうつ症状を含む)を有する患者への抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。

  5. 8.9不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。

  6. 8.10うつ症状が改善した場合には、本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないよう注意すること。双極性障害の維持療法における本剤の有効性は確立していない。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1パーキンソン病又はレビー小体型認知症の患者

錐体外路症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.2てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者

痙攣閾値を低下させるおそれがある。

  1. 9.1.3脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者

悪性症候群が起こりやすい。

  1. 9.1.4自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者

自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。

  1. 9.1.5糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者

血糖値が上昇することがある。

  1. 9.1.6不整脈の既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者

QTが延長する可能性がある。

  1. 9.1.7心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者

一過性の血圧降下があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.8不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者

肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1中等度以上の腎機能障害患者

血中濃度が上昇するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1中等度以上の肝機能障害患者

血中濃度が上昇するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下している。

相互作用

  • 本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4で代謝される。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP3A4を強く阻害する薬剤
• イトラコナゾール(イトリゾール)
ボリコナゾール(ブイフェンド)
ミコナゾール(経口剤、口腔用剤、注射剤)(フロリード、オラビ)
フルコナゾール(ジフルカン)
ホスフルコナゾール(プロジフ)
ポサコナゾール(ノクサフィル)
リトナビルを含む製剤(ノービア、カレトラ、パキロビッド)
ダルナビル(プリジスタ)
アタザナビル(レイアタッツ)
ホスアンプレナビル(レクシヴァ)
• エンシトレルビル(ゾコーバ)
• コビシスタットを含む製剤(ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ)
クラリスロマイシン(クラリシッド)
• ロナファルニブ(ゾキンヴィ)
• セリチニブ(ジカディア)
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがある。 本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。
CYP3A4を強く誘導する薬剤
• リファンピシン(リファジン)
フェニトイン(アレビアチン)
• ホスフェニトイン(ホストイン)
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱されるおそれがある。 本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する。
アドレナリン
(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
(ボスミン)
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。 アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アドレナリン含有歯科麻酔剤
• リドカイン・アドレナリン
重篤な血圧降下を起こすことがある。 アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
中枢神経抑制剤 相互に中枢神経抑制作用を増強するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。
