Clinical snapshot

ミルリノン注22.5mgバッグ「タカタ」

ミルリノン

添付文書改訂 2025年03月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1肥大型閉塞性心筋症のある患者[流出路閉塞が悪化する可能性がある。]

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

下記の状態で他の薬剤を投与しても効果が不十分な場合 急性心不全

用法・用量

本剤は、ミルリノンとして体重1kgあたり50μgを10分間かけて静脈内投与し、引き続き1分間あたり0.5μg/kgを点滴静脈内投与する。 なお、点滴投与量は患者の血行動態、臨床症状に応じて1分間あたり0.25~0.75μg/kgの範囲で適宜増減できる。また、患者の状態によっては、点滴静脈内投与から開始してもよい。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与前に体液減少及び電解質の是正、呼吸管理等の必要な処置を行うこと。

  2. 8.2本剤の投与は、血圧、心拍数、心電図、尿量、腎機能、体液及び電解質、また可能な限り肺動脈楔入圧、心拍出量及び血液ガス等、患者の状態を観察しながら行うこと。

  3. 8.3本剤の投与によっても、期待された改善がみられない場合には投与を中止し、他剤に切り替えるなどの必要な処置を行うこと。

  4. 8.4本剤の投与中に、過度の心拍数増加、血圧低下があらわれた場合には、過量投与の可能性があるので、このような場合には減量又は中止するなどの適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1重篤な頻脈性不整脈のある患者

不整脈が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.2著しく血圧の低い患者

血圧がさらに低下するおそれがある。

  1. 9.1.3血清カリウム低下のある患者

補正困難な場合、重篤な不整脈を来すおそれがある。

  1. 9.1.4高度の大動脈弁狭窄・僧帽弁狭窄等がある患者

本剤による改善がみられない可能性がある。

  1. 9.1.5利尿剤を大量に投与されている患者

本剤に十分反応しない可能性がある。

  1. 9.1.6フロセミド等のループ利尿剤の投与を受けている患者

本剤と併用する際には注意すること。過度の利尿により低カリウム血症が生じやすいため、ジギタリスを併用している場合はジギタリスによる不整脈が生じやすくなる。

  1. 9.1.7急性心不全患者

初期投与量を減量するなど注意すること。不整脈があらわれることがあり、本剤投与によりその可能性を高めるおそれがある。

  1. 9.1.8ブドウ糖の投与が好ましくない患者

他の希釈剤で希釈したミルリノン注射液10mgを使用すること。本剤はブドウ糖を含んでいる。

  1. 9.1.9水分摂取が制限されている患者

水分摂取量が過剰にならないよう注意して投与すること。また、必要に応じミルリノン注射液10mgの使用も考慮すること。

9.2 腎機能障害患者

腎機能の低下している患者では血漿中濃度が高くなることがある。本剤は腎排泄型の薬剤である。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット:静脈内)で乳汁中への移行が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

過量投与にならないよう慎重に投与すること。腎機能が低下していることが多く、血漿中濃度が高くなるおそれがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
カテコラミン系の強心薬
• ドパミン塩酸塩
ドブタミン塩酸塩 等アデニル酸シクラーゼ活性化剤
• コルホルシンダロパート塩酸塩
*アナグレリド塩酸塩
互いに強心作用を増強するが、不整脈の発現を助長させるおそれもある。必要に応じ、どちらかを減量すること。 薬理学的(強心作用)な相加作用による。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
LDH上昇 頻度不明
ほてり感 頻度不明
上室性期外収縮等の不整脈 頻度不明
動悸 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嘔気 頻度不明
心室性期外収縮 頻度不明
心房細動 頻度不明
気管支攣縮 頻度不明
肝機能障害 頻度不明
血小板減少 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ホスホジエステラーゼⅢを選択的に阻害することにより、細胞内サイクリックAMP量を選択的に増加させ、心筋収縮力増強作用及び血管拡張作用を発現すると考えられる8),9)。

18.2 強心作用

  1. 18.2.1摘出モルモット乳頭筋及び右心房標本において、濃度依存的に発生張力を増強させたが、拍動数に対する増加作用は弱かった。発生張力増強作用はアムリノンより約10~30倍強かった10)(in vitro試験)。

