成人: ○頻脈性不整脈(心房細動・粗動、発作性上室性頻拍) ○狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患
小児: ○頻脈性不整脈(心房細動・粗動、発作性上室性頻拍)
2.1重篤なうっ血性心不全のある患者 [本剤は陰性変力作用を有し、心不全症状を更に悪化させることがある。]
2.2第Ⅱ度以上の房室ブロック、洞房ブロックのある患者 [本剤は房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある。]
2.3妊婦又は妊娠している可能性のある女性
2.4本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.5*イバブラジン塩酸塩を投与中の患者
2.6*ロミタピドメシル酸塩を投与中の患者
成人: ○頻脈性不整脈(心房細動・粗動、発作性上室性頻拍) ○狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患
小児: ○頻脈性不整脈(心房細動・粗動、発作性上室性頻拍)
成人: 〈頻脈性不整脈(心房細動・粗動、発作性上室性頻拍)〉 通常成人、1 回1~2錠(ベラパミル塩酸塩として1回40~80㎎)を、1 日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。 〈狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患〉 通常成人、1回1~2錠(ベラパミル塩酸塩として1回40~80㎎)を、1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
小児: 〈頻脈性不整脈(心房細動・粗動、発作性上室性頻拍)〉 通常、小児には、ベラパミル塩酸塩として1日3~6㎎/㎏(ただし、1日240㎎を超えない)を、1日3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
8.1カルシウム拮抗剤の投与を急に中止したとき、症状が悪化した症例が報告されているので、本剤の休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないように注意すること。
8.2本剤の投与に際しては、心電図、脈拍、血圧を定期的に調べること。PQの延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止すること。
8.3クラスI抗不整脈剤、β-遮断剤との併用により、心機能低下、高度の徐脈、房室ブロックがあらわれることがある。また、ジギタリスとの併用により、高度の徐脈、房室ブロックがあらわれることがある。これらの薬剤と併用する場合は、自覚症状に注意するとともに、定期的に心電図検査を行い、異常が認められた場合には、本剤又は相手薬剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。
本剤は陰性変力作用を有し、心機能を更に低下させることがある。
本剤は房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある。
本剤は血管拡張作用を有し、血圧を更に低下させることがある。
本剤の房室伝導抑制作用により、心房興奮が副伝導路を通りやすくなる結果として心室細動を生じることがある。
本剤は陰性変力作用を有し、心機能を悪化させることがある。
本剤は主に平滑筋を弛緩させるが骨格筋に対しても作用を有し、筋収縮力を悪化させることがある。
洞停止、洞不全症候群の誘発の危険性が高くなる。
本剤は肝及び腎で代謝・排泄されるため、このような患者では本剤の血中濃度が予測以上に増加し、副作用に発展することがある。
本剤は肝及び腎で代謝・排泄されるため、このような患者では本剤の血中濃度が予測以上に増加し、副作用に発展することがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。動物実験(マウス)で胎児毒性(死胚)が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトにおいて乳汁中への移行が報告されている。
9.7.1小児等に本剤を使用する場合、小児等の不整脈治療に熟練した医師が監督すること。
9.7.2新生児及び乳児はカルシウム拮抗剤の感受性が高く、徐脈、心停止等を生じる危険性が大きい。新生児及び乳児に本薬を静脈内投与した際、重篤な徐脈や低血圧、心停止等が認められたとの報告がある。
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| * イバブラジン塩酸塩 | * 過度の徐脈があらわれることがある。 | * 本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。また、心拍数減少作用を相加的に増強する。 |
| * ロミタピドメシル酸塩 | * 相手薬剤の血中濃度が著しく上昇するおそれがある。 | * 本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| 血圧降下剤 | 血圧の低下が増強することがある。 | 本剤と血圧降下剤の血管拡張作用が増強される。 |
| β-遮断剤 ラウオルフィア製剤 |
心機能の低下や徐脈があらわれることがある。自覚症状、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、本剤又は相手薬剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。 | 本剤は陰性変力作用や房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、両者の心抑制作用が相互に増強される。特にジギタリス製剤との3剤併用時には注意すること。 |
