不眠症
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
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2.2重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者
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2.3イトラコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル含有製剤、エンシトレルビル フマル酸、コビシスタット含有製剤、セリチニブを投与中の患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはボルノレキサントとして1日1回5mgを就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回10mgを超えないこととする。
使用上の注意
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8.1不眠症あるいは本剤の影響により、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがある。「17. 臨床成績」の項を熟知し、患者の状態を十分に把握した上で、自動車の運転等の危険を伴う機械を操作することの適否を慎重に判断し、危険を伴う作業等を行う場合には十分な注意が必要であることを適切に患者に指導すること。また、眠気等があらわれた場合には、自動車の運転等の危険を伴う機械の操作に従事しないよう、患者に指導すること。
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8.2症状が改善した場合は、本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないよう注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1ナルコレプシー又はカタプレキシーのある患者
症状を悪化させるおそれがある。
- 9.1.2脳に器質的障害のある患者
本剤の作用が強くあらわれるおそれがある。
- 9.1.3呼吸機能障害のある患者(軽度の閉塞性睡眠時無呼吸患者を除く)
これらの患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者
投与しないこと。ボルノレキサントの血漿中濃度が上昇するおそれがある。重度の肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。
- 9.3.2軽度及び中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類A及びB)のある患者
ボルノレキサントの血漿中濃度が上昇するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
相互作用
- ボルノレキサントは主にCYP3A4によって代謝される。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| イトラコナゾール • (イトリゾール)ポサコナゾール • (ノクサフィル)ボリコナゾール • (ブイフェンド)クラリスロマイシン • (クラリス) (クラリシッド)リトナビル含有製剤 • (ノービア) (カレトラ) (パキロビッド)エンシトレルビル フマル酸 • (ゾコーバ)コビシスタット含有製剤 • (ゲンボイヤ) (シムツーザ) (プレジコビックス)セリチニブ • (ジカディア) |
本剤の作用を著しく増強させるおそれがある。 | これらの薬剤の強いCYP3A阻害作用により、ボルノレキサントの代謝が阻害され、ボルノレキサントの血漿中濃度が顕著に上昇するおそれがある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 中程度のCYP3A阻害作用を有する薬剤 • フルコナゾール • エリスロマイシン • ベラパミル塩酸塩等 |
本剤の作用を増強させるおそれがある。 | これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、ボルノレキサントの代謝が阻害され、ボルノレキサントの血漿中濃度が上昇するおそれがある。 |
| グレープフルーツジュース | 本剤の作用を増強させるおそれがある。 | グレープフルーツジュースの成分により、ボルノレキサントの代謝が阻害され、ボルノレキサントの血漿中濃度が上昇するおそれがある。 |
| CYP3A誘導作用を有する薬剤 • リファンピシン • カルバマゼピン • フェニトイン等 |
本剤の作用を減弱させるおそれがある。 | これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、ボルノレキサントの代謝が促進され、ボルノレキサントの血漿中濃度が低下するおそれがある。 |
| 中枢神経抑制剤 • フェノチアジン誘導体 • バルビツール酸誘導体等 |
中枢神経系に対する抑制作用を増強させるおそれがある。 | 本剤及びこれらの薬剤は中枢神経系に対する抑制作用を有するため、相互に作用を増強させるおそれがある。 |
| アルコール(飲酒) | 精神運動機能の相加的な低下を生じる可能性がある。本剤を服用時に飲酒は避けさせること。 | 本剤及びアルコールは中枢神経系に対する抑制作用を有するため、相互に作用を増強させるおそれがある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| 倦怠感 | 1%未満 |
| 傾眠 | 頻度不明 |
| 悪夢 | 頻度不明 |
| 浮動性めまい睡眠時麻痺 | 1%未満 |
| 血中乳酸脱水素酵素増加 | 1%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ボルノレキサントはオレキシン1(OX1)及びオレキシン2(OX2)受容体に対する拮抗薬で、ヒトのOX1及びOX2受容体に対する結合親和性(Ki値)はそれぞれ0.460及び0.374nmol/Lであった16)。 ボルノレキサントは、覚醒を促進する神経ペプチドであるオレキシンA及びBのOX1及びOX2受容体への結合を阻害することにより、覚醒から睡眠へ移行させると考えられる。
18.2 睡眠に対する作用
