Clinical snapshot

ホリナート錠25mg「NK」

ホリナートカルシウム水和物

添付文書改訂 2026年02月01日

【警告】

  1. 1.1ホリナート・テガフール・ウラシル療法は、テガフール・ウラシル配合剤の細胞毒性を増強する療法であり、本療法に関連したと考えられる死亡例が認められているので、緊急時に十分に措置できる医療施設及び癌化学療法に十分な経験を有する医師のもとで、「2.禁忌」、「9.特定の背景を有する患者に関する注意」の項を参照して適応患者の選択を慎重に行い実施すること。

  2. 1.2本療法において重篤な下痢が起こることがあり、その結果、致命的な経過をたどることがあるので、患者の状態を十分観察し、激しい腹痛、下痢等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、脱水症状があらわれた場合には補液等の適切な処置を行うこと。

  3. 1.3本療法において劇症肝炎等の重篤な肝障害、重篤な骨髄抑制が起こることがあり、その結果、致命的な経過をたどることがあるので、定期的(少なくとも1クールに1回以上、特に投与開始から2クールは、各クール開始前及び当該クール中に1回以上)に臨床検査(肝機能検査、血液検査等)を行うなど患者の状態を十分観察し、副作用の早期発見に努めること。また、肝障害の前兆又は自覚症状と考えられる食欲不振を伴う倦怠感等の発現に十分に注意し、黄疸(眼球黄染)があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  4. 1.4本療法とテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤との併用により、重篤な血液障害等の副作用が発現するおそれがあるので、本療法との併用を行わないこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制の増悪により重症感染症を併発し、致命的となることがある。]

  2. 2.2下痢(水様便)のある患者[下痢が増悪して脱水、電解質異常、循環不全を起こし、致命的となることがある。]

  3. 2.3重篤な感染症を合併している患者[骨髄抑制により感染症が増悪し、致命的となることがある。]

  4. 2.4本剤の成分又はテガフール・ウラシル配合剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

  5. 2.5テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者及び投与中止後7日以内の患者

  6. 2.6妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • 〈ホリナート・テガフール・ウラシル療法〉

結腸・直腸癌に対するテガフール・ウラシルの抗腫瘍効果の増強

用法・用量

  • 〈ホリナート・テガフール・ウラシル療法〉

通常、成人にはホリナートとして75mgを、1日3回に分けて(約8時間ごとに)、テガフール・ウラシル配合剤と同時に経口投与する。 テガフール・ウラシル配合剤の投与量は、通常、1日量として、テガフール300~600mg相当量(300mg/m2を基準)を1日3回に分けて(約8時間ごとに)、食事の前後1時間を避けて経口投与する。 以上を28日間連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを1クールとして投与を繰り返す。

使用上の注意

  1. 8.1重篤な下痢・腸炎等が起こることがあり、致命的な経過をたどることがあるので、観察を十分に行い、激しい腹痛、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  2. 8.2劇症肝炎、重篤な骨髄抑制が起こることがあり、致命的な経過をたどることがあるので、定期的(少なくとも1クールに1回以上、特に投与開始から2クールは、各クール開始前及び当該クール中に1回以上)に臨床検査(肝機能検査、血液検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  3. 8.3感染症・出血傾向の発現又は悪化に十分注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1骨髄抑制のある患者(重篤な骨髄抑制を除く)

骨髄抑制が増強するおそれがある。

  1. 9.1.2感染症を合併している患者(重篤な感染症を除く)

骨髄抑制により、感染症が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.3心疾患又はその既往歴のある患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.4消化管潰瘍又は出血のある患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.5耐糖能異常のある患者

耐糖能異常が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.6水痘患者

致命的な全身障害があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.7前化学療法を受けていた患者

下痢、骨髄抑制等の副作用が増強されるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝障害又はその既往歴のある患者

肝障害が悪化するおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には性腺に対する影響を考慮すること。

  2. 9.4.2*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

  3. 9.4.3*男性には、本剤投与中及び最終投与後3カ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。テガフール・ウラシル配合剤を投与された女性において奇形を有する児を出産したとの報告がある。また、動物実験で催奇形作用の報告(妊娠ラットで胎児の骨格変異、化骨遅延等が認められている)がある。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。テガフール・ウラシル配合剤の動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。

