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ホストイン静注750mg

ホスフェニトインナトリウム水和物

添付文書改訂 2026年06月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分又はヒダントイン系化合物に対し過敏症の患者

  2. 2.2洞性徐脈、高度の刺激伝導障害のある患者

  3. *2.3タダラフィル(肺高血圧症を適応とする場合)、マシテンタン、マシテンタン・タダラフィル、チカグレロル、アルテメテル・ルメファントリン、ダルナビル・コビシスタット、ドラビリン、ルラシドン、リルピビリン、イサブコナゾニウム硫酸塩、エンシトレルビル フマル酸、ミフェプリストン・ミソプロストール、ニルマトレルビル・リトナビル、リルピビリン・テノホビル アラフェナミド・エムトリシタビン、ビクテグラビル・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド、エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド、ダルナビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド、ソホスブビル・ベルパタスビル、レジパスビル・ソホスブビル、ドルテグラビル・リルピビリン、カボテグラビル、レナカパビルナトリウムを投与中の患者

効能・効果

  • てんかん重積状態

  • 脳外科手術又は意識障害(頭部外傷等)時のてんかん発作の発現抑制

  • フェニトインを経口投与しているてんかん患者における一時的な代替療法

用法・用量

通常、成人又は2歳以上の小児には、以下の用法及び用量にて投与すること。

  • 〈てんかん重積状態〉

初回投与:ホスフェニトインナトリウムとして22.5mg/kgを静脈内投与する。投与速度は3mg/kg/分又は150mg/分のいずれか低い方を超えないこと。 維持投与:ホスフェニトインナトリウムとして5〜7.5mg/kg/日を1回又は分割にて静脈内投与する。投与速度は1mg/kg/分又は75mg/分のいずれか低い方を超えないこと。

  • 〈脳外科手術又は意識障害(頭部外傷等)時のてんかん発作の発現抑制〉

初回投与:ホスフェニトインナトリウムとして15〜18mg/kgを静脈内投与する。投与速度は1mg/kg/分又は75mg/分のいずれか低い方を超えないこと。 維持投与:ホスフェニトインナトリウムとして5〜7.5mg/kg/日を1回又は分割にて静脈内投与する。投与速度は1mg/kg/分又は75mg/分のいずれか低い方を超えないこと。

  • 〈フェニトインを経口投与しているてんかん患者における一時的な代替療法〉

ホスフェニトインナトリウムとして経口フェニトインの1日投与量の1.5倍量を、1日1回又は分割にて静脈内投与する。投与速度は1mg/kg/分又は75mg/分のいずれか低い方を超えないこと。

使用上の注意

  1. 8.1投与に際しては、心電図、血圧、呼吸機能等のバイタルサインのモニタリングを実施するなど、慎重に患者の状態を観察すること。また、意識障害、血圧低下、心抑制、呼吸障害があらわれた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。

  2. 8.2連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。

  3. 8.3連用する場合には、定期的に肝・腎機能、血液検査を行うことが望ましい。

  4. 8.4本剤投与中の患者には自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがある。

  5. 8.5長期投与例で、小脳萎縮があらわれることがあり、持続したフェニトインの血中濃度上昇との関連が示唆されているので、小脳症状(眼振、構音障害、運動失調等)に注意し、定期的に検査を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1虚弱者

連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれることがある。また、心停止、呼吸停止が起こりやすい。

  1. 9.1.2低血圧のある患者

心停止、呼吸停止が起こりやすい。

  1. 9.1.3心疾患のある患者

心停止、呼吸停止が起こりやすい。

  1. 9.1.4低アルブミン血症の患者

血中非結合型フェニトイン濃度が上昇するおそれがある。

  1. 9.1.5血液障害のある患者

血液障害が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.6甲状腺機能低下症の患者

甲状腺機能の異常をきたすおそれがある。

  1. 9.1.7糖尿病の患者

2型糖尿病の患者で、高血糖を起こしたとの報告がある。

9.2 腎機能障害患者

腎機能障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。血中非結合型フェニトイン濃度が上昇するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

