Clinical snapshot

ユプリズナ点滴静注100mg

イネビリズマブ(遺伝子組換え)製剤

添付文書改訂 2025年12月01日

【警告】

  1. 1.1本剤についての十分な知識と適応疾患の治療の知識・経験を持つ医師が使用すること。

  2. 1.2本剤と同様なB細胞減少作用を有する抗CD20モノクローナル抗体製剤を投与したB型肝炎ウイルスキャリアの患者で、治療期間中又は治療終了後に、劇症肝炎又は肝炎の増悪、肝不全による死亡例が報告されている。

  3. 1.3治療開始に際しては、重篤な感染症等の副作用があらわれることがあること及び本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含めて患者に十分説明し、理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤を投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防

  • *IgG4関連疾患の再燃抑制

用法・用量

通常、成人には、イネビリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを初回、2週後に点滴静注し、その後、初回投与から6ヵ月後に、以降6ヵ月に1回の間隔で点滴静注する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤と同様なB細胞減少作用を有する抗CD20モノクローナル抗体製剤によるB型肝炎ウイルスの再活性化のリスクが報告されているため、本剤投与に先立ってB型肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。

  2. 8.2本剤投与により免疫グロブリン濃度の低下、並びに白血球、好中球及びリンパ球が減少し、感染症が生じる又は悪化するおそれがある。本剤の治療期間中及び治療終了後は定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、感染症の自他覚症状に注意し、異常が見られる場合には、速やかに医療機関に相談するよう、患者を指導すること。

  3. 8.3本剤投与によりB細胞数が減少し、本剤投与中止後も長期間にわたりB細胞数の減少が持続する。本剤投与中止後においても、免疫抑制作用により細菌やウイルス等による感染症が生じる又は悪化する可能性があるので、患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1活動性B型肝炎患者、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)

活動性B型肝炎患者では、肝炎の治療を優先すること。本剤の治療期間中及び治療終了後は、継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。抗CD20モノクローナル抗体製剤が投与されたB型肝炎ウイルスのキャリアの患者又は既往感染者において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。

  1. 9.1.2感染症の患者又は感染症が疑われる患者

感染症を合併している場合は感染症の治療を優先すること。

9.4 生殖能を有する者

妊娠可能な女性に投与する場合には、本剤投与中及び最終投与後6ヵ月間は適切な避妊を行うよう指導すること。

9.5 妊婦

  1. 9.5.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。ヒトCD19トランスジェニックマウスに妊娠前から妊娠期間中に投与した試験で、受胎率の低下、本剤の胎児への移行及び胎児のB細胞数減少が認められており、ヒトCD19トランスジェニックマウスに妊娠期間中から授乳期間中に投与した試験で、出生児のB細胞減少及び抗体産生能低下が認められている。マウス出生児のB細胞減少は出生後357日までに回復したが、抗体産生能は出生後399日の成熟期に達した後も持続的な低下が認められている。

  2. 9.5.2IgG抗体は胎盤通過性があることが知られている。本剤の投与を受けた患者からの出生児においては、感染のリスクが高まる可能性があるため、生ワクチン又は弱毒生ワクチンを接種する際には注意が必要である。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行は不明であるが、ヒトIgGは乳汁中に移行することが知られている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
生ワクチン又は弱毒生ワクチン 生ワクチン又は弱毒生ワクチンの接種が必要な場合は本剤による治療開始の4週間前までに投与を完了させること。また、B細胞数が回復するまで、生ワクチン又は弱毒生ワクチンの接種は控えること。接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行う。 本剤の作用機序により発病するおそれがある。
不活化ワクチン ワクチンの効果を減弱させるおそれがある。 本剤の作用機序によりワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。
免疫抑制作用を有する薬剤
• 免疫抑制剤
• 副腎皮質ホルモン剤等
発熱などの感染症(細菌及びウイルス等)に基づく症状が発現した場合は、適切な処置を行う。 過度の免疫抑制作用による感染症誘発の危険性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT増加 1%未満
AST増加 1%未満
γ-GTP増加 1%未満
うつ病 1%未満
そう痒性皮疹 1%未満
そう痒症 1%未満
デュプイトラン拘縮 1%未満
ドライアイ 1%未満
リンパ球数減少 頻度不明
下垂体の良性腫瘍 1%未満
下痢 頻度不明
下部尿路症状 1%未満
不快感 1%未満
不眠症 1%未満
乳腺線維腺腫 1%未満
乾癬 1%未満
低グロブリン血症 1%未満
体重減少 1%未満
便秘 1%未満
倦怠感 1%未満
免疫抑制 1%未満
円形脱毛症 1%未満
前癌性皮膚病変 1%未満
口渇 1%未満
呼吸困難 1%未満
咳嗽 頻度不明
咽喉乾燥 1%未満
咽喉刺激感 1%未満
嘔吐 1%未満
四肢痛 1%未満
回転性めまい 1%未満
夜間頻尿 1%未満
好中球減少症 頻度不明
好酸球百分率増加 1%未満
子宮頚部上皮異形成 1%未満
寝汗 1%未満
左室肥大 1%未満
心停止後症候群 1%未満
急性散在性脳脊髄炎 1%未満
悪寒 1%未満
悪心 頻度不明
感覚鈍麻 1%未満
抗利尿ホルモン不適合分泌 1%未満
拡張機能障害 1%未満
振戦 1%未満
斑状丘疹状皮疹 1%未満
末梢性浮腫 1%未満
末梢腫脹 1%未満
水疱 1%未満
注入部位疼痛 1%未満
浮動性めまい 1%未満
湿疹 1%未満
滑液包炎 1%未満
点状出血 1%未満
無力症 1%未満
男性型多毛症 1%未満
疲労 1%未満
疼痛 1%未満
発熱 1%未満
発疹 1%未満
白血球増加症 1%未満
白血球減少症 頻度不明
皮膚乾燥 1%未満
眼の炎症 1%未満
眼痛 1%未満
睡眠の質低下 1%未満
神経因性膀胱 1%未満
神経皮膚炎 1%未満
筋肉痛 1%未満
筋骨格痛 頻度不明
紅斑 1%未満
紫斑 1%未満
緊張性頭痛 1%未満
耳痛 1%未満
耳鳴 1%未満
肝機能検査値上昇 頻度不明
背部痛 1%未満
脂肪肝 1%未満
脱毛症 頻度不明
腹痛 1%未満
蕁麻疹 1%未満
血中免疫グロブリンG減少 1%未満
血圧上昇 1%未満
血小板数減少 1%未満
血沈亢進 1%未満
血球減少症 1%未満
貧血 頻度不明
過敏症 1%未満
関節痛 頻度不明
関節腫脹 1%未満
霧視 頻度不明
非定型視神経脊髄炎関連疾患発作 1%未満
頚部痛 1%未満
頭痛 頻度不明
顔面浮腫 1%未満
食道痛 1%未満
高コレステロール血症 1%未満
高トリグリセリド血症 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

