Clinical snapshot

ラジカット内用懸濁液2.1%

エダラボン懸濁液

添付文書改訂 2026年04月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な腎機能障害のある患者

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

筋萎縮性側索硬化症(ALS)における機能障害の進行抑制

用法・用量

通常、成人に1回5mL(エダラボンとして105mg)を空腹時に1日1回経口投与する。 通常、本剤投与期と休薬期を組み合わせた28日間を1クールとし、これを繰り返す。第1クールは14日間連日投与する投与期の後14日間休薬し、第2クール以降は14日間のうち10日間投与する投与期の後14日間休薬する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与は、本剤に関する十分な知識及びALSの治療経験を持つ医師との連携のもとで行うこと。

  2. 8.2投与に際しては、患者又はそれに代わり得る適切な者に対して、本剤の副作用等について十分な説明を行うとともに、本剤投与期と休薬期を組み合わせた用法及び用量であることを十分に説明すること。

  3. 8.3急性腎障害又は腎機能障害の増悪、重篤な肝障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)があらわれ、致命的な経過をたどることがある。注射剤で、腎機能障害、肝機能障害、血液障害等を同時に発現する重篤な症例が報告されている。

  4. 8.3.1投与開始初期に検査値の異常が発現することがあるため、投与前にBUN、クレアチニン、AST、ALT、LDH、CK、赤血球、血小板等の腎機能検査、肝機能検査及び血液検査を実施すること。本剤投与中も、腎機能検査、肝機能検査及び血液検査を定期的に実施すること。投与後も継続して十分な観察を行うこと。

  5. 8.3.2病勢進展に伴う筋萎縮により血清クレアチニン値の低下を認める可能性があるため、一時点の血清クレアチニン値を基準値と比較するのではなく、血清クレアチニン値の推移を確認し、悪化傾向の有無を確認すること。また、BUN値は体内水分量等により変動するため、一時点のBUN値を基準値と比較するのではなく、BUN値の推移を確認し、悪化傾向の有無を確認すること。

  6. 8.3.3筋萎縮のある患者では、投与開始前及び投与中定期的に、血清クレアチニン値・BUN値の測定に加えて、血清シスタチンCによる推定糸球体ろ過量の算出や、蓄尿によるクレアチニンクリアランスの算出等、筋肉量による影響を受けにくい腎機能評価を実施すること。

  7. 8.3.4投与中に感染症等の合併症を発症し、抗生物質を併用した場合には、投与継続の可否を慎重に検討し、投与を継続する場合は特に頻回に検査を実施すること。また、投与終了後も頻回の検査を実施して観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1脱水のある患者

投与に際し全身管理を徹底すること。急性腎障害や腎機能障害の悪化を来すことがある。注射剤で、BUN/クレアチニン比が高いなど脱水状態が認められた患者では致命的な経過をたどる例が多く報告されている。

  1. 9.1.2感染症のある患者

投与に際してはリスクとベネフィットを十分考慮すること。注射剤で、致命的な経過をたどる例が多く報告されており、全身状態の悪化により急性腎障害や腎機能障害の悪化を来すことがある。

  1. 9.1.3心疾患のある患者

心疾患が悪化するおそれがある。また、腎機能障害があらわれるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎機能障害のある患者

投与しないこと。腎機能障害が悪化するおそれがある。

  1. 9.2.2腎機能障害のある患者(重篤な腎機能障害のある患者を除く)

投与に際し全身管理を徹底すること。急性腎障害や腎機能障害の悪化を来すことがある。特に注射剤で、投与前のBUN/クレアチニン比が高い患者では致命的な経過をたどる例が多く報告されている。

9.3 肝機能障害患者

肝機能障害が悪化するおそれがある。

9.5 妊婦

投与しないことが望ましい。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。エダラボンを単回静脈内投与(2mg/kg)したラットの乳汁中移行性実験において、乳汁中への移行が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