肝機能障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。肝障害の悪化、また、血中非結合型フェニトイン濃度が上昇するおそれがある。

9.5 妊婦

  1. 9.5.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性(母体のてんかん発作頻発を防ぎ、胎児を低酸素状態から守る)が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  2. (1)妊娠中にフェニトインを投与された患者の中に、口唇裂、口蓋裂、心奇形等を有する児を出産した例が多いとの疫学的調査報告がある。

  3. (2)妊娠中のフェニトイン投与により、児に腫瘍(神経芽細胞腫等)がみられたとの報告がある。

  4. (3)妊娠中のフェニトイン投与により、新生児に出血傾向があらわれることがある。

  5. (4)本薬をラットの交配前から妊娠期間中に投与した場合、胎児の脳及び心血管系等に奇形がみられた。また、周産期の投与では、母動物に分娩の遅延、致死量の低下がみられ、新生児に回避行動の増加傾向がみられた。

  6. (5)妊娠期間中にフェニトインを投与されたラットの新生児においては、行動発達の抑制、自発運動の増加あるいは減少、異常回転運動、迷路学習の抑制等の報告がある。

  7. 9.5.2妊娠中にやむを得ず本剤を投与する場合には、可能な限り単独投与することが望ましい。

  8. (1)妊娠中に他の抗てんかん剤(特にプリミドン)と併用してフェニトイン投与された患者群に、奇形を有する児を出産した例がフェニトイン単独投与群と比較して多いとの疫学的調査報告がある。

  9. (2)妊娠中のフェニトイン投与により、血中葉酸低下が生じるとの報告がある。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。ヒト1) 、ラット及びウサギにおいて、乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

2歳未満の幼児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

  1. 9.8.1本剤の初回投与量の減量又は投与速度の減速を考慮し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。心抑制、呼吸抑制が起こりやすい。

