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マプロチリン塩酸塩錠10mg「アメル」

マプロチリン塩酸塩

添付文書改訂 2025年01月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  3. 2.3心筋梗塞の回復初期の患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  4. 2.4てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすことがある。]

  5. 2.5尿閉(前立腺疾患等)のある患者[抗コリン作用により症状が悪化することがある。]

  6. 2.6MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)の投与を受けているあるいは投与中止後2週間以内の患者[発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれるおそれがある。]

効能・効果

うつ病・うつ状態

用法・用量

通常成人にはマプロチリン塩酸塩として1日30~75mgを2~3回に分割経口投与する。また上記用量は1日1回夕食後あるいは就寝前に投与できる。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。

  2. 8.2不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。

  3. 8.3自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。

  4. 8.4家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。

  5. 8.5投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、易刺激性、情動不安、睡眠障害、筋攣縮等の離脱症状があらわれることがある。投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。

  6. 8.6めまい、眠気等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

  7. 8.7無顆粒球症があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施すること。

  8. 8.8QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、心室細動があらわれることがあるので、定期的に心電図検査を行うこと。

  9. 8.9連用中は定期的に肝・腎機能検査を行うことが望ましい。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1排尿困難又は眼内圧亢進等のある患者

抗コリン作用により症状が悪化することがある。

  1. 9.1.2心不全・心筋梗塞(心筋梗塞の回復初期の患者を除く)・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患のある患者又は甲状腺機能亢進症(または甲状腺ホルモン剤投与中)の患者

循環器系に影響を及ぼすことがある。

  1. 9.1.3躁うつ病患者

躁転、自殺企図があらわれることがある。

  1. 9.1.4脳の器質障害又は統合失調症の素因のある患者

精神症状を増悪させることがある。

  1. 9.1.5衝動性が高い併存障害を有する患者

精神症状を増悪させることがある。

  1. 9.1.6自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者

  2. 9.1.7副腎髄質腫瘍(褐色細胞腫又はパラガングリオーマ、神経芽細胞腫等)のある患者

高血圧発作を引き起こすことがある。

  1. 9.1.8低血圧のある患者

高度の血圧低下が起こることがある。

  1. 9.1.9高度な慢性の便秘のある患者

抗コリン作用により症状が悪化することがある。

  1. 9.1.10三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者

交差過敏反応があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.11開放隅角緑内障の患者

抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎障害のある患者

代謝・排泄障害により副作用があらわれやすい。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝障害のある患者

代謝・排泄障害により副作用があらわれやすい。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。三環系抗うつ剤で、新生児に呼吸困難、嗜眠、チアノーゼ、興奮性、低血圧、高血圧、痙攣、筋痙縮、振戦等の離脱症状を起こしたとの報告がある。