9.7 小児等

副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しているので、特に消化器障害(下痢、口内炎等)、骨髄抑制があらわれやすい。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤
(ティーエスワン)
早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現するおそれがあるので、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中及び投与中止後少なくとも7日以内は本療法を施行しないこと。 ギメラシルがフルオロウラシルの異化代謝を阻害し、血中フルオロウラシル濃度が著しく上昇する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
フェニトイン フェニトイン中毒(嘔気・嘔吐、眼振、運動障害等)が発現することがある。必要に応じてフェニトインの血中濃度を測定し、フェニトインの用量調節を行い、注意して投与すること。異常が認められた場合には本療法を中止するなど適切な処置を行うこと。 テガフールによってフェニトインの代謝が抑制され、フェニトインの血中濃度が上昇する。
ワルファリンカリウム テガフールがワルファリンカリウムの作用を増強することがあるので、凝固能の変動に注意すること。 機序は不明である。
他の抗悪性腫瘍剤、放射線照射 消化管障害、血液障害等の副作用が増強することがあるので、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。 副作用が相互に増強される。
葉酸代謝拮抗剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム等) これらの薬剤の作用が減弱することがある。 ホリナートによって葉酸代謝拮抗作用が減弱するためと考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 5%以上
ALTの上昇等) 5%以上
CK上昇 頻度不明
DLE様皮疹 頻度不明
LDH上昇 5%以上
クレアチニンの上昇等) 1〜5%未満
しびれ 頻度不明
そう痒 5%以上
ヘマトクリット値減少 5%以上
リンパ球減少 5%以上
下痢 5%以上
便秘 5%以上
倦怠感 5%以上
光線過敏症 頻度不明
動悸 頻度不明
口内炎 5%以上
口唇炎 1〜5%未満
口渇 頻度不明
口角炎 頻度不明
味覚異常 5%以上
咳・痰 頻度不明
嚥下困難 頻度不明
女性型乳房 頻度不明
好中球減少 5%以上
好塩基球増多 1〜5%未満
好酸球増多 5%以上
平均赤血球容積(MCV)増加 頻度不明
心窩部痛 1〜5%未満
心電図異常(ST上昇等) 頻度不明
悪心・嘔吐 5%以上
手足症候群 1〜5%未満
末梢性ニューロパチー 頻度不明
水疱 頻度不明
浮腫 頻度不明
灼熱感 頻度不明
無月経 頻度不明
爪の異常 頻度不明
発熱 5%以上
発疹 5%以上
発赤 頻度不明
皮膚の乾燥 1〜5%未満
皮膚びらん 頻度不明
皮膚炎 1〜5%未満
眩暈 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
糖尿 5%以上
紅潮 頻度不明
結膜充血 頻度不明
総ビリルビン上昇 5%以上
総蛋白低下 5%以上
耳鳴 1〜5%未満
肝機能障害(AST 5%以上
胃不快感 1〜5%未満
胃炎 頻度不明
胃重感 1〜5%未満
胸やけ 頻度不明
胸内苦悶感 頻度不明
胸痛 頻度不明
脂肪肝 頻度不明
脱毛 頻度不明
腎機能障害(BUN 1〜5%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部膨満感 1〜5%未満
腹鳴 頻度不明
興奮 頻度不明
舌炎 1〜5%未満
色素沈着 5%以上
蕁麻疹 頻度不明
蛋白尿 5%以上
血尿 頻度不明
血清カリウム上昇 1〜5%未満
血清カリウム低下 1〜5%未満
血清カルシウム上昇 1〜5%未満
血清カルシウム低下 5%以上
血清クロール上昇 1〜5%未満
血清クロール低下 1〜5%未満
血清ナトリウム低下 5%以上
血清尿酸値上昇 頻度不明
血痰 頻度不明
血糖値上昇 5%以上
血色素減少 5%以上
角化 頻度不明
赤血球減少 5%以上
関節痛 頻度不明
頭痛 1〜5%未満
頭重感 1〜5%未満
頻尿 1〜5%未満
食欲不振 5%以上
高コレステロール血症 頻度不明
高トリグリセリド血症 頻度不明
黄疸 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

