Clinical snapshot

ペングッド錠250mg

バカンピシリン塩酸塩

添付文書改訂 2026年02月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2伝染性単核症の患者[発疹の発現頻度を高めることがある。]

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

アンピシリンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、大腸菌、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌

  • 〈適応症〉

表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、淋菌感染症、腹膜炎、子宮内感染、子宮付属器炎、眼瞼膿瘍、麦粒腫、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、抜歯創・口腔手術創の二次感染、猩紅熱

用法・用量

通常、成人の場合、1日量500~1000mg(力価)とし、これを3~4回に分割して経口投与する。

小児の場合は、1日量15~40mg(力価)/kgとし、これを3~4回に分割して経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

  2. 8.2ショックがあらわれるおそれがあるので、十分な問診を行うこと。

  3. 8.3急性腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)

  2. 9.1.2本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー反応を起こしやすい体質を有する患者

  3. 9.1.3経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者

ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1高度の腎障害のある患者

投与量・投与間隔の適切な調整をするなど慎重に投与すること。血中濃度半減期が延長する。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)において、大量(3,000mg/kg/day)投与による催奇形作用が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中へ移行することが報告されている2)。

9.8 高齢者

次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

  1. 9.8.1生理機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすい。

  2. 9.8.2ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
*アロプリノール *アンピシリンとの併用により、発疹の発現が増加するとの報告がある3)。 *機序不明だが薬剤性の発疹がアロプリノールとアンピシリンを併用していた67例の入院患者のうち22.4%に認められ、アンピシリン単独服用例の1,257例では7.5%に認められた。またアンピシリンを併用しないアロプリノール服用患者283例のうち2.1%が薬剤性発疹を経験したという報告がある。
*抗凝血剤 *ペニシリンが血小板の凝集・凝固に影響を与え、出血傾向を増強するおそれがある。 *抗凝血作用とペニシリンの血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される可能性がある。
経口避妊薬
• ノルエチステロン・エチニルエストラジオール 等
経口避妊薬の効果が減弱するおそれがある。 腸内細菌叢を変化させ、経口避妊薬の腸肝循環による再吸収を抑制すると考えられる。
**エステトロール水和物・ドロスピレノン **エステトロール水和物・ドロスピレノンの効果の減弱化及び不正性器出血の発現率が増大するおそれがある。 **本剤は腸内細菌叢を変化させ、エステトロール水和物・ドロスピレノンの腸肝循環による再吸収を抑制すると考えられる。
*ラロキシフェン塩酸塩 *ラロキシフェン塩酸塩の血中濃度が低下するおそれがある。 *アンピシリンにより腸内細菌叢が減少することによりラロキシフェン塩酸塩の腸肝循環が低下するためと考えられる。
メトトレキサート
ペメトレキセドナトリウム水和物
*これらの薬剤の血中濃度が増加し、副作用が増強するおそれがあるので、併用療法を行う場合には、慎重に投与すること。 *本剤がこれらの薬剤の腎排泄を競合的に阻害し、クリアランスを遅延させるおそれがある。
*プロベネシド *併用により、本剤の血中濃度上昇、血中濃度半減期の延長、本剤の持つ毒性リスクの上昇のおそれがある。 *プロベネシドの尿細管分泌抑制作用により本剤の排泄が遅延するおそれがある。
*パラアミノ馬尿酸ナトリウム *本剤の作用が増強するおそれがある。 *パラアミノ馬尿酸ナトリウムが本剤の尿中排泄を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させると考えられている。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
そう痒感 1〜5%未満
ビタミンB群欠乏症状(舌炎 頻度不明
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症 頻度不明
下痢 1〜5%未満
便秘 1%未満
出血傾向等) 頻度不明
口内炎 頻度不明
口内炎 1%未満
大腸炎(カンジダあるいは非感受性のKlebsiella等による) 1%未満
好酸球増多 頻度不明
悪心・嘔吐 1〜5%未満
発熱 1%未満
発疹 1〜5%未満
神経炎等) 頻度不明
胃部不快感 1〜5%未満
胸やけ 1%未満
腹部膨満感 1%未満
蕁麻疹 1%未満
血小板減少 頻度不明
貧血 頻度不明
顆粒球減少 頻度不明
食欲不振 1〜5%未満
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