  2. 9.8.2投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれることがある。

相互作用

  • 本剤は、フェニトインのプロドラッグである。フェニトインは、主として薬物代謝酵素CYP2C92) 及び一部CYP2C193) で代謝される。また、CYP3A4、CYP2B6及びP糖蛋白の誘導作用を有する4) 。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• タダラフィル• (肺高血圧症を適応とする場合:アドシルカ)
• マシテンタン• (オプスミット)
• マシテンタン・タダラフィル• (ユバンシ配合錠)
• チカグレロル• (ブリリンタ)
• アルテメテル・ルメファントリン• (リアメット配合錠)
• ダルナビル・コビシスタット• (プレジコビックス配合錠)
• ドラビリン• (ピフェルトロ)
• ルラシドン• (ラツーダ)
• リルピビリン• (エジュラント)
• イサブコナゾニウム硫酸塩• (クレセンバ)
• エンシトレルビル フマル酸• (ゾコーバ)
これらの薬剤の代謝が促進され、血中濃度が低下することがある。 フェニトインの肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導による。
• ミフェプリストン・ミソプロストール• (メフィーゴ) ミフェプリストンの代謝が促進され、血中濃度が低下し効果が減弱するおそれがあるので、本剤の影響がなくなるまで投与しないこと。 フェニトインの肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導による。
• ニルマトレルビル・リトナビル• (パキロビッド) ニルマトレルビル及びリトナビルの血中濃度が低下するため、効果が減弱し、耐性が発現する可能性がある。 フェニトインの肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用による。
• リルピビリン・テノホビル アラフェナミド・エムトリシタビン• (オデフシィ配合錠) リルピビリン及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下することがある。 フェニトインの肝薬物代謝酵素(CYP3A)及びP糖蛋白誘導による。
• ビクテグラビルナトリウム・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド• (ビクタルビ配合錠) ビクテグラビル及びテノホビル アラフェナミドの血漿中濃度が低下するため、効果が減弱し、耐性が発現する可能性がある。 フェニトインの肝薬物代謝酵素(CYP3A)及びP糖蛋白誘導による。
• ダルナビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド• (シムツーザ配合錠) ダルナビル、コビシスタット及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下することがある。 フェニトインの肝薬物代謝酵素(CYP3A)及びP糖蛋白誘導による。
• エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド• (ゲンボイヤ配合錠) エルビテグラビル、コビシスタット及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下することがある。 フェニトインの肝薬物代謝酵素(CYP3A)及びP糖蛋白誘導による。
• ソホスブビル・ベルパタスビル• (エプクルーサ配合錠) ソホスブビル及びベルパタスビルの血漿中濃度が低下することがある。 フェニトインの肝薬物代謝酵素(CYP3A)及びP糖蛋白誘導による。
• レジパスビル・ソホスブビル• (ハーボニー配合錠) これらの薬剤の血漿中濃度が低下することがある。 フェニトインのP糖蛋白誘導による。
• ドルテグラビル・リルピビリン• (ジャルカ配合錠) ドルテグラビル及びリルピビリンの血中濃度が低下することがある。 フェニトインの肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導作用及びUGT1A1誘導作用による。
• カボテグラビル• (ボカブリア) カボテグラビルの血漿中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがある。 フェニトインのUGT1A1誘導作用による。
• レナカパビルナトリウム• (シュンレンカ) レナカパビルの血漿中濃度が低下するため、レナカパビルの効果が減弱し、レナカパビルに対する耐性が発現する可能性がある。 フェニトインの強いCYP3A、P-gp及びUGT1A1誘導作用による。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• ゾニサミド