アルコール 相互に中枢神経抑制作用を増強するおそれがある。 アルコールは中枢神経抑制作用を有する。
ドパミン作動薬
• レボドパ製剤
ブロモクリプチン 等
相互に作用が減弱するおそれがある。 本剤はドパミン受容体遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる。
CYP3A4を阻害する薬剤
• ジルチアゼム
エリスロマイシン
ベラパミル 等
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがあるので、観察を十分に行い、患者の状態に応じて本剤の用量を通常の半量に減じるなど慎重に投与すること。 本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。ジルチアゼム併用時の本剤のCmax及びAUCは、ジルチアゼム非併用時の2倍程度に上昇した。
グレープフルーツ含有食品 本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがあるので、本剤の服用中は摂取しないように注意すること。 CYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。
CYP3A4を誘導する薬剤
• カルバマゼピン
バルビツール酸誘導体
ボセンタン
エファビレンツ
エトラビリン
モダフィニル
セント・ジョーンズ・ワート含有食品 等
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱されるおそれがあるので、観察を十分に行うこと。 本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇 1%未満
AST上昇 1%未満
CK上昇 1%未満
HbA1c 上昇 1%未満
PR短縮) 1%未満
アカシジア(静坐不能)(8.3%) 5%以上
アレルギー性鼻炎 1%未満
うつ症状の悪化・抑うつ 1%未満
ジスキネジア 1〜5%未満
ジストニア 1〜5%未満
じん麻疹 1%未満
そう痒 1〜5%未満
パーキンソニズム 1〜5%未満
パニック発作 頻度不明
ビリルビン上昇 1%未満
プロラクチン上昇 1〜5%未満
リビドー減退 1%未満
上腹部痛 1%未満
下痢 1%未満
不安 1〜5%未満
不眠 1〜5%未満
乳房痛 頻度不明
乳房腫大 頻度不明
乳汁分泌 1%未満
低ナトリウム血症 頻度不明
体重増加 1〜5%未満
体重減少 1%未満
便秘 1〜5%未満
傾眠 1〜5%未満
勃起不全 頻度不明
動悸 1%未満
口内乾燥 1%未満
口渇 1%未満
咳嗽 1%未満
咽頭浮腫 頻度不明
嘔吐 1〜5%未満
嚥下障害 頻度不明
回転性めまい 1%未満
多汗 1%未満
多飲症 1%未満
失神 頻度不明
好中球減少 1%未満
尿糖陽性) 1%未満
尿蛋白陽性 1%未満
幻覚・妄想 1%未満
徐脈 1%未満
心電図異常(QT延長 1%未満
悪夢 1%未満
悪心 1〜5%未満
房室ブロック 1%未満
振戦 1〜5%未満
排尿困難・排尿異常 1%未満
摂食障害症状(拒食・過食) 1%未満
攻撃性 1%未満
斜頚 頻度不明
易刺激性 1%未満
月経異常 1%未満
末梢性浮腫 1%未満
構語障害 1%未満
流涎過多 1%未満
浮動性めまい 1〜5%未満
消化不良 1%未満
湿疹 1%未満
激越 1%未満
熱感 1%未満
狭心症 頻度不明
甲状腺機能異常(亢進症・低下症) 1%未満
疲労 1%未満
疼痛 1%未満
発熱 1%未満
発疹 1%未満
眉間反射異常 頻度不明
眼球回転発作 1%未満
突然死 頻度不明
筋力低下 1%未満
筋固縮 1〜5%未満
筋痙縮 1%未満
筋緊張 1%未満
筋骨格硬直 1%未満
精神症状の悪化 1%未満
糖尿病 頻度不明
統合失調症の悪化 1〜5%未満
耐糖能異常(血糖上昇 1%未満
肝機能異常 1%未満
肝障害 1%未満
胃炎 1%未満
胃腸障害 1%未満
背部痛 1%未満
胸内苦悶感・胸部圧迫感 1%未満
脂質異常症 1%未満
脱力 1%未満
脱毛 1%未満
脳卒中 頻度不明
腎不全 頻度不明
腹痛 1%未満
腹部不快感 1〜5%未満
腹部膨満 1%未満
自傷行為 1%未満
自殺企図 1%未満
自殺念慮 1%未満
舌痙攣 頻度不明
舌腫脹 頻度不明
色素沈着 1%未満
落ち着きのなさ 1%未満
血圧上昇 1%未満
血小板減少 1%未満
血管性浮腫 1%未満
貧血 頻度不明
起立性低血圧 頻度不明
運動低下 頻度不明
運動緩慢 1%未満
過敏症 頻度不明
錐体外路障害 1%未満
鎮静 1%未満
開口障害 頻度不明
霧視 1%未満
頭痛 1〜5%未満
頻脈 1%未満
顔面腫脹 1%未満
食欲亢進 1%未満
食欲減退 1%未満
鼻咽頭炎 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ルラシドンはドパミンD2受容体、セロトニン5-HT2A、5-HT1A及び5-HT7受容体に対して結合親和性を示す8)。ルラシドンはドパミンD2受容体アンタゴニスト作用、セロトニン5-HT2Aアンタゴニスト作用、5-HT7受容体アンタゴニスト作用及びセロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用を併せ持ち8)、これらの薬理作用が臨床における有用性に寄与しているものと考えられる(in vitro)。

