Clinical snapshot

マキサカルシトール軟膏25μg/g「イワキ」

マキサカルシトール

添付文書改訂 2024年06月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

尋常性乾癬、魚鱗癬群、掌蹠角化症、掌蹠膿疱症

用法・用量

通常1日2回適量を患部に塗擦する。なお、症状により適宜回数を減じる。

使用上の注意

  1. 8.1本剤は活性型ビタミンD3誘導体製剤であり、血中カルシウム値が上昇する可能性がある。また、高カルシウム血症に伴い、急性腎障害の報告があるため、本剤の使用に際しては、血中カルシウム値及び腎機能(血中クレアチニン、BUN等)の検査を定期的(開始2~4週後に1回、その後は適宜)に行うこと。なお、正常域を超えた場合には減量又は使用を中止すること。

  2. 8.2皮疹が広範囲にある場合や、皮疹重症度が高く、皮膚のバリア機能が低下して本剤の経皮吸収が増加する可能性のある患者では、高カルシウム血症が発現しやすく、急性腎障害に至る可能性もあるため、本剤を少量から使用開始し、観察を十分に行い、血中カルシウム値及び腎機能の検査を定期的に行うこと。

  3. 8.3本剤の密封療法(ODT)における安全性は確立していない。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1高カルシウム血症及びそのおそれのある患者

本剤の使用によりさらに血中カルシウム値を上昇させるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

血中カルシウム値を上昇させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には使用しないことが望ましい。動物実験(ラット)では胎盤を通じて胎児へ移行することが認められている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。周産期及び授乳期の静脈内投与試験(ラット)において、1.1μg/kg/日投与で出生児に体重増加抑制がみられた。また、分娩後哺乳中のラットに静脈内投与したとき、乳汁中への移行を示唆する報告がある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

使用が過度にならないように注意すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ビタミンD及びその誘導体
• アルファカルシドール
カルシトリオール
カルシポトリオール 等
高カルシウム血症があらわれるおそれがある。 相加作用
PTH製剤
• テリパラチド
• アバロパラチド酢酸塩
高カルシウム血症があらわれるおそれがある。 相加作用
カルシウム製剤
• 乳酸カルシウム水和物
炭酸カルシウム 等
高カルシウム血症があらわれるおそれがある。 本剤は腸管でのカルシウムの吸収を促進させる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P増加 1%未満
ALT増加 1%未満
AST増加 1%未満
BUN増加 頻度不明
CK増加 1%未満
γ-GTP増加 1%未満
そう痒 頻度不明
びらん 1%未満
びらん性胃炎 1%未満
口渇 1%未満
増殖性糸球体腎炎 1%未満
尿中ウロビリン陽性 1%未満
尿中ブドウ糖陽性 1%未満
尿中蛋白陽性 1%未満
尿路結石 頻度不明
接触皮膚炎 1%未満
毛包炎 1%未満
水疱 1%未満
浮腫 1%未満
湿疹 1%未満
熱感 1%未満
疼痛 1%未満
発疹 1%未満
白血球数増加 1%未満
白血球数減少 1%未満
皮膚刺激 頻度不明
皮膚剥脱 頻度不明
紅斑 頻度不明
背部痛 1%未満
腫脹 1%未満
色素沈着 1%未満
血中アルブミン減少 1%未満
血中カリウム減少 1%未満
血中カルシウム増加 頻度不明
血中クレアチニン増加 1%未満
血中ビリルビン増加 1%未満
血中リン増加 1%未満
血小板数減少 1%未満
食欲不振 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ビタミンD受容体に結合し、表皮角化細胞に対する分化誘導作用や異常増殖抑制作用、IL-6の分泌抑制作用を示すことにより、尋常性乾癬に対して有効性を発揮する12),13),14),15),16)。