• トピラマート
• ボリコナゾール
• スチリペントール
• ブリーバラセタム
(1)フェニトインの血中濃度が上昇することがある注1) 。
(2)これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。
(1)これらの薬剤が肝代謝を抑制すると考えられている。
(2)フェニトインの肝薬物代謝酵素誘導によると考えられている。
• クロバザム
• タクロリムス
(1)フェニトインの血中濃度が上昇することがある注1) 。
(2)これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。
(1)機序は不明である。
(2)フェニトインの肝薬物代謝酵素誘導による。
• ルフィナミド (1)フェニトインの血中濃度が上昇することがある注1) 。
(2)これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。
(1)、(2)機序は不明である。
• カルバマゼピン (1)フェニトインの血中濃度が上昇することがある注1) 。
(2)フェニトインの血中濃度が低下することがある注3) 。
(3)カルバマゼピンの血中濃度が低下することがある注2) 。
(1)カルバマゼピンが肝代謝を抑制する。
(2)カルバマゼピンの肝薬物代謝酵素誘導による。
(3)フェニトインの肝薬物代謝酵素誘導による。
• バルプロ酸 (1)フェニトインの血中濃度が上昇することがある注1) 。
(2)フェニトインの血中濃度が低下することがある注3) 。
(3)バルプロ酸の血中濃度が低下することがある注2) 。
(4)バルプロ酸による高アンモニア血症の発現リスクが高まるおそれがある。
(1)バルプロ酸が肝代謝を抑制する。
(2)バルプロ酸による蛋白結合からの置換により、非結合型フェニトイン濃度が上昇し、肝代謝が促進すると考えられている。
(3)フェニトインの肝薬物代謝酵素誘導による。
(4)機序は不明である。
• ラモトリギン
• デフェラシロクス
• カナグリフロジン
• ラルテグラビル
これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。 フェニトインがこれらの薬剤のグルクロン酸抱合を促進する。
• ポサコナゾール これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。 フェニトインのUGT1A4及び/又はP糖蛋白誘導による。
• クマリン系抗凝血剤• ワルファリン (1)フェニトインの血中濃度が上昇することがある注1) 。
(2)クマリン系抗凝血剤の作用が増強することがある。
(3)クマリン系抗凝血剤の作用が減弱することがある。
通常より頻回に血液凝固時間の測定を行い、クマリン系抗凝血剤の用量を調整すること。
(1)クマリン系抗凝血剤が肝代謝を抑制する。
(2)フェニトインによる蛋白結合からの置換により、クマリン系抗凝血剤の血中濃度が上昇する。
(3)フェニトインの肝薬物代謝酵素誘導による。
• アミオダロン
• アロプリノール
• イソニアジド
• エトスクシミド
• オメプラゾール
• クロラムフェニコール
• ジスルフィラム
• シメチジン
• ジルチアゼム
• スルチアム
• スルファメトキサゾール・トリメトプリム
• チクロピジン
• パラアミノサリチル酸
• フルコナゾール
• フルボキサミン
• ホスフルコナゾール
• ミコナゾール
• メチルフェニデート
• エソメプラゾール
• セリチニブ
フェニトインの血中濃度が上昇することがある注1) 。 これらの薬剤又は代謝物が肝代謝を抑制すると考えられている。
• フルオロウラシル系薬剤• テガフール製剤
• ドキシフルリジン等
• 三環系抗うつ剤• イミプラミン等
• 四環系抗うつ剤• マプロチリン等
• トラゾドン
フェニトインの血中濃度が上昇することがある注1) 。 機序は不明である。
• テオフィリン
• アミノフィリン
(1)フェニトインの血中濃度が低下することがある注3) 。
(2)テオフィリンの血中濃度が低下することがある注2) 。
(1)機序は不明である。
(2)フェニトインの肝薬物代謝酵素誘導による。
• ボラシデニブ (1)フェニトインの血中濃度が低下することがある注3) 。
(2)ボラシデニブの血中濃度が低下することがある注2)。
(1)ボラシデニブのCYP2C9誘導作用によると考えられている。
(2)本剤のCYP1A2誘導作用によると考えられている。
• リファンピシン
• アパルタミド
• レテルモビル
フェニトインの血中濃度が低下することがある注3) 。 これらの薬剤の肝薬物代謝酵素誘導による。
• ジアゾキシド
• シスプラチン
• ビンカアルカロイド• ビンクリスチン等