18.2 統合失調症の諸症状に関連するin vivo試験系における作用

ルラシドンは陽性症状の指標と考えられているラットメタンフェタミン誘発運動過多を抑制し8)、認知機能障害の指標と考えられているスコポラミン/MK-801誘発性の受動的回避試験におけるステップスルー潜時の短縮を改善した27)。また、ラットマイクロダイアリシスにおいて、認知機能や陰性症状に対する改善作用及び抗うつ作用発現との関連が示唆されている前頭前皮質でのドパミン遊離量を増加させた28)。

18.3 うつ・不安症状に関連するin vivo試験系における作用

ルラシドンはラット恐怖条件付けすくみ行動評価、ラットフォーゲル型水飲みコンフリクト試験、ラット電撃プローブ埋め隠し試験及びラット社会相互行動評価でうつ・不安症状の指標とされる行動変化を抑制又は改善した29)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人男性11例に、本剤40 mgを食後又は空腹時に単回経口投与したとき、血清中ルラシドンの薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。

投与時期 例数 Cmax
(ng/mL)
AUC0-48
(ng・h/mL)
AUC0-∞
(ng・h/mL)
Tmaxa)
(h)
t1/2
(h)
食後 11 52.73±21.92 193.20±66.18 212.37±76.13 1.50(1.5-4.0) 22.45±6.99
空腹時 11 22.10± 8.65 115.99±39.10 125.64±47.06 1.50(1.0-4.0) 15.97±6.40

平均値±標準偏差、a)中央値(範囲)

  1. 16.1.2反復投与
  • 〈統合失調症〉

統合失調症患者20例に本剤1日1回20 mgから80 mgを漸増漸減法により8週間食後経口投与した。同一用量で6日間以上反復投与した後の血清中ルラシドンのCmax、Cmin及びAUC0- 24は、いずれも投与量の増加に伴って、ほぼ線形に増加した2)。

投与量 例数 Cmax
(ng/mL)
Cmin a)
(ng/mL)
AUC0-24 b)
(ng・h/mL)
Tmaxc)
(h)
20 mg 6 16.37 ±8.99 1.60 ± 0.59 95.16 ±29.01 2.75(1.1-7.8)
40 mg 9 48.33 ± 25.35 4.34 ± 2.15 285.56 ± 113.37 3.80(1.5-5.9)
60 mg 8 65.97 ± 37.42 5.01 ± 1.91 362.83 ± 175.77 2.00(1.0-4.0)
80 mg 7 79.39 ± 41.39 7.32 ± 4.33 487.39 ± 211.90 2.00(0.5-3.8)

平均値±標準偏差、a)投与直前の濃度、b)20 mgの1例についてAUC0-8を用いて算出、c)中央値(範囲)

  • 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉

母集団薬物動態解析の結果、健康成人、統合失調症患者及び双極I型障害患者の各集団(健康成人131例、統合失調症患者1491例及び双極I型障害患者454例)で推定された経口クリアランスの平均値及びその95%信頼区間(下限-上限)はそれぞれ220.7(201.5-239.8)、220.7(210.1-231.4)及び210.5(171.6-249.3) L/hと被験者集団間で類似しており、被験者集団間で薬物動態は同様であると考えられた3)(外国人データ)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1吸収率

健康成人男性に14C標識ルラシドン40 mgを食後単回経口投与したときの尿中放射能排泄率から、経口投与後9.19~19.1%が吸収されていると考えられた4),5)(外国人データ)。

  1. 16.2.2食事の影響

血清中ルラシドンのCmax、AUC0-48及びAUC0-∞は、空腹時投与に比べて食後投与では2.4倍、1.7倍及び1.7倍に増加した1)。

16.3 分布

  1. 16.3.1蛋白結合率

99.8%以上(in vitro、ヒト血清、100 ng/mL~1 μg/mL、平衡透析法)6)

16.4 代謝

ルラシドンは、主にCYP3A4による代謝を受け7)体内から消失する。複数の代謝経路の組み合わせにより多くの代謝物が存在する。そのうち量的に主要なものはシクロヘキシルメチル–ピペラジン間のC-N結合の開裂を受けた2種の代謝物で、AUC0-8は総放射能のそれぞれ約24%及び約11%であったが4)、いずれも薬理活性を示さなかった。また、ノルボルナン骨格の水酸化体2種は、in vivoで未変化体と同程度の薬理活性を示すが8)、いずれもヒトの血清中濃度は未変化体より低かった4),5)。

16.5 排泄

健康成人男性各6例に本剤2.5mg注4)から30 mgを食後単回経口投与したとき、投与後48時間までに、未変化体として尿中に排泄されたのは投与量の0.2%以下であり、本剤は主に代謝により体内から消失することが示された9)。 健康成人男性11例に14C標識ルラシドン40 mgを食後単回経口投与したとき、尿中及び糞中放射能排泄率はそれぞれ投与量の9.19~19.1%及び67.2~80.1%であった4),5)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能障害患者27例(軽度:クレアチニンクリアランス50 mL/min以上80 mL/min以下9例、中等度:30 mL/min以上50 mL/min未満9例、重度:30 mL/min未満9例)に本剤40 mgを食後単回投与したとき、健康成人に比べて、血清中ルラシドンのAUC0-∞は腎機能障害が軽度、中等度及び重度でそれぞれ1.5倍、1.9倍及び2.0倍に上昇し、Cmaxは1.4倍、1.9倍及び1.5倍に上昇した10)(外国人データ)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