18.2 受容体親和性

マキサカルシトールは、ヒト表皮角化細胞のビタミンD受容体に対して親和性を示した17)(in vitro)。また、ヒト・ビタミンD結合蛋白との親和性はカルシトリオールより低く18)、表皮角化細胞の細胞核内により多く移行することが認められた19)(in vitro)。

18.3 表皮角化細胞に対する増殖抑制作用

マキサカルシトールは、ヒト表皮角化細胞の増殖を抑制した12) (in vitro)。さらに、尋常性乾癬患者の皮膚を用いた器官培養系においても、表皮角化細胞の増殖を抑制し、表皮肥厚を改善した13)(in vitro)。また、尋常性乾癬患者への外用により表皮におけるDNA合成ならびに核分裂を低下させ、細胞増殖の異常亢進を抑制することが示唆された14)。

18.4 表皮角化細胞に対する分化誘導作用

マキサカルシトールは、表皮角化細胞の分化マーカーであるインボルクリンmRNAの発現を促進した15)(in vitro)。また、尋常性乾癬患者への外用により、有棘層より上位で発現する分化型ケラチンを増加させるとともに表皮細胞分化マーカーであるロリクリンの発現を誘導した14)。

18.5 サイトカイン、リンパ球等に対する作用

マキサカルシトールは、IL-1α刺激によるヒト表皮角化細胞のIL-6の分泌を濃度依存的に抑制し、サクシニル・コンカナバリンAで刺激したマウスの脾臓リンパ球の増殖を濃度依存的に抑制した16)(in vitro)。また、尋常性乾癬患者への外用により多形核白血球やTリンパ球等の炎症細胞の浸潤を減少させた14)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1尋常性乾癬患者にマキサカルシトール軟膏(マキサカルシトールとして25μg/g)1回適量(7gまで)を1日2回26週間塗擦したところ注1) 、24例に血清中マキサカルシトール(50.4~744.0pg/mL)を検出したが、他は検出限界(50pg/mL)以下であった1)。

  2. 16.1.2尋常性乾癬患者4例にマキサカルシトール軟膏(マキサカルシトールとして50μg/g注2) )4gを1日1回3日間塗擦したところ、得られたパラメータは次のとおりであった2)(外国人データ)。

tmax
(h)
Cmax
(pg/mL)
AUC
(pg・h/mL)
t1/2
(h)
1日目 3.0 591±285 4177±2369.1 3.9
3日目 3.5 475±188 2452±1218 2.2

平均±標準偏差

16.2 吸収

健康成人男子12例に同一被験者の左前腕内側部にマキサカルシトール軟膏を塗布(38mg)し、塗布8時間後(定常状態)における角質内薬物濃度を測定した。その結果、軟膏の角質内薬物濃度は、11.1±3.4μg/gであった3)。

16.4 代謝

ラット腎ミトコンドリアを用いた代謝試験4)において、マキサカルシトールは活性型ビタミンD3の代謝酵素であるCYP24により代謝されると考えられた(in vitro)。ヒトP450発現系を用いた代謝試験4)において、マキサカルシトールはCYP3A4によって代謝された(in vitro)。

注1)本剤の1日最大使用量は10gである。

注2)本剤の承認規格は25μg/g軟膏である。

16.8 その他

  1. 16.8.1生物学的同等性試験

  2. (1)薬物動態学的試験

マキサカルシトール軟膏25μg/g「イワキ」とオキサロール軟膏25μg/gを健康な成人男性12例の背部皮膚に適用した時の皮膚薬物動態学的試験を実施し、定常状態における角層中マキサカルシトール量を測定した。得られた角層中薬物量について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された5) 。

  1. (2)暴露量試験

マキサカルシトール軟膏25μg/g「イワキ」及びオキサロール軟膏25μg/gをウサギ損傷皮膚に単回経皮投与し、得られた各採血時間の血漿中マキサカルシトール濃度から求めたAUCについて比較検討したところ、マキサカルシトール軟膏25μg/g「イワキ」の暴露量はオキサロール軟膏25μg/gと比較して『同等以下』であると判定された6) 。