• シプロフロキサシン
• ビガバトリン
フェニトインの血中濃度が低下することがある注3) 。 機序は不明である。
• イリノテカン イリノテカンの活性代謝物の血中濃度が低下し、作用が減弱することがあるので、併用を避けることが望ましい。 フェニトインの肝薬物代謝酵素誘導による。
• 主にCYP3A4の基質となる薬剤• アゼルニジピン
• イトラコナゾール
• イマチニブ
• オンダンセトロン
• キニジン
• クエチアピン
• ジソピラミド
• ニフェジピン
• フェロジピン
• プラジカンテル
• ベラパミル等
• 副腎皮質ホルモン剤• デキサメタゾン等
• 卵胞ホルモン剤・黄体ホルモン剤• ノルゲストレル・エチニルエストラジオール等
• PDE5阻害剤• タダラフィル(勃起不全、前立腺肥大症に伴う排尿障害を適応とする場合:シアリス、ザルティア)
• シルデナフィル
• バルデナフィル
これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。 フェニトインの肝薬物代謝酵素誘導による。
• パロキセチン
• フレカイニド
• メキシレチン
これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。 フェニトインの肝薬物代謝酵素誘導による。
• CYP3A及びP糖蛋白の基質となる薬剤• アピキサバン
• リバーロキサバン
• ミラベグロン
• レンバチニブ等
これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。 フェニトインの肝薬物代謝酵素及びP糖蛋白誘導による。
• P糖蛋白の基質となる薬剤• グレカプレビル・ピブレンタスビル
• テノホビル アラフェナミド
• ニンテダニブ
• ダビガトラン等
これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。 フェニトインのP糖蛋白誘導による。
• シクロスポリン これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。 フェニトインの肝薬物代謝酵素誘導による。また、フェニトインが吸収を阻害する。
• 甲状腺ホルモン剤• レボチロキシン等 これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。 機序は不明である。
• カスポファンギン これらの薬剤の血中濃度が低下することがある注2) 。 フェニトインがカスポファンギンの取り込み輸送過程に影響し、カスポファンギンのクリアランス誘導が起こると考えられている。
• ドルテグラビル
• ドルテグラビル・ラミブジン
• ドルテグラビル・アバカビル・ラミブジン
ドルテグラビルの血中濃度が低下することがある。 フェニトインの肝薬物代謝酵素(CYP3A)及びUGT1A1誘導作用による。
• ドキシサイクリン ドキシサイクリンの血中濃度半減期が短縮することがある。 フェニトインの肝薬物代謝酵素誘導による。
• アルベンダゾール アルベンダゾールの活性代謝物の血中濃度が低下し、効果が減弱することがある。 機序は不明である。
• 非脱分極性筋弛緩剤• ベクロニウム等 フェニトインを長期前投与した場合、非脱分極性筋弛緩剤の作用が減弱することがある。 機序は不明である。
• 血糖降下剤• インスリン
• 経口血糖降下剤
血糖降下剤の作用が減弱され、高血糖を起こすことがあるので、血糖の上昇に注意すること。 フェニトインのインスリン分泌抑制作用による。
• アセタゾラミド クル病、骨軟化症があらわれやすい。 フェニトインによるビタミンD不活性化促進、アセタゾラミドによる代謝性アシドーシス、腎尿細管障害の影響が考えられている。
• アセトアミノフェン フェニトインの長期連用者は、アセトアミノフェンの代謝物による肝障害を生じやすくなる。 フェニトインの肝薬物代謝酵素誘導により、アセトアミノフェンから肝毒性を持つN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンへの代謝が促進されると考えられている。
• ロルラチニブ (1)ALT及びASTが上昇するおそれがあるので、併用は可能な限り避けること。やむを得ず併用する場合には、肝機能検査を実施する等の十分な観察を行うこと。
(2)ロルラチニブの血中濃度が低下することがある注2) 。
(1)機序は不明である。
(2)フェニトインの肝薬物代謝酵素(CYP3A)誘導による。
• セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 フェニトインの代謝が促進され、血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。 セイヨウオトギリソウの肝薬物代謝酵素誘導によると考えられている。