副作用があらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。一般に高齢者では生理機能が低下しており、注射剤で、致命的な経過をたどる例が多く報告されている。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
抗生物質
(セファゾリンナトリウム、セフォチアム塩酸塩、ピペラシリンナトリウム等)
腎機能障害が増悪するおそれがあるので、併用する場合には頻回に腎機能検査を実施するなど観察を十分に行うこと。 機序は不明であるが、本剤は主として腎臓から排泄されるため、腎排泄型の抗生物質との併用により、腎臓への負担が増強する可能性が考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP上昇 頻度不明
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
BUN上昇 頻度不明
CK上昇 頻度不明
CK低下 頻度不明
LDH上昇 頻度不明
γ-GTP上昇 頻度不明
ウロビリノーゲン陽性 頻度不明
クレアチニン上昇 頻度不明
そう痒感 頻度不明
トリグリセライド上昇 頻度不明
ビリルビン尿 頻度不明
ヘマトクリット値減少 頻度不明
ヘモグロビン減少 頻度不明
下痢 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
嘔吐 頻度不明
嘔気 頻度不明
多尿 頻度不明
尿中ブドウ糖陽性 頻度不明
熱感 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
発赤 頻度不明
白血球増多 頻度不明
白血球減少 頻度不明
紅斑(多形滲出性紅斑等) 頻度不明
総ビリルビン値上昇 頻度不明
腫脹 頻度不明
膨疹 頻度不明
蛋白尿 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
血小板増加 頻度不明
血小板減少 頻度不明
血尿 頻度不明
血清カリウム上昇 頻度不明
血清カリウム低下 頻度不明
血清カルシウム低下 頻度不明
血清コレステロール上昇 頻度不明
血清コレステロール低下 頻度不明
血清尿酸上昇 頻度不明
血清尿酸低下 頻度不明
血清総蛋白減少 頻度不明
赤血球減少 頻度不明
頭痛 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ALSの発症及び病勢進展は原因不明であるが、フリーラジカルによる酸化ストレスが関与している可能性が示唆されている。本剤は、フリーラジカルを消去し、運動神経細胞等の酸化的傷害を抑制することで病勢進展の遅延を示す。

18.2 フリーラジカル消去作用

  1. 18.2.1フリーラジカル消去作用及び脂質過酸化抑制作用

エダラボンは、ヒドロキシルラジカル消去作用を示した。また、ヒドロキシルラジカルによるリノール酸の過酸化及び脳ホモジネートの脂質過酸化を濃度依存的に抑制した。更に、水溶性及び脂溶性ペルオキシルラジカルによる人工リン脂質膜リポソームの脂質過酸化を抑制した11),12)(in vitro)。

  1. 18.2.2フリーラジカルによる血管内皮細胞傷害に対する抑制作用

1μMから15-ヒドロペルオキシエイコサテトラエン酸による培養血管内皮細胞傷害を抑制した13)(in vitro)。

18.3 ALSの病態に関連した試験

家族性ALSの原因遺伝子とされる変異型スーパーオキシドジスムターゼを導入したトランスジェニックラットに対し、エダラボン3mg/kg/hを1時間かけて静脈内投与(2日間投与し2日間休薬を繰り返す用法)し、ラットの正向反射消失時まで投与したとき、四肢の運動機能を総合的に評価する傾斜板の角度について、雌で有意な低下抑制作用が認められた14)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人42例に本剤(エダラボンとして105mg)を空腹時に単回経口投与及びエダラボン60mgを60分かけて単回点滴静脈内投与したときの血漿中未変化体濃度の推移及び濃度推移から求めた薬物動態パラメータは次のとおりである1)。点滴静脈内投与後に対する本剤の薬物動態パラメータの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、AUC0-∞で0.977(0.917-1.041)、Cmaxで1.217(1.090-1.359)であった。

tmax
(h)
Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・h/mL)
t1/2
(h)
経口投与 0.44±0.17 1656±734 1762±540 9.75±8.47
静脈内投与 1.00±0.01 1253±229 1736±331 8.82±8.33

(mean±S.D.)

  1. 16.1.2反復投与

健康成人12例にエダラボン120又は200mgの懸濁液を空腹時に1日1回5日間反復経口投与したときの血漿中未変化体濃度の推移から求めた薬物動態パラメータは次のとおりである2)。

用量 評価時点 tmax
(h)
Cmax
(ng/mL)
AUC0-24h
(ng・h/mL)
t1/2
(h)
120mg 1日目 0.42±0.13 1953±838 1917±383 4.60±0.41
5日目 0.42±0.13 2308±941 2189±516 8.66±3.24
200mg 1日目 0.38±0.14 3855±1676 4133±1260 4.20±0.23
5日目 0.42±0.13 4092±1716 4279±1166 12.35±1.89

(mean±S.D.)