テガフール・ウラシルはフルオロウラシルのプロドラッグであるテガフールにフルオロウラシルの分解阻害作用を有するウラシルをモル比1:4(テガフール:ウラシル)で配合した抗悪性腫瘍剤である。ホリナートの光学活性体(l体)であるレボホリナートはBiochemical Modulationによりフルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強させる。フルオロウラシルは活性代謝物であるフルオロデオキシウリジン一リン酸(FdUMP)が、チミジル酸合成酵素(Thymidylate synthase:TS)と結合し、TS活性を阻害することにより、チミジル酸合成を抑制しDNA合成を阻害する。レボホリナートは細胞内で還元され、5,10-CH2-THFとなる。この5,10-CH2-THFはFdUMP、TSと強固な三元複合体(Ternary complex)を形成し、TSの解離を遅延させることにより、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強させる。従って、ホリナートとテガフール・ウラシルの併用により、テガフールの分解産物であるフルオロウラシルの抗腫瘍効果が増強される11)。

18.2 抗腫瘍効果増強作用

  1. 18.2.1in vitro試験

ヒト結腸癌細胞(COLO205)に対して、レボホリナートとして0.006μM濃度のホリナートを用いたin vitro試験で、フルオロウラシルの抗腫瘍効果増強作用が認められている12)。

  1. 18.2.2in vivo試験(併用投与による抗腫瘍効果増強作用)

ヒト結腸癌細胞(KM20C、KM12C、Co-3)を移植したヌードマウスに対し、ホリナート(20mg/kg/day)とテガフール・ウラシル(テガフール20mg/kg/day)の併用でテガフール・ウラシル単独投与群に比較して抗腫瘍効果増強作用を示す13),14)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人癌患者44例にホリナート25mgを経口投与後の血中ホリナート濃度は、投与1.5~3時間後に最高値(473.6±214.0ng/mL)に達し、半減期は7時間であった。 また、活性型葉酸(5-MTHF)は投与0.3~5時間後に最高値(468.0±193.0ng/mL)に達し、半減期は3.1時間であった1),2)。

  1. 16.1.2生物学的同等性試験
  • 〈ホリナート錠25mg「NK」(旧処方製剤)〉

ホリナート錠25mg「NK」(旧処方製剤)とユーゼル錠25mgを、クロスオーバー試験法によりそれぞれ1錠(ホリナートとして25mg)健康成人男性に空腹時単回投与してホリナートの光学異性体のうち、薬理活性を示すl-体であるl-ホリナートの血漿中濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された3)。

評価パラメータ 参考パラメータ
AUCt
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
tmax
(hr)
t1/2
(hr)
ホリナート錠25mg「NK」
(旧処方製剤)
11.49±4.25 11.95±5.48 0.54±0.23 0.82±0.20
ユーゼル錠25mg 11.43±3.47 12.20±5.01 0.55±0.30 0.81±0.23

(Mean±S.D., n=42)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

癌患者25例にクロスオーバー法で、空腹時及び食後(高脂肪食摂取後)にホリナート30mg及びテガフール・ウラシル配合剤(テガフール200mg相当量)を投与した場合、空腹時に比べて食後投与時のウラシルのAUC、テガフールから変換されたフルオロウラシルのAUCはそれぞれ66%、37%減少し、ホリナートのAUCは61%上昇した。一方、テガフールのAUCには著明な変化は認められなかった4)(外国人データ)。

16.8 その他

  1. 16.8.1ホリナート錠25mg「NK」(新処方製剤)

「経口固形製剤の処方変更の生物学的同等性試験ガイドライン(平成24年2月29日 薬食審査発第0229第10号)」に基づき、旧処方製剤(ヒトを対象に実施した生物学的同等性試験において同等性が確認されている)を標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた5)。