Clinical snapshot

ベナンバックス注用300mg

ペンタミジンイセチオン酸塩

添付文書改訂 2023年04月01日

【警告】

重篤な低血圧、低血糖及び不整脈があらわれることがある。「6.用法及び用量」、使用上の注意に特に留意し、このような症状が発現した場合は直ちに本薬の投与を中止し、再投与しないこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈投与経路共通〉
  1. 2.1本剤に対する過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2ザルシタビンを投与中の患者

  3. 2.3ホスカルネットナトリウムを投与中の患者

  4. 2.4アミオダロン(注射剤)を投与中の患者

  • 〈吸入投与〉
  1. 2.5換気障害が重症の患者(PaO2 60mmHg以下)[換気障害のため、薬剤の十分な拡散が得られないことがある。]

効能・効果

  • 適応菌種

ニューモシスチス・カリニ

  • 適応症

カリニ肺炎

用法・用量

  • 〈静脈内・筋肉内投与〉

通常、ペンタミジンイセチオン酸塩として4mg/kgを1日1回投与する。

  • (1)静脈内点滴投与

  • 日局注射用水3~5mLに溶解した後、日局ブドウ糖注射液又は日局生理食塩液50~250mLに希釈し、1~2時間かけて点滴静注する。

  • (2)筋肉内投与

  • 日局注射用水3mLに溶解した後、2箇所以上の部位に分けて筋注する。

  • 〈吸入投与〉

通常、ペンタミジンイセチオン酸塩として300~600mgを日局注射用水(1バイアルにつき3~5mL)に溶解し、吸入装置を用いて1日1回30分かけて投与する。吸入装置は5μm以下のエアロゾル粒子を生成する能力を有する超音波ネブライザー又はコンプレッサー式ネブライザー等を使用すること。なお、吸入装置により霧化能力、薬液槽容量が異なるので、使用する機種に応じて薬液を日局注射用水で適切な量に希釈して用いること。

使用上の注意

  • 〈投与経路共通〉
  1. 8.1血液障害、ショック等を予測するため十分な問診を行うこと。

  2. 8.2本剤投与前、投与中及び投与後を通じて、臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査、心電図検査等)を行うこと。

  3. 8.3本剤投与後、突然重度の低血圧が起こることがあるので、患者の基礎血圧値をあらかじめ測定し、投与時には必ず患者を横臥させること。各回投与時並びに治療期間中一定の間隔で血圧を測定すること。

  4. 8.4本剤投与後、重度の低血糖、また、高血糖、糖尿病が起こることがあるので、治療期間中及び治療後も血糖値を測定、監視すること。

  • 〈吸入投与〉
  1. 8.5吸入中に気管支痙攣が起こることがある。このような場合には、β-刺激性気管支拡張剤の投与が有効である。気管支収縮は喫煙者や気管支喘息の患者で起こりやすく、β-刺激性気管支拡張剤の前投与により気管支痙攣が予防できるとの海外での報告がある。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1低血圧又は高血圧症の患者

症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2低血糖又は高血糖症の患者

膵臓のβ細胞に作用し、症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.3白血球減少、血小板減少、貧血のある患者

症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.4低カルシウム血症の患者

症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.5冠疾患の患者、心室性不整脈の既往のある患者、低カリウム血症の患者、低マグネシウム血症の患者、又は徐脈の患者

QT延長及びTorsade de pointesを含む重篤な心室性不整脈が起こるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

腎機能障害を悪化させるとともに副作用も発現しやすくなるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

肝機能障害を悪化させるとともに副作用も発現しやすくなるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で母体死亡、胎児毒性(後期死亡児数の増加、化骨の遅延)が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

