Clinical snapshot

ユルトミリスHI点滴静注300mg/3mL

ラブリズマブ(遺伝子組換え)点滴静注製剤

添付文書改訂 2025年04月01日

【警告】

  1. 1.1本剤の投与により髄膜炎菌感染症を発症することがあり、死亡に至るおそれもあるため、以下の点に十分注意すること。

  2. 1.1.1本剤の投与に際しては、髄膜炎菌感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直等)に注意して観察を十分に行い、髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。

  3. 1.1.2緊急な治療を要する場合等を除いて、原則、本剤投与前に髄膜炎菌に対するワクチンを接種すること。必要に応じてワクチンの追加接種を考慮すること。

  4. 1.1.3髄膜炎菌感染症は致命的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設及び医師のもとで、あるいは髄膜炎菌感染症の診断及び治療が可能な医療施設との連携下で投与すること。

  5. 1.1.4髄膜炎菌感染症のリスクについて患者に説明し、当該感染症の初期徴候を確実に理解させ、髄膜炎菌感染症に関連する症状が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。

  6. 1.2本剤は、発作性夜間ヘモグロビン尿症、非典型溶血性尿毒症症候群、全身型重症筋無力症あるいは視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)に十分な知識を持つ医師のもとで、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与開始に先立ち、本剤は疾病を完治させる薬剤ではないことを含め、本剤の有効性及び危険性を患者又はその家族に十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1髄膜炎菌感染症に罹患している患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 発作性夜間ヘモグロビン尿症

  • 非典型溶血性尿毒症症候群

  • **全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)

  • 視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防

用法・用量

  • 〈発作性夜間ヘモグロビン尿症、全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)及び視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防〉

通常、成人には、ラブリズマブ(遺伝子組換え)として、患者の体重を考慮し、1回2,400~3,000mgを開始用量とし、初回投与2週後に1回3,000~3,600mg、以降8週ごとに1回3,000~3,600mgを点滴静注する。

  • 〈非典型溶血性尿毒症症候群〉

通常、ラブリズマブ(遺伝子組換え)として、患者の体重を考慮し、1回600~3,000mgを開始用量とし、初回投与2週後に1回300~3,600mg、以降4週又は8週ごとに1回300~3,600mgを点滴静注する。

使用上の注意

  • 〈発作性夜間ヘモグロビン尿症〉
  1. 8.1本剤投与によりPNH赤血球クローンが蓄積しているため、本剤を中止した場合に重篤な血管内溶血が認められるおそれがある。本剤の投与を中止した患者に対しては、最低16週間、血管内溶血及びそれに付随する臨床症状の変化を注意深く観察し、必要に応じて適切な処置を行うこと。
  • 〈非典型溶血性尿毒症症候群〉
  1. 8.2本剤投与開始後は血小板数等を定期的にモニタリングし、改善傾向が認められない場合は、本剤の投与継続の要否を検討すること。

  2. 8.3本剤を中止した場合に重度の血栓性微小血管障害が発現するおそれがある。本剤の投与を中止した患者に対しては、患者の状態を注意深く観察し、必要に応じて適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1髄膜炎菌感染症の既往のある患者

本剤により髄膜炎菌感染症に罹患しやすくなる可能性がある。

  1. 9.1.2感染症の患者又は感染症が疑われる患者

特に莢膜形成細菌(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等)による感染症に罹患しやすくなる可能性がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