| 抗不整脈剤 • キニジン硫酸塩水和物 • プロカインアミド塩酸塩 • リドカイン • ピルシカイニド塩酸塩水和物 • フレカイニド酢酸塩等低カリウム血症を起こすおそれがある薬剤 • 利尿剤等 |
徐脈、房室ブロックがあらわれることがあり、高度の不整脈に発展させることがある。自覚症状、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、本剤又は相手薬剤を減量又は中止すること。 | 相加的な抗不整脈作用の増強や低カリウム血症により催不整脈作用が生じる。 |
| ジギタリス製剤 • ジゴキシン • メチルジゴキシン等 |
高度の徐脈、房室ブロック等の徐脈性不整脈があらわれることがある。また、これらの不整脈を含めたジギタリスの血中濃度上昇による中毒症状(悪心・嘔吐、食欲不振、頭痛、疲労、倦怠感等)があらわれることがある。定期的に心電図検査を行い、ジギタリスの中毒症状の有無を確認し、必要に応じてジギタリスの血中濃度を測定する。異常が認められた場合には、両剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。 | 相加的な房室結節・洞結節抑制作用の増強やジギタリスの心刺激作用により不整脈が生じる。特にβ-遮断剤との3剤併用時には注意すること。 また、ジギタリスの血中濃度の上昇は本剤のジギタリスの腎排泄抑制によるものと考えられる。 |
| 吸入麻酔薬 | 心機能の低下や徐脈があらわれることがある。脈拍数、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。 | 本剤は陰性変力作用や房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、両剤の心抑制作用が相互に増強される。 |
| *P-糖蛋白で排出される薬剤 • エドキサバントシル酸塩等 |
* 相手薬剤の血中濃度を上昇させ、作用を増強させることがある。異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。 | *P-糖蛋白を阻害することにより、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| *P-糖蛋白で排出される薬剤 • ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩 |
ダビガトランの抗凝固作用が増強することがあるので、ダビガトランエテキシラートの用量調節や投与間隔を考慮するなど、投与方法に十分注意すること。 | ダビガトランの血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aで代謝され、P-糖蛋白で排出される薬剤 • レンバチニブ等 |
*相手薬剤の血中濃度を上昇させ、作用を増強させることがある。異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。 | *本剤のCYP3A及びP-糖蛋白に対する阻害作用により、相手薬剤の代謝・排泄が阻害される。 |
| *CYP3Aを阻害する薬剤 • クラリスロマイシン • エリスロマイシン等 |
*本剤の血中濃度が上昇し、副作用を増強するおそれがある。 | *相手薬剤のチトクロームP450(CYP3A)の阻害作用により、本剤の代謝が阻害され、血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aを阻害する薬剤 • リトナビル |
本剤のAUCが3倍を超えることが予測されるので、本剤を減量するとともに血中濃度のモニターや診察の回数を増やすなど慎重に投与すること。 | 相手薬剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aを阻害する薬剤 • インジナビル硫酸塩エタノール付加物 • アタザナビル硫酸塩 • キヌプリスチン・ダルホプリスチン |
本剤の血中濃度が上昇し、副作用を増強するおそれがある。 | 相手薬剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aを阻害する薬剤 • イトラコナゾール • ミコナゾール |
本剤の血中濃度を上昇させることがある。 | 相手薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)の阻害作用により、本剤の代謝が阻害され、血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aで代謝される薬剤 • レンボレキサント • スボレキサント • エベロリムス • シロリムス • イブルチニブ等 |
*相手薬剤の血中濃度が上昇することがある。異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。 | *本剤によるチトクロームP450(CYP3A)に対する阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aで代謝される薬剤 • アプリンジン塩酸塩 |
アプリンジンの血中濃度が上昇することがある。異常が認められた場合には、アプリンジンを減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。 | 本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aで代謝される薬剤 • カルバマゼピン |
カルバマゼピンの血中濃度が上昇し、中毒症状(めまい、頭痛等)があらわれることがある。カルバマゼピンの血中濃度に注意し、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。 | 本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aで代謝される薬剤 • ミダゾラム |