定期的に検査を行うなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• ザルシタビン• ハイビッド カリニ肺炎の治療のため本剤が必要になった場合は、ザルシタビンを休薬すること。海外で本剤(静注)との併用により劇症膵炎による死亡例が報告されている。 機序不明
• ホスカルネットナトリウム• ホスカビル 腎障害の増強、低カルシウム血症が起こることがある。なお、海外で本剤(静注)との併用により、重篤な低カルシウム血症が発現した死亡例が報告されている。 相加的に副作用(腎障害、低カルシウム血症)が増強する。
• アミオダロン(注射剤)• アンカロン注 併用によりTorsade de pointesのリスクが増加する。 併用によりQT延長作用が相加的に増強すると考えられる。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
QT延長を起こすおそれのある薬剤
QT延長及びTorsade de pointesを含む重篤な心室性不整脈が起こるおそれがある。 併用によりQT延長作用が増強すると考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
AST・ALT・Al-P上昇 頻度不明
BUN上昇注3) 5%以上
Ca・Mgの異常 頻度不明
CK上昇 頻度不明
K・Na・Clの異常 頻度不明
LDH上昇 頻度不明
しびれ感 頻度不明
めまい 頻度不明
下痢 頻度不明
乏尿 頻度不明
吸入投与時に 頻度不明
味覚障害 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
咽頭刺激 頻度不明
喘鳴 頻度不明
壊死 頻度不明
失神 頻度不明
局所の不快感 頻度不明
局所の膿瘍 頻度不明
心室性頻脈 頻度不明
心電図ST異常 頻度不明
悪心・嘔吐注2) 5%以上
気管支痙攣 頻度不明
無尿 頻度不明
疼痛 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球減少 頻度不明
硬結 頻度不明
神経痛 頻度不明
筋肉内投与時に 頻度不明
筋肉内投与時に 頻度不明
腹痛 頻度不明
血小板減少 頻度不明
血尿 頻度不明
血清クレアチニン上昇 頻度不明
貧血 頻度不明
静脈内 頻度不明
静脈内 頻度不明
静脈炎 頻度不明
顔面潮紅 頻度不明
食欲不振 頻度不明
黄疸 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ペンタミジンイセチオン酸塩はin vitroでニューモシスチス・カリニのグルコース代謝及び蛋白質合成を抑制し7)、マウス実験腫瘍のDNA合成、RNA合成、蛋白質合成、リン脂質合成及びヌクレオチド合成を抑制し8)、ジヒドロ葉酸脱水素酵素(DHFR)活性をin vitro及びin vivo(ラット)で抑制した9)。

18.2 薬理作用

ペンタミジンイセチオン酸塩は、in vitroにおいて、カリニ肺炎発症ラットの肺より分離されたニューモシスチス・カリニに対して、致死的作用を有することが示唆された10)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  • 〈静脈内・筋肉内投与〉

外国人男性の後天性免疫不全症候群(AIDS)患者に単回筋肉内(n=6)あるいは単回静脈内(n=6)投与時の薬物動態学的パラメーターは以下のとおりである3)。

投与経路 投与量 Cmax
(ng/mL)
t1/2α
(hr)
t1/2β
(hr)
CL
(L/hr)
筋肉内(n=6) 4mg/kg 209±48 0.9±0.18 9.36±2.01 305±81
静脈内(n=6)
(2時間点滴)
4mg/kg 612±371 0.3±0.22 6.40±1.32 248±91

CL:血漿クリアランス

  • 〈吸入投与〉

外国人男性AIDS患者13例にネブライザーを用いて単回吸入投与時の血漿中及び気管支肺胞洗浄液中濃度は以下のとおりである4)。

投与経路 投与量 血漿中濃度 気管支肺胞洗浄液中濃度
吸入 4mg/kg 0〜35ng/mL 16.8〜149.7ng/mL

16.5 排泄

  1. 16.5.1尿中排泄

外国人男性AIDS患者に単回筋肉内(n=5)あるいは単回静脈内(n=4)投与時の尿中排泄パラメーターは以下のとおりである3)。

投与経路 投与量 24時間までの
尿中排泄率
24時間までの
腎クリアランス(L/hr)
筋肉内(n=5) 4mg/kg 4.81% 15.4(CLの5.0%)
静脈内(n=4)
(2時間点滴)
4mg/kg 2.51% 6.21(CLの2.5%)

CL:血漿クリアランス