  • 〈発作性夜間ヘモグロビン尿症、全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)及び視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防〉
  1. 9.7.1小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
  • 〈非典型溶血性尿毒症症候群〉
  1. 9.7.2体重5kg未満の小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能等)が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
人免疫グロブリン製剤
(ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン等)
人免疫グロブリン製剤との併用投与によって本剤の効果が減弱するおそれがあるので、併用する場合には、本剤の補充投与を考慮すること。 人免疫グロブリン製剤との継続的な併用投与により、本剤の血清中濃度が低下する可能性がある1) 2) 3)。
エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え) 本剤の効果が減弱するおそれがあるので、本剤による治療を開始する場合には、エフガルチギモド アルファのサイクル投与における最終投与から2週間後以降に投与することが望ましい。 エフガルチギモド アルファにより、本剤を含む胎児性Fc受容体(FcRn)に結合する薬剤の血清中濃度が低下する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
インフルエンザ様疾患 1%未満
そう痒症 頻度不明
ナイセリア感染(淋菌等) 頻度不明
上咽頭炎 頻度不明
上気道感染 頻度不明
下痢 頻度不明
嘔吐 頻度不明
四肢痛 頻度不明
尿路感染 頻度不明
悪寒 1%未満
悪心 頻度不明
注入に伴う反応 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
消化不良 1%未満
無力症 頻度不明
疲労 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
筋痙縮 1%未満
筋肉痛 1%未満
背部痛 1%未満
腹痛 1%未満
蕁麻疹 1%未満
関節痛 頻度不明
頭痛 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は、補体タンパクC5に特異的に結合し、C5のC5a及びC5bへの開裂を阻害することで、C5aによる炎症活性化及び終末補体複合体(C5b-9)の生成を抑制する13)。その結果、本剤は発作性夜間ヘモグロビン尿症患者及び非典型溶血性尿毒症症候群患者における終末補体介在性血管内溶血を抑制する。全身型重症筋無力症患者において終末補体介在性の神経筋伝達障害を抑制する。視神経脊髄炎スペクトラム障害患者において終末補体介在性のアストロサイトの傷害と、それに続く細胞傷害作用を抑制する。

18.2 溶血抑制作用

in vitroにおいて、本剤は抗ニワトリ赤血球抗体で感作させたニワトリ赤血球のヒト血清による溶血を抑制した14)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  • 〈発作性夜間ヘモグロビン尿症〉
  1. 16.1.1国際共同第III相試験(ALXN1210-PNH-301)(補体阻害剤未治療の発作性夜間ヘモグロビン尿症患者)

18歳以上の補体阻害剤未治療の日本人及び外国人発作性夜間ヘモグロビン尿症患者125例(日本人患者18例を含む)に、本剤を1回2,400~3,000mgを開始用量とし、初回投与2週間後から1回3,000~3,600mgを8週間隔で点滴静注したときのラブリズマブの血清中トラフ濃度は下表のとおりであった5) 。

40kg以上
60kg未満
60kg以上
100kg未満
100kg以上
全集団 Day15 424±116(41例) 378±146(79例) 334±93(5例)
Day183 548±168(41例) 439±139(77例) 392±144(6例)
Day351 573±175(37例) 462±186(76例) 407±162(7例)
日本人 Day15 431±123(6例) 387±99(12例)
Day183 669±211(5例) 475±143(13例)
Day351 734±153(4例) 511±168(14例)

平均値±標準偏差(例数)

  1. 16.1.2国際共同第III相試験(ALXN1210-PNH-302)(エクリズマブ(遺伝子組換え)投与により血管内溶血が抑制されている発作性夜間ヘモグロビン尿症患者)

18歳以上のエクリズマブ(遺伝子組換え)投与により血管内溶血が抑制されている日本人及び外国人発作性夜間ヘモグロビン尿症患者97例(日本人患者5例を含む)に、本剤を1回2,400~3,000mgを開始用量とし、初回投与2週間後から1回3,000~3,600mgを8週間隔で点滴静注したときのラブリズマブの血清中トラフ濃度は下表のとおりであった6) 。

40kg以上
60kg未満
60kg以上
100kg未満
100kg以上
全集団 Day15 448±151(26例) 395±108(63例) 344±50(7例)
Day183 561±135(27例) 484±143(60例) 424±109(8例)
Day351 584±146(27例) 513±164(58例) 458±134(9例)
日本人 Day15 561(1例) 333±86(3例) 421(1例)
Day183 854(1例) 369±132(4例)
Day351 789(1例) 429±101(3例) 564(1例)

平均値±標準偏差(例数)

  • 〈非典型溶血性尿毒症症候群〉
  1. 16.1.3国際共同第III相試験(ALXN1210-aHUS-311)(補体阻害剤未治療の非典型溶血性尿毒症症候群患者)

12歳以上の補体阻害剤未治療の日本人及び外国人非典型溶血性尿毒症症候群患者55例(日本人3例を含む)に、本剤を1回2,400~3,000mgを開始用量とし、初回投与2週間後から1回3,000~3,600mgを8週間隔で点滴静注したときのラブリズマブの血清中トラフ濃度は下表のとおりであった7) 。

40kg以上
60kg未満
60kg以上
100kg未満
100kg以上
全集団 Day15 343±109(11例) 312±107(39例) 269±67(5例)
Day183 612±333(7例) 492±180(33例) 549±208(5例)
Day351 596±324(7例) 574±204(30例) 715±306(5例)
日本人 Day15 397(1例) 283, 352(2例)
Day183 543(1例) 374, 773(2例)
Day351 688(1例) 434, 807(2例)