9.6 授乳婦

授乳中の女性に投与する場合には、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行する。

9.7 小児等

小児等を対象とした有効性、安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

高齢者では、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等があらわれやすい。

相互作用

  • 本剤の代謝には主として肝薬物代謝酵素CYP2D6が関与している。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
MAO阻害剤
• セレギリン塩酸塩(エフピー)、ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)、サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ)
発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれることがある。
MAO阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また本剤からMAO阻害剤に切り替えるときには、2~3日間の間隔をおくことが望ましい。
本剤は活性アミンのシナプス内への取り込みを阻害して、受容体の感受性を増強する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
痙攣閾値を低下させる薬剤
• フェノチアジン誘導体等
痙攣発作が起こることがある。 機序:いずれも痙攣閾値を低下させる。
危険因子:痙攣素因のある患者
副交感神経刺激剤
• ピロカルピン
ピロカルピンの作用が減弱されることがある。 本剤の抗コリン作用によりピロカルピンと拮抗的に作用すると考えられている。
ベンゾジアゼピン誘導体 併用中のベンゾジアゼピン誘導体を中止すると痙攣発作が起こることがある。 機序:併用中のベンゾジアゼピン誘導体を中止すると、痙攣発作が顕性化する。
危険因子:痙攣素因のある患者
抗コリン作用を有する薬剤
• トリヘキシフェニジル
• アトロピン等
口渇、便秘、尿閉、視力障害、眠気等があらわれることがある。 いずれも抗コリン作用を有するため。
アドレナリン作動薬
• アドレナリン
• ノルアドレナリン
• フェニレフリン等
心血管作用(高血圧等)を増強することがある。 本剤は交感神経末梢へのノルアドレナリン等の取り込みを抑制し、受容体部位へのアドレナリン作動性を上昇させ、作用を増強させる。
アトモキセチン 相互に作用が増強するおそれがある。 ノルアドレナリンへの作用を相加的又は相乗的に増強する可能性がある。
フェノチアジン誘導体
• レボメプロマジン等
鎮静、抗コリン作用の増強があらわれることがある。 いずれも中枢神経抑制作用、抗コリン作用を有するため。
リスペリドン
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
• フルボキサミン
• パロキセチン等
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されることがある。 これらの薬剤は本剤の肝臓での酸化的な代謝を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
テルビナフィン 本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 テルビナフィンがCYP2D6を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
中枢神経抑制剤
• バルビツール酸誘導体等全身麻酔剤
• ハロタン抗不安剤
• ベンゾジアゼピン誘導体等アルコール
サリドマイド
中枢神経抑制作用が増強されることがある。 いずれも中枢神経抑制作用を有するため。
肝酵素誘導作用をもつ薬剤
• バルビツール酸誘導体
• フェニトイン等
三環系抗うつ剤(イミプラミン)の作用が減弱されることがあるとの報告がある。 バルビツール酸誘導体又はフェニトイン等の肝酵素誘導作用によりイミプラミンの代謝が促進されると考えられている。
アドレナリン作動性神経遮断作用を有する降圧剤
• グアネチジン等
降圧作用を減弱することがある。 本剤がアドレナリン作動性神経遮断作用を有する降圧剤の交感神経ニューロンへの取り込みを阻害する。また、本剤は交感神経ニューロンへのカテコラミン取り込み阻害作用も有する。
肝初回通過効果を受けやすいβ-遮断剤
• プロプラノロール塩酸塩等
起立性低血圧、鎮静、口渇、霧視、運動失調等があらわれることがある。 競合的に本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する。
フェニトイン 三環系抗うつ剤(イミプラミン)で、フェニトインの作用が増強するとの報告がある。 フェニトインの代謝が阻害され、フェニトインの血中濃度が上昇すると考えられている。
電気ショック療法 痙攣閾値を低下させ、痙攣状態に陥るおそれがある。 本剤は痙攣閾値を低下させる。
抗不整脈剤
• キニジン
• プロパフェノンメチルフェニデート
シメチジン
三環系抗うつ剤(イミプラミン)の作用が増強するとの報告がある。 これらの薬剤により、イミプラミンの肝代謝が阻害され、血中濃度が上昇すると考えられている。
キニジンでは本剤の肝代謝が阻害されるとの報告がある。
インスリン製剤
• インスリンスルフォニル尿素系糖尿病用剤
• グリベンクラミド
併用により過度の血糖低下を来すことがある。 本剤での機序は不明であるが、三環系抗うつ剤(ドキセピン)により低血糖に対する反応性が変化するか、インスリンに対する感受性が増大し、血糖降下作用が増強すると考えられている。
クマリン系抗凝血剤
• ワルファリン
三環系抗うつ剤(ノルトリプチリン)との併用によりクマリン系抗凝血剤の血中濃度半減期が延長するとの報告がある。 機序不明。
スルファメトキサゾール・トリメトプリム 三環系抗うつ剤(イミプラミン)との併用により抑うつが再発又は悪化するとの報告がある。 イミプラミンの代謝促進及び両剤の受容体レベルでの拮抗作用により抗うつ剤の効果があらわれない可能性がある。
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
• スニチニブ
• ダサチニブ
• イミプラミン等
QT間隔延長、心室性不整脈(Torsades de pointesを含む)等の重篤な副作用を起こすおそれがある。 いずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため。
ゾニサミド 高血圧、失神、不全収縮、発汗、てんかん、動作・精神障害の変化及び筋強剛等の副作用があらわれるおそれがある。 相加・相乗作用によると考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
ALPの上昇 頻度不明
ALT 頻度不明
AST 頻度不明
γ-GTPの上昇 頻度不明
せん妄 頻度不明
そう痒感 頻度不明
パーキンソン様症状・振戦・アカシジア等の錐体外路障害 頻度不明
ふらつき 頻度不明
ミオクロヌス 頻度不明
めまい 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 頻度不明
不整脈 頻度不明
乳房肥大 頻度不明
乳汁漏出 頻度不明
体重増加 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
光線過敏症 頻度不明
口内炎 頻度不明
口内苦味感 頻度不明
口渇 頻度不明
味覚異常 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嚥下困難 頻度不明
失神 頻度不明
好酸球増多 頻度不明
尿閉 頻度不明
幻覚 頻度不明
心ブロック 頻度不明
心悸亢進 頻度不明
心電図異常(QT延長等) 頻度不明
悪夢 頻度不明
悪心 頻度不明
情緒不安 頻度不明
排尿困難 頻度不明
気管支痙攣 頻度不明
流涎 頻度不明
浮腫 頻度不明
激越 頻度不明
熱感 頻度不明
異常食欲亢進 頻度不明
発汗 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球増多 頻度不明
白血球減少 頻度不明
皮膚血管炎 頻度不明
眠気 頻度不明
睡眠障害(不眠等) 頻度不明
知覚異常 頻度不明
神経過敏 頻度不明
紫斑 頻度不明
緑内障 頻度不明
耳鳴 頻度不明
胃部不快感等の胃腸症状 頻度不明
脱力感 頻度不明
脱毛 頻度不明
腹痛 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
血圧降下 頻度不明
血小板減少 頻度不明
視調節障害(散瞳等) 頻度不明
言語障害 頻度不明
記憶障害 頻度不明
起立性低血圧 頻度不明
躁状態 頻度不明
運動失調 頻度不明
錯乱状態 頻度不明
陰萎 頻度不明
集中力欠如(思考力低下 頻度不明
離人症 頻度不明
頭がボーッとする等) 頻度不明
頭痛 頻度不明
頭重 頻度不明
頻尿・夜尿 頻度不明
頻脈 頻度不明
食欲不振 頻度不明
鼻閉 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