  2. 18.2.2麻酔イヌにおいて、用量依存的に心筋収縮力を増強させたが、血圧下降作用及び心拍数増加作用は弱かった。心筋収縮力増強作用はアムリノンより約10~30倍強かった10)。

18.3 心臓・血管系に対する作用

  1. 18.3.1麻酔イヌにおいて、用量依存的にmax.dp/dt、心拍出量及び一回拍出量を増加させるとともに、肺動脈楔入圧を下降させ全末梢血管抵抗を減少させた11)。

  2. 18.3.2摘出ウサギ大動脈標本及び摘出イヌ伏在静脈標本において、KCl及びノルアドレナリンにより収縮させた血管を濃度依存的に弛緩させた。血管拡張作用はアムリノンより5~6倍強かった12)(in vitro試験)。

  3. 18.3.3麻酔イヌにおいて、総頸動脈、椎骨動脈、冠動脈、腸間膜動脈及び大腿動脈の血管抵抗を減少させた13)。

18.4 実験的心不全に対する作用

  1. 18.4.1プロプラノロールにより誘発させた麻酔イヌ心不全モデルにおいて、max.dp/dt及び心拍出量を増加させるとともに左心室拡張末期圧及び全末梢血管抵抗を減少させ、急性心不全状態を改善した10)。

  2. 18.4.2麻酔イヌの冠動脈結紮による急性心不全モデルにおいてmax.dp/dt、心拍出量、一回拍出量及び冠静脈洞血流量を増加させるとともに左心室拡張末期圧、全末梢血管抵抗及び冠血管抵抗を減少させ、急性心不全状態を改善した14)。

  3. 18.4.3無麻酔イヌのペーシング誘発心不全モデルにおいて、max.+dp/dt、max.-dp/dt及び心拍出量を増加させるとともに、左心室拡張末期圧を下降及び全末梢血管抵抗を減少させ、心不全状態を改善した。このとき、血漿中カテコラミン濃度に影響を与えず、また不整脈を誘発させなかった15)。

18.5 心筋代謝に対する作用

  1. 18.5.1麻酔イヌにおいて、心筋酸素消費量をほとんど増加させることなく強心作用を発現した16)。

  2. 18.5.2麻酔イヌの冠動脈結紮による急性心不全モデルにおいて、虚血により低下した乳酸摂取率をさらに低下させることなく、また心筋虚血を悪化させなかった14)。

18.6 心臓刺激伝導系に及ぼす電気生理学的作用

麻酔イヌにおいて、第Ⅱ誘導心電図に影響を及ぼさなかった。麻酔イヌのアドレナリン誘発不整脈を悪化させたが、冠動脈結紮及びウアバイン誘発不整脈に対して影響を及ぼさなかった17)。

18.7 一般薬理作用

中枢神経系(マウス)、呼吸・循環器系(in vitro試験及びイヌ)、自律神経系(in vitro試験)、消化器系(マウス及びラット)及び泌尿・生殖器系(in vitro試験及びラット)に対して特に問題になるような作用を示さなかった18),19)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1健康成人

健康成人男性に体重1kgあたりミルリノンとして50μgを10分かけて緩徐に静脈内投与し、引き続き1分間あたり0.5μg/kgを110分間点滴静脈内投与したとき、血漿中未変化体濃度は投与開始後30分以降投与終了まで約100ng/mLの濃度を維持した。投与終了後の消失は速やかであり、消失相の半減期は約50分であった1)。

  1. 16.1.2心不全患者

  2. (1)心不全患者に体重1kgあたりミルリノンとして50μgを10分かけて緩徐に静脈内投与し、引き続き1分間あたり0.25~0.75μg/kgを350分間点滴静脈内投与したとき、血漿中未変化体濃度は投与開始後30分以降投与終了まで約100~300ng/mLの濃度を維持した2)。

  3. (2)心不全患者においては、個々の腎機能低下の程度に応じて血漿中濃度が増加する傾向が認められた3)。

16.5 排泄

健康成人男性において、単回静脈内投与後4時間までに投与量の85%以上が、また24時間までに93%以上が尿中へ未変化体のまま排泄された4)。