平均値±標準偏差(例数)

  1. 16.1.4国際共同第III相試験(ALXN1210-aHUS-312)(非典型溶血性尿毒症症候群患者)

18歳未満の補体阻害剤未治療の日本人及び外国人非典型溶血性尿毒症症候群患者18例(日本人1例を含む)に、本剤を1回300~3,000mgを開始用量とし、初回投与2週間後から1回300~3,600mgを4週又は8週間隔で点滴静注したときのラブリズマブの血清中トラフ濃度は下表のとおりであった8) 。

5kg以上
10kg未満
10kg以上
20kg未満
20kg以上
30kg未満
30kg以上
40kg未満
40kg以上
60kg未満
60kg以上
100kg未満
全集団 Day15 58a), 432
(2例)
231±87
(9例)
199±25
(4例)
142, 217
(2例)
435
(1例)
Day183 193a)
(1例)
701±244
(8例)
570±224
(4例)
511±100
(3例)
444
(1例)
Day351 673±210
(9例)
573±297
(3例)
303, 623
(2例)
637
(1例)
639
(1例)
日本人 Day15 432
(1例)
Day183 1,000
(1例)
Day351 1,000
(1例)

平均値±標準偏差(例数) a)初回投与量は300mg

  • 〈全身型重症筋無力症〉
  1. 16.1.5国際共同第III相試験(ALXN1210-MG-306)(全身型重症筋無力症患者)

18歳以上の補体阻害剤未治療の日本人及び外国人全身型重症筋無力症患者86例(日本人6例を含む)に、本剤を1回2,400~3,000mgを開始用量とし、初回投与2週間後から1回3,000~3,600mgを8週間隔で点滴静注したときのラブリズマブの血清中トラフ濃度は下表のとおりであった9)。

40kg以上
60kg未満
60kg以上
100kg未満
100kg以上
全集団 Day15 556±116(7例) 439±118(46例) 358±68(32例)
Day183 887±83(4例) 636±157(39例) 471±109(27例)
日本人 Day15 492, 520(2例) 467±159(4例)
Day183 817, 833(2例) 736±86(3例)

平均値±標準偏差(例数)

  • 〈視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防〉
  1. 16.1.6国際共同第III相試験(ALXN1210-NMO-307)(視神経脊髄炎スペクトラム障害患者)

18歳以上の補体阻害剤未治療の日本人及び外国人視神経脊髄炎スペクトラム障害患者58例(日本人9例を含む)に、本剤を1回2,400~3,000mgを開始用量とし、初回投与2週間後から1回3,000~3,600mgを8週間隔で点滴静注したときのラブリズマブの血清中トラフ濃度は下表のとおりであった10)。

40kg以上
60kg未満
60kg以上
100kg未満
100kg以上
全集団 Day15 475±87(22例) 467±87(31例) 343±45(5例)
Day183 829±222(21例) 755±162(29例) 500±128(5例)
Day351 857±212(21例) 741±180(26例) 497±203(5例)
日本人 Day15 531±77(7例) 603, 643(2例)
Day183 831±198(7例) 901, 1100(2例)
Day351 880±170(7例) 813, 993(2例)

平均値±標準偏差(例数)

16.5 排泄

ラブリズマブはヒト化IgGモノクローナル抗体であることから、内因性の免疫グロブリンの消失経路と同じと推察される。

16.8 その他

18歳以上のラブリズマブ(遺伝子組換え)10mg/mL製剤を投与している日本人発作性夜間ヘモグロビン尿症患者8例において、ラブリズマブ100mg/mL製剤に切替えたとき、切替え前後のラブリズマブの血清中トラフ濃度は下表のとおり同程度であった。

10mg/mL製剤投与時 100mg/mL製剤投与時
日本人 502.9±184.2(8例) 498.0±214.3(8例)

平均値±標準偏差(例数)

製剤の切替えによる薬物動態の差異はみられなかった。切替え前後のLDH値の平均値の推移は安定していた。安全性への新たな懸念も認められなかった11) 。 外国人発作性夜間ヘモグロビン尿症患者25例における10mg/mL製剤から100mg/mL製剤への切替えにおいても、切替え前後で薬物動態及びLDH値の平均値の推移に差異は見られず、安全性への新たな懸念も認められなかった12) 。