四環系抗うつ薬。主としてノルアドレナリンの神経終末への再取込みを阻害することによって奏功するが、抗うつ作用との関連については不明な点も多い5)。

18.2 動物での作用

動物実験(マウス・ラット)で、マプロチリンは抗reserpine作用6)、抗tetrabenazine作用6)、noradrenaline取り込み阻害作用7)等においては従来の抗うつ剤に類似した作用態度を示すが、serotoninの取り込みに対しては阻害作用がみられないこと8),9)、中枢性の抗コリン作用をほとんど有さないこと6)、あるいは強い馴化作用を併有していること6)など三環系抗うつ剤とは異なる作用スペクトルを有する薬物である。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1健康成人

マプロチリン塩酸塩25及び75mgを1回経口投与した場合、約6~12時間で最高血漿中濃度に達し、その後ゆっくりと減衰する。生物学的半減期は個人差が大きく(19時間~73時間)、平均値は25mg投与で約46時間、75mg投与で約45時間である1)。

  1. 16.1.2うつ病

30及び75mg/日を分割投与あるいは1日1回投与した場合、血漿中濃度は2週間以内に定常状態に達し、その平均値は両投与法に差はなく、分割投与例では31.3及び76.9ng/mL、1日1回投与例では、31.7及び70.6ng/mLである2)。

  1. 16.1.3生物学的同等性試験

マプロチリン塩酸塩錠10mg「アメル」及びマプロチリン塩酸塩錠25mg「アメル」と各標準製剤について、下記のとおりクロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された3)。

標準製剤 試験投与量
マプロチリン塩酸塩錠10mg「アメル」 ルジオミール錠10mg それぞれ2錠(マプロチリン塩酸塩として20mg)
マプロチリン塩酸塩錠25mg「アメル」 ルジオミール錠25mg それぞれ1錠(マプロチリン塩酸塩として25mg)
AUC(0→96)
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
マプロチリン塩酸塩錠10mg「アメル」 256.20±99.04 5.35±1.66 8.25±2.29 42.75±17.46
ルジオミール錠10mg 243.65±90.61 5.40±1.68 8.75±2.62 41.18±12.62

(Mean±S. D.,n=16)

血漿中未変化体濃度(生物学的同等性)

AUC(0→96)
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
マプロチリン塩酸塩錠25mg「アメル」 291.52±118.24 6.44±1.45 7.14±2.80 44.99±15.36
ルジオミール錠25mg 289.93±124.73 6.61±1.91 7.14±2.80 41.86±12.74

(Mean±S. D.,n=14)

血漿中未変化体濃度(生物学的同等性)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.5 排泄

尿中排泄物は90%以上が代謝物であり、75%はグルクロン酸抱合体で、代謝産物としてN-脱メチル化体、側鎖及び環の水酸化体等の12種が同定されている4)(外国人のデータ)。