注1)フェニトインの中毒症状があらわれることがあるので、このような場合には、減量するなど注意する。

注2)これらの薬剤の作用が減弱することがあるので、用量に注意すること。また、本剤を減量又は中止する場合には、これらの薬剤の血中濃度の上昇に注意すること。

注3)フェニトインの作用が減弱することがあるので、けいれん等のてんかん発作の発現に注意すること。また、これらの薬剤を減量又は中止する場合には、フェニトインの血中濃度の上昇に注意すること。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 頻度不明
CK上昇 頻度不明
γ-GTP上昇 頻度不明
アシドーシス 頻度不明
アレルギー反応 1〜5%未満
うつ病 1〜5%未満
しゃっくり 1〜5%未満
ショック 頻度不明
せん妄 頻度不明
そう痒症 5%以上
チアノーゼ 1〜5%未満
ニューロパシー 1〜5%未満
ふらつき 5%以上
ミオクローヌス 1〜5%未満
めまい 5%以上
下痢 1〜5%未満
不安 1〜5%未満
不整脈 1〜5%未満
中毒性皮疹 頻度不明
乏尿 頻度不明
人格障害 1〜5%未満
伸展性足底反応 1〜5%未満
低カルシウム血症 頻度不明
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
傾眠 5%以上
動作緩慢 1〜5%未満
動悸 1〜5%未満
協調運動異常 1〜5%未満
反射亢進 1〜5%未満
反射減弱 1〜5%未満
口唇炎 1〜5%未満
口渇 1〜5%未満
味覚異常 1〜5%未満
呼吸不全 頻度不明
呼吸数増加 1〜5%未満
呼吸数減少 1〜5%未満
咳嗽 1〜5%未満
嗅覚錯誤 1〜5%未満
嘔吐 1〜5%未満
嚥下障害 頻度不明
多幸感 1〜5%未満
多汗症 1〜5%未満
多臓器不全 頻度不明
失神 1〜5%未満
失調性歩行 5%以上
尿崩症 頻度不明
尿蛋白陽性 5%以上
弱視 1〜5%未満
徐脈 1〜5%未満
心不全 頻度不明
心房細動 頻度不明
心拍数増加 1〜5%未満
心筋梗塞 頻度不明
悪心 1〜5%未満
意識レベル低下 1〜5%未満
感情不安定 1〜5%未満
感覚鈍麻 1〜5%未満
慢性閉塞性肺疾患 頻度不明
房室ブロック 頻度不明
振戦 1〜5%未満
播種性血管内凝固 頻度不明
擦過部位腫脹 1〜5%未満
敗血症 頻度不明
斑状丘疹状皮疹 1〜5%未満
斑状出血 1〜5%未満
昏睡 1〜5%未満
構語障害 1〜5%未満
歩行障害 1〜5%未満
気分不良 1〜5%未満
水疱 1〜5%未満
注射部位内出血 1〜5%未満
注射部位疼痛 1〜5%未満
注射部位硬結 1〜5%未満
注射部位紅斑 1〜5%未満
注射部位腫脹 1〜5%未満
浮腫 1〜5%未満
浮遊感 1〜5%未満
溢血 頻度不明
無力症 1〜5%未満
無呼吸 頻度不明
片頭痛 1〜5%未満
疼痛 1〜5%未満
発熱 5%以上
発疹 1〜5%未満
白血球増加症 1〜5%未満
白血球減少症 頻度不明
皮膚変色 1〜5%未満
眼振 5%以上
睡眠障害 1〜5%未満
神経過敏 1〜5%未満
筋力低下 1〜5%未満
筋痙攣 1〜5%未満
筋痛 1〜5%未満
紅斑 頻度不明
紅斑性皮疹 頻度不明
耳鳴 1〜5%未満
聴覚過敏 頻度不明
肝機能異常 5%以上
肺炎 頻度不明
胆汁うっ滞 頻度不明
背部痛 1〜5%未満
胸痛 1〜5%未満
脳症 頻度不明
腹痛 1〜5%未満
落ち着きのなさ 1〜5%未満
蕁麻疹 頻度不明
血圧上昇 1〜5%未満
血圧低下 5%以上
血尿 頻度不明
血栓症 頻度不明
血管性浮腫 頻度不明
血管炎 1〜5%未満
血糖値上昇 1〜5%未満
複視 1〜5%未満
貧血 頻度不明
運動過多 1〜5%未満
過換気 1〜5%未満
錐体外路障害 1〜5%未満
錯乱状態 1〜5%未満
錯感覚 1〜5%未満
関節痛 1〜5%未満
難聴 1〜5%未満
頭痛 1〜5%未満
頭蓋内圧上昇 1〜5%未満
頻脈 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1ホスフェニトインは、生体内でアルカリホスファターゼにより活性代謝物(フェニトイン)に加水分解されるプロドラッグである。

  2. 18.1.2フェニトインはマウス、ラット等の最小電撃けいれん閾値やペンテトラゾールけいれん閾値に対してほとんど作用を及ぼさないが、最大電撃けいれんに対してそのパターンを変える作用があり、最大電撃けいれんの強直相を強く抑制する13),14),15),16) 。

  3. 18.1.3フェニトインは神経膜を安定化し17) 、シナプスにおけるpost-tetanic potentiation(PTP)を抑制する18) 。

18.2 抗けいれん作用

  1. 18.2.1フェニトインの抗けいれん作用は、けいれん閾値を上昇させることによってもたらされるのではなく、発作焦点からのてんかん発射のひろがりを阻止することによるものと考えられている16),19) 。

  2. 18.2.2フェニトインをマウスに静脈内投与すると、最大けいれん抑制作用は約30分後にピークとなり、その値は1.5時間持続し、以降徐々に減少する20) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人に本剤750mgを25mg/分又は75mg/分の速度で静脈内投与したときの血漿中の未変化体濃度(図1)、総フェニトイン濃度(図2)及び非結合型フェニトイン濃度(図3)の推移(平均±標準偏差)、及びそれぞれの薬物動態パラメータを表1に示す。