肝機能障害患者15例(軽度:Child-Pugh分類クラスA 6例、中等度:クラスB 6例、重度:クラスC 3例)に、本剤20 mgを食後単回投与したとき、血清中ルラシドンのAUC0-∞は健康成人に比べて軽度では1.3倍、中等度では1.8倍、重度では3.0倍注2)に上昇した。肝機能障害の程度はCmaxに影響しなかった11)(外国人データ)。

注2)AUC0-∞の比は算出不能であったため、AUC0-lastの比を示した。

  1. 16.6.3高齢者

65歳以上の健康高齢男性12例及び健康非高齢男性8例に本剤20 mgを食後単回投与したとき、血清中ルラシドン濃度は、高齢者では非高齢者よりTmaxが約1.7倍長く、Cmaxが0.7倍に低下したが、AUC0-48は同程度であった。高齢者では非高齢者に比べて吸収が遅れる傾向が認められたが、吸収量は変わらないと考えられた12)。

例数 Cmax
(ng/mL)
AUC0-48
(ng・h/mL)
Tmaxa)
(h)
t1/2
(h)
健康高齢者 12 22.53±10.90 97.93±41.96 2.00(1.0-4.0) 19.87±4.05
健康非高齢者 8 31.56±12.98 86.11±29.44 1.50(1.0-2.0) 29.96±12.91

平均値±標準偏差、a)中央値(範囲)

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1併用薬がルラシドンの薬物動態に与える影響
併用薬及び用法・用量 例数 本剤の
用法・用量
ルラシドンの
薬物動態パラメータの比
(併用時/本剤単独時)
Cmax AUC
ケトコナゾール13)注3)
(強いCYP3A4阻害剤)
400 mg/日
5日間
10 10 mg単回注4) 6.8 9.3
ジルチアゼム14)注3)
(CYP3A4阻害剤)
240 mg/日
5日間
10 20 mg単回 2.1 2.2
リファンピシン15)注3)
(強いCYP3A4誘導剤)
600 mg/日
8日間
20 40 mg単回 0.15 0.19
リチウム16)注3) 600 mg 1日2回
8日間
20 120 mg/日注4)
定常状態
0.92 1.1

注3)外国人データ

  1. 16.7.2ルラシドンが併用薬の薬物動態に与える影響

リチウム600 mg を1日2回反復投与した後の定常状態でのトラフの血清中リチウム濃度は、本剤120 mg注4)を 1日1回反復投与で併用した定常状態においても、治療濃度範囲である0.6~1.2 mmol/Lに維持されていた16)(外国人データ)。

  1. 16.7.3薬物代謝酵素の誘導及び阻害

ヒト新鮮肝細胞を用いた検討で、ルラシドンはCYP酵素(CYP1A2、CYP2B6、CYP3A4)に対する誘導能をほとんど示さなかった17)。ヒト肝ミクロソームを用いた検討でルラシドンは、CYP1A2、CYP2B6、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4に対して顕著な阻害能を示さなかった。CYP2C8、CYP2C9及びCYP2C19に対しては阻害作用(IC50は5.9~7.4 μmol/L)を示した18)(in vitro)が、臨床用量では上記CYP酵素を阻害しないと考えられた。

  1. 16.7.4トランスポーター

Caco-2細胞又はトランスポーター発現系細胞を用いた検討で、ルラシドンはP糖蛋白、BCRP、OATP1B1及びOATP1B3の基質ではないことが示された19),20)(in vitro)。 また、BCRP、OAT3、OCT1、OCT2及びMATE1の活性に対しては阻害作用(IC50 は0.498~2.57 µmol/L)を示し、OAT1、OATP1B1、OATP1B3、MATE2-K及びBSEPの活性に対しても弱く阻害作用を示した(IC50 > 10 µmol/L)21)(in vitro)が、本剤をこれらトランスポーターの基質薬剤と併用投与しても、臨床用量では併用薬の取り込み及び排泄を阻害しないと考えられた。

注4)本剤の承認された用量は1日1回20~80 mgである。