注)本剤のALSで承認された1回用量は105mgである。

16.2 吸収

  1. 16.2.1バイオアベイラビリティ

健康成人において本剤の経口投与後のAUC0-∞をエダラボン60mgの静脈内投与と比較した場合、エダラボンのバイオアベイラビリティは57.3%であった1)。

  1. 16.2.2食事の影響

健康成人男性6例に空腹時及び高脂肪食(1000キロカロリー、50%脂肪)摂取30分後にエダラボン200mgの懸濁液を経口投与したとき、高脂肪食摂取30分後の投与では空腹時投与と比較してCmaxが約80%低下し、AUC0-∞が約60%低下した2)。健康成人男性9例に空腹時、高脂肪食摂取4時間後、及び高脂肪食摂取の1時間前にエダラボン100mgの懸濁液を経口投与したとき、高脂肪食摂取4時間後の投与では空腹時投与と比較して、Cmaxが約50%低下し、AUC0-∞が約25%低下したが、高脂肪食摂取の1時間前の投与では、空腹時投与と比較して顕著な食事の影響は見られなかった3)。健康成人16例に空腹時、高脂肪食摂取8時間後、低脂肪(通常)食(400キロカロリー、25%脂肪)摂取4時間後、低脂肪(通常)食摂取2時間後及び軽食(経腸栄養剤)(250キロカロリー)摂取2時間後に本剤(エダラボンとして105mg)を経口投与したとき、高脂肪食摂取後8時間後、低脂肪(通常)食摂取後4時間後、及び軽食摂取後2時間後に本剤を経口投与したときの薬物動態パラメータは空腹時投与と比較して大きな違いは認められなかったが、低脂肪(通常)食摂取2時間後に本剤を経口投与したときでは空腹時投与と比較して、Cmaxは約50%低下し、AUC0-∞は約20%低下した4)。

用量 食事条件 Cmax(ng/mL)
mean(S.D.)
AUC0-∞(ng・h/mL)
mean(S.D.)
最小二乗平均値の比[90%信頼区間] 最小二乗平均値の比[90%信頼区間]
200mg 空腹時 4933(1268) 6313(1246)
高脂肪食摂取30分後 899.0(463.9) 2466(825)
0.175[0.123-0.250] 0.387[0.327-0.459]
100mg 空腹時 1810(849.8) 1647(433)
高脂肪食摂取1時間前 1502(1272) 1475(658)
0.657[0.379-1.137] 0.842[0.697-1.017]
高脂肪食摂取4時間後 1012(603.3) 1247(425)
0.522[0.301-0.903] 0.737[0.610-0.891]
105mg 空腹時 2318(1229) 2165(673)
高脂肪食摂取8時間後 2525(1337) 2209(658)
1.083[0.821-1.429] 1.025[0.931-1.128]
低脂肪(通常)食摂取4時間後 2020(1114) 2073(641)
0.872[0.661-1.150] 0.959[0.871-1.056]
軽食摂取2時間後 1898(865.9) 1955(523)
0.820[0.621-1.082] 0.910[0.827-1.002]
低脂肪(通常)食摂取2時間後 1276(805.6) 1717(463)
0.536[0.362-0.794] 0.801[0.712-0.901]

最小二乗平均値の比は、空腹時投与に対する比として表示

注)本剤のALSで承認された1回用量は105mgである。

16.3 分布

エダラボン(5μM及び10μM)のヒト血清蛋白及びヒト血清アルブミンに対する結合率は、92%及び89~91%であった5)(in vitro)。

16.4 代謝

本剤の血漿中における主代謝物は硫酸抱合体であり、グルクロン酸抱合体も検出された。一方、尿中において主代謝物はグルクロン酸抱合体であり、硫酸抱合体も認められた1)。