図1 血漿中の未変化体濃度図2 総フェニトイン濃度図3 非結合型フェニトイン濃度

薬物濃度 投与速度 Cmax
(μg/mL)
AUCt
(μg・h/mL)
tmax
(h)
t1/2
(h)
未変化体 75mg/分 161±15 50.4±4.9 0.17±0.00 0.30±0.07
25mg/分 90±15 56.1±6.3 0.53±0.07 0.28±0.04
総フェニトイン 75mg/分 13.7±3.5 283±33 0.33±0.00 16.5±1.8
25mg/分 11.8±1.2 290±59 0.75±0.09 15.7±3.9
非結合型フェニトイン 75mg/分 1.33±0.24 19.8±1.3 0.30±0.08 16.4±2.2
25mg/分 1.14±0.16 19.9±3.8 0.53±0.07 17.3±3.5

(平均±標準偏差)

健康成人に本剤375mg(10名、平均体重64.5kg)及びフェニトインナトリウム注射液250mg(10名、平均体重63.9kg)を、それぞれ30分かけて静脈内投与したときの薬物動態パラメータを表2に示す5) 。

薬物濃度 投与薬剤 Cmax
(μg/mL)
AUCt
(μg・h/mL)
tmax
(h)
t1/2
(h)
総フェニトイン 本剤 5.97±0.70 104±27 0.82±0.17 12.6±2.9
PHT 7.60±1.99 118±32 0.45±0.11 16.0±3.8
非結合型フェニトイン 本剤 0.46±0.08 5.36±1.72 0.77±0.16 15.9±3.8
PHT 0.55±0.16 6.93±2.45 0.43±0.09 17.7±5.5

PHT:フェニトインナトリウム注射液 (平均±標準偏差)

16.3 分布

日本人患者における血漿中フェニトインの蛋白結合率は85.7~88.1%であり、年齢により大きな差異は認められなかった6) 。

16.4 代謝

本剤投与後に、アルカリホスファターゼによりフェニトインの他、ホルムアルデヒド及びリン酸塩が生成し、ホルムアルデヒドはすみやかにギ酸塩に変化する。フェニトインは、主としてCYP2C9により代謝を受け2) 、また一部CYP2C19によっても代謝を受ける3) 。

16.5 排泄

本剤投与後、体内でホスフェニトインは2時間以内にフェニトインにほぼ完全に変換され、フェニトインは、肝で主として5-(4'-hydroxyphenyl)-5-phenylhydantoin(p-HPPH)及びそのグルクロン酸抱合体に代謝され、尿中に排泄される。尿中には未変化体のホスフェニトインは検出されず、フェニトインは投与量の2%未満であった7),8) 。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害及び腎機能障害患者の薬物動態(外国人)

健康成人、肝硬変患者及び腎不全患者各4例に、本剤375mg(投与速度12.5mg/分)を投与したときの血漿中総フェニトインの薬物動態パラメータは次のとおりであった9) 。

パラメータ 健康成人 肝硬変 腎不全
Cmax(μg/mL) 4.20±0.62 4.41±1.33 4.59±1.20a
t1/2(h) 21.3±4.8 26.5±11.2 17.6±5.0
AUCt(μg・h/mL) 62.2±9.4 50.4±11.1 59.9±17.4

a:n=3、(平均±標準偏差)

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1ジアゼパムとの併用(外国人)

健康成人9名(平均体重77.2kg)を対象に本剤(1,125mg)とジアゼパム(10mg)を静脈内に併用投与した時、血漿中フェニトインのCmax及びAUCtは、ジアゼパム非併用時と比較してそれぞれ7.8%及び1.8%減少した。一方、血漿中ジアゼパムのCmaxは、本剤非併用時と比較して10%減少し、AUCtは16%増加した10),11),12) 。