イネビリズマブはヒトCD19に特異的に結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性によりCD19陽性B細胞を枯渇させる9)。

18.2 薬理作用

  1. 18.2.1CD19に対する結合作用

イネビリズマブとアミノ酸一次配列が同一な16C4抗体のヒトCD19に対するEC50は63.9ng/mLであった(in vitro)9)。

  1. 18.2.2抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)

イネビリズマブはCD19陽性細胞に対してADCC活性を示した(in vitro)9)。

  1. 18.2.3B細胞減少作用

イネビリズマブはヒトCD19トランスジェニックマウス血液中及び組織中のB細胞を減少させた(in vivo)10)。

  1. 18.2.4形質細胞減少作用及びIgG低下作用

イネビリズマブは、実験的自己免疫性脳脊髄炎を誘発させたヒトCD19トランスジェニックマウス組織中の形質細胞を減少させ、総IgG及びミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質特異的IgG濃度を低下させた(in vivo)11)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  • 〈視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)〉

視神経脊髄炎スペクトラム障害患者173例を対象に、本剤300mgを1日目及び15日目に2回静脈内投与した際の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりである(日本人及び外国人データ)1)。

図1.本剤300mgを2週間隔で2回静脈内投与した際の幾何平均血清中濃度推移(173例)

薬物動態パラメータ
Cmax
(μg/mL)
CL
(L/日)
分布容積
(Vss)(L)
T1/2
(日)
1st dose:97.7(37.4)
(N=173)
2nd dose:108(45.4)
(N=168)
0.2(34.3)
(N=137)
4.21(27.3)
(N=137)
18(27.2)
(N=137)

[幾何平均値(幾何CV%)]

  • *〈IgG4関連疾患〉

IgG4関連疾患患者68例に対して本剤300mgを1日目、15日目及び26週目に静脈内投与した際の薬物動態パラメータは以下のとおりである(日本人及び外国人データ)2)。

薬物動態パラメータ
Cmax
(μg/mL)
AUCcum
(μg・日/mL)
T1/2
(日)
1st dose:108(32.9)
(N=63)
2nd dose:133(39.2)
(N=64)
3rd dose:100(21.8)
(N=51)
4620(1720)
(N=64)
18.4(4.21)
(N=53)

[平均値(標準偏差)]

16.3 分布

ヒトCD19トランスジェニックマウスに本薬3及び30mg/kgを週1回5週間反復静脈内投与したとき、妊娠18日目の母体に対する胎児中の本薬の濃度比は本薬3及び30mg/kgでそれぞれ114及び31.1%であり、胎児に本薬が移行することが示唆された。

16.8 その他

  1. 16.8.1薬力学

再発型多発性硬化症a)患者22例にプラセボ又は本剤30、100及び600mgを1日目及び15日目に2回静脈内投与b)した際のB細胞数の推移は下記のとおりである(外国人データ)。 a)本剤の承認効能又は効果:視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防、IgG4関連疾患の再燃抑制 b)本剤の承認用法及び用量:1回300mgを初回、2週後に点滴静注し、その後、初回投与から6ヵ月後に、以降6ヵ月に1回の間隔で点滴静注する。

図2.プラセボ又は本剤30、100、600mgを2週間隔で2回静脈内投与した際のベースラインに対するB細胞数の推移(中央値) FU:観察期間