ミダゾラムの血中濃度が上昇することがある。異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。 | 本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aで代謝される薬剤 • セレギリン塩酸塩 |
セレギリンの作用を増強し、毒性が大幅に増強する可能性がある。 | 本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aで代謝される薬剤 • シクロスポリン |
シクロスポリンの血中濃度が上昇することがある。シクロスポリンの血中濃度に注意し、異常が認められた場合には、シクロスポリンを減量又は中止すること。 | 本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aで代謝される薬剤 • パクリタキセル |
パクリタキセルの血中濃度が上昇することがある。異常が認められた場合には、パクリタキセルを減量、投与間隔を延長又は中止するなど適切な処置を行うこと。 | 本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aで代謝される薬剤 • ビノレルビン酒石酸塩 |
ビノレルビンの血中濃度が上昇することがある。 | 本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aで代謝される薬剤 • ゲフィチニブ |
ゲフィチニブの血中濃度が上昇し、副作用を増強するおそれがある。 | 本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aで代謝される薬剤 • エレトリプタン臭化水素酸塩 |
エレトリプタンの血中濃度が上昇することがある。 | 本剤によるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用により、相手薬剤の血中濃度を上昇させる。 |
| *CYP3Aを誘導する薬剤 • リファンピシン • フェニトイン • フェノバルビタール等 |
本剤の作用が減弱することがある。 | 相手薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)の誘導作用により、本剤の血中濃度を低下させる。 |
| テオフィリン アミノフィリン水和物 コリンテオフィリン |
テオフィリンの血中濃度が上昇することがある。テオフィリンの血中濃度に注意し、異常が認められた場合には、テオフィリン製剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。 | 本剤による肝薬物代謝酵素阻害作用により、テオフィリンのクリアランスが低下するため、テオフィリンの血中濃度を上昇させる。 |
| ダントロレンナトリウム | 高カリウム血症や心機能低下が生じることがある。 | 機序は不明である。 |
| グレープフルーツジュース | 本剤の血中濃度を上昇させることがある。異常が認められた場合には、本剤を減量するなど適切な処置を行うこと。また、グレープフルーツジュースとの同時服用をしないよう注意すること。 | グレープフルーツジュースに含まれる成分のチトクロームP450(CYP3A4)の阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる。 |
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALTの上昇等 | 頻度不明 |
| AST | 頻度不明 |
| めまい | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 女性型乳房 | 頻度不明 |
| 悪心・嘔吐 | 頻度不明 |
| 房室伝導時間の延長 | 頻度不明 |
| 歯肉肥厚 | 頻度不明 |
| 浮腫 | 頻度不明 |
| 男性における血中黄体形成ホルモン・血中テストステロンの低下 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 血中プロラクチンの上昇 | 頻度不明 |
| 血圧低下 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 食欲不振 | 頻度不明 |
本薬の作用機序は、細胞外液Ca++の細胞内流入阻止に基づくCa++拮抗作用である5)。
本剤を虚血性心疾患患者に経口投与した場合、血圧を緩徐に降下させ、心拍数も軽度に減少させる。その結果、心仕事量が軽減し、心筋酸素消費量も抑制される2)。
イヌ摘出心筋や麻酔イヌを用いた実験において、冠状動脈を含む血管平滑筋の興奮-収縮連関を抑制し、冠血流量を増加し、末梢血管抵抗を減少する6),7)。
虚血、高血圧、過剰の細胞内遊離Ca++の存在、過剰のカテコールアミンによって惹起される心筋細胞内ATP の欠乏に基づく心筋の変性に対し、本薬はこれら種々の心筋変性誘発因子に拮抗して心筋変性を抑制し、心筋を保護することがラットやウサギで確認されている8)。
モルモット及びウサギの摘出心筋を用いた実験において、slow channel を通るCa++の流入を抑制することが確認されている。また、麻酔イヌを用いた実験で、特に房室結節に作用して房室伝導系の有効不応期、機能的不応期を延長させ、房室伝導を遅延させる9),10),11)。
18.6.1イヌ摘出心筋を用いた実験において、ノルアドレナリンの房室結節への局所投与によって誘発される上室性頻拍を消失又は著明に軽減する12)。
18.6.2麻酔イヌを用いた実験において、電気刺激によって誘発された心房細動時の心室レートを減少させる11)。
ベラパミルの代謝酵素は主にCYP3A4であり、主要代謝物はN‐脱メチル化されたノルベラパミルである1)。