バカンピシリンは、生体内でアンピシリンとなり、細菌の細胞壁合成を阻害することにより殺菌的に作用する16)。

18.2 抗菌作用

  1. 18.2.1試験管内での作用

インフルエンザ菌、大腸菌、プロテウス・ミラビリス及び淋菌などのグラム陰性菌並びに肺炎球菌、腸球菌、化膿レンサ球菌、表皮ブドウ球菌及び黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌に対して優れた抗菌作用を示す。

  1. 18.2.2動物での作用

マウスでの感染治療実験で、インフルエンザ菌、大腸菌、プロテウス・ミラビリス、黄色ブドウ球菌などによる感染症に対して優れた治療効果を示す。また、生体防御能の低下した状態のマウス(実験的白血球減少症マウス)での大腸菌による感染症において、アンピシリン、アモキシシリンより優れた治療効果が認められている17),18)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人男子6名にバカンピシリン250mg(力価)を空腹時又は食後に経口投与した場合、血清中濃度は投与後1時間で最高に達し、その濃度は各々6.29μg/mL、4.22μg/mLであり、食事の影響をほとんど受けなかった4)。

バカンピシリンを健康成人に空腹時又は食後に1回経口投与したときの血清中濃度(n=6、平均値±SE)

16.5 排泄

健康成人にバカンピシリン250mg(力価)を空腹時又は食後に経口投与した場合、大部分はアンピシリンとして、6時間までに各々59.4%、55.3%が尿中に排泄された4)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能障害患者にバカンピシリン500mg(力価)を経口投与した場合、腎機能低下に応じて、排泄速度が遅延した。また、t1/2が延長し、AUCの上昇がみられた5)。

Group※ 例数
(例)
血清クレアチニン
(mg/dL)
排泄速度定数
(/h)
Cmax
(μg/mL)
tmax
(h)
t1/2
(h)
AUC0-24h
(μg・h/mL)
A1 2 0.8 0.66±0.06 11.33±2.34 0.50±0.18 1.05±0.09 23.55±3.54
A2 2 2.7~2.8 0.20±0.08 10.93±7.46 3.55±1.55 3.69±1.44 108.50±70.73
A3 2 3.6~7.5 0.12±0.02 12.16±2.19 2.37±0.39 5.67±0.93 122.86±28.19
A4 5 7.2~15.7 0.08±0.02 17.04±9.60 3.38±2.81 9.63±3.00 292.88±206.11

※腎機能(血清クレアチニン)により4Groupに分類。

A1:腎機能正常例、A2:血清クレアチニンが2~3mg/dLの症例、A3:血清クレアチニンが3~8mg/dLの症例、A4:血液透析患者

バカンピシリンを腎機能障害患者に単回経口投与したときの血中濃度(one-compartment open model)

  1. 16.6.2小児等

小児患者(4~12歳)にバカンピシリン10mg/kg又は20mg/kg(力価)を空腹時に経口投与した場合、投与後6時間までに、各々53.5%、47.2%が尿中に排泄され、その半分以上が2時間までに排泄された。血中濃度は1~2時間後に最高に達した。Cmax及びAUCには、年齢による差はみられなかった6)。

投与量
(mg/kg)
例数 Cmax
(μg/mL)
tmax
(h)
t1/2
(min)
AUC0-24h
(μg・h/mL)
10 11 7.02 1.02 45.23 14.67
20 8 12.81 0.76 61.16 23.26

バカンピシリンを小児患者※に空腹時単回経口投与したときの血中濃度 (one-compartment modelによる解析)

※小児患者(4~9歳)のデータ

注)本剤の承認された用法及び用量は、成人の場合、1日量500~1000mg(力価)を3~4回に分割して経口投与である。