16.5 排泄

健康成人に本剤を経口投与したとき、投与48時間までに尿中に未変化体として0.63%、代謝物としてグルクロン酸抱合体が59.8%、硫酸抱合体が6.58%排泄された1)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1高齢者

65歳以上の健康高齢者5例にエダラボンを体重1kg当たり0.5mg、30分かけて1日2回2日間反復点滴静脈内投与したときの血漿中未変化体濃度の推移及び初回投与時の血漿中未変化体濃度推移から求めたパラメータは次のとおりである。血漿中未変化体濃度は同じ用量で投与した健康成人男子5例とほぼ同様に消失し、蓄積性は認められなかった6)。

薬物動態パラメータ 健康高齢者(5例) 健康成人(5例)
Cmax(ng/mL) 1041±106 888±171
t1/2α(h) 0.17±0.03 0.27±0.11
t1/2β(h) 1.84±0.17 2.27±0.80

(mean±S.D.)

注)注射剤のALSで承認された1回用量は60mgである。

  1. 16.6.2腎機能障害者

軽度腎機能障害者(6例)、中等度腎機能障害者(8例)又は腎機能正常者(8例)にエダラボン30mgを60分かけて単回点滴静脈内投与したときの血漿中未変化体濃度の推移から求めたパラメータは次のとおりである7)。腎機能障害の程度に伴い、t1/2の平均値は延長する傾向が認められた。腎機能正常者に対するCmax、AUC0-∞の幾何平均値の比(90%信頼区間)はそれぞれ軽度腎機能障害患者で1.150(0.967-1.366)、1.202(0.991-1.457)、中等度腎機能障害者で1.247(1.063-1.463)、1.294(1.083-1.547)であった。

薬物動態パラメータ 軽度腎機能障害 中等度腎機能障害 腎機能正常
Cmax(ng/mL) 545.4±92.59 593.2±115.4 475.9±95.32
AUC0-∞(ng・h/mL) 771.0±153.6 826.4±149.4 644.9±153.1
t1/2(h) 5.38±6.04 7.31±5.83 2.87±0.38

(mean±S.D.)

注)注射剤のALSで承認された1回用量は60mgである。 軽度:eGFRが60~89mL/分/1.73m2、中等度:eGFRが30~59mL/分/1.73m2、正常:eGFR≧90mL/分/1.73m2

  1. 16.6.3肝機能障害者

  2. (1)重度肝機能障害者(6例)又は肝機能正常者(6例)にエダラボン30mgを60分かけて単回点滴静脈内投与したときの血漿中未変化体濃度の推移から求めたパラメータは次のとおりである8)。Cmax及びAUC0-∞の幾何平均値の比(90%信頼区間)はそれぞれ1.203(0.819-1.766)及び1.190(0.835-1.696)であった。

薬物動態パラメータ 重度肝機能障害 肝機能正常
Cmax(ng/mL) 347.6±146.8 280.3±101.0
AUC0-∞(ng・h/mL) 497.0±183.8 416.3±165.0
t1/2(h) 3.88±1.12 9.51±6.62

(mean±S.D.)

注)注射剤のALSで承認された1回用量は60mgである。 重度:Child-Pugh分類C

  1. (2)軽度肝機能障害者(8例)、中等度肝機能障害者(6例)又は肝機能正常者(8例)にエダラボン30mgを60分かけて単回点滴静脈内投与したときの血漿中未変化体濃度の推移から求めたパラメータは次のとおりである8)。肝機能正常者に対するCmax、AUC0-∞の幾何平均値の比(90%信頼区間)はそれぞれ軽度肝機能障害患者で1.203(0.992-1.458)、1.065(0.860-1.320)、中等度肝機能障害者で1.235(1.003-1.521)、1.142(0.906-1.440)であった。
薬物動態パラメータ 軽度肝機能障害 中等度肝機能障害 肝機能正常
Cmax(ng/mL) 538.1±182.3 533.4±88.57 429.0±44.36
AUC0-∞(ng・h/mL) 727.6±262.0 751.5±148.3 654.3±107.2
t1/2(h) 3.14±0.58 4.37±1.90 4.70±6.92

(mean±S.D.)

注)注射剤のALSで承認された1回用量は60mgである。 軽度:Child-Pugh分類A、中等度:Child-Pugh分類B