ボルノレキサントの投与により、ラットにおいて入眠潜時の短縮並びにレム睡眠及びノンレム睡眠の増加が認められた17)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康成人男性に本剤10mgを空腹時単回経口投与したときの血漿中ボルノレキサント濃度推移及び薬物動態パラメータは下記のとおりであった1)。
単回投与時の血漿中ボルノレキサント濃度推移
| 用量 (例数) |
Cmax (ng/mL) |
tmax注1) (h) |
AUC0-∞ (ng・h/mL) |
t1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|
| 10mg (12例) |
279±96.7 | 0.500 (0.500, 3.00) |
720±237 | 2.13±0.185 |
平均値±標準偏差
注1)中央値(最小値,最大値)
- 16.1.2反復投与
健康成人男性に本剤10mgを1日1回7日間反復経口投与したときの血漿中ボルノレキサント濃度の薬物動態パラメータは下記のとおりであった2)。
| 用量 (例数) |
投与日 | Cmax (ng/mL) |
tmax注2) (h) |
AUC注3) (ng・h/mL) |
t1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|---|
| 10mg (6例) |
1日目 | 256±63.2 | 1.50 (1.50, 2.00) |
1210±420 | 2.04±0.395 |
| 7日目 | 265±73.5 | 1.75 (0.750, 2.00) |
1340±632 | 2.03±0.398 |
平均値±標準偏差
注2)中央値(最小値,最大値)
注3)投与1日目はAUC0-∞、投与7日目はAUC0-24h
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
健康成人男性(12例)に本剤10mgを空腹時及び食後に単回経口投与したとき、ボルノレキサントのCmax及びAUC0-∞の幾何平均の比(食後/空腹時)とその90%信頼区間は、0.96[0.76, 1.21]及び1.17[1.05, 1.31]であった。tmax(中央値)は食事により1時間遅延した1)。
16.3 分布
ヒト血漿におけるボルノレキサントの蛋白結合率は94.5~96.3%であった(in vitro、平衡透析法、評価濃度0.05~2µg/mL)3)。
16.4 代謝
ボルノレキサントは主として代謝により消失し、その代謝には主にCYP3A4が関与していた4)。経口投与後の血漿中には未変化体が主に認められた。また、代謝物としてオキサアジナン環の脱水素化代謝物(M3)が認められたが、曝露量は薬物関連総曝露量の10%未満であった5)。
16.5 排泄
健康成人男性(6例)に14C標識ボルノレキサント7.5mgを単回経口投与したとき、投与した放射能の総回収率は104.2%であり、尿中に82.4%、糞中に21.8%が排泄された。尿及び糞中からは代謝物のみ検出された5)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1肝機能障害患者
軽度及び中等度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類A及びB)各8例に本剤5mgを単回経口投与したとき、ボルノレキサントの血漿蛋白結合率は健康成人と比較して中等度でやや低下がみられた。非結合型ボルノレキサントのCmax及びAUC0-∞の幾何平均の比とその90%信頼区間は、軽度/健康成人で1.07[0.88, 1.30]及び1.37[1.06, 1.77]、中等度/健康成人で1.42[1.05, 1.93]及び3.06[1.89, 4.96]であった。ボルノレキサントの消失半減期(平均値)は、健康成人で1.90~2.33時間に対し、軽度及び中等度では3.07時間及び4.92時間であった6)。重度肝機能障害患者(Child-Pugh分類C)での薬物動態は検討していない。
- 16.6.2高齢者
高齢者を含む健康成人(非高齢者12例、高齢者8例)に本剤20mg注4)を1日1回7日間反復投与したとき、7日目の血漿中ボルノレキサントのCmax及びAUC0-24h(平均値±標準偏差)は非高齢者でそれぞれ396±147ng/mL及び1980±873ng・h/mL、高齢者で332±124ng/mL及び1860±866ng・h/mLであり、非高齢者と比べて高齢者で高い傾向はなかった7)。
注4)本剤の承認された用法・用量は「通常、成人にはボルノレキサントとして1日1回5mgを就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回10mgを超えないこととする。」である。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1イトラコナゾール
健康成人(10例)に本剤を1日目に5mgを空腹時に単回経口投与し、6日目に本剤1mg注5)を単回経口投与、イトラコナゾールを3日目に1回200mgを1日2回、4~7日目に1回200mgを1日1回経口投与した。用量補正した血漿中ボルノレキサントのCmax及びAUC0-∞の幾何平均の比(イトラコナゾール併用/単独)とその90%信頼区間は、2.24[2.05, 2.45]及び12.2[11.2, 13.4]であった。単独投与時と比較して併用時では、Cmaxは約2倍に上昇し、AUC0-∞は約12倍に増加した8)。
注5)本剤の承認された用法・用量は「通常、成人にはボルノレキサントとして1日1回5mgを就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回10mgを超えないこととする。」である。
- 16.7.2生理学的薬物速度論モデルによるシミュレーション
本剤5mg単独投与時に対する中程度CYP3A阻害薬を併用投与したときのボルノレキサントの薬物動態パラメータの幾何平均の比(併用/単独)は、フルコナゾール(200mg、1日1回投与)では、Cmax及びAUC0-∞でそれぞれ1.75及び3.04、エリスロマイシン(300mg、1日4回投与)では、1.76及び3.53、ベラパミル(80mg、1日3回投与)では、1.85及び4.00と推定された。ボルノレキサント5mg単独投与時に対するCYP3A誘導薬であるリファンピシン(600mg、1日1回投与)を併用投与したときのCmax及びAUC0-∞の幾何平均の比(併用/単独)は、0.314及び0.181と推定された9)。